ヨーグルトの食べ過ぎは太る?【下痢や便秘などの病気も注意!】
<監修医師 まっちゃん>
ヨーグルトを食べる理由と言えば、下痢や便秘などの偏ったお腹の調子を整えるためだったりアレルギー体質の改善や病気の予防だったり。
ダイエットのために食事の代わりに炭水化物を抜いてヨーグルトとサプリメントだけを採るという方もいらっしゃるようです。
体に良い効果があることは多く知られていますが、実は食べ過ぎると太ることがあるってご存知でしたか?太るだけではなく、下痢や便秘を繰り返すこともあるのです。
ヨーグルトとは
ヨーグルトとはトルコ語で「濃厚にする」「撹拌する」という意味を持つ言葉が英語圏を経て、日本語の「ヨーグルト」になったものです。
牛乳などに乳酸菌を入れて発酵させた食品であるヨーグルト、製法を考えると濃厚も撹拌もうなずける言葉ですね。発酵させた食品と言えば同じ牛乳からならチーズ、日本人ならではの納豆や味噌・醤油に漬物、お隣韓国ではキムチにマッコリなど体に良いものという印象があります。
ヨーグルトの効果
ヨーグルトと言えば乳酸菌ですね。食べることで小腸のラクトバチルスや大腸のビフィズス菌を増やし腸内環境を整える働きをします。
ヨーグルトに含まれる乳酸菌の種類は数多くあるので、特定のものばかりを食べ続けるよりもいろいろな銘柄のものを摂取すると腸内環境にも良いようです。
乳酸菌にはアレルギー反応を抑制する効果があります。腸内の善玉菌を増やすことによりアレルゲンが侵入してきたときに働く「ヘルパーT細胞」のバランスが整えられ、それにより様々なアレルギー反応の出方を制御することができます。
ひどい花粉症やアトピー性皮膚炎がヨーグルトを継続して食べることで軽快したという話も耳にしますが、それも「ヘルパーT細胞」のバランスが整えられることで生まれる効果なのです。
ヨーグルトは継続して摂取すると、毎年流行を繰り返すインフルエンザの感染率をも低下させることができます。これもやはり腸内環境を整えるということが発端です。腸内環境を整えると体の免疫力が高まります。
佐賀県有田町の小学生での追跡調査が行われたのをご存知でしょうか?半年間毎日ヨーグルトを摂取しインフルエンザの罹患率を調査したものですが、その罹患率の低さが全国でも話題になりました。
ヨーグルトの発酵の過程で乳酸菌から大量の多糖体(糖を含んだたんぱく質)が作られます。その多糖体が体内でナチュラルキラー細胞(リンパ球に含まれる免疫細胞)の動きを活発にするのです。
ナチュラルキラー細胞が活性化されることがインフルエンザの感染率を下げる元となっているのです。このナチュラルキラー細胞は加齢とともに減少するものなので、それを補うためにもヨーグルトを食べることは大切でしょう。
他にも風邪予防や胃痛の改善、歯周病・コレステロールを下げる効果や美肌など、ほぼ体中に良い効果があるといわれるヨーグルト。体臭を減らしたり、含まれるカルシウムにより骨や筋肉を強化することも期待できます。
ニキビや肌荒れも腸からきていることが多いので、継続して摂取することで解消効果が期待できます。食べるだけでカンタンなのに万能選手なのですね。
腸内環境の改善についてはこちらを見て参考にして下さい。
【関連記事】
腸内フローラの改善!【3つの食事療法を試してみてスッキリ!】
ヨーグルトの栄養
ヨーグルトは市販されているものから手作りのものまで、味のバリエーションも多くて毎日食べても飽きないものです。そんなヨーグルトの栄養素について解説します。
人間の体を作る3大栄養素はご存知の方が多いでしょう。「たんぱく質・脂質・炭水化物」の3つです。そしてこの3大栄養素にミネラルとビタミンをプラスすることでその生命活動が維持されています。
