中耳炎(大人)の症状チェック【治療法も確認しよう】
<監修医師 豊田早苗|監修看護婦 ジビ子>
「中耳炎」と聞くと大体小さい頃よくなった、とか、子供がかかる病気、という認識の方が多いかと思います。
しかし、実は大人になっても中耳炎はかかることがあるのです。
しかも、成長した分なめてかかると、中耳炎の痛みや辛さが倍になって、熱を出し寝込んでしまうことだってよくあります。
大人になったからこそ注意しておきたい中耳炎。
どのようにして発症するのか、または自分でできる治療法はないのか、などをまとめてみましたので、是非参考にされてみてください。
大人の中耳炎の症状チェック
そもそも、中耳炎とはどんな病気なのかご存知でしょうか?
まず、耳の作りを簡単に説明すると、私たちが普段目にして耳と呼んでいる部分が外耳、そして鼓膜などがある場所を総じて中耳、奥のかたつむりのような形をしているのが内耳といいます。
そこから耳管という管を通じて鼻へとつながっている構造になっているのです。
その耳管を介して風邪などで鼻から侵入した細菌やウイルスが中耳に感染し、炎症を起こすことを中耳炎といいます。
たまに、「プールの水やお風呂のお湯などが耳に入ると中耳炎になる」と思われる方もいますが、あれは大きな誤解なので惑わされないよう注意されてくださいね。
中耳炎は主に、急性中耳炎と、滲出性中耳炎、慢性中耳炎の3つのタイプがあり、この中で最もかかりやすいのが急性中耳炎です。
大人の急性中耳炎
急性中耳炎とは、風邪や肺炎、インフルエンザなどから発生する例が多く、身体の免疫力が弱くなっている状態で、細菌が喉や鼻奥から耳の耳管を遠って感染することで中耳が腫れ、膿が溜まる病気のことをいいます。
そうなると、膿が耳の鼓室の中に充満し、鼓膜を持ち上げていくことで、強い痛みや発熱を伴うようになってしまうのです。
さらに、膿の量が鼓膜の限界まで増えてしまうと、鼓膜を破り膿が外へと垂れる「耳だれ」が起こります。
具体的な症状を挙げると、
✅ 強い耳の痛み、耳鳴り
✅ 耳が詰まったような耳閉感 ✅ 発熱、発熱を伴う頭痛 ✅ 急なめまい ✅ 鼻水、鼻のつまり ✅ 耳だれ |
などが一般的です。特に大人の急性中耳炎は子供と比べると耳の痛みが非常に痛くて辛いと言われています。
大人は鼓膜も厚いため破れにくいぶん、膿がさらにたまっていき痛みが増すと考えられています。
症状がひどくならない限りは、風邪などが原因で発生した場合の急性中耳炎は、細菌の感染によるものなので、その病気が治っていけば膿の発生は止まり、あとは自然と膿が流れきってしまうのを待てば徐々に治癒していく可能性が高いです。
破れた鼓膜も再生していくので、耳が聞こえなくなってしまうのではという心配はいりません。
ただ、あまりにも痛みがひどい場合は鼓膜を切開したうえで、外から膿を出す治療を行う場合もあるようです。
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多くの場合は急性の段階で治療すれば完治しますが、なかには症状が悪化したり、体質や耳の構造により中耳炎を多発しやすい人もまれに存在し、慢性中耳炎に至る場合もあります。
大人の滲出性中耳炎
滲出性中耳炎は、急性中耳炎に次いで多い内耳に水や膿が溜まる病気です。
また、急性中耳炎が治りかけの状態を場合によっては滲出性中耳炎と呼んでいることもあります。
通常だと、膿や水などの浸出液は耳と鼻をつなぐ耳管を通り外に排出されるのですが、耳管の働きが悪くなってしまうと分泌液の排出がうまくできなくなってしまうのです。
その場合、
✅ 耳が詰まったような耳閉感
✅ 音や声が聞こえづらい ✅ 自分の出した声が耳の中で響いているように感じる ✅ 耳の中に水が動いているような感覚がある ✅ あくびをすると耳の中でポチャポチャと水の音がする |
などという症状があらわれます。
滲出性中耳炎は、副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎が主な引き金となり、これらの病気で耳管の閉口部分が狭まり、粘液が中耳にたまってしまうのが原因となります。
滲出性中耳炎の炎症は、急性の中耳炎と比べると痛みは激しいものではないことも多いですが、症状が長引いてしまうと「癒着性中耳炎」へと至ってしまうこともあります。
そうなると鼓膜が奥の壁にくっついて中耳の空間をなくしてしまう状態になるため、耳がほぼ聴こえなくなるほどの難聴を引き起こす危険性が高いのです。
こうなると、手術以外に治癒の方法は少なく、また、治っても風邪などで再発を繰り返すことも多くあります。
どうしても再発を繰り返してしまう場合は、医療機関などに通い内側の水を外に出せるようにする治療などを根気よく行うことが大切です。
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急性中耳炎からの慢性中耳炎
中耳炎が治まらず鼓膜に穴が開いてしまった状態が慢性的に続いてしまうことを慢性中耳炎と呼びます。
慢性中耳炎は急性中耳炎が長引いてしまうことが主な原因となりますが、糖尿病などの持病によって炎症が治まりにくくなっていたり、鼻や喉に慢性的な炎症があったりする人も発症しやすいといわれています。
なかには、体質的に中耳の発達が悪い人もなりやすいので注意されてください。
慢性中耳炎が悪化してしまうと、炎症の部分に肉芽と呼ばれる腫瘤ができることがあります。また、鼓膜の細胞が中耳で増殖して「真珠腫」という塊ができることもあります。
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大人が中耳炎になる3つの原因
中耳炎と言えば子供にかかる病気だからと安心してしまう部分も多いですが、逆に大人になるからこそかかる中耳炎があります。
自分は大丈夫だろうと安心せず、非常に身近にある危険性だということを自覚して日々の生活に気を付けてみてください。
