整腸剤を飲むと便秘になる?【4つの副作用についても解説】
<監修薬剤師 BlueP>
お腹の調子を整えてくれる整腸剤。市販薬で買えるため、常備薬として一つは持っておくと安心ですよね。
ドラッグストアに行くと、整腸剤のコーナーにはたくさんの商品が並んでいます。実は整腸剤と言っても、その商品一つ一つで効果が違ってくることをご存じですか?
今回は整腸剤の種類や効能、便秘との関係性、また副作用についても解説していきたいと思います。
整腸剤とは?
整腸剤は大きく分けて2つ
整腸剤には、腸の働きを直接助ける「消化酵素剤」と、消化液の分泌促進や胃腸の調子を整える作用を持つ「調整剤」の2種類があります。
今回ご紹介するのは調整剤と言われるグループのもの。整腸剤のメインである乳酸菌製剤を始め、抗ヒスタミン剤や精神安定剤なんかもこの調整剤に含まれます。
整腸剤は第3類医薬品または指定医薬部外品に分類されます。どちらも日常生活に影響の出ない安全性のあるものとの位置づけなので、ドラッグストアなどで誰でも購入できるようになっています。
乳酸菌製剤の働き
整腸剤というとほとんどが乳酸菌製剤になります。腸内環境を整えることで機能向上を目指し、下痢や便秘といった便通の改善に効果を発揮します。
腸内環境が悪化すると便通だけでなく、ガスが溜まることも。お腹がゴロゴロしたり膨張感がある場合には、ガスがたまって腸内環境が悪化している可能性があります。
腸内バランスが乱れるのは、腸内細菌のバランスが崩れるため。腸内細菌は、善玉菌:悪玉菌:日和見菌=2:1:7がちょうど良いと言われています。
しかしそのバランスが崩れ悪玉菌が増えると、腸内環境が悪化し、便秘などに悩まされることに。腸内環境を整えるためには、善玉菌が優勢になるように増やしてあげることが重要です。
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乳酸菌製剤の作用機序は、腸内バランスが乱れて悪玉菌が増えたところに、外から善玉菌を増やすよう働きかけることで環境を整えること。整腸剤には善玉菌の一つであるビフィズス菌や、善玉菌を増やしてくれる乳酸菌などが含まれていることが多く、それを飲むことで腸まで届けることが目的となります。
整腸剤と下剤・便秘薬の違い
どんな違いがあるの?
整腸剤も下剤・便秘薬もどちらも下痢や便秘の解消に使われます。ではどちらを使えば良いのでしょうか。
下剤・便秘薬が薬の力で強制的に下痢を止めたり便を排出させたりするのに対して、整腸剤は乳酸菌などの力を借りて腸内環境を整えることで下痢・便秘の症状を治していきます。
下剤のように即効性があるのではなく、腸内環境の改善とともに緩やかに解消していくことを主体にしています。そのため腸にとっては負担になりにくく、下剤や便秘薬を使った時のように腹痛を感じるなどのリスクが少なくて済みます。
どちらを使うかは、用途に応じて選択すると良いでしょう。整腸剤は効き目が緩やかなので、腸内環境が乱れて調子が悪いと感じる時に適しています。
下剤・便秘薬は即効性があるため、食あたりなど急を要する時に使うと良いでしょう。
他のもので代用はできる?
整腸剤は基本毎日飲んでも差し支えのないものですが、あくまで腸内環境が乱れた時に使うもの。予防のために飲むのではなく、いざという時のために常備しておくようにしましょう。
また整腸剤は天然由来のものが多く、どのメーカーも成分にはこだわっているため、それだけコストもかかります。1瓶に350錠入っているものなどもありますが1日27錠計算なので、そう考えると決して安いとは言えないですよね。
整腸剤の代わりにできるものはサプリメントや、乳酸菌を含むヨーグルト、ヤクルトなどの乳酸菌飲料もあります。サプリメントのほうが乳酸菌を豊富に含んでいることが多く、価格も安いため普段使いとしてはそういったほうが良いのかもしれません。
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漢方薬でも整腸作用のあるものは出ていますし、実はアルコールも適量なら便秘に効果があるとされています。「お酒は百薬の長」なんて言葉もありますね。ビールやチューハイなど炭酸を含むものはより効果があると言われています。
もう一つ気にしたいのが納豆菌。納豆に豊富に含まれているこの納豆菌も、乳酸菌と同じように善玉菌を増やしてくれる心強い味方です。納豆菌が入った整腸剤もありますが、普段から納豆を食べる習慣をつけておくと腸内環境の改善が期待できるでしょう。
主な整腸剤の成分
お勧め1位:新ビオフェルミンS
「ヒトにはヒトの乳酸菌」でお馴染みの新ビオフェルミンS錠。大正製薬の整腸剤です。ヒトの腸と相性の良い乳酸菌が3種類も入っていることが特徴で、腸内に広く届き、定着しやすいと言われています。
その3種類とはビフィズス菌、フェーカリス菌、アシドフィルス菌のこと。ビフィズス菌は大腸に、残りの2つは小腸へと生きたまま届けられます。
この3種類の乳酸菌の働きで、整腸効果による便通の改善、腹部膨張感の緩和に効果を発揮します。もう一つのうたい文句が「赤ちゃんからお年寄りまで」。
新ビオフェルミンSには錠剤と細粒の2種類があるのですが、細粒なら生後3か月から服用することができます。また妊婦さんでも服用できる安全性の高い整腸剤となっています。
お勧め2位:エビオス
