主婦湿疹の4つの治し方!【市販薬はこれがオススメ!】
<監修医師 WASHIO>
毎日の水仕事、手荒れが気になりますよね。
出先の受付で名前を書く時、レジでお釣りを受け取る時、日常生活の中で手先はとても目に付くのでお手入れも自然と力が入ります。
ハンドクリームをつけても引っ込まない頑固なひび割れやあかぎれができていませんか?もしかするとそれは「主婦湿疹」かもしれません。
最近はテレビでも話題に取り上げられる主婦湿疹の症状や治し方について考えてみましょう。
主婦湿疹とは
主婦湿疹とは「手湿疹」のことを言います。主に家事を受け持つ主婦に多く症状が現れているため主婦湿疹と呼ばれるようになりました。
手荒れなどのトラブルがひどくなったものと考えがちですが、症状は様々です。主に乾燥型と湿潤型の二つに分けられます。
乾燥型
乾燥型の症状は手指の皮脂が減少し乾燥してカサカサになり、ひび割れが生じて皮膚が硬化してきます。右利きの人は右手の一番頻繁に使う人差し指などから症状が起こることが多く、利き手の先から始まりだんだんと手指全体に症状が広がってきます。
湿潤型
湿潤型は主に手指に小さな水疱(水ぶくれ)や湿疹が現れます。次第に手のひらや手の甲にまで広がります。広がった水疱は時間の経過とともに破れて滲出液が出てジュクジュクするようになります。
乾燥型・湿潤型ともに始めはただの手荒れだと思っていたら徐々にたまらないほどのかゆみが生じて皮膚が裂け、血が出るなどして症状が進んで行くものです。刺激が継続されると爪が変形したり硬化した皮膚がやがて薄くなり、指紋までなくなってしまうことがあります。
また、空気が乾燥している場所や冬場のように湿度の低い時期にも多く起こります。
水仕事に限定されず、紙を頻繁に扱う職業などでも多発するもので一次刺激性接触皮膚炎のひとつに数えられます。
アレルギー体質のある方にも多く見られますが、原因となる家事や仕事を減らしたりやめたりすることができにくいことから治りづらい疾患となっています。
また手の甲に出来た湿疹の原因についてはこちらを見て参考にして下さい。
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手の甲の湿疹の原因はストレス?【ぶつぶつ消したい】
主婦湿疹の原因
水にも紙にも接触しない家事や職業は考え付きませんね。一次刺激性接触皮膚炎である主婦湿疹、一体何が原因で起こるのでしょうか。
乾燥
主婦湿疹が最初にできるといわれる手のひらや指先には皮脂腺がありません。
そのため、家事で頻繁に水などを扱っていると皮脂腺がない手のひらや皮脂がもともと少ない手指などからは水分が蒸発し、乾燥しやすくなります。
乾燥を繰り返すと皮膚のバリア機能が失われて過敏になるため、触るものすべてが刺激となるのです。
界面活性剤
台所用洗剤やシャンプーに石鹸など、日々の生活でなくてはならないものには界面活性剤が含まれています。
界面活性剤が含まれるものは洗浄剤だけにとどまりません。保湿や乳化・柔軟作用もあるため化粧品や食品・コンディショナーなど、身の回りの製品のほとんどに含まれているといっても過言ではありません。
なぜこの界面活性剤が主婦湿疹の原因になるか、それは強い油の分解力にあります。
洗剤を原液で使った後には手がカサカサになりますね。油や皮脂汚れと共に本来身体に必要な皮脂まで取り去ってしまうためです。
このように、優れた作用もありますが、それが生活に浸透するにつれてアトピー性皮膚炎などの皮膚疾患も比例するように増えてきたのです。
アトピー性皮膚炎についてくわしくはこちらを見て参考にして下さい。
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アトピー性皮膚炎はうつるの?【出てくる汁が心配…】
ストレス
ストレスが影響しない身体の不調など存在しないのかもしれません。
ストレスがかかることによりやる気が落ち、食欲は低下し、更には免疫力まで下がってしまいます。
手指に作用していた刺激によってバリア機能が低下しているところに強いストレスが加わることで主婦湿疹も誘発されるというわけです。
主婦湿疹の治し方
身の回りに原因物質があふれている主婦湿疹は、いつ誰に起こってもおかしくないものです。かかりやすく治しにくい頑固な主婦湿疹を治療するにはどうしたらよいのでしょうか。
ここからは、その治し方について解説します。
医療機関を受診する
まず始めは皮膚科の受診です。皮膚科での治療はおもに薬物療法と生活指導です。
処方される薬はステロイドの外用薬となります。ひどい場合にはステロイド剤と保湿剤の併用で刺激から皮膚を守ることで2週間ほどで症状が改善します。
手湿疹の治療には塩化アルミニウム溶液を使用することがあります。汗によって汗腺が詰まり皮膚が酸性に傾くことも原因と考えられるためです。塩化アルミニウム溶液を手に浸透させて手袋をはめる密封療法に用います。
保湿する
初期の主婦湿疹であれば保湿のセルフケアで治せる場合もあります。
白色ワセリンや尿素配合保湿剤やハンドクリームをしっかり塗るように心がけましょう。手を使った直後や就寝前にケアすることを習慣づけると悪化させずに済むこともあります。
