桃アレルギーの症状はコレ!【3つの治療法で解放されよう】
<監修医師 春田 萌>
桃にアレルギーを持つ人がいると知っていますか?
近年、桃アレルギーだけでなく特定の果物にアレルギーを発症する果物アレルギーが花粉症とともに増加しています。
幼少期に桃を食べると口の中が痒くなったり舌がしびれたり喉がイガイガしたり、そんな覚えがあったらそれは桃アレルギーかもしれません。
軽い症状ならば自然と治ってしまうのですが、それが繰り返されると症状が重くなり命に係わる場合がありますので放っておくと危険なものです。
桃はとても美味しい果物ですが、アレルギーという危険があることも是非覚えて下さい。大人になって発症する場合もありますし子供でも起こることですので、是非この機会に。
桃アレルギーの原因
花粉症
花粉症を発症する人は、桃アレルギーをはじめとする果物アレルギーを発症しやすいと言われます。
果物の中には花粉と類似した構造のタンパク質を持つものがあり、その果物を食べるとタンパク質が疑似反応してアレルギーを発症するからです。
様々な果物で起こるので花粉症の増加とともに果物アレルギーも増加しています。どの果物でアレルギーが発症するかは、どの花粉にアレルギーを持つかで違います。
バラ科の桃にアレルギーを発症する人はシラカバ花粉症の可能性があります。
シラカバ花粉症の方は桃の他にも同じバラ科のリンゴ・ナシ・イチゴや、マタタビ科のキウイなどにもアレルギーを起こす可能性が高く、シラカバ花粉症の約半数が果物に対してなんらかのアレルギーを起こすと言われます。
花粉症の症状についてはこちらを参考にして下さい。
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ラテックスアレルギー
ラテックスアレルギーとは、医療用手袋などに使われている天然ゴムの成分(ラテックス)がアレルゲン(アレルギーの原因物質)となって起こるアレルギー反応です。
ラテックスアレルギーがあると果物アレルギーも起こしやすくなると言われ「ラテックス・フルーツ症候群」と呼ばれます。
ラテックスアレルギーも花粉症の場合と同じく果物に含まれるタンパク質の構造がラテックスに含まれるタンパク質の構造と類似していることで起こります。
ちなみに、アボカド・キウイ・メロン・マンゴー・バナナ・パパイヤ・イチジクなどが「ラテックス・フルーツ症候群」のアレルゲンとなる可能性があると言われ、ラテックスアレルギー患者の約半数が果物アレルギーを併発することが報告されています。
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桃アレルギーの症状
口腔内のアレルギー症状
まず始めの症状として、口腔内症状が表れることが多いです。桃を食べてすぐに口唇にピリピリしびれるような違和感がある、口や喉の奥がイガイガする、口・唇・舌が痒くなる、などの症状があります。
果物アレルギーの場合は、原因となるタンパク質が消化液で分解されることが多いのでアレルギー症状が全身に広がらず口腔内症状だけですむことがあります。
しかし、この症状が繰り返されると最終的に重篤な症状に至る場合がありますので果物を食べて違和感があった方は病院で検査することをおすすめします。
皮膚の赤み・痒み・蕁麻疹
口腔内の次に症状が表れやすいのが皮膚の症状です。皮膚の赤み・痒み、蕁麻疹などの症状があります。
血管の周りにはアレルギーに関係する肥満細胞が存在し、アレルゲンの刺激を受けると肥満細胞が化学物質を放出します。その化学物質の1つがヒスタミンで、血管を拡張させて血管壁に隙間ができるのでヒスタミンが働くと血管から血しょうが漏れ出します。
この血しょうが皮膚を盛り上げることで起こるのが「蕁麻疹」です。また、ヒスタミンは神経を刺激するので強い痒みを伴います。通常、蕁麻疹は数十分から数時間で消えます。
ヒスタミンについてくわしくはこちらを見て参考にして下さい。
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咳や呼吸困難
皮膚の次に症状が表れやすいのが呼吸器です。咳が出る・呼吸困難で息苦しくなる・喘鳴(呼吸時にゼーゼー、ヒューヒューという音が出る)などの症状があります。くしゃみや鼻づまりといった症状が出る場合もあります。
粘膜の腫れで窒息することも
症状が粘膜に出る人もいます。
まぶたや唇が腫れる人が多いのですが、気道粘膜が腫れた場合、その腫れがひどくなると窒息に至ることもあり命の危険がありますので、喉周りが赤くなったり違和感を覚えたらすぐに救急車を呼んでください。こうなった場合、一刻一秒を争う場合があります。
吐き気や腹痛など
アレルギー症状が消化器に出ると、吐き気・嘔吐、腹痛・下痢を起こすことがあります。
とても危険なアナフィラキシー!!
