知られざる鶏レバーの成分とは【栄養価からカロリーまで解説!】
<監修食生活アドバイザー 藤沢 淳司>
焼き鳥屋さんに行ったら、まず初めに何を注文しますか?皮やももなどがポピュラーですが、ぜひレバーを食べることをおすすめします。
子どもの頃「レバーは体にいいんだから」と言われて渋々食べた記憶があるかもしれません。あまりレバー自体を好む方は少ないようですが、身体にもたらされる健康効果がとても高いのです。
気になる所から確認してみよう
意外に知らない鶏レバーの種類
鶏レバーといえばどうしても「焼き鳥屋で食べるもの」と言いたくなってしまいますが、家庭の味ならしょうがを効かせた「鶏レバーのうま煮」でしょうね。
そもそも「レバー」ってどこの肉なの?と思っている方、レバーは鶏や鴨・牛・豚など食用家畜の「肝臓」です。「あん肝」など魚介類にもある「肝(きも)」のことです。
世界三大珍味の一つとされている「フォアグラ」もレバーなのです。フォアグラは特別な餌を食べさせて得られるガチョウの脂肪肝です。
話は焼き鳥屋になりますが、お店の人が「あか」と呼ぶこともあるのをご存知ですか?鶏のレバーは「赤肝」と言われることから「あか」の呼称があります。
対して「白レバー」というのは鶏の脂肪肝のことでフォアグラと似たものになります。一般的な「あか」よりも臭みが少なく栄養素がたっぷり蓄えられた雌鶏の肝臓を指します。
肝といえば「砂肝」というのもありました。砂肝は肝臓ではなく「消化器」にあたる部分で、「筋胃」とも呼ばれる「砂嚢(さのう)」のことです。
鳥類などは「歯」を持たないためこの砂嚢に砂や小石を飲み込んでついばんだ餌を砕き潰すのです。
鶏レバーには妊婦さんに嬉しい栄養価がたっぷり
鶏レバーの栄養価について見ていきましょう。妊婦さんが産婦人科で勧められることのあるサプリメントに含まれる栄養素もたっぷりです。
レバーに多く含まれている栄養素はビタミンAやビタミンB群のB12・B7・B2、鉄分に葉酸がよく知られています。
貧血を改善するためにレバーを食べるように勧められるのは、植物性の非ヘム鉄に比べると含有量が多く吸収率も格段に高いことからです。また含まれる銅は貧血を予防改善するために必ず必要なミネラルなのです。
なぜ妊婦さんにレバー?という問題の答えは、レバーに含まれる「葉酸」「鉄」です。葉酸と鉄は造血を促進する作用があり、たくさん食べても低カロリーのため比較的太りにくいという面があるからです。
ただし、ビタミンAの過剰摂取は胎児に悪影響を及ぼす可能性もあるのであくまでも「適切な摂取量」を心がけましょう。
妊婦さんに良いのはもちろんですが、授乳中の栄養食材にぴったりなレバー。母乳の元は血液、レバーなどの鉄分やタンパク質が思っている以上に必要なのです。
貧血の症状についてはこちらを参考にして下さい。
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鶏レバーが苦手な理由第一位!臭み抜きの4つの方法
レバーが嫌い!という原因はやはりあの独特の血(鉄)の臭いです。一番臭みやクセが少ない鶏レバーですが、ちょっと調理法に気をつければ臭みは抜くことができます。
しっかり血抜きをする
臭みはレバーに含まれる「アラキドン酸」が血液中の鉄分と反応するために発生します。
基本の下処理は水に晒すことです。ボールに水を入れ軽くレバーをもみ洗いしましょう。途中何度か水を替えながら濁りがなくなるまで繰り返します。
レバーをスライスしてから晒せばさらに臭み取り効果はアップします。流水に晒しても良いですが、あまり長時間になるとビタミンが流出してしまうので3分程度に収めましょう。
レバーを購入すると「ハツ(心臓)」がほぼもれなくくっついていますが、同じようにした処理して調理しましょう。
牛乳に浸す
水に晒す代わりに牛乳に浸しておくと時間短縮と栄養の流出が抑えられます。
牛乳に浸すことを「マスキング」と言いますが、肝心なのは何に浸けるかということよりも血の塊を取り除くということですね。苦みの軽減にもなります。
血抜きの後に下ゆでする
鍋に湯を沸かして塩をひとつまみ入れ、沸騰している中にレバーを入れゆでます。
加熱時間が長くなるほど食感がパサパサのレバーになってしまうので、「中心に熱が通ったら」すぐに引き上げるのが大切です。
引き上げた後は水をかけたりせず、冷めてしまう前に味付けをするのがコツです。
目には目を、臭いには臭いを!
食酢のあのツンとした臭いや香味野菜の臭いでレバーの臭いと対決です。
食酢と塩で生のレバーを揉むという方法もありますが、手っ取り早いのは「油で揚げて酢に漬ける」「香味野菜と一緒に茹でる」ことです。
食酢が苦手なら、ちょっと酢を効かせ気味のドレッシングをかけるのも方法の一つです。
香味野菜もわざわざ用意しなくても普段の食事で残るパセリの茎やセロリの硬い部分・人参の皮などを下ゆでの時に一緒に入れてしまうだけで十分です。
鶏レバーの成分には驚きの効果が続々もたらされる!
