生理前の寒気がひどい【妊娠の兆候を見逃さないで!】
<監修医師 Dr.masa>
生理前には様々な不調を感じることがあると思います。これは人により様々で、身体的にも精神的にも不調が現れやすくなります。
今回は生理前になると寒気を感じやすくなる原因や、その寒気が妊娠の兆候である可能性、また寒気の改善方法なども合わせてご紹介します。
生理前の寒気がひどい原因
女性ホルモンの影響
生理をコントロールしているホルモンは2種類あります。一つは卵胞ホルモン(エストロゲン)、もう一つは黄体ホルモン(プロゲストロン)です。
この二つがバランスよく働くことにより、生理や妊娠、出産が行われます。
女性の生理周期は、月経期・卵胞期・排卵期・黄体期に分類されます。基礎体温は月経期と卵胞期に低温期となり、排卵後から黄体期には高温期となります。
この温度調整には黄体ホルモンが関係しており、黄体ホルモンが分泌されると体温が上昇します。これは子宮内部に着床した受精卵の成長を促進させるために37℃前後の環境が必要となるからです。
生理が近づくにつれ徐々に黄体ホルモンの分泌量は減っていきます。このとき高温期と低温期の差は約0.3℃〜0.5℃だと言われています。わずかな差に思えますが、この温度差で一時的に寒さを感じるようになります。
エストロゲンについてくわしくはこちらを見て参考にして下さい。
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血流の悪さ
黄体ホルモンは体温の上昇を助けますが、同時に新陳代謝を低下させる作用も持ち合わせています。これは血流が悪くなり、いわゆる冷え性のような症状が生じます。
子宮内の環境を整えるために温度を上げるので、末端の血流が滞り、むくみやすくなり冷えを感じやすくなります。普段から低血圧気味の方は特に黄体ホルモンの影響を受けやすく、起立性低血圧などの症状が現れやすいと言われています。
自律神経の乱れ
自律神経は活動に作用する交感神経とリラックス状態に作用する副交感神経からなっています。
この両者の安定したバランスにより身体の調子が保たれています。このバランスがストレスや生活習慣の乱れなどで崩れると体温調節の機能がうまく果たせなくなり、寒気が生じたり逆にほてりを感じることがあります。
また免疫力の低下にもつながり、その結果風邪を引きやすくなったり、身体のだるさや頭痛、吐き気、めまい、立ちくらみ、脳貧血など様々な症状を引き起こします。
貧血では、全身に酸素を運搬する赤血球や赤血球中のヘモグロビンが不足し、十分に酸素供給が行き渡らず体温が下がることもあります。これは体内に酸素を取り込み、脂肪や糖質などを燃焼することで体温を保つという働きができなくなるからです。
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自律神経と女性ホルモンは大脳の視床下部を中枢としており、そのためどちらかが崩れればその影響を受けてもう一方に何らかの影響が生じてきます。
自律神経の乱れとホルモンバランスの乱れによる不調を明確に区別することは難しいですが、特に生理前に起こる上記のような不調を総称して月経前症候群(別名:PMS)と呼んでいます。
生理前の寒気は妊娠の可能性アリ
ゾクゾクする風邪様の症状
妊娠超初期には体温上昇作用を持つ黄体ホルモンの影響を受け、高温期が続きます。
通常であれば低温期になり生理が始まりますが、妊娠時は受精卵の成長促進のため高温期が続き、卵胞ホルモンの分泌量も増えて妊娠を継続するための働きが強まります。そして妊娠16週が過ぎ胎盤が機能し始めるころに低温期へと戻ります。
高温期になぜ寒気を感じるかというと、自分の体温に比して周りの温度が低いため風邪の引き始めのような悪寒を感じるのです。そのため妊娠の可能性がある場合は、妊娠超初期症状なのか風邪であるのか注意しておく必要があります。
これは基礎体温表に普段から自分の基礎体温を記入しておくことである程度把握することが可能です。加えて、妊娠検査薬でチェックを行ってみると良いでしょう。
高温期についてはこちらを見て参考にして下さい。
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クラクラするめまいを併った寒気
妊娠すると赤ちゃんへ酸素を送るため必然的に血液成分の液体成分量が増えますが、酸素を運搬する赤血球数が変わらないため血中のヘモグロビン濃度が薄まることで鉄分不足となり貧血状態になります。
それによりめまいや立ちくらみが誘発され、酸素量の少なさから体温調節がきちんと行われず寒気を感じます。
つわり症状
妊娠4週頃から始まります。匂いに敏感になる、味覚の変化に加えて、身体のだるさや寒気、吐き気や嘔吐などの消化器症状も現れます。
これにより食べ物の摂取量が減り十分なカロリーが摂れなかったり、喉越しの良いものを欲して冷たいものばかりを口にすることで内臓が冷えて寒気が増強することもあります。
生理前の寒気がひどいときの対処法
ホルモンバランスを安定させる
十分な睡眠とバランスの良い食事を摂ることでホルモンバランスは安定します。
生理前など特に乱れやすいときには、ストレスを感じやすく暴飲暴食に走りやすいため意識的に気をつけることが大切です。
湯船にゆっくり浸かったり、アロマオイルでヒーリング効果を得るなど、交感神経と副交感神経のバランスを整えることも必要です。
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身体をあたためる
重ね着や、カイロ、湯たんぽを活用し、とにかく身体を冷やさず温めるようにします。
特に腰付近を温めると楽になることが多いようです。手首や足首、首元などの冷えは全身の冷えに繋がりやすいため、就寝時にタオルを巻いたり靴下を重ね履きすることで、身体を冷やさないようにすると良いでしょう。
温かい飲み物を摂取することも効果的です。その際には熱すぎる飲み物は避け、温かい飲み物にすることがポイントです。熱すぎるものを摂取して汗をかいてしまうと、逆に身体が冷えてしまうからです。また生野菜やカフェイン、アルコールなどは身体を冷やす食べ物となるので、摂取を控えるようにすると良いでしょう。
栄養バランスを考えた食事を摂る
身体が冷えていると不足しがちな栄養素はたんぱく質、ビタミンB群、ビタミンC、ビタミンEです。これらを摂取するとともに、さらに身体を温める食べ物と冷やす食べ物を知っておくと、普段から冷えに対して注意した生活ができると思います。
食べ物には陽の食材と陰の食材があり、陽の食材は身体を温めるもの、陰の食材は身体を冷やすものとなります。以下に代表的なものをあげておくので、栄養素と掛け合わせながら日々の食事に取り入れてみてはいかがでしょうか。
✅ 陽の食材(一般的に寒い地域でよく採れるもの)
人参、自然薯、ごぼう、ふき、鯛、アジ、マグロ、ぶり、さば、かぼちゃ、玉ねぎ、レンコン など
✅ 陰の食材(一般的に暑い地域でよく採れるもの)
ナス、トマト、ジャガイモ、にんにく、パイナップル、イチジク、ぶどう、唐辛子、ピーマン、アボカド など
血流の改善
軽いストレッチを行うことで、筋肉が刺激され血行不良を改善することができます。
同じ姿勢で過ごすことの多い方は特に血液循環が悪くなり、冷えを生じやすくなります。また黄体ホルモンの働きにより血流が滞っている場合も軽い運動を行うことで、血流改善が期待できます。
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