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心臓病の症状チェック!【遺伝が原因?病気の種類も詳しく紹介】

<監修医師 豊田早苗>

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皆さんは心臓病と聞いていくつの病気が思い浮かぶでしょうか。

心筋梗塞、狭心症、心不全など時々耳にする病気から心房細動などあまり聞き慣れないものまで様々あります。

 

今回は、そんな心臓病の種類、原因、症状について紹介した後、予防方法についても説明します。

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心臓の正しい役割とは

 

ここでは心臓の構造と働きについて説明します。

 

ポイントは①心筋の収縮、②電気信号、③4つの血管、④冠状動脈です。

 

心臓は握りこぶし大よりやや大きく、ほとんどが筋肉(心筋)でできています。心臓はこの「心筋の収縮」と「電気信号」によって、全身に血液を送るポンプの役割を果たしています。

 

心臓には4つの部屋(右心房、右心室、左心房、左心室)があり、それぞれの部屋は4つの弁(三尖弁、肺動脈弁、僧帽弁、大動脈弁)があります。

 

また4つの部屋からは、それぞれ4つの血管(大静脈、肺動脈、肺静脈、大動脈)が出ています。

 

全身から戻ってきた血液は大静脈を通って右心房に入ります。このとき、右心房にある洞房結節(洞結節とも言う)から電気信号が発信されることによって、右心房は収縮し、三尖弁を通って右心室に血液が流れます。

 

続いて右心室が収縮し、肺動脈弁を通って肺に血液が送られます。肺で酸素を取り込んだ血液は肺静脈を通って左心房に入ります。

 

さらに左心房から僧帽弁を通って左心室に血液が流れます。左心室の収縮によって大動脈弁を通って全身に血液が送られます。

 

通常、心臓はこのような動きを1分間に60~90回も行っています。(心筋や弁が上手く働かなくなると心臓病になります。また、電気信号が多すぎても少なすぎても不整脈という病気になります。) 

 

また、大動脈は心臓から出てすぐに冠状動脈(冠動脈とも言う)と言う血管が分岐します。

 

冠状動脈には右冠動脈、左回旋枝(かいせんし)、左前下行枝(ぜんかこうし)の3本があり、心臓に酸素や栄養を送る働きをしています。この冠状動脈が詰まると心筋梗塞などの心臓病を引き起こします。

 

心臓の働きについてはこちらも参考にして下さい。

【関連記事】
心房細動とは?症状も分かりやすく解説します!

 

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心臓病には色んな種類がある

 

一言に心臓病(心疾患とも言います)といっても、前述した心臓の構造や働きのうち、どの部分に問題が起こっているかによって様々な種類があります。ここでは主な心臓病について説明します。

 

狭心症・心筋梗塞

冠状動脈が狭くなって起こるものを狭心症、完全に詰まってしまったものを心筋梗塞と言います。原因は動脈硬化です。

 

冠状動脈が詰まった状態が30分以上続くと心筋に栄養や酸素が送られず、壊死してしまい、最悪の場合は死に至ります。

 

狭心症は心臓に負担がかかったとき(運動したとき、寒いところに行くなど)に胸痛(※)、息苦しさ、吐き気、冷や汗・脂汗などの症状が現れます。

 

これらの症状は心臓への負担が軽減するとなくなりますが、心筋梗塞につながる恐れもあるため、医療機関を受診して詳しく検査する必要があります。

 

心筋梗塞の症状は狭心症とほとんど同じですが、一時的ではなく持続する点が異なります。ただ高齢者の心筋梗塞の場合は、症状が分かりにくい場合があります。

 

激しい胸痛はなく、持続した肩こりや歯の痛みとして訴えられることもあります。整形外科や歯科での異常がない場合は、心筋梗塞を疑って循環器内科等で一度心電図検査をしてみるのも良いでしょう。

 

※狭心症や心筋梗塞の胸痛は、みぞおち付近の痛み、背中や左肩・腕にかけての痛みとして出る場合もあります。これを関連痛と言います。

関連痛とは痛みの起こっている場所(心臓)とは異なる場所に痛みが生じるものを言います。

特に狭心症の場合は症状が治まってしまうため、胸以外の場所が痛み出しても心臓に原因があるとは気づかないことがあるため注意が必要です。

 

不整脈

不整脈心臓のリズム(電気信号)の異常によって起こります。脈が速くなるものを頻脈、遅くなるものを徐脈、脈がとぶものを期外収縮と言います。

 

このように一言で不整脈と言っても様々で、特に治療の必要がないもの、早期治療が大切なもの、緊急に処置をしなければ死に至るものまであります。

 

