爪の黒いものってまさかカビ?!【治療、原因を詳しく解説】
<監修医師 まっちゃん>
いつもは薄いピンク色の爪。しかしこの爪が黒く変色したことはありますか?黒い爪に隠された病気や原因について解説します。
気になる所から確認してみよう
爪の仕組み
変色した爪の前に、爪の構造について説明します。
実は皮膚が角質化したもの。つまり、固くなった皮膚の一部です。
皮膚の下の根元の部分を爪母基(そうぼき)といい、ここから新しい爪が生えてきます。また皮膚から出ている部分を、爪甲(そうこう)と言います。
爪甲の部分をもう少し詳しく説明します。
爪の一番先の部分。白いところが爪先(そうせん)。また、遊離縁(ゆうりえん)とも呼ばれています。薄いピンク色で、皮膚と爪が付いている部分が爪床。
爪甲の両サイドにある、指の皮膚の部分を爪郭。ささくれが起こりやすい部分の一つです。
根元にある、白っぽい部分を爪半月。角質化する前の爪です。いわゆる、甘皮と呼ばれるのが、皮膚の境目にある薄い角質で覆われているのが爪上皮です。
爪の成分は主にタンパク質の一種、ケラチンでできています。また、角質化していますが、約10~15%は水分を含んでいます。
爪が黒くなる6つの病気
黒い爪には6つの病気の可能性が。一つずつ紹介していきます。
爪白癬(つめはくせん)
爪白癬とは、爪の水虫の事。白癬菌(はくせんきん)と呼ばれるカビに感染して起こります。有名なのが、いわゆる水虫。足に感染すると、足白癬と呼ばれます。
爪白癬は、足白癬の末期症状とも呼ばれているほど、重症化しています。
初期では、爪がもろくなったり、逆に厚くなりますが、痒みや痛みなどの症状は現れません。放置していると、じきに爪の色が茶色や黒く変色してきます。
メラノーマ
メラノーマとは、悪性黒色腫の事で、皮膚の癌の中でも頻度が高く、死亡する可能性の高い腫瘍の一つです。
メラノーマには3つの分類がありますが、その中でも末端黒子型黒色腫(ALM)と呼ばれる分類は、手足の爪が好発部位であり、日本人で多い型です。
初めは薄い褐色班ができ、次第に拡大し、指が動かなくなっていきます。
アジソン病
副腎皮質の機能が低下するとアジソン病とよばれる病気になります。
この病気の主な症状は、倦怠感や食欲の低下。低血圧や低ナトリウム血症など、血液の症状。発熱や脱毛が起こります。
また、皮膚の色素沈着が見られます。アジソン病は特に爪が特徴的です。複数の手足の爪に黒い線が現れます。また、爪の他にわきの下や腰、肘などにも色素沈着が見られます。
症状についてくわしくはこちらを見て参考にして下さい。
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ボーエン病
ボーエン病とは、皮膚の表皮内部にできる癌の一種。このボーエン病が爪にできることがあります。
アジソン病のように、黒い線(色素線状)が見られます。そのほかに、爪床にささくれや固くなるといった症状や 爪が下から押し上げられ、取れてしまうこともあります。(爪甲剥離)
爪甲下血腫
爪甲の下に血腫ができると、黒く見えます。他の疾患と違うのは、急に出現することです。また、爪白癬などで弱くなった爪に、外的刺激を受けると出血しやすくなります。
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ほくろ
足の親指に多くみられるのが、ほくろです。ほくろの場合、病気ではなく、メラニンの色素沈着です。
しかし、ほくろとメラノーマの鑑別は皮膚科医でも難しいため、素人判断は禁物です。
爪にカビ!原因はコレだった
ジェルネイルやスカルプを行っている人なら一度はグリーンネイルという言葉を聞いたことはありませんか?