アサヒビールで有名なアサヒグループが出している整腸剤です。その最大の特徴はビール酵母。まさにビール製造会社ならではですね。
ビール酵母にはビタミンB群を始め、豊富な栄養素が40種類も入っています。さらに体内では作ることのできない必須アミノ酸9種類も全てが入っているという、非常に栄養価の高いもの。整腸作用に加え、弱った胃に栄養を与えたい人にはもってこいです。
エビオスには、飲み続けたらアトピーが改善されたという話もよく出てきます。アトピーの原因になるアレルゲンは弱った胃腸を狙って入ってくるとも。豊富な栄養素を一緒に取ることで、弱った胃腸を丈夫にしてアトピー改善への効果を期待できそうです。
お勧め3位:ガスピタンa
その名の通り、ガスを止めることを目的にした整腸剤で、小林製薬から出ています。ビフィズス菌や消化酵素とともに含まれているのがジメチルポリシロキサンという消泡剤。
この消泡剤がガスだまりをつぶしてくれるおかげで、おならや腹部膨張感の改善に効果を発揮します。もちろん整腸作用、軟便、便秘にも。
「水なしで飲めるヨーグルト味」が売りのガスピタンa。外出先でもその場でかみ砕いて飲み込めるので、いざという時のために持ち歩けるという点で便利ですね。これは15歳以上で服用可能です。
強力わかもと
わかもと製薬が出しているこの整腸剤には3つの天然由来成分が配合されています。
一つはエビオスにも含まれていたビール酵母。そして乳酸菌、アスペルギルス・オリゼーNK菌培養末という麹菌が入っています。アスペルギルス・オリゼーNK菌培養末は消化酵素を作ります。
整腸作用のほかにも、食べすぎによる胃もたれや消化不良、食欲不振などオールマイティに効くといった印象ですね。さらに滋養強壮や虚弱体質にも効果があるとうたわれています。5歳の子供からお年寄りまで、幅広い年齢層に対応しています。
整腸剤に副作用アリ?! 用法容量を守ろう!
下痢?便秘?
本来は便通を整える整腸剤ですが、飲んでいたら下痢になったという人もいます。それは乳酸菌の効果が出ている証拠。副作用といっても正しい作用でもあるので飲み続けることで徐々に効果が出てくると思います。気になるようでしたら、量を調節すると良いかもしれません。
さて、今回のタイトルでもある「便秘になるのか」というところ。
これは100%ありえないとは言えませんが、基本は気にしなくて大丈夫でしょう。「便秘になった」というよりも「便秘が治らない」という人のほうが多いのではないでしょうか。便秘にも種類があります。
牛乳アレルギー
牛乳を飲むとお腹が緩くなるという人、いますよね。それは乳糖という成分によるもの。整腸剤にも乳糖が含まれているものがあるため、お腹が緩くなりやすい人は買うときによく成分を確かめる必要があります。
また牛乳由来の成分を配合したものもあるので、乳製品アレルギーの人は気を付けないと、アレルギー症状を起こしてしまうことが稀にあります。
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抗生物質の作用
風邪をひいた時に病院で処方される抗生物質。本来は原因菌を殺すものですが、効果があり過ぎて関係のない腸内細菌まで殺してしまうことがあります。その結果、軟便や下痢といった症状が現れることも。
そのため病院で抗生物質と一緒に整腸剤を渡されることがあります。もし市販薬の整腸剤を飲んでいる場合にはあらかじめ申告しておきましょう。整腸剤同士は成分が重複してしまうこともあるため、薬剤師さんのほうで飲み合わせが悪くないか確認してくれます。
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メーカーで注意していること
整腸剤を出している各メーカーの添付文書の中には、発疹や発赤、かゆみなどの皮膚症状への注意を訴えているものがあります。しかし副作用として注意されているのはその程度なので、そこまで心配しなくても大丈夫でしょう。よく薬の副作用として挙げられる眠気についてもありません。
もう一つ、1か月以上飲み続けても改善されない場合には服用中止を求めています。これは、その整腸剤が合っていないということ。腸内細菌は人によって種類やバランスなどが違うため、成分が自分と合わないものはいくら飲み続けても効果がありません。
整腸剤は少量から売られているものもあるので、まずはそういったものをお試し感覚で買ってみるのも一つの手でしょう。
整腸剤の正しい飲み方
整腸剤は薬とは違うため、飲み方に関してもそこまで気にしなくても大丈夫です。基本は添付文章に書かれていることを守ること。
飲む時間帯は食後であるものが多いです。食後なら胃酸も弱まっているので、入ってきた乳酸菌などを攻撃しないほか、胃が荒れることも防いでくれます。1日に何回かに分けて飲むものの場合は、5~6時間の間隔を開けておくと安心でしょう。
飲む量に関しては商品によって様々。1回9錠を1日3回飲むなんてものもあります。1日に27錠も飲むとなると気合を入れなくてはいけませんね。大人や子供、年齢によっても量は変わってくるため、説明書きはよく読んでから飲みましょう。
もし飲み方について忘れてしまった、わからないことがあるといった時は、医師や薬剤師、ドラッグストアにいる登録販売者の人に相談をしましょう。飲む量を少なくしたい、なんて場合にも相談しておくと安心ですね。
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