打撲への湿布の効果がスゴイ!【いつまで貼れば良いの?】
<監修柔道整復師 田中惇郎>
物に当たってできる打撲は大体の場合、わざわざ病院にいくまでもない程度が多いですよね。そこで活躍するのが湿布です。
湿布剤はドラッグストアなどでも買えてとても便利なので常備薬の1つとして家に保管されている方も多いと思います。湿布は患部に貼るので直接作用して痛みを和らげてくれるのが大きな役割です。
ですが、どう使えば効果的なのかよくわからないという方も多いのではないでしょうか。また、比較的副作用は少ないといいますがやはり薬ですので副作用がありますので使い方には注意する点もあります。
ここでは、湿布の効果的な使い方と使用時に注意したいことなどをまとめてみました。
こんな時は湿布を貼ると効果的
炎症性の症状に(捻挫・打ち身・打撲・肩こり・腰痛など)
湿布には消炎鎮痛成分、つまり、炎症で表れる赤み・発熱・腫れ・痛み、などの症状を和らげる成分が含まれていて炎症を抑えることで痛みを和らげますが身体の表面から直接作用するので効果的に痛みを軽減させます。
捻挫・打ち身・打撲・関節炎・肩こり・腰痛などによく使われます。
打撲
転んだりぶつけたりしたときに起こる打撲は打ち身ともいわれ、皮下組織や筋肉が損傷して炎症や内出血が起こっている状態で、この炎症や内出血を治すためにたくさんの血液が損傷した部位に集まってあざ・腫れ・赤み・発熱といった炎症症状が表れます。
そのため、打撲してから約48時間は患部を冷やすことが大切と言われます。なぜなら、冷やすことで炎症を抑え、内出血が最小限に抑えられるからです。
その結果、症状の悪化を防ぎ治癒を早くします。冷却後、皮膚の水分をきれいに拭きとってから冷湿布を貼りましょう。
他の内出血の治し方についてはこちらを参考にして下さい。
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捻挫
足首や手首を捻って起こる捻挫は骨と骨を繋いでいる靭帯・腱・軟骨などの関節の損傷のことです。関節部分に運動許容範囲を超えた負荷がかかることで起きます。
関節のある部位ならどこでも起きる可能性がありますが足首や手首などはよく動かすためよく起こりやすいのです。捻挫は内出血を引き起こすため関節部分が腫れます。
そのため、まずは患部を流水などで冷やしてから患部の炎症を緩和させることが大事で、その後に冷湿布を貼りましょう。
なお、捻挫にもさまざまな損傷レベルがあり脱臼や骨折を伴っていることもありますので冷やしても腫れがひかず痛みがひどい場合は病院へ行きましょう。
関節炎
スポーツ後の関節の炎症を沈め、重症化させないことにも効果があります。
軽度ならば放置させてしまうことも多いですが痛みが軽度であっても放置すると治癒を遅らせ悪化させることになりますので軽度の関節痛にはまず市販の湿布剤などで処置して重症化を防ぎましょう。
なお、骨などに損傷がある場合もありますので痛みなどがひどい場合は早めに病院へ行きましょう。
湿布薬が適さない又は注意したいケース
1. 顔に貼る場合は注意
顔は皮膚が薄いため薬が吸収されやすいです。特に目や口の周囲は敏感なので顔には湿布薬を貼らない方が良いでしょう。
また、湿布薬の使用によって光線過敏症という副作用を起こすことがあります。顔に貼らなければいけない場合は医師に相談した方が良いでしょう。
2. 傷やただれがある部位には貼らない
切り傷やすり傷・ただれ・水虫など、皮膚の異常がある部位には湿布薬を貼ることができません。傷やただれがある箇所に湿布薬を貼ってしまうと化膿や痛みの悪化につながります。この場合は医療機関を受診しましょう。
3. 糖尿病の方は医師と相談を
皮膚が過敏になり、かぶれやすくなることがあります。また、湿布薬に配合されている消炎鎮痛薬が治療中の病気や服用中のお薬に影響することもありますので湿布薬を使用する際はかかりつけの医師に相談しましょう。
湿布の副作用
1. ケトプロフェンなどの鎮痛成分
「光線過敏症」という副作用があります。湿布薬を貼ったまま紫外線を浴びると貼った場所に発疹・腫れ・かゆみ・水ぶくれなどの症状が表れます。
患部が腫れ上がり全身に広がる場合もあります。はがした跡でも同じ症状が出る場合があります。基本的な予防対策は湿布を剥がした後もしばらくは紫外線を浴びないようにすることです。
2. アレルギー
鎮痛成分が原因でアレルギーが発症する危険があります。命に関わる場合もあるので要注意です。
「スティーブンス・ジョンソン症候群」は高熱を伴い、全身の皮膚や粘膜にやけどのような発疹や水ぶくれなどの症状が表れる重篤なアレルギー疾患です。
