生理前の腰痛がひどい【6つの原因を知って対処しよう!】
<監修医師 ゆまこ>
毎回、生理前には腰痛に悩まされている。ひどくて歩けない程の生理痛、腰の痛みだけでなく下腹部痛や頭痛もする。
などなど生理の悩みは人それぞれです。いつも起こるからといって放っておいて大丈夫でしょうか?
生理のトラブルは原因がわかれば自分でも対処できるものからすぐに治療を始めたいものまでさまざまです。
今回は特に生理前の腰痛についてお伝えしていきます。
生理前の腰痛がひどい原因
生理前の腰痛と一口に言っても症状は多岐にわたります。腰の右側または左側が痛いかで原因も変わってきます。
痛いというより重い、足の付け根が痛い、胃痛、吐き気を伴う場合など症状が一つではない事も多いですよね。
まずは原因を見ていきましょう。
急激なホルモンバランスの変化による腰痛
生理の時期には急激なホルモンバランスの変化が起こります。生理期に入ると、骨盤が開き経血を排出しやすくします。
リラキシンという卵巣ホルモンの一種がこのとき分泌される事により骨盤が開きやすくなります。
リラキシンは、関節を緩める働きがあり、骨盤が緩み、周りの筋肉に負担を腰に痛みが出ると考えられます。
さらにプロスタグランジンというホルモンの過剰分泌も腰痛を引き起こします。
プロスタグランジンは子宮の収縮を促すホルモンです。このホルモンには痛みを感じやすくさせる作用もあるため過剰に分泌されると腰痛がひどくなったように感じます。
なぜ、過剰分泌されるのかというと、骨盤内の血行不良がおこると、経血のながれが滞ります。
そこでさらにプロスタグランジンを分泌して経血の排出をスムーズにしようとします。
ですから血行不良が根強いほどプロスタグランジンが過剰に分泌される可能性があります。
骨盤内の血行不良は、姿勢が悪いことや運動の癖などによる骨盤の歪や身体の冷え、筋肉の緊張からも引き起こされます。
また、プロスタグランジンの過剰分泌は、下痢や吐き気をもよおしたり、実際に嘔吐してしまうこともあります。
異常な眠気を感じる人は、ホルモンバランスによるという説と血中の栄養が子宮に取られてしまうという説があります。
その他のホルモンバランスが原因と考えられる症状については、こちらを見て参考にして下さい。
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子宮内膜症
子宮内膜症とは、子宮内膜の組織が本来は子宮の中にできるところ、卵管や卵巣といった別の場所に出来てしまう病気です。
子宮以外の場所に出来ても月経期には剥離し出血します。
ところが、この内膜と血液を体外に排出することができないため、体内にとどまり他の臓器に癒着してしまいます。癒着がおこると、炎症や痛みが起こります。
癒着の場所や程度、大きさにより症状が違いますが、激しい生理痛が生理を重ねるごとに強くなっていく症状が多いです。
だんだんと痛みが悪化していくので気が付きにくいかもしれませんが、いつから痛みが出たのだろう?
いつもよりひどいかもしれない、と以前のことをよく思い出し、痛みが増しているようなら疑った方がよいかもしれません。
その他にも過多月経、排便痛、排尿痛、不正出血、性交痛、腹痛、腰痛がおこる可能性があります。
子宮筋腫
子宮筋腫は、子宮を構成する平滑筋の細胞が増殖して良性の腫瘍が出来てしまう病気です。
腫瘍の場所により、粘膜下筋腫、筋層内筋腫、漿膜下筋腫に分けられます。
原因がまだはっきりと解明されていませんが、女性ホルモンが影響しているとされています。これにより腰痛が引き起こされることがあります。
症状は、過多月経、不正出血、貧血、動悸、息切れ、頻尿、便秘、下腹部痛、など様々です。
決定的な症状がないため自覚し難く発見も遅れがちです。
良性の腫瘍のため緊急を要することはあまりありませんが、手術が必要になるケースもあります。
卵巣嚢腫(らんそうのうしゅ)
卵巣のう腫は、卵巣に良性の腫瘍が出来る病気で腫瘍が大きくなるにつれて腹壁が引っ張られた状態となり腰痛の症状が出ることがあります。
体重は変わらないのにおなかが出ている(お腹の張りがある)、下腹部痛などの症状もでます。
くわしい症状についてはこちらを見て参考にして下さい。
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更年期障害
