日本人は小人症になりにくい?【特徴や寿命など気になる点を解説】
<監修医師 まっちゃん>
今回は小人症という病気をテーマにしたいと思うのですが、ご存知でしょうか?映画などでたまに見たことはある方もいらっしゃるかもしれません。
簡単なイメージとしては極端に小さい人間のことです。そんな病気について今回は簡単ではありますが、日本人と関連した内容も含みながら紹介したいと思います。
気になる所から確認してみよう
小人症とは?
子供は通常成長期に、下垂体から成長ホルモンを分泌することによって成長しそれとともに身長を伸ばすのですが、何かしらの原因によりその成長ホルモンの分泌速度が遅くなり成長速度の低下をもたらし運動神経の低下や食事摂取量の低下などを示すことがあります。
そして平均身長以下の低身長などの症状をもたらします。その症状こそが、小人症、別名成長ホルモン分泌不全性低身長症(下垂体性小人症)と言われるものになります。
その他にも、様々な原因により低身長を引き起こすことがあるのですが、その様な様々な疾患を総称して小人症と言います。
様々な疾患には体質性や家族性、ラノン型などと名前が分類されているのですが、その概要の詳細については見出し2以降で紹介したいと思います。
また、成長における身長については標準成長曲線より-2SDつまり2%ライン以下となる疾患です。つまりは95%未満の子供であるということです。
また、この疾患は民族間によっても病気の種類が違うこともあります。
小人症には種類がある
小人症つまりは低身長になりうるための病気には大きく分ければ数種類あります。種類別に簡単に解説していきたいと思います。
✅ 体質性、原発性、家族性
これらの名前のものは特に理由もなく身長が伸びなくなる場合につけられる名前となります。別名では特発性低身長と言われることもあります。
確かに奇形、慢性疾患、ステロイド疾患、情緒障害、心身症などが原因として起こることもあるとされているのですが、このタイプは全体の95%にもおよびます。
✅ SGA性
別名では、胎内発育不全性低身長と言われ、その言葉の通りであり、妊娠中にお腹の中にいる状態から影響を受け、低身長となるタイプのものです。
胎児の大きさについてはこちらを参考にして下さい。
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✅ ラロン型
これは、イスラエルのラロン医師が見つけたことによりつけられた種類の病気です。特に、ある特定の遺伝子の異常をきたしていることが原因となります。
ただし、これは成長ホルモン分泌不全性低身長症とは異なり、成長ホルモンは正常に分泌されていることが特徴の1つとも言えます。
✅ ターナー症候群
染色体異常に伴う低身長です。女性のX染色体のうちの1つが欠損しているか、構造異常があるために発症する染色体異常症で、生まれた時にはそんなには大きな変化は見受けられません。
しかし、この病気の特徴として二次成長がないことが特徴の1つと言えます。そのため、思春期の成長がなく、その時期に違いが明確になってきます。
小人症の3つの特徴
今回は、小人症の特徴的な症状について、主に3つ紹介したいと思います。ただし、この疾患に関しましては、これ以外にも特徴がありますので、注意はして下さい。
✅ 著しい低身長
これは、もともとの病名からも分かるように、-2SD以下の身長となり、非常に周囲の人に比べると低身長となることが特徴の1つと言えます。
✅ 合併症を引き起こすことが多い
この病気に詳しい内容としては少しお話していると思いますが、特に一番の特徴はその発達の遅延とも言えます。
一般の人に比べると非常に発達の速度が遅いがために十分に各臓器の機能も働いてくれません。加えて抵抗力も非常に少ない状態となってきます。
そのような理由より低血糖症状や甲状腺機能低下症などの合併症を非常に引き起こしやすくなっています。詳しい内容に関しては後ほど説明いたします。
✅ 治療対象が非常に少ない。
また、治療患者となる対象が比較的少ないことも特徴の1つです。全ての患者に対して治療が適応できるとは限りません。
小人症が引き起こしやすい病気とは
先ほどからも述べていますように、基本的にいくつかの合併症を引き起こしやすい特徴があります。
起きて来る合併症には本当に様々なものが知られていますので、その中でも①低血糖症状、②胃腸障害、③副腎皮質低下症、④甲状腺機能障害の4つの合併症について紹介をしたいと思います。
✅ 低血糖症状
これは、その名前からも分かりやすいと思うのですが、血糖値が上昇しない、つまりは低い状態になる症状の事です。特に、生まれてからすぐに起きる可能性のある症状の一つでもあります。
あまりにもひどい場合には意識障害などを引き起こす可能性もありますので十分注意が必要となります。
低血糖が引き起こす身体の問題についてくわしくはこちらを見て参考にして下さい。
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✅ 胃腸障害
もともと発達障害の一つでもありますので、やはり体内部の機能が不十分な部分もあります。その一つが胃であり、胃の機能が比較的低く弱い胃弱となります。
そのため、体が小さいことからもそうなのですが、十分な食事を摂取できない可能性があります。
✅ 副腎皮質低下症
人には副腎という部分があります。これはさまざまなホルモン分泌する、体内の臓器の一つではあるのですが、その機能が低下してしまいます。
そのため本来十分な量のホルモンがでなければいけないところが出ないままで成長を続けてしまうことになります。
✅ 甲状腺機能障害
甲状腺の機能が障害されることがあります。特に、代謝や成長などに大きく関係している部分ではあるのですが、この機能が亢進するのではなく逆に低下する甲状腺機能低下症の方を併発しやすくなります。
そのため、新陳代謝が低下し極端に汗をかかなかったり、疲れやすいなどの症状が出ることがあります。
日本人には少ない小人症の原因は何?
