栄養たっぷり!ほうれん草の成分を大公開【効果や食べ方も紹介】
<監修食生活アドバイザー 藤沢 淳司>
色々な料理に登場するほうれん草ですが、実は緑黄色野菜の中でも理想的な栄養バランスを含んだエース的な存在なのをご存じでしょうか。
その優れた栄養バランスは美容、健康、アンチエイジングと幅広い分野で有効です。今回はほうれん草の歴史から種類、栄養、料理法まで詳しく見ていきましょう。
気になる所から確認してみよう
ほうれん草ってどんな野菜?
ほうれん草はヒユ科ホウレンソウ属にあたる緑黄野菜です。
株ごとに雄、雌が分かれているため雌雄異株と呼ばれる野菜ですが、食用時は雌雄の差が影響することはありません。同じ雌雄異株の野菜にアスパラガスなどがあります。
原産は現在のイランにあたるペルシア地方と考えられています。日本には江戸時代に、東洋種と呼ばれる種類が伝わりました。
東洋種とは葉に深く切れ込みがはいった種類で、葉肉が薄く味が淡泊なのが特徴です。
別種に西洋種と呼ばれる種類がありますが、こちらは19世紀ごろに日本に伝わりましたが、味に癖が強かったため、普及するのは品種改良が終わる20世紀前半ごろになります。
現在、市場に多く流通しているのは、一代雑種と呼ばれる東洋と西洋を掛け合わせたほうれん草です。
ほうれん草の旬は冬ですが、東洋種は秋~冬、西洋種は春~夏に種をまくため、この2つを交配し、さらにハウス栽培やトンネル栽培など栽培方法を工夫することで一年中栽培が可能になりました。
一代雑種には2種類あり、東洋よりの剣葉系、西洋よりの丸葉系があります。剣葉系では和食のおひたし、胡麻和え、白和えなど、丸葉系はバターソテーやキッシュ、ポタージュスープなどにおすすめです。
種類ごとの品種名
✅ 東洋種…赤根ほうれん草、日本ほうれん草、次郎丸ほうれん草、角種、う城、京ほうれん草、寒じめちぢみほうれん草など
✅ 西洋種…ピロフレー、黒葉ミンスターランドなど
✅ 一代雑種…リードほうれん草、豊葉ほうれん草、アトラスほうれん草、ミンスターほうれん草、スーパーほうれん草、サラダほうれん草など
ポパイは知っていた!ほうれん草は栄養素の宝庫
ほうれん草に含まれる栄養素は、野菜の中でも多く、βカロテンや鉄分に至っては野菜の中でもトップクラスです。
また日本人に馴染みの料理にも数多く使われているため、毎日の食事に取り入れやすい事も嬉しい点です。
海外アニメでもポパイが元気を出す時に食べる野菜としても馴染みが深いですね。全米ベジタリアン協会では、ポパイはマスコットキャラクターとして親しまれています。
ほうれん草には健康と美容に最適な栄養素がたくさん含まれています。
鉄分
ほうれん草と言えば鉄分、特に貧血の人は進んで食べるように言われる野菜です。確かにほうれん草に含まれる鉄分は、野菜の中でも多い方にあります。
しかし、実はほうれん草の鉄分量は野菜の中でも一番というわけではありません。同じ量で比較してみると、小松菜のほうが鉄分量は多くなっているのです。
それにも関わらず、小松菜よりもほうれん草がオススメされるのはその優れた栄養価にあります。
貧血の症状についてはこちらを参考にして下さい。
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ビタミンA(βカロテン)・C・E、B1、B2
皮膚や粘膜の機能を正常に保つ働きを持つビタミンA、美肌効果・鉄分吸収促進作用のあるビタミンC、強い抗酸化作用を持つビタミンEは老化防止と健康の維持に最適なビタミンと言えます。
また、ビタミンB1には糖質をエネルギーに変換するときに必要な酵素の働きを助け、ビタミンB2は脂質の代謝を促進し、皮膚・髪・爪の再生を助けます。
ほうれん草はこれらのビタミンを豊富に含んでいます。
ビタミンK
ビタミンKには、出血時に血を止める働きがあります。またカルシウムの吸収を助ける作用もあります。
不足すると出血しやすく、とまりにくくなる事があります。
カリウム
カリウムは体内の余分な水分をナトリウムと一緒に排出する作用があります。むくみや高血圧に有効な成分です。