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インドメタシンやジクロフェナクナトリウムなどの鎮痛剤
インドメタシンやジクロフェナクナトリウムは、体内の“プロスタグランジン(PG)”という成分の合成を阻害する作用があります。
PGは痛み・熱・腫れといった炎症を引き起こすため作られないようにして炎症を抑えます。
ところが、PGは胃壁や腸壁を消化液から保護する粘液の分泌に関わり胃腸を蠕動させたり排尿のために膀胱の筋肉を収縮させる働きがあるため、PGの作用が抑えられてしまうと急性胃潰瘍や腎機能障害による症状が表れることがあります。
湿布薬は、皮膚から吸収される外用薬に分類され、他の薬に比べれば副作用は少ないのですが、病院で処方される湿布薬は作用が強いものが多いため、処方量よりも多く貼ったりすると急性胃潰瘍になって病院に運ばれるということもあります。
ですので、用量、使用法については、医師や薬剤師の指示をよく守りましょう。
温湿布と冷湿布の効果はこう違う
冷湿布の効果
打撲・捻挫・骨折・関節炎などの熱や腫れなど炎症を伴った急性期症状に対して使用します。冷湿布にはメントールという冷感成分が含まれています。
打撲やねんざの腫れや腰をひねったり捻挫したりで痛めた患部が炎症を伴っている場合は冷やすと血管が収縮して血液の流れがゆるやかになるため炎症を抑えて痛みを鎮めます。
しかし、冷湿布そのものの冷却効果はそう高くなく含まれる水分が蒸発することで冷やす程度ですので湿布を貼る前には患部をアイシングして熱を取ることが大切です。
温湿布の効果
温湿布には、カプサイシンという温感成分が含まれています。急性期の熱や腫れなどがひいた後の慢性期急性期症状や肩こり腰痛などの血行不良による慢性的な痛みに対して効果があります。
患部を温めることによって血管を拡張して血流が改善する効果により患部を修復します。
治療段階で使い分け
冷湿布と温湿布にはそれぞれ特性があり、その使い分けが大事で使い分けを上手に行うことで治癒が早くなります。
急性期の症状には最初は冷感湿布を使い、腫れや痛みが治まったら血行を促進する温湿布に切り替えると治癒速度を速める効果が期待できます。
打撲への湿布の効果がスゴイ!
湿布を貼る前に
打撲したときは、まずその部位を目視で確認して皮膚が損傷していたらまず傷の消毒をしましょう。その後、患部に熱があるならば氷や流水で患部を冷やしましょう。
そうすることで湿布の効果が高くなります。患部が腫れている時は内出血が起こっていますので入浴はできるだけ控えましょう。また、痛みがある間は痛みが増すので温めないようにしましょう。
打撲後概ね3~4日後には急性期症状が治まってきます。急性期症状が治まっているのを確認したら、次は血行を促進させるために温湿布を貼りましょう。
湿布の役目
基本的に湿布の消炎鎮痛効果は強いものではありません。冷却効果もそう高くなく治療効果もありません。
だったら、湿布は効果がないかというと、そうではありません。患部に直接効果を示すため、弱い作用でも集中的に作用して患部の炎症を抑えて痛みなどの不快感を和らげ自然治癒を助けます。
湿布とともに行いたいRICE処置
傷の処置をしてアイシングで患部を冷やしたならば“RICE処置”をしましょう 。打撲や捻挫などでは“RICE処置”が良いと言われます。
“RICE処置”とは、Rest(安静) 、Icing(冷却)、Compression(圧迫。包帯でややきつめに巻く) 、Elevation(挙上。患部を心臓より高い位置に保つ)ということです。
これらを行うことが治療に効果があり、これと湿布を併用することで治癒が早くなると言われ推奨されています。RICE処置は打撲だけでなく捻挫など多くの場合に推奨されます。
ただし、明らかに激しい打撲の場合は骨折の可能性もありますので急いで病院を受診しましょう。
湿布はいつまで貼れば良いの?
湿布を貼るタイミングは就寝時と起床時の1日2回が一般的ですが同じ部位にずっと貼り続けているとかぶれてしまう人がいますので肌のかぶれが心配な敏感肌の人は1回3~4時間程度で剥がして肌を休めることをお薦めします。
湿布を貼るべき期間は例えば捻挫の場合、捻挫の炎症がどのくらい引いているかどうかによりますが概ね3~7日くらいです。
湿布の本来の役割は患部の痛みを抑えることですので患部を動かさなければ痛くない状態になったら湿布を貼らなくてもよいです。
もしも湿布でかぶれた場合はこちらを参考にして下さい。
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