アナフィラキシーは命に関わるアレルギー症状で、とても危険な症状です。
発症後の極めて短い時間に皮膚・粘膜・呼吸器・消化器・循環器など全身にアレルギー症状が表れます。中でも血圧低下や意識障害を引き起こすような命が危険な状態を『アナフィラキシーショック』と言います。
アナフィラキシーを起こした人の1割ほどに見られる大変危険な状態ですので、すぐに救急車を呼んで救急病院へ行く必要があります。
複数のアレルギー症状が見られ、特に以下の3つのうち1つでも当てはまればアナフィラキシーの可能性が高いと言われます。
1.突然(数分~数時間)皮膚や粘膜の症状が表れ、さらに呼吸器の症状か血圧低下などがみられる
2.桃を食べた後(数分~数時間後)、皮膚症状・粘膜症状・呼吸器の症状のうち2つ以上の症状がある
3.桃を食べた数分~数時間後に血圧低下がある
呼吸困難や血圧低下など重篤な症状が出た場合は早急に病院を受診しましょう。できれば救急車を呼んでください。
なお、アナフィラキシーは一度症状が治まっても時間が経ってから再び表れることがありますので、症状が治まっても安心せずに必ず医師の診察を受けましょう。
桃アレルギーの治療法
検査
アレルギーを治療する上でまず大切なことは、検査を行いアレルゲンが何かを特定することです。
既に花粉症だと診断されていて桃を食べて口の中のアレルギー症状を発症した場合や桃を食べる度に口の中のアレルギー症状を繰り返す場合は「口腔アレルギー症候群」と診断されます。この場合、アレルゲンは桃で「桃アレルギー」です。
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食べない
もし、桃アレルギーだと診断されたならばアレルゲンである桃を食べないようにすることが発症を防ぐ一番大切で基本的な予防になります。そもそもの原因を断てばアレルギーは起こりません。それが好物の方には大変なことではありますが我慢してください。
抗ヒスタミン薬・ステロイド薬の服用
残念ですが、アレルギーを治すこと現段階ではできません。ですので、病院での治療法は症状を薬などで暖和する対症療法となります。
症状が頻繁に出るようなら、定期的に抗ヒスタミン作用のある抗アレルギー薬を服用してアレルギー反応を抑えます。
アレルギー症状がすでに出ている時は、すぐに抗ヒスタミン薬やステロイド薬などを使って症状の進行を抑えます。アレルギーが軽症なら1時間ほどで症状は治まります。
点滴治療
アレルギー症状が重症の場合は点滴治療が必要になります。点滴治療は総合病院の救急外来で厳重な監視の下で行われることが多いです。
食べ方
果物アレルギーでも、加熱したら食べられる、ということが言われます。
実際、アレルギーは生の物を摂取した場合が多く発症し、加工した物(缶詰・ジャム)や加熱処理したものを食べた時にはアレルギー症状が出ない場合もあります。
アレルギーをアレルゲンとなるタンパク質が加熱処理で変化することで反応しなくなるからです。しかし、加工状態や個人差もあり、絶対大丈夫とは言えませんのであまりお勧めはできません。
最後に
桃が好きな方が桃アレルギーのために桃が食べられなくなるというのはとても悲しいことです。しかし、上述したようにアレルギーは命に係わるとても危険なものです。桃を食べると違和感がある方は病院で検査を受けてください。そして、正しい対処をしましょう。
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