意外につらい!耳たぶニキビの治し方【病気の可能性も疑って】
<監修医師 まっちゃん>
町を歩いていると、イヤホンをつけ音楽を聴きながら歩いている人やピアスをしている人をたくさん見かけます。今回は、耳にまつわる「できもの」について解説していきます。
気になる所から確認してみよう
耳たぶの役割
耳には音を脳に伝え、さらには平衡感覚を司る器官であるということはご存じの方も多いと思います。では、耳たぶにはどんな働きがあるのでしょう。
耳たぶは耳介の一部で「耳垂」といいます。耳たぶの大きさは個人差が大きく、耳たぶが大きい人は「福耳」と呼ばれます。
耳たぶの大きさによって、音の聞こえに変化があるわけではありませんが、耳たぶには音の方向を判断したり、音の元となる空気の振動を集める役割があります。
音は、耳たぶによって集められそこから外耳を通って鼓膜へ伝わります。つまり、耳たぶの反射によって脳が音を判断できるのです。
そのため、外傷によって耳たぶが損傷してしまった場合などでは、音の方向が分からなくなるのです。そう考えると、耳たぶは生活していく上でとても大切な役割があるのです。
そして、もうひとつの役割として体温調整があります。暑いときには耳たぶに流れる血管から熱を放出し、寒いときには血管を収縮させ熱を逃さないようにしているのです。
熱いものを触ったときなどに、思わず耳たぶを触ることはありませんか?耳たぶは他の部位と比べて血液が少ないため、人体の中で最も体温が低い部位となります。
そのため、無意識にこのような反応をしてしまうのかもしれません。そして、神経も少ない部位であるため痛みを感じにくくピアスをあけることもできるのです。
にきびのメカニズム
ニキビは「尋常性ざ瘡」と呼ばれます。ニキビの発生は毛穴のつまりが原因です。
しかし、「思春期にきび」と「大人にきび」では発生する要因が異なります。ニキビはどうしてできるのか、メカニズムについて解説します。
<思春期にきび>
思春期になると、成長ホルモンや男性ホルモンの影響により皮脂の分泌が増え特に顔のTゾーンにニキビが出来やすくなります。
男性ホルモンは女性でも多少分泌され、皮脂分泌を活発にさせる働きがあります。思春期にきびは時期がくると自然と落ち着いてくるのが特徴です。
<大人にきび>
思春期の時期は「にきび」大人になって出来るのが「吹き出物」などと言われることがあります。厳密に「にきび」と「吹き出物」に違いがあるわけではありません。この吹き出物と呼ばれるものが「大人にきび」なのです。
大人ニキビは肌の新陳代謝が落ち、肌のターンオーバーが正常にできなくなることから始まります。ターンオーバーが遅くなることで、角質がとれずに毛穴に溜まってしまいます。
そしてターンオーバーの遅れは肌を乾燥させ、さらに角質を硬くします。そのため、毛穴がふさがりそこでアクネ菌が繁殖しやすくなります。そして、大人ニキビは生活習慣も大きく影響します。
<白ニキビ>
白ニキビは皮脂の分泌量の増加や、角質が硬くなることで毛穴の入り口が狭くなり、皮脂が毛穴の中に溜まってしまった状態です。この溜まった皮脂を「コメド」といいます。
白ニキビでは毛穴が詰まっているだけの状態のため、炎症も起きていません。そのため、周辺の皮膚は正常で少し盛り上がっている程度の初期のニキビです。
この時点で、詰まっているコメドを正しく押し出せば痕が残ることなく治すこともできます。しかし、自己流は控え皮膚科などで出してもらうほうがよいでしょう。
白い耳のできものについてはこちらを参考にして下さい。
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<黒ニキビ>
白ニキビの状態から、さらに皮脂(コメド)が溜まっていくと毛穴が開き一部の皮脂が表面に出てきます。その皮脂が酸化したり汚れがついたりすることで黒くなります。
黒ニキビの時点ではまだ、炎症は起こしていない状態ですがこのままの状態が続くとさらに悪化してしまう可能性があります。
<赤ニキビ>
詰まった毛穴でアクネ菌が繁殖し、炎症を起こしてしまった状態です。しかし、アクネ菌は皮膚の常在菌であるためふだんは何も害があるものではありません。
しかし、溜まった皮脂を栄養源にして繁殖するため、ニキビ周囲が赤くなり痛みを伴う場合には患部を清潔に保ち、抗炎症剤クリームや抗生物質などで炎症を抑える必要があります。
<黄ニキビ>
赤ニキビからさらに悪化した状態で、ニキビの先が黄色っぽくなります。膿をもった状態であるため、自分で潰すことは絶対にやめましょう。さらに、菌が入り悪化させてしまいます。
なぜこんなところに?耳たぶニキビの原因
耳たぶの役割やニキビのメカニズムについて説明してきました。ここでは、耳たぶにできるニキビについて詳しく解説していきます。
