朝鮮人参の8つの嬉しい効果!【食べ過ぎても大丈夫?】
<監修薬剤師 藤沢 淳司>
栄養ドリンクやサプリメントでよく見かける「朝鮮人参」ですが、「何となく身体にいいもの」という漠然としたイメージで摂取していませんか?
どうせなら、一体どんな効果があるのか、食べ方にはどんなものがあるのか知っておきたいですよね。そこで今回は朝鮮人参の嬉しい効果について解説します。
そしてやはり気になる、効果があるからと言って食べ過ぎても大丈夫なのかについてもお伝えします。
気になる所から確認してみよう
朝鮮人参とは?
まずは朝鮮人参がいったいどのようなものなのかを解説します。
植物としての朝鮮人参の特徴
朝鮮人参、または高麗人参は「オタネニンジン」というウコギ科トチバニンジン属の多年草です。
「にんじん」とも呼ばれますが、普段私たちがカレーや肉じゃがに入れて食べている人参はセリ科に属するため、呼称は同じでも全く異なる植物です。
原産地は中国の東北地方(遼東)から朝鮮半島にかけての地域と言われ、現在でも中国東北部からロシア沿海州にかけて朝鮮人参は自生しています。
根の部分がまるで人間のような形をしていることと原産地から「朝鮮人参」という名称が根付いたと言われています。なぜ日本名が「オタネニンジン」なのかというと、江戸時代までは朝鮮人参は重要な輸入商品でした。
しかし江戸幕府の将軍、徳川吉宗は農業の活性化に力を入れた将軍としても知られ、様々な作物の育成を奨励しました。
朝鮮人参もその一種で、これまで輸入に頼っていた作物を日本でも育成しようと種と苗を手に入れ、各地の大名に配りました。
この逸話より、「お上より賜った御種(おたね)」という意味をこめて日本ではオタネニンジンと称するようになりました。
朝鮮人参の活用方法
中国・朝鮮半島・日本では古来より「薬」として朝鮮人参は珍重されてきました。主に根を用い、乾燥させて漢方薬(生薬)として使用するのが一般的です。
薬用として使用される朝鮮人参は4年もの栽培期間が必要です。人の手により栽培された物より野生の朝鮮人参の方が薬効は強いとされていますが、現在では天然物はとても貴重になっています。
また朝鮮人参は加工の程度により名称が変わります。
収穫したままの状態の「水参」、根を太陽の力で干しただけの「白参」、皮を剥かずそのまま湯通しした朝鮮人参を乾燥させた「紅参」、濃度の高い砂糖水につけ込んだ朝鮮人参を乾燥させた「糖参」です。
日本薬局方においては、朝鮮人参の根を蒸した状態の物も「紅参」と呼びます。
韓国では生薬として使用するだけではなく、煎じた朝鮮人参をお茶として飲んだり、サムゲタンという料理にも使用します。食べ物だけではなく、石けんに加工することもあります。
日本でも、漢方薬として使う以外にも天ぷらにして食べることもあります。
朝鮮人参以外の生薬についてはこちらを参考にして下さい。
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朝鮮人参の効果
肝心の朝鮮人参が人体に及ぼす効果について解説します。
疲労回復
自律神経を正常に整え、ストレスを解消する効能があるため体力回復に効果を発揮します。
滋養強壮
朝鮮人参に含まれるアルギニンは身体の機能を高め、身体の各部に栄養を行き渡らせる活力の源となる成分です。このアルギニンにより、朝鮮人参を服用すると滋養強壮効果を得られます。
虚弱体質改善
朝鮮人参は消化器官と肝機能の改善に効果を発揮します。特に腸に作用し、蠕動運動を促すため健全な消化活動が促進されます。
また肝機能の改善は肝臓機能の改善を指します。肝臓の毒素やアルコールを体外に排出する機能を高めてくれるため、身体に毒素が溜まることで起きるだるさやむくみを解消してくれます。
血行促進
朝鮮人参には、末端の血行を改善する効能があります。冷え性改善には欠かせない効能ですよね。
またあたためにくい身体の奥まで血行促進されますので、深刻な冷え性が原因の不妊や更年期障害などの性機能障害を改善する効果もあります。
血流を改善する方法についてはこちらも参考にして下さい。
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抗ストレス作用