ヨーグルトを含む乳製品にはそのすべてがバランスよく含まれていて、いわゆる総合栄養食品とも言われています。たんぱく質は元の牛乳よりも発酵分解されているため消化吸収が良く、体の組成によく働くそうです。
カロリーは若干高めですが、カルシウムも分解されているため吸収率が抜群です。妊娠中の方は特に採りたい食物なので、低脂肪や無脂肪のものを選ぶと良いでしょう。
つわりの時期にはドリンクヨーグルトを凍らせて食べると症状を和らげる効果もあります。無糖のヨーグルトなら赤ちゃんの離乳食にもぴったりです。ただ離乳食として与える場合は軟便などに注意しながら少しずつ与えることが大切です。
特に目を引く栄養素といえばモリブデンです。聞き慣れないものですが、納豆や豆類・レバーやそばなどに含まれています。普段の生活の中で大きく不足することはあまりない栄養素ですが、それでも不足すると夜盲症や頻脈などが起こります。
ヨーグルトの食べ過ぎで起こる7つの症状
いくら体に良くても食べ過ぎは禁物です。適量なら体に良いヨーグルトも食べ過ぎれば副作用のようにあまり良いとは言えない症状が出ることもあります。
ここからは、食べ過ぎによって起こりうる症状について解説します。
下痢
これがいちばん多いのではないでしょうか。冷えたヨーグルトでお腹を下す、ヨーグルトでなくても冷えたものを一気に食べれば下痢はしますよね・・・
しかし、乳製品ならではの理由が隠れています。それは乳糖不耐症というものです。ヨーグルトに限らず乳製品に含まれる乳糖を分解できないために起こる症状で、日本人の約8割程度に見られます。
下痢や、吐き気・お腹の張りやゴロゴロなどが主なものです。ただ、ヨーグルトは牛乳を乳酸菌発酵させていて乳糖も分解されているため、よほど食べ過ぎなければ大丈夫です。
便秘
腸内環境を整えるヨーグルトも食べすぎると消化不良をおこします。肉や魚などと同じたんぱく質ですから、食べ過ぎれば腸内に残りますよね。
他には体質に合わない乳酸菌の摂取も原因に挙げられます。ヨーグルトに含まれる乳酸菌は様々な種類があり、自分が持っている乳酸菌の型と違うものが急激に増えると腸内環境のアンバランスを招くのです。
冷え性
マクロビオティックや東洋医学では食物を陰と陽に分けて、体質との関係性を取り入れています。陰性食品は体を冷やすもの、逆に陽性食品は体を温めるものです。
ヨーグルトは陰性食品のため体を冷やします。朝食にはバナナとヨーグルトという方がいらっしゃいますが、南方系の果物は特に体を冷やします。ですから、バナナやパイナップル・マンゴー・パパイヤなどと一緒に食べることは、冷えやすい方は避けたほうが良さそうです。
肥満
ヨーグルトは動物性、飽和脂肪酸なので食べ過ぎると当然太ります。しかし、脂肪ゼロや低脂肪ヨーグルトを食べているのに太るという事実を考えてみましょう。飽和脂肪酸が減っているのになぜ太るのか。
砂糖を足したりフルーツやグラノーラを入れたものばかりを食べてはいませんか?糖質と脂肪を同時に採ったら間違いなく結果は肥満です・・・
酸っぱい脂肪ゼロのヨーグルトではダイエットできないという方、甘みの添加にはオリゴ糖やダイエットシュガーを利用してみましょう。
オリゴ糖の効果についてはこちらを見て参考にして下さい。
【関連記事】
オリゴ糖の3つの効果に感動【便秘スッキリでダイエット!】
アレルギー
ヨーグルトを大量に食べると遅延型アレルギーを発症することがあります。食物アレルギーと言えばそばやピーナツなどの「食べたらすぐ出る」即時型のものが有名ですが、遅延型はよく食べ続けているものに現れることが多く、食後半日から24時間ほどが経過してから出現するため原因が突き止めにくいものです。