カリウムについてはこちらも参考にして下さい。
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ヨード(ヨウ素)
ヨードは基礎代謝に関係する栄養素です。成長期ならば成長ホルモンの分泌などに関わっているため、必須の栄養素でもあります。
食物繊維
ほうれん草に含まれている食物繊維は水溶性食物繊維です。便を柔らかくする作用があるため、便秘や腹満のある人にぴったりな栄養です。
マンガン
マンガンは体内で働く酵素の構成成分です。酵素は糖質や脂質の代謝、抗酸化作用の補助、骨の形成など様々な場所で活躍しています。
カルシウム
カルシウムには骨や歯の材料となるだけでなく、体内の色々な作用に必要不可欠な栄養です。
主な作用には、筋肉の収縮、イオンバランスの安定、精神安定作用、血液凝固の促進作用、心臓の筋収縮、抗アレルギー作用など多岐に渡ります。
ほうれん草の効能は7つもある
鉄欠乏性貧血
鉄欠乏性貧血は貧血の8割を占めていると言われています。この鉄欠乏性貧血には鉄分の補給が何より重要になってきます。
ほうれん草には豊富な鉄分と鉄分の吸収を促進するビタミンが豊富に含まれています。
美肌・美容、眼精疲労にも
ほうれん草には美容に最適と呼ばれるビタミンACE(エース)がバランスよく含まれています。
粘膜を補修、肌の再生を促し、メラニン色素の生成を予防することでシミ対策になり、抗酸化作用が肌の老化を防ぎます。
また、目に良いとされるビタミンAを豊富に含むことで眼精疲労にも良いとされています。白内障予防にはとりわけほうれん草が有効のようです。
眼精疲労についてはこちらを参考にして下さい。
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ダイエット効果
体についた脂肪を燃焼させるには、体内にある糖質を十分に使用しなければなりません。
ほうれん草に含まれるビタミンB1には糖質をエネルギーに変換する過程を補う作用があるため、脂肪燃焼を効率よく行うことができ、ダイエットに最適と言えるでしょう。
また、ほうれん草に含まれるチラコイドという成分は、満腹中枢を刺激し食べ過ぎを防止する効果があります。
動脈硬化予防
動脈硬化の原因にもなる、高血圧や高尿酸血症の予防には、ほうれん草に含まれるカリウムとビタミンEが有効です。
カリウムにはむくみ予防や尿酸排出効果があります。またビタミンEの抗酸化作用は血管の老化を予防する働きがあります。
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免疫力アップ
ほうれん草の豊富な栄養には、皮膚や粘膜の再生を促進する効果が高いとされ、免疫力アップ効果があるとされています。
また抗酸化作用が病気の予防にもつながります。
うつ病、冷え性にも効果あり
精神の安定に関わる栄養素には、葉酸、ビタミンB6、ビタミンB12が良いとされています。特にほうれん草やブロッコリー、アスパラガスはオススメされている食品です。
また、葉酸は造血ビタミンとも呼ばれる程に血の巡りに関係した栄養素です。葉酸を多く含むほうれん草は、冷え性にも効果があるとされています。
抗アレルギー効果
ほうれん草の研究を進める機関では、喘息を持つマウスにほうれん草のエキスを与えたところ、アレルギー反応が抑制されたという研究結果を報告するところもあるようです。
この結果から、ほうれん草には抗アレルギー効果があると言われています。
ほうれん草の独特の苦味成分で副作用にも要注意
ほうれん草を食べた時に感じる独特な苦味は、シュウ酸という成分が原因で起こっています。
日常的に食べ過ぎない限りは問題がない成分ですが、生で多量に摂取してしまうと骨粗鬆症の悪化や尿路結石の原因となることがあります。
シュウ酸にはカルシウムと結びついて結石を形成しやすいという性質があります。
ほうれん草を食べた時に歯がギシギシザラザラする感覚も、口の中のカルシウムとシュウ酸が反応することで舌触りがザラザラすることが原因です。