朝鮮人参は大脳皮質を刺激することで各種ホルモンの分泌を促します。更年期障害など、ホルモン不足に伴う身体の不調を改善するのはこのためです。
また自律神経の乱れも整えるため、抗ストレス作用が期待できます。さらに各種ホルモン分泌は、幸せホルモンとも呼ばれる「セロトニン」にも作用します。
うつ病はこのセロトニン不足に起因する物と考えられますが、朝鮮人参を摂取することにより、セロトニン不足をカバーできます。
さらに認知症を引き起こすタンパク質の分解にも朝鮮人参の成分は関わっています。ホルモン分泌は記憶力にも関わるため、記憶力改善のために服用することも効果があります。
生活習慣病予防
朝鮮人参は血液に含まれる血小板の凝縮を阻害する効果があります。血小板は血液を固める機能があり、怪我をした際にかさぶたが出来るのはこの血小板が機能するおかげです。
しかし血液中に塊(血栓)が出来ると、正常な血流が阻害され心筋梗塞や脳梗塞、生活習慣病やがんの原因となります。朝鮮人参の作用により血栓が解消されるので、これらの病気予防や抗がん機能が期待されます。
また朝鮮人参は腸内で脂質の吸収を妨害してくれます。脂質が過剰に吸収されなくなると血液中のコレステロール値が下がり、動脈硬化を予防することが出来ます。
糖尿病予防
生活習慣病の中でも特に時間をかけてじわじわと身体を蝕むのが糖尿病です。糖尿病はインスリンの分泌に異常が起きる病気で、食べたものを正常に体内で処理できなくなります。
朝鮮人参に含まれるサポニンはこのインスリンに似たはたらきがあり、血糖値のコントロールに効果があると古くから糖尿病コントロールに使用されてきた成分です。
美容効果
朝鮮人参に含まれるサポニンは皮膚の炎症と新陳代謝を活性化させる効能があります。そのため肌のアンチエイジングに効果を発揮し、美肌作りには欠かせません。
また「パナギン酸」という保湿成分や「女性ホルモン様作用」(エストロゲン)により肌の保湿力を高める効果もあります。
食べ過ぎても大丈夫?
嬉しい効果のある朝鮮人参ですが、食べ過ぎによる副作用がないかどうか気になりますね。
朝鮮人参はそもそも副作用が少ない生薬ですが、やはり過剰摂取すると効果が出すぎて副作用のような望まない効果も出てくる場合があるようです。いったい食べ過ぎるとどのような事態に陥るのか解説します。
血行の過剰な促進
造血作用があり、血流をスムーズにする効能がある朝鮮人参ですが、過剰摂取すると血流が良くなりすぎてしまい不眠になる場合があります。
吐き気
冷え性の人には効果の高い朝鮮人参ですが、冷え性ではなくもともと体温が高い人にとっては不眠や吐き気の原因となる場合があります。これは、お風呂に長く入っていると血行が促進されすぎてのぼせてしまう現象と同じです。
躁状態
身体の機能を向上させ、ホルモンの分泌を促すために過剰摂取しすぎると躁状態に陥ることがあります。
朝鮮人参の摂取が体質的に向かない人
「万能薬」として珍重されてきた朝鮮人参ですが、残念ながら効果が裏目に出るために控えるべき人、禁忌とされる人もいます。どんな場合に避けるべきかを解説します。
まずは、高血圧の人です。代謝を促進し血行を改善するため、高血圧の人にとっては症状を悪化させる可能性が高いため避けます。
次に手術を控えた人です。「手術前にスタミナをつけよう」と考えて摂取することはおすすめしません。朝鮮人参の過剰摂取による血圧の上下は手術に悪影響を与える可能性があるからです。
また低血糖気味の人も要注意です。糖尿病気味の人も、朝鮮人参の血糖値引き下げ効果を期待して大量に服用すると低血糖に陥る危険性があります。
血糖値が低い人の症状についてはこちらを参考にして下さい。
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朝鮮人参の嬉しい効果についてお伝えしました。血流やホルモン分泌に作用し、身体を正常な状態に保ってくれる朝鮮人参はまさしく万能薬です。
ただし「薬」の効果があるため、過剰摂取は禁物です。使用上の用法・用量を厳守するようにしましょう。
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