汚れ・雑菌
耳にももちろん毛穴はあります。そして、他の部位と同様に皮脂が分泌されるのです。顔や体・頭は毎日のように洗いますが、耳はどうですか?意外と意識することが少ないのではないでしょうか。
そして、仕事や勉強をしているときに無意識に耳を触るクセのある人は要注意です。
耳に小さな傷がある場合はそこに菌が入ってしまいますし、クセで触っている場合はその刺激によってニキビとなってしまうこともあります。
意外と、ほこりや汚れにさらされている耳はニキビができやすい環境といえるのかもしれません。
イヤホン
今の時代、携帯があれば自由に音楽も聞けるようになりました。そのため、移動時間にイヤホンを使用してる方も多いと思います。
普段何気なく使っているイヤホンやヘッドホンはよっぽど汚れない限り、日ごろから掃除している人はあまりいないのではないでしょうか。
耳にも皮脂腺はあり、他の部位と同様に新陳代謝を行っています。そして、夏場には特に汗もかきやすくなります。つまり、毎日使用していると汚れてくるのは自然なことなのです。
汚れたイヤホンを毎日耳につけていると、それもニキビになる大きな原因の一つになります。
寝具
人は毎日、寝ているだけでも大量の汗をかきます。そして、顔や耳は直接寝具に肌が触れる状態です。
寝具の目に見えない汚れを放置しておくと、雑菌が繁殖しニキビの原因となります。枕カバーをつけ、定期的に洗濯し清潔を保つことが大切です。
シャンプーなどのすすぎ残し・髪の汚れ
シャンプーやリンスをすすぐ時に、意外と耳に成分が残ってしまうことがあります。表面上は気をつけて落としていても、耳の形は複雑なためどうしても残りやすい状況となるのです。
それと同様に、ヘアスタイリング剤も使うときに耳に付いているのに気が付かないということもあります。これらの汚れは、雑菌にとっては繁殖しやすい環境となってしまうため、ニキビの発生につながりやすくなります。
ピアス穴・耳の傷
ピアスは耳に穴をあけている状態のため、ピアス穴周囲から皮脂汚れや汗などが入りやすい状況です。
実際にピアスの穴自体が炎症を起こしたことがある方は多いと思います。ピアスのつけっぱなしや、乱暴な取扱いをしていると傷がつきやすく炎症も起こしやすくなります。
また、耳かきのし過ぎも耳に傷を作ってしまう原因の一つとなりますので、できるだけ控えるようにしたほうがよいでしょう。
耳垢の掃除についてくわしくはこちらを見て参考にして下さい。
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ホルモンバランスの乱れ
耳たぶのニキビに限ったことではありませんが、ニキビの発生にはホルモンバランスが大きく影響しています。
黄体ホルモンは皮脂分泌の作用を持っているため、女性は生理前になるとニキビができやすくなります。ストレスなどから自律神経の乱れが生じると、皮脂の分泌増加につながります。
生活習慣によってホルモンのバランスは大きく変化します。それによって、皮脂の分泌が増えニキビの原因となるのです。
早めの対策!耳たぶニキビの治し方
耳たぶによくニキビができる場合や、ニキビになったときはどのようにしたらよいかなど具体的に解説していきます。
病院を受診する
痕を出来るだけ残さず、早く治したい場合は皮膚科を受診するのが一番です。特に、耳たぶニキビを繰り返す人は一度専門医に診てもらうほうがよいでしょう。
早期に適切な治療をうけることで、悪化することも防ぐことができます。
清潔を保つ
病院に行きたいけれど、時間がとれない。という場合にはまずは清潔を保つこと・耳を触って刺激しない・ニキビを潰さないようにしましょう。
ニキビが出来てしまっている状態で、イヤリングやピアスを使用することは更なる悪化につながります。ニキビが治るまでは、使用を控えその間にピアスなどのお手入れをしておきましょう。
水洗いだけでなく、中性洗剤を使用して汚れを取り除きしっかりすすぎ乾燥させておきましょう。そして、イヤホンも使用したら、除菌シートなどで拭くようにし清潔を保てるようにします。
耳自体の清潔も保つ必要があります。お風呂で洗顔をする時に耳も一緒に洗うようにしましょう。
耳たぶはもちろん、耳の外側や裏側は意外と普段忘れがちな部分です。こすると刺激になりますので、泡で優しく洗いすすぎ残しがないようにします。
生活習慣を見直す
普段から、脂っこいものやジャンクフードをよく食べている人は、動物性脂肪を摂りすぎてニキビができてしまっている可能性があります。皮脂の分泌が増えてしまう脂物を控えた食生活を心がけることも大切です。