このグリーンネイルは爪カビが原因によっておこります。
グリーンネイルとは
そもそも、グリーンネイルとはどんな症状のことを言うのでしょうか?原因は緑膿菌による感染です。ジェルネイルと爪の隙間から緑膿菌が入り増殖するために起こります。
症状
痛みなどの自覚症状は全くありません。
感染の度合いが軽度であれば、うっすら白く爪甲が変色するていどなのですが、重度になると緑膿菌が広範囲に広がり、緑色に変色します。また爪甲剥離が起こることもあり注意が必要です。
爪が白くなる場合はこちらを確認して下さい。
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緑膿菌とは
もともと、水回りに常在している常在菌です。健康なら心配ありませんが、免疫力が低下していると全身の感染症に悪化する可能性があります。
黒い爪は結構怖い!細菌感染の危険性
グリーンネイルや爪白癬など、爪は細菌感染にかかるリスクが高い場所です。
細菌の種類
爪カビになる細菌は、白癬菌や緑膿菌が多いですが、カンジタ菌でも起こります。
感染経路
ネイルが原因の場合、一部のネイルが剥がれ、その隙間が感染の原因になります。隙間に水が浸入し、乾燥されず湿ったままだと、緑膿菌が繁殖しやすいです。
また、カンジタ菌では、爪上皮(甘皮)を削りすぎることによって、感染します。
爪上皮を取り除くと溝ができ、そこにカンジタ菌が増殖してしまいます。さらに爪甲を削りすぎることでも起こったり、接触皮膚炎(かぶれ)によっても感染する恐れがあります。
ネイルを行う上で大切な、プライマーやリムーバーなどの溶剤、または接着剤でもかぶれてしまったところから感染してしまう場合もあります。
症状
1.爪の変色・・・グリーンネイルの場合は薄黄色から緑。緑から黒へ。
2.爪が弱くなる・・・爪割れや折れやすくなります。また、弱くなっている爪が剥がれること(爪甲剥離症)や壊死が起こります。
放置せずに早期治療が大切
爪カビは放置しても治らず、むしろ悪化します。見つけたら、早期治療をするために皮膚科へ受診しましょう。
皮膚科では、カビに感染していないきれいな爪になるまで抗菌剤塗布を塗布していきます。場合によっては、血液検査等で状態を観察しながら抗生剤を服用します。
治療期間は、症状にもよりますが、一般的には約2か月以上かかることが多いです。皮膚科へ受診する前には、しっかりネイルオフしておきましょう。
キレイな爪を目指そう
美爪と呼ばれるために、普段からできることや気を付けることはあるのでしょうか?
栄養素の補給
きれいな爪となる栄養素は
1.ビタミンA・・・爪の主な成分ケラチンを作るのに欠かせない栄養素です。
2.ビタミンB2・・・皮膚や粘膜など、保護として働く組織を作ります。また、爪の細胞の再生化する働きがあります。 3.ビタミンE・・・血行を促進し、爪に潤いや艶・弾力を与えます。 4.鉄分・・・体内に酸素を運ぶ働きがあります。爪の再生化に欠かせません。 |
清潔感を保つ
カビを増殖させないためには、清潔に保つ必要があります。手や足の除菌だけでなく、爪切りややすりなどの道具の消毒も。消毒が難しいものであれば、使い捨てが好ましいです。
また、やすりで削った爪のカスや粉瘤にも菌は存在します。爪を切るときは、粉瘤が飛び散らないような工夫も必要です。
乾燥させない
爪には水分が含まれていますので、乾燥してしまうと、爪が弱くなります。爪を乾燥させないために、ハンドクリームなどで指先までマッサージをし、爪の乾燥を防ぎます。
ハンドクリームやオイルを付けた後、ゴム手袋等でパックするのも良いですね。
ジェルネイルのオフは信頼できるサロンやネイリストに頼む
自分でジェルネイルをオフすることで、傷口を作ってしまうこともあります。お金がかかるかもしれませんが、きれいな爪を保つにはオフもプロフェッショナルに頼むほうがいいでしょう。
爪は健康のバロメーターでもあります。黒い爪を見つけたら、早期治療を行うためにできるだけ早めに皮膚科を受診しましょう。
爪に黒い縦線が入る場合はこちらを参考にして下さい。
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