小人症、通称成長ホルモン不全性低身長は小児慢性特定疾患であるのですが、原因としては器質的なものと特発的なものに分類されます。
器質的なものがおよそ10%程度であるのに対し、残りは特発的なものとなります。なので、基本的には成長ホルモン不全症候群の原因としては器質的なものより特発的なものが多いと言えます。
それでは、今回はこの器質的な部分に焦点を少し当ててみたいと思うのですが、この原因の中には脳内の異常であったり、染色体の異常などと言った原因があります。
脳内の異常とは脳腫瘍であったり、脳の萎縮などがあげられます。また、染色体の異常には遺伝子の転写因子の異常などがあげられます。
ちなみに、先の記事でも少しお話はしましたが、日本人は欧米人を含む外国人に比べると体格はどうでしょうか?
最近ではよく外国の方も見かけるようになりましたが、身長にしても横幅にしてもかなりの差があるとは思わないでしょうか?
そうです、日本人と外国人には非常に体格に差があると言えます。
そのため、外国人では低身長となる成長ホルモン分泌不全症候群は分かりやすいのですが、もともと小柄で中には低身長の人もいる日本人ではこの病気がわかりにくいこともあります。
もちろん、この病気の診断基準というものは成長ホルモン分泌不全性低身長症の診断の手引きにのっとって行われます。
そのため、怪しい場合には小児内分泌専門とする専門医にしっかりと血液検査などを行いしっかりと診断してもらうことも大切になります。
治療すれば寿命に影響しない
ここからは、小人症の治療について、診断から少し話をしていきたいと思います。まず、病気を診断する上で、必要な情報源として、血液検査、CT、MRI、レントゲン検査などがあります。
血液検査では基本的なデータ以外には、成長に必要となる甲状腺刺激ホルモン、甲状腺ホルモン、性腺刺激ホルモン、ソマトメジンCなどの量を測定します。
レントゲンの検査では骨の発育状況などをみます。またCT、MRIでは全身の状態だけでなく、特に脳の器質的異常がないかなどの確認を行います。
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前の章でも少し触れたように、脳腫瘍などが影響してこの病気を引き起こしている可能性も否定できないので、その辺りの原因を追究するために行います。
では、実際にはどの様な治療を行っていくのかを説明したいと思います。状況によってはステロイドを使用することもあるのですが、ほぼほぼ成長ホルモンを直接注射するのが治療の中心となります。
というのも、病名が成長ホルモン分泌不全性低身長症というくらいですので、成長ホルモンが不足しているので、その分を補ってやるのは当然の発想だとはお分かりになると思います。
まずは、その体重等の情報により投与量を設定し、それを週で数回に分けて注射します。
基本的には毎日皮下注射になりますので、病院に通うのは大変ですので、子供の頃は両親などにしてもらい、ある程度成長し一人でできるようになれば、自分で自己注射という形にはなります。
基本的にはこれがメインの治療とはなるのですが、先ほどからも少し合併症の話をしていると思うのですが、合併症として、たとえば胃が悪かったら胃薬を服用したり、甲状腺の機能が低下する甲状腺機能低下症などを併発していたら、甲状腺ホルモン薬を飲んだりということはします。
つまりまとめますと、メインの治療とその周辺症状の対症療法が治療の中心となってくるといえるのです。
ただし、この病気の場合には、特に日本人にとっても精神面で、人と違うと感じて強いコンプレックスを抱く方も中にはいますので、周りの方や子供を産んだ夫婦も好意をもって協力的に接してあげることも実は大切なことなのです。
まとめ
今回は、小人症(成長ホルモン分泌不全性低身長症)についてお話をしてきましたが、この病気は難病ともなり、ほとんど見かけることはないかもしれません。
また、ここまで記載しました様々な特徴より日本人は比較的この病気が少ないのではないでしょうか?それから、この記事を読んで、少しでもみなさまのためになれば幸いです。
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