風邪やアレルギーなどの病気
急性中耳炎に最もかかりやすいのが細菌とウイルスによる感染です。
特に、年齢を重ね疲れやストレスの多い日常を送る大人の方は、子供に比べ体力が低下し、免疫力も低く、一度中耳炎になると悪化したり慢性化したりしてしまう可能性が非常に高い傾向があります。
また、アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎などの、鼻に炎症や膿がたまりやすい症状も、免疫力低下の影響で昔は大丈夫だったけど、大人になった途端かかったという方も多くいます。
鼻と耳は耳管によってつながっているので、結果として中耳炎になりやすいのです。
風邪など細菌が原因で起こる中耳炎を放置すると重い難聴や、悪くすると頭蓋骨内で合併症を引き起こし命に危険が及ぶ場合もありますので、悪くする前に必ず医師へ相談するようにしましょう。
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環境によるストレスや疲れ
人ごみに囲まれることが多いお仕事や、複数の子供と接する機会が多い生活環境などが原因となって中耳炎になることがあります。
これらは感染症などの危険性はもちろんですが、極度のストレスや緊張からくる疲労が積み重なったものなど、免疫機能の低下を引き起こしてしまうのです。
免疫は身体がウイルスや細菌と対抗する力なので、この働きが弱くなってしまうと細菌が入り込みやすく、重症化しやすい原因となってしまいます。
さらに、ストレスは耳管の働きを衰えさせる原因となるため、普段なら平気な細菌などでも影響を受け、炎症を引き起こしてしまう可能性があります。
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加齢
大人の中耳炎で特に気を付けなければいけないのが、加齢を原因とした滲出性中耳炎です。
特に、体力の低下がみられ耳管の働きが衰えてくる50~60代の方が多くなりやすいといわれています。
滲出性中耳炎の場合だと、急性中耳炎に比べ痛みが少なく、また年齢によって痛みの感覚も鈍くなってしまうため、軽度で済む症状でもそのまま放置してしまい、重い難聴になってしまったり、再発を繰り返してしまったりする恐れがあります。
最近聴こえづらいなどの違和感を少しでも覚えたら、すぐに耳鼻科へ診察を受けることが大切です。
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大人の中耳炎の治療法や対処法
軽度な急性中耳炎であれば、自然治癒することも珍しくありませんが、中耳炎になった場合、まずは専門の医療機関を受診されることが賢明です。
急性中耳炎の場合だと抗生物質での投薬治療や、鼓膜の切開手術を受ける必要がある場合もあります。
また、滲出性中耳炎を何度も再発し繰り返す場合は、直接鼓膜に小さなチューブを入れて膿を外へ出す治療法をとることもあります。
しかし、すぐに受診できる時間がないのも、社会人の辛いところ。そんなときは、自分でもできる応急処置や対処法を覚えておきましょう。
痛みが強い場合は横になってはダメ!
痛いときは横になりたくなる気持ちもよくわかりますが、中耳炎の場合は実は横になってしまうと逆効果になることも。
横になると耳の血流が増加し、鼓膜を圧迫するため、余計に痛みが増すおそれがあるのです。必ず楽な姿勢で座るか立つかを保ち、横になるのは極力避けるようにしましょう。
耳のうしろを冷やしましょう
痛みが強いときは、氷枕をタオルで巻いたものや、タオルを水に浸したものを痛い方の耳のうしろに当てると炎症を抑えて、痛みを和らげることができます。
凍傷になることもあるので、氷や氷枕を長時間、直接当てないよう注意してください。
鎮痛剤を飲むときはここに注意!
鎮静剤は飲み慣れたものがあれば、痛みがあるときに限り使用条件を守って服用するようにしてください。痛みがなかなか治らないときも、飲む間隔を最低5~6時間は空けるようにしましょう。
もし、飲みつけの薬がない場合は、アセトアミノフェンなどの単剤を選び購入するのが無難です。後日受診する場合は、服用した薬を持参し、お医者さまに伝えるようにしてください。
耳だれを拭くときは中を触らないように!
悪化したりする恐れがあるので、耳だれが出たときは耳の中は決して触らずに、耳の外側や周りだけをガーゼなどで優しく拭くようにしましょう。
例え気になっても耳の中の膿は医療機関で取ってもらう方が安心です。
鼻をかむときはここに注意
細菌を身体の外へ排出するため鼻水は絶対にすすってはいけません。また、強くかんでしまうことも耳へ負担がかかりやすく逆効果になるため、必ず優しく片方ずつかむようにしてください。
血流が良くなることは控える
身体が温まって血行が良くなってしまうと、痛みなどが悪化してしまうことが多くあります。中耳炎にかかった状態のときの運動や入浴は極力控えて安静にしてください。
特に鼓膜が破れて耳だれしている場合のお風呂やシャワーは、耳の中に水が入ってしまうこともあるため要注意です。
濡らしたタオルで拭いたり、市販にある洗い流さないドライシャンプーなどを活用されてください。
まとめ
大人の中耳炎は、一般に完治するまで治療期間が最低1~3ヶ月ほどかかるといわれています。
発熱がおさまり痛くないと思っても、炎症がおさまるわけではなく、さらに、大人の免疫機能を考えると治療は長期化することが多いそうです。慢性のものになると年単位での治療が必要になることも。
痛みがなくなっても定期的に通院し、根気よく治療をする必要があります。
そうならないためにも、日頃から風邪やインフルエンザなどの感染症に対する予防や、ストレスや疲れをため込まないように気を付けて生活することが大切ですね。
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