心房細動という種類の不整脈は持続すると血栓ができやすく、心原性脳梗塞(心臓でできた血栓が脳に詰まったことによって起こる脳梗塞)の致死率は他の脳梗塞に比べて高くなっています。

 

また後遺症も重くなります。そのため、心房細動は自覚症状がなくても治療が必要です。

 

心臓弁膜症

心臓にある4つの弁のうち、いずれかが正しく働かなくなる病気です。

 

弁膜症とは①弁が完全に閉じきれなくなって血液が逆流するもの、②弁の開きが悪くなって、血液の通り道が狭くなるために血液の流れが妨げられるもののいずれかに分けられます。

 

①には大動脈弁閉鎖不全症、僧帽弁閉鎖不全症、三尖弁閉鎖不全症などがあります。②には大動脈弁狭窄症、僧帽弁狭窄症などがあります。

 

動脈硬化が原因になるケースが増えています。軽度であれば自覚症状はありませんが、重度になると息切れや呼吸困難などの症状が現れます。

 

特に僧帽弁と大動脈弁に問題がある場合は、手術が必要になります。

心臓弁膜症についてくわしくはこちらを参考にして下さい。

【関連記事】
心臓弁膜症は手術で完治する【原因や症状を徹底解説!】

 

心房中隔欠損症

通常、右心房と左心房の間には壁があります。しかし先天的(生まれつき)にこの壁に穴が開いている心疾患があり心房中隔欠損症(先天性心疾患の約1割を占め、男児より女児に多く見られます。)と言います。

 

肺で酸素を取り込んだ左心房の血液の一部が右心房に逆流してしまうために、肺や右心房、右心室の負担が増えます。

 

穴の大きさにも程度があり、穴が小さい場合は自覚症状がないまま大人になる人もいます。(穴が大きい場合は子どもでも呼吸困難、体重の増えが悪い、運動があまりできないなどの症状があります。)

 

大人になると、肺高血圧症、不整脈(心房細動など)、心不全などの症状が現れます。

 

特に肺高血圧症(肺の血管に長年負担がかかり続けることとで血圧が高くなる)が重症化すると手術困難となり、命に関わるため早期の治療が大切です。

 

大動脈瘤

 大動脈瘤(りゅう)とは、大動脈の血管の壁が弱くなり、あちこちにコブができる病気です。

 

コブができる場所によって、胸部大動脈瘤、胸腹部大動脈瘤、腹部大動脈瘤と言います。コブが破裂してしまった場合の死亡率は高くなっています。

 

心肥大(心臓肥大)

心臓肥大心肥大とも言います)とは心臓から血液を送り出す際に、大きな力が必要な状態があり、結果、心臓の負担が増えて、心臓のサイズが大きくなった状態です。

 

心肥大の主な原因は高血圧ですが、心臓弁膜症や他の体の病気の合併症として起こる場合もあります。心臓肥大だけでは自覚症状はありませんが、原因となる病気の治療をすることが大切です。

 

また、心臓肥大とよく似たものにスポーツ心臓というものがあります。

スポーツ心臓とは激しい運動をすることによって、全身に効率よく沢山の酸素や栄養分を供給できるように、一回の心拍動で沢山の血液を全身に送り出せるように心臓が肥大してしまった状態です。

 

心拍数も1分間に50回以下と少なくなるのが特徴です。心臓肥大と区別がつきにくいのですが、スポーツ心臓の場合は激しいスポーツを止めて2、3年経過すると症状がなくなります。

 

心不全

心不全とは何らかの原因によって、心臓のポンプ機能が不十分になった状態です。

 

心不全が起こると、本来体外に排出される水分が増えたり、体内を循環する水分が増えてしまうため、体重増加、尿量低下、むくみ、呼吸困難、咳や痰、食欲低下などが起こります。

 

原因としては狭心症心筋梗塞心臓弁膜症など様々な病気が考えられるため、原因となる病気の治療を最優先します。

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心臓病の可能性がある9つの症状

 

心臓の病気は初期には自覚症状がないものもありますが、だからこそ症状が現れたら体からのSOSをキャッチし、早期に対処したいものです。ここでは心疾患の症状について説明します。

 

代表的な心臓病の症状としては、動悸、胸の違和感や圧迫感、胸痛(締め付けられるような激しい痛み)、疲れやすい、息切れ、むくみ、めまい、失神などです。

 

大まかな病気別に症状を見ていきます。心臓の電気信号に異常がある不整脈の場合は、動悸、胸の違和感、めまい、失神などが現れます。

 

