尿蛋白の4つの原因!【この食事で改善しよう!】
<監修医師 春田 萌>
普段何気なく尿を出していますが、ふと気づいた時に、いつもと違い尿が泡立っているなんてことありませんか?
もしそうだとしたら、蛋白尿の可能性があります。今回は、蛋白尿の原因や改善方法などを分かりやすくを解説していきます。
気になる所から確認してみよう
蛋白尿ってどんな症状?
尿蛋白とは?
蛋白尿とは、尿に蛋白が混ざることを指し尿検査で判定され、尿の検査は数値ではなく±で表わす「尿定性」という結果が、尿からどのくらいの蛋白が出ているのかの指標となります。
通常はマイナス(-)ですが、正常値以上の蛋白が混ざっている場合はプラス(+)になります。
*-(陰性)*
健康な人の尿蛋白量は一日75~150mgですが、一回の検査では0~14mgを-(陰性)と判定されます。(数値は医療機関により異なる場合があります。)
*±(擬陽性)*
尿蛋白が±(擬陽性)の判定はよくあります。擬陽性とは、「病気ではない理由で異常値が示される」ことで、激しい運動の後や風邪などで高熱を伴うとき、月経前後などでも尿蛋白が下りる場合があるため「病気ではないのに疑いあり」の判定が出てしまうのです。
*+(陽性)*
尿蛋白が15mg以上を指し、尿蛋白が下りる原因となる様々な病気が疑われます。1~4の4段階に分けられます。
ただ、尿蛋白の検査は腎臓の病気の可能性をみる指標にはなりますが、尿の濃さによる場合もあるため結果にはいろいろな可能性があります。
尿蛋白は一日にどれだけ出ているかが重要で、試験紙に+、2+などと出てもその時の尿蛋白の濃度しか示されないため、一日のトータル量は分からないのです。
尿の変化は?
蛋白や糖が尿に混ざっても、色に変化はありません。ただ、蛋白が混ざると尿にとろみがつくので泡立ちやすく、消えにくいのです。
もし、流しても残るような泡や排尿時の泡立ちが気になる場合は尿検査をお勧めします。また、薬局などで検査キットが売っているので、病院に行く前に自分で検査してみるのもいいでしょう。
また尿の異変の基準としてこちらを参考にして下さい。
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蛋白尿で疑われる病気
腎機能低下による場合
腎臓には血液中の老廃物を尿として排出する機能や血圧を維持する機能があります。腎臓に流れ込む血液をろ過するフィルターの役目が「糸球体」であり、血液中の栄養を体内に残し、老廃物を排出します。
この糸球体に何らかの異常が起きると大量の蛋白質が漉しだされ、慢性腎炎(慢性糸球体腎炎)を引き起こします。
尿に蛋白が混ざった場合、腎機能が低下したことによる「糸球体の病気」、すなわち「腎臓の病気」の可能性があります。
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主な病気
尿蛋白が下りる原因として考えられる病気には、
腎臓のフィルター異常が原因で蛋白尿や血尿がでる「急性腎炎」、「慢性腎炎」、「ネフローゼ症」、「膠原病」などの腎臓の病気の他、「尿道炎」、「膀胱炎」などの炎症によるもの、
尿菅に傷が付いてしまったことが原因の「尿路結石」、高血圧による「腎臓疾患」、「妊婦の妊娠高血圧症候群」、
腎臓に入る血管の動脈硬化が原因の高血圧による「腎硬化症」、糖尿病が原因の「糖尿病性腎症」、肥満による「肥満関連腎症」などがあります。
また、「膀胱がん」や「前立腺がん」などの腫瘍からの出血が尿蛋白が下りる原因になることもあります。
ちなみに、やたらのどが渇くなどの症状があり、尿の量が水分量に対しかなり多い場合は内科を受診することをお勧めします。糖尿病の疑いがあるからです。
どんな人がなりやすい?