一番クセがなく食べることができる鶏レバーの効果にはどのようなものがあるのでしょうか。
貧血改善と胎児の健康な成長
非ヘム鉄よりも10倍近く吸収されやすい「ヘム鉄」をたくさん含んだ鶏レバー、ヘム鉄の含有量はトップクラスなのです。
この吸収率に造血作用も相まって、貧血改善のために積極的に摂取することが推奨されているのです。
貧血には鉄欠乏貧血と胃腸炎などが要因となって起こるものがありますが、レバーは両方に効果があります。また葉酸の含有量も高く、胎児に関わる先天異常の予防に対する効果があるとされています。
免疫力向上とガン予防
鶏レバーに含まれるビタミンAは老化をストップする抗酸化作用があります。お肌や目を保護する作用から美肌効果や視力改善に役立ち、免疫力アップにもつながります。
抗酸化作用は美容にもってこい、美白のために必要な酵素を合成するにもレバーの鉄分が必要で一石二鳥以上ですね。
ダイエット中も食べられる
ダイエットといえば食事の量を我慢して栄養不良に陥ることが多いと言われます。レバーならタンパク質豊富で低カロリー、脂肪分・糖質も少なくダイエットや筋トレに最適な食材です。
亜鉛が含まれていることからデトックス効果があるとも言われています。脂肪燃焼に欠かせないビタミンB群や筋肉作りに必要なアミノ酸が豊富なので小顔効果も期待できます。
動脈硬化と肝臓病予防
レバーに含まれる豊富なビタミンやミネラルは、肝臓病や動脈硬化の予防に役立つと言われています。
肝機能が低下すると起きる症状についてはこちらを見て参考にして下さい。
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肝機能低下で起こる4つの症状【その原因や改善方法を徹底解説!】
低カロリーの鶏レバーも食べ過ぎには注意して
ビタミンB群のビオチンやビタミンAが豊富・低カロリーで美肌や肝臓にも効果があると聞くと「たくさん食べよう!」と思うかもしれませんがちょっと待ってください。
美肌に効くビオチンは水溶性ビタミン、対してビタミンAは脂溶性ビタミンです。水溶性ビタミンは水に溶けて排出されるため蓄積されることがありません。
しかし脂溶性ビタミンは油に溶ける性質から体内に蓄積される特徴があり、ビタミンA過剰症を引き起こします。
ビタミンA過剰症が怖いのは特に妊婦さんです。胎児の奇形や流産の危険が発生します。鉄分や葉酸のためにたくさん食べたいところですが、赤ちゃんのことを考えて串焼き半分ぐらいにしておきましょう。
サプリメントでもビタミンAが多いものがあるので注意が必要です。その点ベータカロテンのサプリメントなら必要量のみがビタミンAに変換されるという特徴があるので良いですね。
レバーはプリン体も比較的多く含まれている食品です。痛風持ちの人も食べ過ぎ注意の食品ですね。
プリン体についてはこちらを参考にして下さい。
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鶏レバーは食べ過ぎもいけませんが「生食」は禁止です。飲食店で生レバーの提供が禁止されていることで生食できないことは知られてはいます。
なぜ禁止されたのか、理由はE型肝炎の感染拡大です。当時は豚レバーでしたが、鶏肉を含め鶏レバーなどはたとえ新鮮だったとしても菌や寄生虫が潜んでいるからです。近年では鳥インフルエンザの流行もあります。
食べ合わせに一工夫するとさらに効果アップ!
しっかり臭み取りをして調理すると、高栄養で低カロリーなレバーは離乳食や幼児期にも食べさせたい食材です。食べ合わせを工夫することで相乗効果が得られるでしょう。
貧血の改善には
貧血改善の効果を高めるにはビタミンを豊富に含んだほうれん草・小松菜やカキがぴったりです。
油脂も効果的に
炒める時にも和える時にも使う油脂はオリーブオイルやマヨネーズ・バターがおすすめです。マーガリンなどのトランス脂肪酸を含んでいるものは避けます。
美肌や疲労回復に効果があります。湯通しした鶏レバーをローリエやローズマリーと一緒にオリーブオイル漬けにすると簡単おつまみレシピです。
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一気にスタミナ回復効果
精力増強やスタミナを補充したい時には魚ならウナギやイワシ、豚肉に牛肉・ニンニクとともに調理すると良いですね。豚のひき肉や香味野菜と混ぜて腸詰めにしたりパテを作ると美味しいですよ。
レバニラ炒めは老化防止
抗酸化作用を高めてがん予防や老化防止を狙うなら、ビタミンCが豊富なピーマン・イチゴ・キウイ・レモンなどを一緒に摂ると効果が上がります。
中華料理で有名な「レバニラ炒め」は安価でビタミンの多いニラと炒めるだけですね。
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