男性に多い回避依存症の付き合い方・別れ方【克服法も詳しく解説】
<監修医師 豊田早苗>
あなたの周囲に以下の特徴を持つ人はいませんか?
✅ 常に複数の異性と関係を持っている人
✅ 一人の人間と親密な関係を保持できない人
✅ 性的関係が非常にルーズな人
これらの特徴を持つ人が身近にいるようなら、その人は回避依存症かもしれません。
今回は、世間でもあまり認知されていない回避依存症についてと、その特徴、付き合い方について見ていきます。
気になる所から確認してみよう
回避依存症とは
回避依存症は、幼少期の環境や過去のトラウマが原因で起こってしまう依存症の一種です。
その特徴は「対等で親密な人間関係を構築することを回避する」傾向が強いため、恋愛において
✅ 複数の人と性的関係を持つ
✅ 支配的な上下関係を強制する
✅ 金銭や肉体関係のみの関係
といった傾向があります。
このため回避依存症の人は、一見すると魅力的で異性にモテているという印象を他者に与えますが、実際は一人と深い関係を築けないために乱脈的に性関係を持っているという場合がほとんどです。
しかしこれらの特徴は、裏を返せば親密な人からの裏切りを極度に恐れているために起こる行動なのです。
本心では仲良くなりたいと考えているのですが、裏切りや捨てられる事への恐怖から他者との間に壁を作ってしまっています。
回避依存症の原因は、幼少期の家庭環境が複雑だった、両親が不仲、愛された経験があまりない、溺愛・過保護だったという経験から「無償の愛への不信感、不安感」が起こります。
また、過去に信じていた人からひどい裏切りの経験がある場合などにも回避依存症に陥ってしまう事があります。
4つの回避依存症のタイプを詳しく解説
回避依存症には、その特徴から4つのタイプに分ける事ができます。それぞれの傾向や特徴を見ていきましょう。
脱走者タイプ
このタイプは束縛を何より嫌います。親しい友人や恋人にも、自身の事をあまり話そうとしないため、相手からは「謎が多い人」という印象を受けている事が多いようです。
突然連絡が取れなくなった、音信不通、ドタキャンなどをしやすいのもこのタイプです。
特にこのタイプの人にスケジュールを細かく聞いたり、何かを要求したりすると煩わしさから連絡を断とうとする傾向があります。
また、このタイプは一つの事に集中して取り組むことが苦手で、趣味や仕事がよく変わるなどの特徴があります。
独裁者タイプ
このタイプは対等な関係を築くことが苦手です。このため様々な場面で相手に上下関係を強要してくることがあります。
恋愛の場面などでは相手を言葉で威圧したり、こき下ろし貶めたりする事で、自分が優位な位置に立ち相手を支配しようします。
自分なしではいられない様に思いこませ離れられなくするのです。モラハラ的な発言が多いのがこのタイプです。
ナルシストタイプ
ナルシストタイプは非常に自信家で自分中心、他人の事を認められない傾向があります。
常に自分が話題の中心にいること、人から賞賛を受ける事を求め、友人や恋人も自分のステータスの一部と考えています。
友人や多く人から信頼を得るため努力しますが、自分自身の弱みや素の部分を相手に晒すことはほとんどありません。
このため自身を否定したり非難したりしてくる人には攻撃的になります。
搾取者タイプ
相手の愛情を利用して金銭や労力、肉体関係を要求してくるタイプです。
相手の愛情を利用して、甘えたり我儘を言ったりする事で願望をかなえようとします。要求を断ると不機嫌になり要求が通るまで不機嫌のままであることが多いです。
言い換えるとヒモ気質の人とも言えるでしょう。対等な恋愛関係よりも一方的に搾取できる関係を望みます。
回避依存症に陥りやすい5つの思考
回避依存症は、過去の経験によって引き起こされた自己認知の歪みが原因となっています