乾燥を防ぐという点でいえば、保湿成分の入った入浴剤を使用するのも良いでしょう。保湿剤や入浴剤・ボディーソープやシャンプーの洗浄剤なども敏感肌用のバリア機能低下肌に特化したものが市販されているので、それらを常用するようにすると改善の手助けになります。
保湿にはもうひとつ、シャンプーや石鹸にも配合されている馬油が威力を発揮します。
馬油は人間の皮脂と近い形態を持つため、肌の角質層まで浸透して水分保持をかなえます。薄く塗るだけで浸透し、ベタベタが落ち着くと同時に保護膜を形成してくれます。
成分中にリノレン酸を含んでいるため血行を促進し炎症の原因となる物質が貯留するのを防ぎます。血行不順が改善するとかゆくなるのでは?と思われるでしょうが、炎症の元となる物質を流す作用があるので結果としては消炎作用があらわれるのです。
民間療法の中に「保湿のためにラップを巻いて空気を遮る」というものがありますが、あくまでも民間療法の域ですので避けたほうが良いでしょう。
保護する
手指を保護することで原因物質との接触を防ぎましょう。そのために用意するものは手袋です。
水仕事にはゴム手袋、調理などには使い捨てのラテックスやビニール製の手袋が良いでしょう。
でもこれだけでは不十分です。主婦湿疹は水分や洗浄剤だけではなく、紙製品や布などのほかパソコンのキーボードなどあらゆるものが原因となることをお伝えしました。
なので、ゴムやビニール手袋以外に木綿や絹の手袋を使用することが大切です。木綿や絹などの天然素材は水仕事以外の生活ではとても重宝します。
はじめは面倒かもしれませんが、なれてしまえば保湿剤を塗りこんだ後はめておけば保湿効果も上がりますし接触を防ぐことはもちろんのこと、クリームなどが他のものに付着することも防げます。
便利なのはゴム手袋の中にする「中履き手袋」です。薄手で1枚でも使えますがそのままゴム手袋を上から着用できるのでいちいち外す手間も省けます。これで布団の上げ下ろしやその他の仕事も怖くありません!
生活を変える
治療法を3点あげましたが、完治を目指すには生活改善が最良の手段です。原因となるものを取り除くことこそが最善の治療法ですが、それらに全く触れずに生活することは不可能です。
皮膚科でも指導される生活改善の方法にはどのようなものがあるのが考えてみましょう。
日常生活の中に手袋をはめる習慣を取り入れることは先ほどお話ししました。
台所での水仕事でお湯を使う方はまずお湯の温度を体温よりも低いものに変えましょう。落ちにくい油汚れなどは紙や布で拭き取る・浸けおき洗剤を利用するなど、少しでも水や洗剤を使う量が減るように工夫すればよいのです。
ハンドソープやシャンプー・石鹸や洗剤など、洗浄剤はなるべく刺激の少ない「低刺激性」や「敏感肌用」に切り替えましょう。
水を扱った後やお風呂上りにはなるべく早めに保湿剤を付けて保護バリアを作ります。
そして冬場の寒くて乾燥している時期は、外出の際の手袋をお忘れなく。冷たい空気で余計に乾燥して湿疹を悪化させてしまいます。
食べ物の中にも界面活性剤が含まれることがあるとお伝えしました。なるべくならインスタント食品やスナック菓子は避けた方が賢明でしょう。
主婦湿疹におすすめの市販薬
皮膚科に行くほどひどい症状ではないけれど、ひびやあかぎれ・かゆみや皮むけなどが気になる時には市販薬を使ってみるのもひとつの方法ですね。
ドラッグストアで手に入る主婦湿疹に効果のある市販薬をご紹介します。薬剤師と相談して、症状に合うお薬を探してみてください。
自然治癒力も高める漢方処方なら「紫雲膏」「アピトベール」がオススメです。
紫雲膏(しうんこう)
紫雲膏(しうんこう)とは江戸時代からある薄紫色の軟膏です。紫根という植物が配合されていて、消炎・抗菌効果があり皮膚の再生を促進します。やけどやただれ・乾燥性のアトピーなどにも有効です。
抗生物質を使わない皮膚科でも処方されることがありますし、保湿でご紹介した馬油よりも血行促進効果が上回ります。薄く塗って手袋をはめておくと効果が上がるでしょう。
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アピトベール
アピトベールも同じ紫雲膏です。湿潤型や症状がひどい場合にはステロイド入り軟膏を用いると、荒れた手指が早くきれいになります。
メディクイック軟膏R・ベトネベートN軟膏
ステロイド配合の軟膏にはメディクイック軟膏RとベトネベートN軟膏があります。
メディクイック軟膏Rは乾燥や炎症をやわらげる軟膏です。ベトネベートN軟膏は皮膚科で処方されるリンデロンVG軟膏と配合されている抗生物質が異なりますが、感染の原因菌が増殖するのを防ぐフラジオマイシン硫酸塩が配合されています。
パスタロンクリーム
パスタロンクリームは尿素配合で保湿効果が期待できる乾燥性皮膚疾患のお薬です。ステロイド剤のように長期連用での副作用などはありませんが、あくまでも保湿が主な薬効です。
また尿素には軽い皮膚溶解作用があるので、炎症が強い箇所やアレルギー症状には向きませんのでご注意ください。
アセモテーマS
アセモテーマSも非ステロイド軟膏です。酸化亜鉛が配合されているので皮膚を保護する作用があります。痛みやかゆみ・殺菌作用のある成分ですので、塗布することで症状が悪化するのを防げます。
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