口角が上がらないと損をする【原因は笑顔不足なの?!】
<監修医師 まっちゃん>
突然ですが、皆さんは口角が上がりますか。
口角が下がりがちだと「無愛想」や「強面」など相手にマイナスの印象を与えたり、たるみによって実年齢より老けて見られてしまうこともあります。
さらに、口角を上げて笑顔になる機会が少ないと、ホルモンバランスや自律神経にも影響を及ぼすのです。
そこで今回は、口角の上げ下げに関わる筋肉、下がってしまう原因、上げることによるメリット、上げるためのトレーニング方法について解説します。
気になる所から確認してみよう
口角が上がらないとマイナスの印象
口角が上がらないと相手にマイナスの印象を与えることもあります。
具体的には「無愛想な人」、「今は不機嫌なのかな」、「いつも無表情で何を考えているか分からない」、「なんだか強面」などです。
第一印象で相手にこういったマイナスの印象を与えてしまうと、相手を緊張させてしまったり、会話が弾まなかったりします。
口角を上げるために必要な頬筋とは
口角の上げ下げに関わっている顔の筋肉は、頬筋(きょうきん)、口輪(こうりん)筋、口角挙(きょ)筋、口角下制(かせい)筋、広頚(こうけい)筋などがあります。
通常、筋肉は骨と骨に付着しているのですが、これらの顔にある筋肉は骨と皮膚に付着しているために複雑な表情を作り出すことができ、表情筋とも呼ばれます。
表情筋が衰えるとシワやたるみの原因となります。
頬筋は上顎(じょうがく:うわあごのこと)や下顎(かがく:したあごのこと)から口角にかけて走っている筋肉で、口角を上げるときに収縮します。
口輪筋は唇の周りに円を描くように走っている筋肉で、口を閉じたり、すぼめたりするときに収縮します(働きます)。
口角挙筋と口角下制筋はお互いに反対の働きをする筋肉で、口角挙筋は口角を上げる際に収縮し、口角下制筋は口角を下げる際に収縮する筋肉です。
口角挙筋は口元から目元にかけて走っており、口角下制筋は口元からあごにかけて走っています。
広頚筋は大きな筋肉で、下顎(かがく)、首、鎖骨、肩、胸にかけて走っています。口角を下げる際に収縮し、口角下制筋ともつながっています。
口角が上がらない原因
口角が上がらなくなる原因はいくつかあります。年齢による影響ばかりではなく、日常の何気ない習慣が、頬や口周りの筋肉の衰えを加速させているかもしれません。
加齢
誰でも加齢によって筋肉は徐々に減少し、皮膚はたるんでいきます。ほうれい線、しわ、たるみ、たるみによって毛穴が目立つ、二重顎などがそのサインです。
噛む回数が少ない
早食いの人や柔らかいものを好んで食べる人は咀嚼回数が少ない傾向にあります。咀嚼不足は口や頬周りの筋肉が衰えやすく、口角が下がる原因となります。
また、発声するときには口を開閉する必要があります。つまり、会話する機会が少ないと、それだけ口周りの筋肉を使う機会も減少するため、筋肉が衰えて口角が下がりやすくなります。
口が開いている時間が長い
口呼吸の人、出っ歯など歯並びに問題のある人は口が開いている時間が長くなります。
口を閉じる際に働く口輪筋が緩みっぱなしという状態になるため、口角が下がる原因となります。
無表情でいることが多い
皆さんは、「笑いすぎて頬の筋肉が痛くなった」という経験はないでしょうか。笑顔はそれだけ頬などの筋肉を使うということです。
普段、あまり笑わず無表情でいる時間が長い人は、それだけ頬などの筋肉を使う機会もなく、筋肉の衰えによって口角が下がりやすくなります。
下を向いている時間が長い
姿勢による影響もあります。スマホやタブレットを長時間操作すると、ついうつむき加減になります。
すると、重力があるため口角を上げる筋肉よりも下げる筋肉が勝ってしまい、口角が下がりやすくなります。
出っ歯は口角が下がりやすいのはなぜ
口周りの筋肉が過度に緩んだり、緊張する
出っ歯の傾向があると、無意識のうちに口が半開きになっていることがあります。こうなると口周りの筋肉が緩んで、口角が下がりやすくなります。
また、口をきちんと閉じるために、意識的に唇に力を入れる必要があります。
すると、口周りの筋肉が前方に引っ張られて緊張しすぎる形になります。こうなると口角が下がりやすくなります。
歯並びを矯正することによって、こうした問題が改善がする場合もありますが、合わせて見出し6で紹介する口角を上げるトレーニングを実践すること(セルフケア)も大切です。
コンプレックスがあるために笑わない
出っ歯に限らず、歯並びにコンプレックスを持っている人は口を開けて笑わないことがあります。
笑顔になることで口角を上げる筋肉が使われるため、無表情の時間が長くなれば自ずと筋肉は衰えていき、重力に従って口角は下がりやすくなります。
口を上げるだけで4つのメリットがある
緊張しているときや辛いときほど、口角を上げて笑顔を作ることは難しいかもしれません。
しかし、ここで説明するように、意識的に笑顔を作ることには様々なメリットをもたらします。
大口を開けて笑うことが難しければ、にっこり微笑むだけでも構いませんので、「辛いときこそ笑顔」を心がけたいものです。
