瞬きが多い人によく見られる病気【チック症の原因や治療法を解説】
<監修医師 まっちゃん>
普段私達は、目が乾かないように「瞬き」をしますが、この瞬きが多過ぎる場合には病気の可能性も考えられます。
この瞬きが心理的変化により、異常に多くなる病気の事を「チック病」と言いますが、今回はチック病についてお話します。
気になる所から確認してみよう
なぜ瞬きをするのか。その役割とは
自然に行っている瞬きですが、そもそも瞬きにはどんな役割があるのでしょうか。
瞬きには主に2つの役割があります。1つ目は車のワイパーがガラスの汚れを落とす様に、瞬きをすることによって目の中に入った空気中の汚れを落とす役割をしています。
2つ目は目の表面は常に濡れていなければいけません。目が濡れていなければ、目の表面が乾燥してしまい、表面の細胞が死んでしまいます。
そこで瞬きをする事で、涙で目を濡らし、表面を保護しています。涙というのは泣いたりした時にたくさん出るようなイメージですが、絶えず分泌されています。
涙はその他にも殺菌作用がある為、目の中に入ったばい菌を殺す作用もあります。
瞬きにはこのように主に2つの大きな役割がありますが、その他にも例えばボールなどが目の近くに飛んできたりした際に、目が瞬きをすることで危険を回避する役割もあります。
私達が自然に意識せずに行っている瞬きにも重要な役割があります。
瞬きにも適正な回数がある
瞬きの役割についてお話してきましたが、自然に行っている瞬きは普段どのくらいの回数で行われているのでしょうか。
とは言いましても、自分で回数を計ったりした事のある方はなかなか居ないでしょう。
瞬きはその方の身体の調子などにもよりますが、大体1分間に約15~20回程と言われており、女性よりも男性の方が瞬きが多いとされています。
一日トータルの回数としては寝ている時間を除いて、約1万5000回程です。
パソコンやゲームをしている人に関しては瞬きの回数が、普段の回数の4分の1程に減少していると言われており、瞬きが少ない事によって目を保護する回数が少なくなってしまいます。
これにより、「ドライアイ」や目の疲れが起こり、酷い場合には「視力低下」に繋がる可能性があります。パソコンやゲームをしている際には、意識して瞬きをするようにした方が良いですね。
瞬きが多い原因は病気の可能性もある
目を保護したりする役割のある瞬きですが、通常の回数よりも多くなる事があります。瞬きの回数が多いと病気の可能性も考えられます。
瞬きが多い病気にはいくつか考えられますが、目の機能障害である眼球運動障害や角膜異常も考えられますが、ストレスなど精神的なものからくる目の病気は「チック症」と言います。
チックとは身体の一部(首を振る、瞬きをする)などを突発的に速い動きをしてしまう事や同じ言葉が続いて繰り返される事や奇声などを発したりする事が一定期間続く事を指します。
チックには先程少しお話したように、身体のチック症状と音声のチック症状があります。目の瞬きに関するチック症は身体のチック症状に当てはまります。
チック症は子供から大人まで広く発症し、子供のチック症が大人になっても続く場合もあります。
チックは子供の頃のものに関しては心と身体の発達とともに一過性、発達性のものとして出てくる事がありますが、これが慢性的になるとチック症となってしまうのです。
重症化してしまうと「トゥレット症候群」と呼ばれ、慢性的にチック症状が出てしまうようになります。
重度のチック症状の場合には、強いストレスが原因となる事があり、思春期などに発症する事が多く見られます。「トゥレット症候群」については後で詳しく見ていきましょう。
チック症にはなりやすい人のタイプがある
チック症に関してストレスなどが原因とお話しましたが、チック症になりやすい人にはタイプ・原因がありますので見ていきましょう。
1. 遺伝的な要因
チック症になりやすい素質をもっている人が、発達の過程で神経伝達物質にアンバランスさが生じ、運動神経や自律神経に支障をきたすことでチック症を発症すると言われています。
つまりチック症には遺伝的な要因があるとも言われているのです。
2. 一度発症した事のある人
子供の頃に一度チック症を発症した人が、大人になってチック症を再発する事があります。
子供の頃に一度治っていても、チック症になる素質は持っている為、大人になった際に強いストレスなどを感じたりする事でチック症が再発する可能性があります。
3. ストレスを感じやすい人
ストレスを感じる人がチック症になりやすいというわけではなく、遺伝的にストレスに「弱い」人などはストレスによってチック症を発症するケースがあります。
子供の頃にチック症を経験していて、ストレスに弱い人というのはチック症になりやすい傾向にあるといえるでしょう。
チック症はこのように遺伝的な要因や一度発症した事のある人など、何らかの要因があるとされています。
その他にも脳の神経系の異常とも言われたりもしますが、現代の医学でははっきりとした原因は解明されていません。
一過性が多いチック症は治る確率が高い
チック症には大きく分けて2種類に分けられます。1つ目は一過性のチック症、一過性のチック症に関しては4週間以上毎日、運動チック(瞬きや首を振るなど)や音声チックが続く事を言います。
2つ目は慢性チック症で、1年以上チック症状が続いている事を言います。
慢性的のチック症に関しては1年以上長く酷く瞬きや咳払いの回数が多い場合に、慢性チック症の疑いが考えられます。
一過性の症状に関しては6~7歳頃に良く見られ、目をパチパチさせたり、ギューっとつぶったりする症状が多く見られますが、しばらく経つと症状が治まっている事があります。
自然に治まっている事が多いので、一過性のチック症は治る確率が高いとされています。
このように一過性のチック症状に関しては、人間関係によるストレスや環境の変化などが引き金になる事もありますので、チック症状が出ても、周囲がきちんと理解してあげる事が重要になってきます。
また治療法に関してですが、子供の場合であれば児童精神科や小児神経科、近くにない場合に関しては心療内科(子供でも受診が出来るか確認する必要があります)の診察などを受け、まずは経過観察となる事が多いです。
子供の場合であれば、時間が経過するにつれてチック症状が落ち着くケースもある為、特別な治療をする必要もないと判断される事も多いからです。
チック症状が重症化した場合に関しては、日常生活に支障をきたす事もあったり、チック症状とは別に強迫性障害や発達障害が隠れている可能性も考えられる為、カウンセリングなどの心理療法を受けたり、酷い場合には薬物治療を行ったりする必要性も出てきます。
チック症が重症化するとトゥレット症候群になる恐れもある
チック症が重症化するとトゥレット症候群になる可能性がある事は前述で少しお話しましたが、トゥレット症候群に関しては運動チックと音声チックが1年以上にわたって発症する事をいい、社会生活にも支障をきたすレベルになる可能性が高いとされています。
原因としては神経伝達物質(ドーパミンやセロトニン系など)に異常をきたしている事や脳内の異常、遺伝的なものや環境的な要因が関係していると言われています。
またトゥレット症候群と共に併発する症状として強迫性障害、注意欠陥多動性障害(ADHD)、睡眠障害、学習障害、自閉症スペクトラム障害、抑うつ症状なども挙げられます。
発症した場合にはこの症状とうまく付き合っていくためにも、きちんと周囲にも病気を理解してもらい、薬物療法などを取り入れて治療をしていく事が大切です。
いかがでしたか。子供のチック症の場合、親が気づかないケースもあり、チックによる症状を「なぜ普通にできないの」と責めてしまう事も少なくないといいます。
これによって子供のチック症状が酷くなる事も考えられますので、周囲がきちんと子供の事を理解してあげる事、子供の行動をよく見ておく事が重要になってきます。
気になる症状が出た場合には、専門の医療機関を受診し相談するようにしましょう。
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