。本心では他者と仲良くなりたいと思っていますが、本当の自分を曝け出す事への恐怖、裏切りや捨てられた時の不安や心配が強いために親密な人間関係を回避してしまうのです。
ここでは、回避依存症になりやすい性格や思考について見ていきましょう。
極端な白黒思考
何事にも白黒をつけたい性格の人は、一時的な感情の起伏からオール・オア・ナッシングの選択をしがちではないでしょうか。
特に完璧主義者や飽き性の人に多い思考です。
強いマイナス思考
本来マイナス思考というのは悪いものではありません。事前に予測できる問題を考え、対処するために必要な思考パターンといえるからです。
しかし強すぎるマイナス思考は悲観的、自虐的、自己否定といったネガティブな思考を増大させ「どうせ自分なんか」という劣等感を増大させてしまいます。
こうなると他者との対等な関係を築くことは難しくなってしまいます。
また、行動するよりも先に悲観的な結論を考えてしまう人や、良くない事が起きた時に何でも自分の責任と捉える人も要注意です。
レッテル貼りをしがち
「こうすべき」「こうならないといけない」といったレッテル貼りを自分や他人にしてはいないでしょうか。
自己実現の目標としてレッテルを利用することは良い事ですが、強く思い込むことで「~できない自分(あいつ)はダメな奴だ」と自分を卑下したり相手を見下したりする原因にもなってしまいます。
強い思い込み
一度こうだと考えると、その思考に飲み込まれてしまう人は他人の考え方もそうだと決め付けてしまう傾向があります。
そして一度その思考に囚われると、なかなか逃げ出すことが難しい状態になってしまいます。
一般化思考
一つの悪い経験から全体をこうだと決めつけてしまう人は、回避依存症に陥りやすい傾向があります。
物事には色々な側面があり、それを経験した時間や場所、相手、その時の感情によってとらえ方は様々です。
「もう一度やってみたら悪くなかった」という事ももちろんあるのです。
回避依存症の男の人との付き合い方と別れ方
回避依存症は男女ともに増加傾向と言われていますが、やや男性に多い傾向があります。
世間一般では、今流行りの草食系男子やモラハラ男と呼ばれることが多いようです。
これらのタイプは、内心では強く人との関わりを求めているのですが、対人関係への不安から本心を曝け出すようなことはせず、相手が喜ぶような良い人を演じようとします。
しかし親密な関係になってくると、見捨てられることへの不安が強くなり
✅ 暴力や暴言で相手を支配する
✅ 急に連絡が取れなくなるなど、距離を取る ✅ 不特定多数と関係を持ち「捨てられても次がある」と考える ✅ 元より恋人というよりもステータス、持ち物という認識 |
と、前述した4つのタイプに則した行動をとる傾向があります。
では回避依存症にある人とどうすればうまく付き合っていけるのでしょうか。
回避依存症にある人は親密な相手からの裏切りを何よりも恐れています。
これは本人が幼少期の体験やトラウマから学んだ事のため、治そうとしても直ちに治せるものではありません。
もしかしたら、本人は自身を回避依存症と考えておらず、浮気や暴言暴力、自分の考え方が悪い事と思っていないことすらあります。
このような相手には、あなた自身が根気強く「愛」を伝え続けるしかありません。
この時に注意しなければいけない事は、必要以上に束縛しない、責めない、追いかけないと適度な距離感を持って接する事です。
つかず離れずの距離感を大切にしてください。
次に、回避依存症の人との別れ方について見ていきましょう。
この項目を見ているという事は、回避依存症の相手との別れを考えている人がほとんどでしょう。では、なぜ回避依存症の人と別れられないのでしょうか?
