ポララミン錠の副作用に注意して!【3つの効果も解説!】
<監修薬剤師 藤沢 淳司>
ポララミン錠は、アレルギー症状に作用する抗ヒスタミン剤です。抗ヒスタミン剤には、第1世代・第2世代・第3世代という分類があり、ポララミン錠は第1世代の抗ヒスタミン剤になります。
第1世代薬は、第2世代よりも先に開発された薬なので、ポララミン錠は最も長く使われている薬の内の1つということになります。今回はそんな歴史の古いポララミン錠について、注意するべき副作用と3つの効果について解説していきましょう。
ポララミン錠の効果
抗ヒスタミン作用
ポララミン錠は、d-クロルフェニラミンマレイン酸塩を成分とする抗ヒスタミン剤で、アレルギー症状を引き起こすヒスタミンの働きを防ぐ作用があります。
ヒスタミンとは神経伝達物質の一種で、食べ物から体内に取り込まれる、あるいは体内で合成される物質です。
神経伝達物質ですから身体に必要なものなのですが、これらが過剰に反応してしまうことによって起こる症状がアレルギーであり、それを抑える薬を抗ヒスタミン剤と言います。
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抗アレルギー作用
ポララミン錠には抗アレルギー作用があります。アレルギーとは、アレルゲン(アレルギーを持つ物質)に触れる、体内に取り込むなどによって起こる身体の反応です。
このアレルゲンから身体を守り、有害な外敵を撃退する物質がヒスタミンです。このとき過剰に反応したヒスタミンは、血液中に必要以上にたくさん出てきてしまいます。
その結果、体内のあちこちで増えすぎたヒスタミンがいろいろな受容体(H1、H2)に結合してしまうのです。これが花粉症やアレルギー性鼻炎などの原因となるのです。
ポララミン錠は、これらの受容体にヒスタミンが結合するのをブロックする働きがあるため、アレルギーが原因で起こる様々な疾患を抑える効果があります。
花粉症などの他、蕁麻疹、血管性浮腫、枯草熱、皮膚疾患に伴う搔痒(湿疹・皮膚炎・皮膚搔痒症・薬疹)、血管運動性鼻炎、感冒など上気道炎に伴うくしゃみ・鼻水・咳などの疾患にも作用します。
妊娠中でも使える
抗ヒスタミン剤の中では、妊娠中でも比較的安心して使える薬として、産婦人科でも処方されています。 (後の使用上の注意の項目で詳しく述べていきます)
ポララミン錠の副作用
ポララミン錠は昔からの実績が多いため、よく使われる薬ですが、第2世代の薬に比べると強い副作用があります。特に気を付けなければならない副作用に、眠気と抗コリン症状があります。
眠気・倦怠感
ポララミンは脂溶性の高い薬なので、脳内にも移行します。すると、脳内のH1受容体にも働いてしまうため眠気や倦怠感、ふらつきを引き起こす原因となるのです。
鎮静作用があるため、かなり強い眠気に襲われます。飲んだ後は車の運転などは避けるようにしてください。
抗コリン症状
神経伝達物質であるアセチルコリン(コリン)は、体内のあらゆるところに働きかける神経伝達物質です。抗コリン症状は、このアセチルコリン受容体の働きを抗ヒスタミン剤が阻害してしまうことで起こります。
抗コリン症状として、口渇、便秘、吐き気、閉尿などが挙げられます。
その他
その他の副作用には、頭重感、頭痛、下痢、嘔吐、発疹、光線過敏症、起立性低血圧、動悸などがあります。
重大な副作用
重大な副作用としては、ショック、痙攣、再生不良性貧血、無顆粒球症などが挙げられますが、これらの副作用は、頻度としては稀になります。
再生不良性貧血についてくわしくはこちらを参考にして下さい。
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ポララミン錠の使用上の注意
緑内障
抗コリン作用により涙道が狭くなるため眼圧が上昇し、緑内障を悪化させる恐れがあります。緑内障の方は使用しないでください。
前立腺肥大
抗コリン作用で前立腺肥大が悪化し、排尿が困難になることがあります。尿路に閉塞性疾患のある方は使用できません。
妊娠・授乳中
ポララミン錠は抗ヒスタミン剤の中では妊娠・授乳中にも比較的安心して使える薬となっています。
これは、第1世代の抗ヒスタミン剤の方が、第2世代よりも長く使用されてきたという実績があるためであり、第2世代の薬に比べると使いやすいという理由からです。
添付文書によると、妊婦、産婦、授乳婦等への投与について、【安全性は確立していない】と記載されています。ですがこれは、安全ではない危険な薬である、ということではありません。
薬というのは、安全性を確立するために治験を行いますが、妊婦さんを治験の対象にすることはできないので、このような注意書きがされているのです。(健康な方の協力の元に治験が行われています)
ポララミン錠は妊婦さんへの使用経験も長く、催奇形性の報告もないため、現状では安全な薬として処方されています。
妊娠に伴い現れる鼻炎症状についてはこちらを参考にして下さい。
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最後に
古い薬であり副作用も多いと言われている第1世代のポララミンですが、使われ続ける理由もきちんとあります。
妊婦さんに比較的安心であること。そして、第1世代の薬は第2世代よりも効果が強いためです。副作用が多くても、第2世代の薬で効果が不十分だった場合などに処方されています。
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