気管支炎の症状チェック!大人と子供で治療法違う?
<監修医師 WASHIO>
「やけに長引く風邪だ、イヤだなあ」と思っているその症状、もしかしたら気管支炎なのかも知れません。
そこで今回は気管支炎の症状をチェックするポイントと、その治療法をご紹介します。
また気になる「大人の気管支炎」と「子供の気管支炎」についても比較してみました。参考にご覧下さい。
気管支炎はこんな病気
気管支炎(きかんしえん)とは、気管支に炎症が起きる病気です。気管支とは肺の中の空気の通り道 にあたります。
年齢に関係なく発症する病気ですが、特に幼い子供は一度発症すると重症化しやすい傾向があり、注意が必要です。
そして一口に気管支炎と言っても、大きく「急性気管支炎」と「慢性気管支炎」に分類され、さらにその原因はまちまちです。
どんな気管支炎があるのかは、以下に示すとおりです。
急性気管支炎
突然前触れなく発症する気管支炎です。その原因の多くはウイルスの感染です。
急性気管支炎を引き起こすウイルスはRSウイルス、コロナウイルス、インフルエンザウイルス、アデノウイルス、ライノウイルスなどが挙げられます。
またウイルス以外にはクラミジアやマイコプラズマが原因となる場合もあります。
慢性気管支炎
慢性気管支炎は気管支炎の症状が慢性的に出る場合を指します。
どれくらいの期間を「慢性」と呼ぶのかというと、3か月以上続く咳があり、それが2年以上続き、肺がん等の他の病気がない場合、慢性気管支炎と診断されます。
また慢性気管支炎は肺気腫(はいきしゅ)を併発している場合が殆どです。
肺気腫とは、最近では男性の死亡原因でも五本の指に入るほどメジャーな病気です。
なんと喫煙者の20%が肺気腫になると言われてます。
肺気腫は慢性閉塞性肺疾患(まんせいへいそくせいはいしっかん)通称COPDの一種で、慢性気管支炎も同じ一種です。
気管支の慢性的な炎症に加え、肺の肺胞が壊れている状態になります。
ただしタバコを吸わないひとでもかかる可能性のある病気ですので、油断は禁物です。
気管支炎症状のチェック
咳が続く
気管支炎の最大の特徴は「激しい咳が長い期間続く」ということです。慢性気管支炎の場合は、咳が3ヶ月以上続きます。
急性気管支炎であっても激しい咳が続きます。
通常風邪をひいた場合、症状の進行とともにやがて咳は治まり別の症状が出たり治ったりするものですが、
急性気管支炎の場合はしつこいくらいに激しい咳が出ます。
また「ヒューヒュー」「ゼーゼー」といった喘鳴(ぜんめい)が聞こえる場合もあります。
もしも家族や友人にいつもと違う呼吸音の人がいたら一度医療機関で診察することをオススメした方が良いでしょう。
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痰が出る
咳と併発するのが痰です。気管支炎は痰が絡む咳が続き、放置していると気管に痰が詰まりやすくなり、呼吸困難に陥る場合もあります。
そもそも痰は気管にある異物を排除するために発生する物で、これを体外には排出するために咳が出ます。
痰が出ると言うことは、体内の免疫機能が正常に働いている証拠なので、
痰を抑制しようとするよりは、積極的に促すことで治癒を早めようとする治療方法がとられます。
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発熱がある
急性気管支炎の場合、発熱を伴う場合があります。
必ずしも発熱するというわけではありませんが、40℃近くまで発熱することもあります。特に小さな子供に発熱は多く見られます。
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胸が痛む
咳や痰の症状が原因となって胸が痛む場合があります。激しい咳が続くと人によっては肋骨を疲労骨折する場合もあります。
原因は咳なので、咳の症状が治まると胸の痛みも治ります。
ただし疲労骨折を起こしている場合は、気管支炎の完治後もしばらく痛みが続きます。
