ホクナリンテープはココに貼ろう!【副作用から市販薬まで紹介】
<監修医師 サリー>
気管支喘息の治療薬には吸入薬や飲み薬などがありますが、ここでは胸に1日1回貼るだけで呼吸を楽にしてくれる喘息の貼り薬、ホクナリンテープについて取り上げます。
気になる所から確認してみよう
ホクナリンテープとは
ホクナリンテープはそんな気管支平滑筋にある交感神経のβ2受容体を刺激することで筋肉の緊張を緩め気管支を拡張する薬です。有効成分ツロブテロールは日本で開発されました。
ホクナリンテープはテープ状の貼付剤で1日一回皮膚に貼付して使用する薬で、医師の処方箋が必要な薬です。ホクナリンテープにはジェネリック品が開発されています。
ホクナリンテープが効く仕組みとは
気管支が拡張する仕組みにはアドレナリンが関係しています。
人には交感神経と副交感神経という対になる神経系が存在し、大まかに言うと興奮状態など活動的になるなど交感神経が優位に働き、リラックス状態だと副交感神経が優位に働きます。
交感神経が優位になるとアドレナリンが放出されます。人体にはアドレナリンを受ける受容体というものが存在し、心臓の鼓動を早くしたり、体のエネルギー源であるグリコーゲンを分解したりします。
気管支にもアドレナリンの受容体が存在しており、β2受容体と呼ばれる受容体です。
β2受容体がアドレナリンを受ける(=刺激される)と気管支の周りを覆っている筋肉である平滑筋が緩み気管支が拡張し空気が通りやすくなります。
ホクナリンテープに含まれている有効成分ツロブテロールはアドレナリンに似た構造をしており、アドレナリンと同様にβ2受容体を刺激し、気管支を拡張します。
なぜホクナリンテープは1日一回で済むのかと言うとホクナリンテープは結晶レジボアシステムと呼ばれるものを採用していて、テープに含まれているツロブテロールが体内へゆっくりと24時間かけて放出される仕組みになっているからです。
3つの病気にホクナリンテープが効果的
主に気管支喘息に使用される
気管支喘息は気道の慢性炎症、気道閉塞、気道過敏症を特徴とする疾患です。息苦しくなったり、咳が止まらなくなったりします。
気管支炎の治療は症状の重篤さに合わせて1~4のステップに分かれており、そのステップに合わせた治療薬が選択されます。
ホクナリンテープは症状が毎日ないし週1回以上はある場合のステップ2から使用されます。
気管支喘息についてくわしくはこちらを見て参考にして下さい。
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急性気管支炎とは?
急性気管支炎は気管支に細菌などが入り込み炎症をおこす感染症です。風邪の様な咳や粘っこい痰がつまるといった症状が現れます。
感染症である場合は抗菌薬で原因菌を殺菌します。併せて、咳や痰といった症状を和らげる為にホクナリンテープが使われる事もあります。
タバコの吸いすぎ注意、COPDとは?
COPDは慢性閉塞性肺疾患(Chronic Obstructive Pulmonary Disease)の略です。
タバコの煙や大気汚染など人間の体にとって有害な粒子やガスを吸い込んでしまうことで、肺や気管支が炎症を起こし、それがもとになって呼吸が上手くできなくなる病気です。
肺や気管支の状態によって慢性気管支炎や肺気腫と呼ばれることがあります。
COPDはその重症度に応じて0期~Ⅳ期に分けられます。0期~Ⅰ期は禁煙などの生活指導などの治療を行います。
ホクナリンテープなどの長時間作用型の気管支拡張薬はⅡ期から開始されます。
気管支炎の症状についてはこちらを参考にして下さい。
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ホクナリンテープはどこに貼るのか
ホクナリンテープを貼る場所は胸、背中、上腕のいずれかです。
特に無意識に剥がしてしまう恐れのある小児などは背中に貼付するのが良いでしょう。約24時間毎に張り替えます。
喘息発作は早朝に起こりやすい為、睡眠中に効果が出始めるように就寝前の入浴後に張り替えるのがお勧めです。
連続して同じ部位に貼り続けるとかぶれる恐れがあるので貼る場所を毎回変えてください。
また、あらかじめ貼る場所の汗をしっかり拭き取っておくようにしてください。
間違った使い方は副作用を引き起こす!
皮膚症状に注意
皮膚に貼付するものですので、かゆみやかぶれを起こすことがあります。アトピー性皮膚炎の方はより症状が起こりやすいです。
まれアナフィラキシー(全身発疹、顔面浮腫、呼吸困難等)など重篤な症状を引き起こした例もあるので、異常が認められた場合には服用を中止し医療機関で適切な処置をうけてください。
皮膚以外の症状も起こる
β2受容体刺激によって手足の震えが起こることがあります。起こった場合は、医師の指示を受けてください。
心臓の症状に注意
ホクナリンテープの作用するのはβ2受容体ですが、類似する受容体にβ1受容体があります。β1受容体は心臓に存在し、刺激を受けると脈拍を早くする働きがあります。
ホクナリンテープは基本的にβ2受容体のみを刺激するように出来ていますが、まれにβ1の刺激により、ふるえ、動悸や不整脈、血圧が上がる人がいます。
不整脈についてはこちらを参考にして下さい。
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低カリウム血症に注意
β2刺激によって体内の電解質であるカリウムが低下する事があります。症状としてはトイレの回数が多くなったり、血圧が高くなったり、筋力低下による脱力感があります。
血糖値をあげる
β受容体が刺激されると体に蓄えられているグリコーゲンと呼ばれるエネルギー源が分解され、糖として血中に放出されます。
この結果、血糖値が上がることがあるのでホクナリンテープは糖尿病の人には慎重投与となっています。
バセドウ病の人も注意
バセドウ病とは甲状腺ホルモンと呼ばれる体の調整を行っているホルモンでこれが何らかの原因で過剰になることで様々な症状がでる病気です。
主な症状としては心臓の活動性を高めて頻脈になったり、それによって体のエネルギーが消費され、食欲が出すぎたり、多飲による多尿、発汗などがあります。
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ホクナリンテープは心臓の脈拍を上げる副作用がある為、バセドウ病を悪化させる恐れがあります。
ホクナリンテープは市販されているの?
ホクナリンテープやその他の後発品はドラッグストアなどで市販はされていません。医師からの処方せんが必要な処方箋医薬品として定められています。
気管支喘息、気管支炎などで処方された場合は、息苦しさや辛い咳などの症状が軽快されるように、必ず医師の指示に従い使用してください。
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