そして、ストレスや睡眠不足もホルモンの乱れを引き起こし皮脂の分泌を促してしまう結果になります。特にニキビを繰り返してしまう人は生活習慣を見直すことも必要です。
部位別のニキビの治し方についてはこちらを参考にして下さい。
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耳たぶニキビは日頃のケアで予防できる
何度も言うように、ニキビの予防には清潔を保つことが一番となります。他の部位と同様に、耳たぶも清潔に保つようにしましょう。
まずは、寝具です。毎日、直接肌に触れる寝具は定期的に洗濯します。枕にタオルを敷いて、タオルを毎日取り換えるのも有効です。
普段、あまり意識することは少ないですが髪をとかす際に気づかないうちに耳に傷が出来ていることがあります。
そして、髪には意外と多くの雑菌がついているため傷から雑菌が入りニキビへと発展していくこともあるのです。
髪の毛自体が刺激となることもあるので、特に女性は髪をアップにするなど、直接耳に触れないようにすることも予防方法の一つになります。
そして、清潔を保つのと同じぐらい大切なのが、生活習慣です。
食事を栄養のバランスよく摂ることや、睡眠をしっかりとることも大切です。自律神経を整え、ホルモンバランスを整えてあげましょう。
さらに、飲酒は胃腸に負担がかかると肌の状態も悪くなってしまいます。喫煙は血管が収縮するため、血流が悪くなり代謝が落ちます。
これは肌のターンオーバーを遅らせてしまうため、確実に肌の状態が悪くなりニキビが出来やすい状況を作ってしまいます。
喫煙の身体への害についてはこちらを参考にして下さい。
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ニキビを予防するためには、まずは清潔を保つようにし、そして生活習慣を整えるよう心がけましょう。
ニキビではなかった!しこりの原因
これまで、ニキビについて解説してきました。ここでは、ニキビと間違えやすい「できもの」や「しこり」について解説していきます。
粉瘤
粉瘤はアテロームとも呼ばれます。耳たぶだけでなく、体中の至るところにできる可能性のあるものです。
これは皮膚の中に袋状のものができ、そこに本来であればはがれ落ちるはずの垢や老廃物が溜まる良性腫瘍です。押すと、中から白いドロッとした臭いのきついものが出てきます。
皮膚の中にできた袋は徐々に大きくなっていくため、放置していると10㎝大ほどになることもあります。粉瘤はしこりのため、つまむことが出来るのがニキビとの大きな違いです。
そして、これはニキビとは違い、自然には治らないため皮膚科への受診が必要です。
粉瘤についてくわしくはこちらを参考にして下さい。
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リンパ節炎
耳たぶというよりは耳の後ろにニキビのようなものが出来た時には注意が必要です。耳の後ろにはリンパ節があります。
このリンパ節は風邪をひいたときなどにも腫れることがあります。自分では、ニキビなのかリンパの腫れなのか区別をつけるのは難しいと思います。
体調が優れないときや、熱が出ているときには病院を受診し、診てもらうようにしましょう。
肉芽
ピアスをあけたことによる体の正常な生体反応によってできるものです。
耳に穴をあけ、ピアスを入れることは体にとっては異物が入ってきたと認識します。そして、それを追い出そうと反応しできるのが肉芽で毛細血管のかたまりです。
良性腫瘍のため、放置していても問題ないとされますが毛細血管のかたまりであるため急な出血などが起こる可能性があります。気になる場合は受診しましょう。
痛風
痛風といえば、足の親指じゃないの?と思われるかたも多いと思いますが、尿酸の結晶は意外と耳にも溜まりやすいのです。
痛風結節は体温の低いところにできやすいといわれており、体のなかで一番体温の低い耳たぶにもできてしまうのです。
尿酸値の指摘を受けていたり、痛風発作の経験があるかたは要注意です。この場合は皮膚科ではなく内科を受診しましょう。
悪性腫瘍
基本的に耳に出来るしこりは粉瘤などの良性腫瘍が多いとされています。しかし、悪性腫瘍の可能性もゼロではありません。
ニキビのようだけど、何か違う。長く続くなど気になる場合は受診し、専門医に診てもらうようにしましょう。
今回は耳たぶにできるニキビについて解説してきました。
ニキビは様々なところにできますが、耳は日頃からあまり意識しない部位です。これを機に耳の清潔について見直してみるのもいいかもしれません。基本的にニキビは自分で潰さず、病院に行くようにしましょう。
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