半夏厚朴湯の3つの効果!【この副作用に注意して!】
<監修薬剤師 BlueP>
漢方薬である半夏厚朴湯について解説いたします。どういった症状に効果のあるものなのかを詳しく以下にご説明いたします。
半夏厚朴湯とは
半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)とは漢方薬の1種で、気分が塞ぎ喉や食道などに何か詰まったような感じがする、動悸、めまい、吐き気がある場合の精神症状を和らげる精神安定剤的な効果を有するものです。
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漢方医学には「気」と言う概念があり、この気の流れが滞った「気鬱」状態になると、気持ちが沈む、喉に何か詰まったような感覚(梅核気または咽中炙臠)があったりするといわれています。
こうした症状はストレスにより喉の気の流れが停滞し起こったものとされています。半夏厚朴湯にはこの気の流れを改善する効果があると考えられています。
主な成分は半夏(はんげ)と厚朴(こうぼく)ですが、他に茯苓(ぶくりょう)、蘇葉(そよう)生姜(しょうきょう)という生薬が配合されています。これらが組み合わさることで複合的に精神症状に効き目が発揮されます。
✅ 半夏:鎮吐作用、去痰作用
✅ 厚朴:収斂作用、利尿作用、去痰作用、筋弛緩作用
✅ 茯苓:利尿作用、鎮静作用
✅ 蘇陽:精神安定
✅ 生姜:発汗作用、健胃作用、鎮吐作用
似た名前の漢方薬として茯苓飲合半夏厚朴湯(ぶくりょういんごうはんげこうぼくとう)というものがあります。
これは半夏厚朴湯に陳皮(ちんぴ)などミカン系の生薬と朝鮮人参が加えられたものです。特に胃の不調に効果的で、吐き気や胸焼けに処方されることが多いです。
半夏厚朴湯の効果
鎮静作用
ラットに投与した実験を行ったところ、自発的活動が低下したという報告があります。よってこの鎮静作用により不安や不眠といった症状に効果を発揮するといえます。
半夏は特に消化管に作用するとされ、吐き気や嘔吐を鎮める効果があります。
筋弛緩作用
筋弛緩作用により気持ちを安定させたり、緊張状態を和らげたりする効果が期待できます。
精神安定作用
不安や緊張感を和らげる効果があるため、同時にイライラを抑えたり不眠の改善に繋がります。ストレスなどで自律神経が乱れた自律神経失調症状などにも効果的です。
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半夏厚朴湯が処方される症状
不安神経症
ストレスが原因で自身や未来のことなどに漠然とした不安感を感じる症状です。常に不安や心配を感じているため緊張状態が続いており、イライラや抑うつ、不眠、倦怠感などの症状が現れます。パニック障害も不安神経症の一種に分類されます。
漢方医学では不安神経症は気の乱れによって引き起こされると考えられ、乱れた気を整えるため半夏厚朴湯が有効といわれています。
気管支炎
痰が絡む感じがしたり、喉や食道への詰まり感を解消できるため、気管支に関する症状に処方されます。
喘息予防にも効果を発揮するといわれています。これは喘息発作が起こる不安やストレスを半夏厚朴湯が抑えるためと考えられます。
その他、気管支炎についてはこちらを参考にして下さい。
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めまい
漢方医学において体の中の水分量や血の量が足りないなどのバランスの取れていない状態がめまいを引き起こすと考えられています。
半夏厚朴湯にはこの水滞(すいたい)や虚血(きょけつ)を改善させる効果があるといわれています。
動悸
漢方医学において動悸は気の乱れが原因と考えられています。そのため停滞した気の流れを整えることで症状の改善につなげます。
消化器症状
吐き気や食欲不振、胃炎といった消化器症状に対して処方されます。中でもストレスが原因となる症状に効果を発揮するようです。
また、つわりの治療にも用いられます。漢方医学では、つわりの原因が胃の気が上へ上がることや水滞が原因と考えられているためです。
半夏厚朴湯の副作用
ほとんどない
重大な副作用はないといわれており、副作用報告が少ないことが特徴です。
ただ、飲み合わせや使い方を誤ると副作用が起こる恐れもあるため、きちんと処方指示に従いましょう。
漢方薬には医療用のものとドラッグストアなどで購入できる市販薬とがあります。安全性を考慮し、市販されているものは医療用のものよりも成分濃度を下げてあるといわれています。
症状が軽い場合には十分効果が発揮されることもあるようですが、漢方治療は患者それぞれに合わせた組み合わせで治療を行うため、漢方薬局や漢方を取り扱う医療機関で処方してもらうと良いでしょう。
発疹・かゆみ
服用後に発疹やかゆみが見られたら、副作用である可能性があるため医療機関で相談しましょう。
胃症状
胃の不快感や食欲不振、軽い吐き気を伴うことがあります。これらは次第に慣れることが多いですが、ひどいときには医師に相談しましょう。
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