安息香酸ナトリウムの効果まとめ【猛毒に変わる毒性が恐ろしい】
<監修医師 WASHIO>
安息香酸ナトリウムは、食品添加物の一つとして使われます。
食品に使われているからには安全性は大丈夫と思われがちですが、実はある条件においては“ベンゼン”が発生してしまうこともあるのです。土壌汚染などで問題となるベンゼンは猛毒。ちょっと怖いですよね。
今日はそんな、安息香酸ナトリウムの毒性を詳しく解説していきたいと思います。
安息香酸ナトリウムの効果
食品添加物
私たちがこの物質の名前を目にするとしたら、主に食品の成分表示のところではないでしょうか。安息香酸ナトリウムには静菌・抗菌作用があり、それが保存料や防腐剤などの食品添加物として利用されています。
静菌・抗菌とは、細菌やカビなどの増殖を防ぐということ。ただし殺菌ではないため、すでに増殖してしまった菌を殺す力はありません。
その他の食品添加物についてはこちらを参考にして下さい。
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鎮痛作用
安息香酸には、もう一つ、鎮痛作用もあります。
眠気や疲労感などを取ってくれるため、安息香酸ナトリウムカフェインという医療用の薬として利用されることもあります。
体内に入った安息香酸ナトリウムは肝臓で代謝されます。代謝で使われた後は、水溶性で水に溶けやすい性質のため、尿として排泄されます。
安息香酸ナトリウムの危険性
ベンゼンの発生
安息香酸ナトリウムは食品添加物として使われていますが、ビタミンCと一緒に摂ると、化学反応を起こして猛毒のベンゼンを発生させてしまいます。
大気汚染や土壌汚染などの問題で、その名前を聞いたことのある人も多いのではないでしょうか。
ベンゼンは、骨髄にダメージを与えて白血病リスクを高めたり、発がんのリスクも高めてしまう恐ろしい物質です。
また、体内に入ってしまうと消滅しない上に、なかなか排出もされないため、長く体の中に留まってしまう性質も持っています。そのため大量摂取をすると、最悪の場合、死に至ることも。
安息香酸ナトリウム自体の危険性は低いため、普通に摂る分には問題ありませんが、それでもお腹の弱い人だと下痢などを起こす原因になることもあるので、食品添加物には注意が必要ですね。
使用基準
では、どのような食品に安息香酸ナトリウムは使われているのか見ていきましょう。日本では使用基準が厳しく設けられていて、以下の食品にしか使ってはいけないということになっています。
✅ キャビア
✅ マーガリン
✅ シロップ
✅ 醤油
✅ 清涼飲料水
✅ 果汁ペーストや果汁
これらの製品には、それぞれで最大使用量も決められています。たとえば清涼飲料水なら最大0.06%まで。
モルモットを使った動物実験では、5%の安息香酸ナトリウムが混ざった餌を1か月間食べさせると死亡するとのデータがあるため、人間で考えると十分に安全な量とも言えます。
飲み合わせ・食べ合わせに注意
しかし、安息香酸ナトリウムが入っていることを知らずにビタミンCも一緒に摂ってしまうと、猛毒のベンゼンが発生してしまいます。
たとえば、安息香酸ナトリウムが入った清涼飲料水で、ビタミンCのサプリメントを飲んだ時。または、安息香酸ナトリウムが入ったマーガリンを塗ったパンに、ビタミンC豊富なグレープフルーツジュースで朝食、などは止めたほうが良さそうですね。
ビタミンCを含む飲み物についてはこちらを参考にして下さい。
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安息香酸ナトリウムの用途
食品
では、もう少し具体的に安息香酸ナトリウムが使われている製品について見ていきましょう。まず、食品の中で私たちが気を付けたいのは、やはり清涼飲料水でしょう。
清涼飲料水には、安息香酸ナトリウム以外でも、人工甘味料などの身体に良くない添加物がたくさん入っていることもあるので、できれば飲む前に表示を確認したいところです。
清涼飲料水というと、ジュースやスポーツドリンクのイメージですが、ほかにも栄養ドリンクや、最近流行りの酵素ドリンクなどにも使われていることが多いので気をつけたいですね。
「トクホ」というと健康に良さそうと思ってしまいますが、これにも食品添加物はたくさん使われています。
人工甘味料についてくわしくはこちらを参考にして下さい。
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化粧品など
安息香酸ナトリウムの防腐剤としての作用は、食品だけでなく、化粧品やシャンプー、ヘアケア用品などにも使われています。
この時に注意したいのは、口に入れることを前提で作っているわけではないので、使用基準がないということ。つまり、安息香酸ナトリウムが大量に入っている可能性があるのです。
間違っても飲み込まないように。目や口に入ってしまった時は、すぐに洗い流して、念のため医療機関を受診しましょう。
鎮痛剤
もう一つの作用である鎮痛作用。
この作用が利用されるのは「安息香酸ナトリウムカフェイン」という医療用の薬で、鎮痛剤のほか強心剤としても使われます。
こちらにも厳しい使用基準があり、医療用の薬でも使っていいのは、粉状の内服薬か静脈注射のみ。作用の主体はカフェインで、安息香酸ナトリウムはその溶解性を活かして、水に溶けやすくしているそうです。
ちなみに「アンナカ」という言葉を聞いたことはありませんか?
とあるミュージシャンの覚せい剤問題で、合法ドラッグとして「アンナカ」という言葉が出てきましたが、これは安息香酸ナトリウムカフェインの略称になります。
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