このため、ほうれん草を食べる時は、このシュウ酸をできる限り取り除いてから食べる事が望ましいでしょう。
シュウ酸は水溶性の成分のため、水にさらすことで除去できます。さらに茹でる事で80%前後ものシュウ酸を取り除くことができます。茹でるときはたっぷりのお湯で灰汁を出すように茹でることが大切です。
足が早いのが難点。ほうれん草はこうして保存しよう
美味しくて栄養豊富なほうれん草ですが、足が早いのが難点です。冷蔵庫にそのまま入れていたら、しなしなになっていたという事も少なくありません。
ここではほうれん草の長持ち方法と、美味しく保存する方法を見ていきましょう。
1週間前後で使い切る場合
ほうれん草を水洗いした後、濡らした新聞紙で包みます。そのままポリ袋で密封し冷蔵庫へ。この方法で7日前後は瑞々しく保つことができます。
冷蔵庫に入れる時は茎を下に、葉を上にするようにして、立てるように入れるようにしましょう。野菜は土に生えている状態のように保存すると新鮮さが長持ちします。
茹でてから保存
ほうれん草を軽く下茹でし、あく抜きした後、タッパーなど密閉できる容器に入れ冷蔵庫に保存しておくことで、3日程日持ちします。
夏場は傷みやすいため、早めに使い切るようにしましょう。茹でる時に塩を一つまみいれると色止め効果があり、綺麗な緑を保ったまま保存することができます。
冷凍保存方法
水洗いした後、生のまま好みの形に切り、ジップロックなどで密封し冷凍します。下茹でしたほうれん草は家庭用の冷凍庫での冷凍に向いていません。
また冷凍したほうれん草は解凍せず、そのまま沸騰したお湯に入れるようにしましょう。
効果アップにもなるオススメの食べ方6選
ほうれん草に含まれる栄養の中には、脂溶性と水溶性のものがそれぞれ含まれています。このためほうれん草から効率よく栄養を摂るには、短時間湯通しした後、油で炒める方法が一番適していると言えます。
ベーコンソテー
油で炒める事でビタミンAの吸収効率が向上します。
またお肉の中に含まれるビタミンB1はほうれん草にも含まれているため、疲労回復効果が高まります。また、たんぱく質と食べ合わせることで、ほうれん草の栄養が吸収されやすいと言われています
スムージー
加熱や冷凍によって壊れてしまうビタミンを効率よく摂取できる調理法です。
またほうれん草のほかに、リンゴや蜂蜜、小松菜などを加えることでビタミンC、E、鉄分を強化することができます。生のほうれん草は、少量であればシュウ酸を気にする程ではありません。
ほうれん草のおひたし
ほうれん草に含まれるシュウ酸が鰹節中のカルシウムと結びつくため、体内にシュウ酸が侵入しにくい理想的な組み合わせと言われています。
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ほうれん草のキッシュ
卵や乳製品、肉や野菜がふんだんに使われているため、栄養価が高い料理の一つです。
脂質を多く含むため、脂溶性ビタミンの吸収に優れています。卵、ほうれん草に含まれている葉酸とビタミンCは、一緒に食べる事でコラーゲンの合成を促進する作用があります。
牡蠣とほうれん草のパスタ
牡蠣には鉄分、鉄分の吸収を促進する銅が多く含まれています。ほうれん草と組み合わせる事で鉄分強化、貧血対策に最適な食べ合わせと言えるでしょう。
ほうれん草の白和え+くるみ
くるみなどのナッツ類にはビタミンE、脂質が豊富に含まれています。ほうれん草と豆腐と合わせることで、抗酸化作用を強化し、若返り効果が期待できます。
栄養豊富で理想的な野菜と言われているほうれん草は、味わいも淡泊で何にでも合わせられる万能野菜です。
中華料理やイタリアン、和食などジャンルを問わず使用できるため、飽きがきにくい事も魅力の一つでしょう。食材の組み合わせや調理法の工夫で、バランスよく栄養をとっていきたいですね。
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