症状も即時型のように発疹や呼吸困難などのように明らかにアレルギーであるというものではなく、消化不良や下痢・肌荒れや倦怠感・イライラなどの情緒不安定など、見てお分かりのようにその症状が幅広いものとなります。症状としてはわかりにくい湿疹やかくれ蕁麻疹などもあります。
もしもこのような症状に思い当たる場合はヨーグルトの種類を変えてみると改善することもありますので試してみると良いでしょう。
乳がんのリスク
食の欧米化で魚や野菜中心の和食が敬遠され、ファーストフードや肉や乳製品が好まれるようになってきて増えたのが乳ガンです。
ヨーグルトは乳製品のため同様にガンなどのリスクが高まる元に分類されています。乳製品は妊娠牛から搾乳され、女性ホルモンの含有量が多いため乳がんリスクが高まると考えられています。
そう言われるとヨーグルトが食べられないとお考えになるとは思いますが、あくまでも大量に食べることを避けて適量摂取を心がければ良いのです。
白内障
白内障は眼の水晶体が濁る病気で60代以降の高齢者に多い病気として知られていますが、近年は若い世代にも増えてきています。
その原因の一端にも乳製品の普及が挙げられています。乳製品は製造過程で乳糖がグルコースとガラクトースに分解されます。
グルコースはエネルギー源として利用されますがガラクトースはガラクトキナーゼなどの酵素がなければ分解されないため体内にそのまま残ります。先天的なガラクトース血症がある場合などでは残されたガラクトースは水晶体の中に貯留して白内障を起こすのです。
ただ、この説も通常食べる量を大幅に超えた場合の話で、通常の食事で退社できる量であれば確率はとても低いと言えるものです。
食べ方で症状を改善
ヨーグルトの食べ過ぎにより起こる症状について解説してきましたが、ここからはその症状に対応し改善する方法を考えてみましょう。
まずは食べ過ぎでない適量はどれぐらいかということですが、一般的には100~150グラムぐらいが適量と言われますが、必ずしもその量が良いとは言い切れません。個人差もあるため食べながら調節するのが一番良い量を見定める方法ですね。
お腹のために
常温でゆっくり食べることを心がけましょう。なんでもそうですが、冷蔵庫からお腹に急いで直行というのは一番悪い食べ方です。
特にヨーグルトのような乳製品は前述したように下痢やお腹の張りのもとになりますし、ゆっくり食べることで食べ過ぎの防止もできます。
肥満を防ぐ
まずは砂糖やフルーツを入れないことです。糖は肥満の元、無糖タイプを選ぶことを優先しましょう。低脂肪・豆乳ヨーグルトなどを取り入れることも試してみてください。
冷えを防ぐ
陰性食品のヨーグルトにはトロピカルフルーツよりも陽性食品の方が相性の良いものが多いのです。漢方にも使われるクコの実やシナモンパウダー、ほんのり甘みもある黒ごまペーストやきなこ・黒糖などをトッピングして食べましょう。
クコの実の効能や注意点についてはこちらを見て参考にして下さい。
【関連記事】
驚きのクコの実の効能効果!【肝臓や妊娠との関係を解説します】
アレルギーを防ぐ
体調に不調を感じたら食べる頻度を減らすことが大切です。遅延型アレルギーは自分で気づかなければ誰にも見つけることはできません。そして何より自分でコントロールできるものなのです。
同じ銘柄・同じ菌種を食べ続けないように定期的に摂取するヨーグルトを変えましょう。偏りなく様々な種類のヨーグルトを食べることによってアレルギー発症を抑えることができますし、体調と相談することで自身の体質に合うヨーグルトを選ぶことだってできるようになるのです。
当記事は医師、薬剤師などの専門家の監修を受けておりますが本サイトで提供する情報、文章等に関しては、主観的評価や時間経過による変化が含まれています。 そのため閲覧や情報収集は利用者ご自身の責任において行っていただくものとしその完全性、正確性、安全性等についていかなる保証も行いません。