笑顔(口角を上げること)とホルモンの関係
絶えず複雑な働きをしている脳は、ちょっとしたことで錯覚を起こしやすいというのも事実です。
それを逆手にとり、わざと口角を上げて笑顔を作ることで脳が「楽しい、幸せなのだ」と錯覚を起こし、セロトニンというホルモンを分泌させることができます。
セロトニンには意欲・自発性・社会性の向上、ポジティブ思考、不安感・恐怖感を抑える、痛みの軽減、睡眠の質の向上など様々な働きがあります。
つまり意識的に笑顔を作ることで、心身ともに健康になったり、社会生活(人づきあいなど)をよりスムーズにしてくれるのです。
笑顔(口角を上げること)と自律神経の関係
前述したように口角を上げて笑顔を作るとき、脳は錯覚、この場合は「リラックス状態」を作り出します。
脳は、全身の皮膚や臓器に分布している自律神経の働きをコントロールしています。
自律神経には緊張・興奮時に優位になる交感神経と、リラックス時に優位になる副交感神経の2つがあります。
つまり、脳がリラックスしているときに優位になるのは副交感神経ということになります。
副交感神経には、血管やリンパ管を拡張したり、胃腸の働きや消化液の分泌を促進するなどの働きがあります。
これらの働きによって、血行やリンパ液の流れが良くなり、全身の新陳代謝が活発になって、結果として老廃物が排出されやすくなります。
これを肌に当てはめると、肌細胞の新陳代謝(ターンオーバー)が活発になるため美肌効果が期待できます。
笑顔(口角を上げること)とたるみ・しわなどの関係
普段口角を上げて笑顔になる機会が少ないと、笑顔を作る筋肉が使われず、衰えていきます。
また、スマホなどの操作で下を向いている時間が長くなると、筋肉が重力に負けて衰えを加速させます。
日常生活において姿勢に注意し、笑顔を作ることは、顔の筋力を維持・向上させ、たるみ、しわ、ほうれい線などのトラブルを防いでくれます。
笑顔(口角を上げること)が相手に与える印象
「ミラー効果(あるいはミラーリング)」という現象があります。自分が好意を持っている相手の言動や動作は、自然と真似(同調)してしまうというものです。
笑顔を相手に向けることによって、相手はプラスの印象を受け取ります。すると相手もミラー効果によって、自分にプラスの印象や感情を持つようになります。
口角を上げるためのトレーニング5選
最後に、口角を上げるトレーニング方法をいくつか御紹介します。
家事をしながら、テレビを観ながら、スマホを操作しながらなど、日常のちょっとした時間に組み込むことによってトレーニングを習慣化しましょう。
やり始めは上手くできなかったり、翌日顔から首にかけて筋肉痛が出ることもあります。
しかし、普段筋肉を使っていない人ほど、継続によって変化を実感できるはずです。
また、トレーニングとは少し異なりますが、顔の筋肉をマッサージするのも効果的です。
箸・割り箸をくわえて「い」の口をする
1. まず、箸か割り箸を口にくわえます。
2. 「い」の口にして、唇を横にぴんと伸ばします。余裕がある人、慣れてきた人は口角が箸(割り箸)よりも上に上がるようにしましょう。
3. 2の状態を30秒間キープします。1日に3回行うようにしましょう。
ペットボトルをくわえる
1. ペットボトルを用意し、少量の水を入れてキャップを閉めます。慣れてきたら水の量を増やすと強度が上がります。
2. ペットボトルを唇だけでくわえるようにします。歯は使いません。このとき空気を吸い込むように口をすぼめると、より効果が上がります。 3. 2の動作を30秒間キープします。1日に3回行うようにしましょう。 |
グッズやアイテムなしでもできる顔の体操①
道具なしでも頬の筋肉を鍛える体操を御紹介します。
まず唇を閉じ、上唇も下唇も口の中にしまいます(唇を噛みしめるイメージ)。次に口角を上に思いっきり上げます。
このとき、あごを引くようにすると体操の効果が上がります。1セット30秒とし、1日3セットを目標にします。
グッズやアイテムなしでもできる顔の体操②
まず、口を閉じます。次に、右側の口角のみを引き上げ、左側の口角は引き下げ、ゆっくり右目を閉じていきます。
この状態を5秒間キープし、元の状態に戻します。今度は左側の口角のみを引き上げ、右側の口角は引き下げ、ゆっくり左目を閉じていきます。
また5秒間キープした後、元の状態に戻します。左右1セットとして、計3セットを目標にします。
慣れるまでは鏡を見ながら行うと良いでしょう。
舌回し
舌を「べー」と思いっきり前に出します。そのまま時計回りに20回、ゆっくり舌を回します。反時計回りにも20回行います。
小見出し1から4に御紹介したトレーニング方法の前後(ウォーミングアップ・クールダウン)に行うと良いでしょう。
また、このトレーニングには唾液の分泌を促す効果もあります。虫歯や歯周病予防、ドライマウス対策にも効果が期待できるためお勧めです。
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