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食欲不振、脱水症状、全身の倦怠感
炎症の症状によっては、食欲がなくなります。食欲がないと脱水症状に陥りやすいので特に注意が必要です。
また人によっては全身の倦怠感やだるさがあり、典型的なインフルエンザに似た症状が出る場合があります。
大人の気管支炎の治療方法
気管支炎にかかったら、どんな治療が必要になるのでしょうか。
免疫力を高める
気管支炎の治療方法ですが、基本的には対症療法を行います。気管支炎を治す専用の薬という物は存在しません。
炎症を直接治すのではなく、炎症の原因となったものを治療するのです。
急性気管支炎の場合、原因はウイルス感染であることが殆どですから、ウイルスに対抗するための免疫力を高める治療になります。
咳や痰といった症状が辛い人には咳止めや痰を促進する薬や去痰薬が処方されることもあります。
禁煙
慢性気管支炎患者で喫煙癖がある人の場合は、まずは禁煙となります。ただし禁煙の効果は数ヶ月ではでません。
数年間は様子を見る必要がありますので、長く治療を続ける根気が必要になります。
アレルギーの原因を特定する
ウイルスや喫煙が原因となる気管支炎についてご紹介しましたが、気管支に炎症が出来る原因は他にもあります。
それがアレルギーです。アレルギー性気管支炎を引き起こす原因としては食べ物、化学物質、ハウスダスト、ペットの毛、ダニ・カビ、花粉など実に様々です。
まずは症状を引き起こす原因となるアレルゲンを特定しなければ治療が出来ませんから、
何に対しアレルギー反応を起こすのか調べます。
調べるためには医療機関を診察するしかありません。
以上、気管支炎の主な治療方法をご紹介しました。気管支炎治療方法は人により様々で、完治するまでの期間も個人差があります。
まずは気管支炎であることを自覚し、医療機関を診察してから原因を特定する必要があるのです。
子供の気管支炎の治療方法
では、子供の気管支炎の治療法は何か大人と違う点があるのでしょうか。
基本的には同じ治療方法がとられますが、子供の気管支炎は喘息を起こしやすくなっています。
そのため喘息を防ぐために、気管支を広げる措置を取ることがあります。一般的には気管支の張り薬を服用する方法がとられます。
また子供は大人と違い、なかなか身体の不調を言葉にして訴えることが出来ません。
ですから気管支炎にかかった場合、同居する家族がよく症状を観察する必要があります。
特に気を付けておきたい点をまとめてみましたのでご覧下さい。
環境を整える
湿度管理を行う
空気が乾燥していると、呼吸器に負担をかけます。
気管支炎にかかると気管支に炎症ができるわけですから、空気が乾燥しているとなかなか炎症が治りにくくなります。
室内の湿度が65%くらいになるように加湿器を活用しましょう。加湿器の導入が難しい場合はマスクを着けるだけでも効果があります。
室内を清潔に保つ
アレルギー性気管支炎の場合、ほこりやダニ・カビは大敵です。
部屋の空気を入れ換えたりこまめに部屋の掃除をするなどして、清潔な環境を取り戻しましょう。
気管支炎に限らず、アレルギーは健康の害になります。常に室内の清掃に気を配ると健康を維持できますよ。
気道を確保する
痰の絡む咳が出る気管支炎は、呼吸困難を引き起こしやすいです。小さな子供は特に自分では対処方法が分かりません。
痰が酷い場合は、眠っている場合でも上体を起こしておきましょう。仰向けに寝かせると、痰で気道が塞がる場合があります。
また背中や胸を「とんとん」と叩いてあげると、痰がスムーズに切れます。
風邪と症状が似ているため見逃しがちな気管支炎ですが、激しい咳が長期間続くのが特徴です。
また呼吸音も通常とは異なるので、「おや」と思ったら医療機関を受診しましょう。
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治療には時間がかかるので、なるべく早い段階で医療機関を受診し治療を開始することをオススメします。
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