**男性**
尿検査で何度も擬陽性の判定が出る場合、腎機能低下の恐れがあるので再検査をお勧めします。
尿蛋白の再検査で腎臓の病気が見つかるケースは多いです。特に40~50代で増えていて、生活習慣病と関係しています。多くみられるのが「糖尿病性腎症」で糖尿病の合併症の1つで血糖値が高い状態が続くと糸球体毛細血管に障害が起き発症します。
また、腎硬化症や脂質異常症も糸球体の異常による腎機能の低下が原因となり発症します。
近年増えている生活習慣病は腎臓への負担を考え、体重管理が必要です。食べ過ぎをやめ、運動を取り入れ肥満解消や予防を行うことが大切です。
また、痛風の人は脂質異常症や動脈硬化などの合併症を起こしやすくなるため血液検査や尿検査、超音波検査が必要になります。
これらの病気は、進行すると人工透析や腎移植が必要になるため、食生活や適度な運動、喫煙、飲酒、ストレスなど・・・生活習慣を見直すことが重要でしょう。
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**妊婦**
妊婦は血液量が増えるため、腎臓に負担がかかり通常より陽性反応が出やすいです。
妊娠20週から出産後12週までに高血圧を発症することを「妊娠高血圧症候群」、また高血圧のみを発症することを「妊娠高血圧症」、尿蛋白と高血圧を発症することを「妊娠高血圧腎症」と分類しています。
**子供**
子供の場合あまり心配のないことが多いですが、なかには急性腎症や慢性腎症、ネフローゼ症が潜んでいることもあります。
子供に多いのは血液成分の調整がうまくいかず起きる「急性腎症」と「慢性腎症」でこれらに共通しているのが「むくみ」です。もし、尿蛋白とむくみがみられたら検査が必要になります。
尿蛋白を食事で改善
控えたいもの
重要なのは「たんぱく質」、「塩分」を控え、「エネルギー」をしっかり摂るということです。
症状によってはリンやカリウム、水分制限など行う場合もあります。尿蛋白を下げる食事は主に腎臓病の食事療法と同じです。
*たんぱく質*
たんぱく質を摂ると老廃物が出るため、これを排出する腎臓に大きな負担がかかります。肉、魚、卵、乳製品、大豆製品などの良質なたんぱく質を適量摂ることが大事です。
また、たんぱく質は制限しすぎるとエネルギー不足になりやすいため、炭水化物や脂質で補いましょう。
*塩分*
塩分は腎臓から排泄されるため、摂りすぎると腎臓に大きな負担がかかります。塩分を控えても美味しく食べれる工夫が必要。(だしを利かせる、酸味や辛味、香味野菜を上手に使うなど・・・)
また、新鮮な食材は余計な味付けがなくても美味しくい食べれるので、食材にこだわるのもポイントになります。
*カリウム*
カリウムは腎臓から排出されるため、症状によっては制限されることがあります。
カリウムは水に溶ける性質があるため野菜類を茹でこぼす方法がお勧めです。千切り野菜を水でさらしたり、水を切っただけでもカリウムを減らすことができます。
カボチャやトマト、バナナ、キウイ、メロンにカリウムは多く含まれています。特に、トマトジュースは控えましょう。逆に、パイナップルやリンゴ、みかんなどは少なめです。
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お勧め食材
油は少量でも高カロリーで楽にエネルギーを摂れます。ただし、肥満傾向の人は摂りすぎないよう注意が必要になります。
また、でんぷん質でできている「春雨」はたんぱく質が含まれないのでサラダやスープ、揚げて付け合わせにしたり・・・とアレンジして上手に使いたい食材です。
大切なのは生活習慣
腎臓は「沈黙の臓器」と呼ばれ、障害が起きてもなかなか自覚症状が出ません。気が付かないまま病気が進行している場合が多く「むくみ」、「だるさ」、「吐き気」などが出たら腎機能はかなり低下していることが多いです。
治療法としては、血圧コントロール、血糖値コントロール、漢方対策、食事療法になります。民間療法として、つぼやマクロビオテックを取り入れる場合もあります。
ただ薬に頼るだけでなく、自分自身の生活習慣を見直し、規則正しい「食事」、十分な「睡眠」、適度な「運動」などを心掛けることが重要でしょう。
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