ホルモンバランスの崩れにより起こる身体、精神上の症状をまとめて更年期障害と呼びます。更年期とはこの閉経前後のことです。
更年期障害はホルモンバランスの乱れからくるもので、更年期ではない若年性更年期障害や、男性にも起こり得ます。
症状は、ほてり、のぼせ、胸の痛み(乳房の痛み、動悸)、脈が早い、汗が多い、めまい(ふらつき、耳鳴り)、倦怠感(身体がだるい)、
ふとる・やせる、むくみ、冷え、頭痛、頻尿、尿漏れ、抜け毛、薄毛、イライラ、気持ち悪い、不安、鬱(うつ)、不眠、急に記憶力が低下、生理不順、不正出血、肩こり、手足のしびれ、腰痛などです。
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他の内臓の病気
腰の右側のみに痛みを感じる場合は肝臓、すい臓、上行結腸(大腸の右側の便が上っていくパート)、虫垂炎の病気が、
左側のみに痛みを感じる場合は、胃、膀胱、脾臓の病気が疑われます。
病気というほどではなくても、内臓の不調は、内臓体表反射と呼ばれる現象により身体の表面に痛みや筋肉の収縮として現れます。
これが生理前後は強く表れると腰痛として現れることになります。ひどい場合はもちろん内臓の治療が不可欠です。
また、子宮の収縮運動が腸を刺激してしまうので、生理中はおならが止まらないといった症状が出ることもあります。
生理前と妊娠の腰痛の違い
生理前の腰痛は何日前から痛みが出るのが普通なんでしょう?という疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
生理の2週間まえくらいから生理痛の可能性があります。ですから腰痛もその前後から出るものは生理による影響とみることもできます。
そして生理開始2~3日後ぐらいまで続きます。
対して、妊娠初期による腰痛は生理予定日ごろに始まり骨盤あたりから腰全体にじんわりと痛みが広がっていきます。
人によっては足の付け根がピリピリとした痛みが出ることもあります。
もともと腰痛がある人はいつもの腰痛と場所や感覚に違いを感じるかもしれません。ですから、生理前と妊娠の違いを腰痛だけで見分けるのは困難といえるのではないでしょうか。
ひどい生理前の腰痛を緩和する方法
今度は、ひどい生理前の腰痛が実際に出たときに自分でできそうな対処法を見ていきましょう。
痛みを和らげる薬を飲んでもあまり改善しない、または薬を飲むことに抵抗がある方はぜひ覚えて置いて実践しましょう。
症状がひどいときには早めに病院にかかるようにしましょう。
温かい飲み物を飲む
前述の生理前の腰痛の原因がどれにあっても、腰痛には血行不良と冷えがつきものです。
温かい飲み物で身体の中から温めることは有効です。
カフェインは身体を冷やしてしまうのでノンカフェインの飲み物がいいでしょう。ハーブティーが特にお勧めです。
中でも、ラズベリーリーフやカモミールは血行の促進に有効です。生姜湯や黒豆茶もよいでしょう。
冷えに効く漢方薬もあるので漢方が得意な薬局に相談するのもいいかもしれません。
お風呂に入る
入浴で全身を芯から温めることも有効です。熱いお湯で短時間浸かるよりも、ぬるめのお湯で長時間浸かる方が効果が高いです。
湯船につかりたくない時は足湯で温まりましょう。
風呂桶などでも効果は得られますが、足湯専用の容器は保温力が高いので長時間浸かる事が出来てより効果的です。
生理前の腰痛を改善する予防法
どうせなら、腰痛が出ないように改善したい・予防したいですよね。つらい生理前の腰痛を改善する予防法を見ていきましょう。
食事に気を付けて身体を冷やさない
スナック菓子、ファストフード、カフェイン、白砂糖、アイスクリーム、冷たい飲み物、肉類、乳製品などの食べ物は、身体を冷やしやすいのでなるべく取らないように心がけます。
服装に気を付けて身体を冷やさない
薄着、下半身が冷えやすい服装、サイズが小さい、締め付け感のある物、すべてのシーンでなくともせめて寒い季節や、冷房のなかに長時間いることがわかってるときは対策を講じましょう。
姿勢に気を付けて骨盤を歪ませない
長時間同じ姿勢でいたり、前傾姿勢や猫背、足を組む癖は骨盤を歪ませやすいので気を付けます。
どうしても、そのような姿勢になってしまう時は、こまめに動くようにするだけでもよいでしょう。
骨盤傾斜の対処方法についてくわしくはこちらを見て参考にして下さい。
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