それはあなたが恋愛依存症になっている可能性があります。
回避依存症特有の見捨てられ不安は、暴言や暴力による支配、音信不通、不特定多数との浮気といった形で解消されます。
通常であれば上記の行動をされた相手は直ちに別れを選択するでしょう。しかし恋愛依存症はそれらを許容し、忍耐強く我慢できてしまうのです。
このため、一度別れたとしても、連絡があると復縁してしまうという悪循環に陥りやすいのです。
もしこの状態から抜け出したいと考えているのなら、自分が回避依存症の相手と共依存の関係になってしまっていると認識することです。
このままの関係が良いとするなら、前述した通り根気強く「愛」を伝えながら、相手の回避依存症が治るよう努力するしかありません。
しかし良くないと考えるなら、自分が恋愛依存症と認識してから一切の連絡を絶つ他ありません。
✅ 何か新しい事を一人で始める
✅ 夢中になれる物を探す
✅ 仕事や趣味に集中する
✅ 友達と遊ぶ、相談する
✅ 自分に自信を持つ
などから、相手の事を考える時間を減らすよう努力してみましょう。
回避依存症の症状が進行すると4つの危険性に注意
回避依存症は、それ自体は大きな病気ではありませんが、症状が悪化すると以下の危険性があります。
DV(家庭内暴力)
DVをする人の心理は「強い劣等感」から弱者に対して攻撃的になり、自分が優秀という証を得ようとする事があります。
DVをされた相手が誰にも助けを求めず反撃しないようであれば、さらに行動がエスカレートすることがあります。
モラルハラスメント
モラルハラスメントは精神的な暴力や嫌がらせの事を言います。例えるなら人格やその人自身を否定するような暴言、態度です。
回避依存症では対等な恋愛関係を築くことが難しいため、暴言などで相手の人格を否定し見下すことで、上下関係を強要することがあります。
自己愛性人格障害
自己愛性人格障害では、他者を尊重することができないため、搾取的な行動、攻撃性、共感性の欠如といった行動を示します。
金銭の要求、体だけの関係を求めるようになります。悪化してくると金銭や資産を盗むこともあります。
仕事、アルコール、薬物への依存
自分に対する劣等感から「仕事ができる人と思われたい」「人から褒められたい」「家に帰りたくない」となり仕事中毒になってしまう人もいます。
また、同様に強い劣等感や自己肯定感の低さからアルコール、薬物への依存症を起こす人もいます。
回避依存症を克服する3つのポイント
もし知り合いや恋人、自分自身の回避依存症を治したいと考えたら、以下の方法を試してみましょう。
まずは理解
まず大事なことは、自分が回避依存症であるとしっかり認知し受容することです。
幼少期の体験やトラウマが原因になって、自身の思考回路が偏っていると素直に認めることが大切になってきます。
また、回避依存症は自己肯定感が低く、他人への信頼や愛情への不信感が強い事を理解しましょう。カウンセリングや専門医の診察もお勧めです。
マイナス思考を変える
回避依存症の人の多くは、マイナス思考や劣等感が妨げになり、他者との深い関係を拒絶する傾向にあります。
まずは考えすぎる癖を直し、マイナス方面に考えすぎる癖を直しましょう。物事の良い側面を一つずつ見つけてみてください。
何度も繰り返すことで自然とポジティブシンキングへと変わっていけるはずです。
自分に自信を持つ
回避依存症は強い劣等感が根底にあります。克服するためには自分に自信を持つ事です。
自信をつけるためにお勧めされている方法にはいくつかありますが、簡単にできる事を紹介します。
✅ できたことを日記につける
✅ “うまくやっている自分”を詳細に思い浮かべる
✅他人と比べない、人を気にしない
✅ 目標は小さく持ち、達成したら自分を褒める
上記の方法を試してみてください。毎日できなくてもかまいませんので、長く続けることが大切です。
回避依存症とその特徴について見ていきました。まだまだ世間での認知は低いですが、近年少しずつ増加傾向にあると言われています。
もし回避依存症の恋人がいる、もしくは自身が回避依存症かなと思ったら、まずは本心への理解、これからどうしたいかを考えていく事が必要になってきます。
大切な人と依存的な関係にならないよう、お互いをよく見つめなおしてみましょう。
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