狭心症や心筋梗塞であれば胸の圧迫感や胸痛、冷や汗、吐き気などが出ます。痛みのでる箇所は胸だけとは限りません。

胃の辺りの違和感や背中、肩、首にかけての痛みとして出る場合もある点に注意が必要です。

 

心臓弁膜症や心不全、心筋症などの場合は、疲れやすい、息切れ、むくみなどが現れます。痛みや胸の症状があれば心臓の病気を疑いやすいものですが、むくみや疲れやすいといった症状だけでは難しいものです。

 

これらの症状がある場合は、体重測定や尿回数・尿量の記録、血圧測定などを行ってみましょう。その記録を持って、循環器内科を受診し、胸部レントゲン検査、心電図検査など必要な検査を受けることが大切です。

 

心電図についてくわしくはこちらを見て参考にして下さい。

【関連記事】
心電図を読んで異常や原因を発見!【心電図の種類も紹介!】

 

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心臓病の原因に遺伝が関係しているのか?

 

心臓の病気は生まれながらに心臓の構造や働きに問題がある場合(先天性心疾患)と、生活習慣が原因(後天性)によって起こる場合があります。

 

先天性心疾患は心臓の病気全体の約1%に過ぎず、ほとんどが後天的な心臓病です。

 

中高年に起こる心臓病は、生活習慣が原因になる場合がほとんどです。

高血圧、脂質異常(以前は高脂血症と言いました)、高血糖(糖尿病)は心筋梗塞の3大危険因子(リスクファクターとも言います)と言い、これに喫煙を加えたものを死の四重奏を呼びます。

 

これらの危険因子が一つでもあると、心筋梗塞のリスクは2倍になります。3つ以上ある場合、リスクは足し算ではなく、掛け算で増していきます。これらの他にも肥満、ストレス、過度の飲酒なども危険因子となります。

 

高血圧、脂質異常、高血糖は家族にその症状を持った人がいると、自分もかかりやすくなります。その意味では素質や体質は遺伝すると言えますが、生活習慣の見直し等によって抑制することは可能です。

食事のポイントについてはこちらを参考にして下さい。

【関連記事】
脂質異常症に効く食事の2つのポイント【6つの原因も知っておこう】

 

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心臓病とストレスの関係

 

現代はストレス社会と言われますが、過度な精神的ストレスは心筋梗塞のリスクを高めます。ここではストレスと心筋梗塞の関係について説明します。

 

心臓の拍動は自分の意志とは関係なく働く自律神経の支配を受けています。ストレスが加わると、自律神経のうち交感神経が優位に働きます。

 

交感神経が優位になると、ノルアドレナリンというホルモンが脳の視床下部から、カテコールアミン(カテコラミンとも言います)が副腎から分泌されます。

 

これらのホルモンはストレスホルモンとも呼ばれ、末梢血管収縮、心筋収縮増強、血圧上昇、心拍数の増加などをもたらし、体は肉体的にも精神的にも興奮状態になります。

 

外的から身を守るなどの戦闘態勢のときには、これらのホルモンはとても大切なものです。しかし長時間この興奮状態が持続すると体は疲弊し、心筋梗塞などが起こる可能性を高めてしまいます

 

心筋梗塞のリスクとなる性格・行動パターンにタイプAと呼ばれるものがあります。競争的(対抗意識が強い)、攻撃的、野心家、短気、責任感が強いといった性格行動パターンのことを言います。

 

タイプAのような人は、普段からストレスの多い生活を送っているため、自覚はなくても心臓などの循環器系に負担がかかりやすく、心筋梗塞などの血管障害のリスクとなっています。

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日頃のケアで心臓病を予防しよう

 

前述したように生活習慣が原因となって起こる心臓の病気は予防することができます。ここではその予防法について説明します。

 

禁煙する

喫煙することで末梢血管が収縮し、血圧が上昇して心臓に負担がかかります。心疾患だけでなく、様々ながんを予防するためにも禁煙の効果は大きいです。

 

禁煙によって心疾患の発症リスクは、非喫煙者レベルまで下がると言われています。

【関連記事】
禁煙とダイエットの両立【成功させる 7つの必勝方法を伝授!】

 

適正体重を守る

肥満(一般的にはBMI(※)25以上)があると高血圧、脂質異常、高血糖といった様々な心疾患のリスクを高めます。

 

高血圧や高血糖に対して、それぞれ個別に対策を取るよりも、肥満対策(ダイエット)を取るほうが一石二鳥、三鳥になるということです。

 

食べ過ぎや飲み過ぎをしない、寝る2時間前は食事をしない、早食いをしない(1回の理想的な食事時間は約30分です。早食いをすると、脳の満腹中枢が刺激されず、食べ過ぎの原因になります。しっかり咀嚼しましょう。)、食事を抜かない(空腹時間が長いと、その分食後の血糖値が高くなったり、エネルギーを体が溜め込みやすくなります)など基本的なことを守りましょう。

※BMIは身長(m)を体重(kg)の2乗で割ったものです。

 

過度の飲酒を避ける

適度な飲酒は動脈硬化を抑制し、むしろ心疾患を予防する効果があるとされています。しかし飲み過ぎはいけません。

 

成人男性の適度な飲酒量とは1日1合まで(ビールなら500ml、日本酒・日本酒なら180ml、焼酎なら110ml、ウイスキーなら60ml)です。

 

女性や高齢者はこれより少なくなり、お酒好きの人には物足りない量かと思います。

 

十分な睡眠をとる

睡眠不足の状態では血圧が高くなりやすく、食後の血糖値も急上昇しやすくなるという研究結果があります。1日7時間程度の睡眠を取りましょう。

 

もし、時間的には睡眠を十分とっているのに、昼間の眠気が強い、疲れがとれないなどの症状があり、かつ肥満傾向の人は睡眠時無呼吸症候群という病気の可能性もあります。

 

睡眠時無呼吸症候群は、睡眠時に無呼吸(呼吸停止)が繰り返されることで血中の酸素濃度が低下します。

血中酸素濃度を保とうと心拍数が増え、寝ているにもかかわらず、体が活動状態になってしまい、疲れが取れません。

 

適度な運動をする

運動は善玉コレステロールを増やし、動脈硬化を予防する効果があります。心臓に負担のかからないウォーキングやストレッチ、軽い体操(ラジオ体操など)の有酸素運動がお勧めです。

 

食生活を見直す(食事療法)

1. 血圧対策

減塩を心がけましょう。塩に含まれるナトリウムには血管を収縮させ、血圧を上昇させる作用があるためです。

 

一般的な食塩の1日の摂取目安量は8gですが、心疾患の予防の場合は6gと言われており、いかに減塩が重要かということが分かります。

 

とはいえ、いきなり1日6gに減塩するのはハードルが高いという人は野菜を積極的に摂るようにしましょう。野菜に多く含まれるカリウムはナトリウムの排出を促進する作用があるためです。

 

野菜の他にも豆類、魚介類、果物などにもカリウムは多く含まれています。

 

2. 脂質対策

脂質対策としては善玉(HDL)コレステロールを増やす食事、悪玉(LDL)コレステロールを減らす食事を心がけましょう。

 

というのは善玉コレステロールは動脈硬化を抑制するのに対して、悪玉コレステロールは動脈硬化を促進する働きがあるためです。

 

善玉コレステロールを増やすには、植物性脂肪、青魚、オリーブオイル、ごま油、大豆油などに含まれる「多価不飽和脂肪酸」を適度に摂るようにしましょう。

 

悪玉コレステロールを減らすには、動物性脂肪、洋菓子、アイスクリーム、脂肪分の多い乳製品などに多く含まれる「飽和脂肪酸」を控えるようにしましょう。

 

3. 血糖対策

高血糖の状態が続くと動脈硬化が起きます。炭水化物、タンパク質、脂質の3大栄養素は体内に入るとエネルギー源となり、血中の血糖値は上昇します。

 

この血糖値の上昇をできるだけ緩やかにすることが動脈硬化を予防するためには重要です。

 

血糖値を急上昇させない食事法は、そもそも糖質の多い食品を控えるというのも一つですが、食事の際の食べる順番にもポイントがあります。

 

食物繊維の豊富な野菜を始めに摂り、次にタンパク質や脂質の多い肉・魚類を摂り、最後にご飯やパンなどの炭水化物を摂るようにします。

 

というのは、まず食物繊維は血糖値の上昇を緩やかにする作用があります。またタンパク質や脂質が腸内に入るとインクレチンというホルモンが分泌され、血糖値の上昇を緩やかになするとともに、下降も早めます。

 

同じ量を食べていても、食べる順番に気をつけるだけで体への負担は変わってくるのです。

 

ストレスをコントロールする

自分なりのストレス解消法を持ち、日頃のストレスを上手く発散することが心疾患を予防することにつながります。

 

ゆっくりぬるめのお風呂に浸かる、読書、旅行、映画鑑賞、買物、家族団欒、マッサージなどこまめなストレス発散を心がけましょう。

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