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破骨細胞は骨吸収する!【骨芽細胞との関係や疾患を徹底解説】

<監修医師 豊田早苗>

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強くて固いイメージがある骨ですが、実は毎日壊され新しく作り変えられている事はご存じでしょうか。骨の強度を維持するためには、この分解、吸収、再構成が必須なのです。

しかし何らかの原因によってこの働きが乱れると、骨の破壊が勝ってしまう事があります。

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破骨細胞とは?

 

破骨細胞は骨を強くするために必須の細胞です。骨を新しくするためには、古い骨を溶かして吸収し新しい骨を作る必要があります。破骨細胞は溶かして吸収する働きを持つ細胞です。

 

破骨細胞は古くなった骨を溶かし、そのいらなくなった成分を吸収します。元は血液細胞が分化して発生し、骨梁と呼ばれる部位の表面に多数分布しています。

この破骨細胞の働きが亢進してしまうことで骨疾患を起こすことがあります。

 

対極の骨芽細胞とは

 

骨芽細胞とは、破骨細胞の働きとは対極に位置する細胞です。主に骨の再形成を担っています。

 

私達の体の中では、毎日のように骨の破壊と再生を繰り返しています。破骨細胞と骨芽細胞がうまく均衡を保ちながら働くことで、骨は常に新しく強くなっていくのです。これらは骨の代謝と呼ばれます。

 

骨の元になる物質には、コラーゲンやたんぱく質といった骨基質が必要です。骨芽細胞はこれらの物質を分泌し、血液中の物質と合成することで骨組織を作っていきます。

 

成長期では骨芽細胞が盛んに働くことで骨は伸長していきます。

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時に暴走する破骨細胞!

 

バランスよく二つの細胞が働いている間は、骨はその機能を維持することができます。しかし何かをきっかけにこのバランスが崩れてしまうと、様々な弊害が起こってしまいます。

 

破骨細胞が働きすぎると、骨の再生が追い付かず骨密度の低下を起こします。これは骨粗しょう症と呼ばれる病気です。

この病気は特に閉経後の女性に多い病気です。女性ホルモンが減少することで、破骨細胞の働きが促進、骨芽細胞の働きは抑制されてしまうためです。

その他の閉経後のトラブルについてはこちらも参考にして下さい。

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また年齢を重ねることで、消化管からの栄養吸収効率も悪くなるため、骨に必要なカルシウムが不足したり、ビタミンDも不足しがちになります。これらが影響し骨密度の低下を引き起こしてしまうのです。

 

では逆に骨芽細胞が働きすぎるとどうなるのでしょうか。こちらは逆に骨密度が異常に高くなってしまい、骨が硬化し、その結果、骨折骨髄炎といった症状を起こしてしまいます。

 

代表的な病気に「大理石病」があります。ただ、骨芽細胞が働きすぎ骨密度が異常に高くなる状態は、遺伝的な原因で起こり、先天的遺伝子疾患で起こります。

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骨粗しょう症が発生しやすい5つの要因

 

病気や治療による影響

骨の代謝に影響を与えるものの中に、内分泌系の病気や、生活習慣病、治療薬によって起こすものもあります。代表的なものにリウマチや副甲状腺機能亢進症、腎不全、ステロイド薬などがあります。

 

疾患によっては骨に影響を与えることを前提として、並行して治療を開始するものもあります。

 

運動不足

骨は負荷をかけることで強くなります。負荷をかけると、骨を強くしようとする働きが活発になり、骨芽細胞が優位に働くためです。

 

しかし運動不足はこの働きを弱めるため、破骨細胞の働きの方が盛んになってしまいます。

 

無理なダイエットや栄養不足

骨の形成には様々な栄養素が必要になってきます。無理なダイエットや偏食で栄養不足になると、骨の形成に障害をきたします。

 

加齢と閉経

女性は閉経すると女性ホルモンが減少し、骨密度が低下しやすい傾向にあります。

これは卵巣の機能が低下し、エストロゲンの分泌量が減少するためです。エストロゲンには破骨細胞を抑制、骨芽細胞を促進する作用があります。

 

高齢者では加齢に伴い消化管の吸収効率が減少しているため、骨形成に必要な栄養素の取り込みが悪くなります。そのため、全体として骨が脆くなる傾向があるのです。

 

喫煙

喫煙にはカルシウムの吸収を阻害する作用や、体内のホルモンのバランスを乱してしまう作用があります。このため骨の代謝に影響を与えます。

その他の喫煙の影響についてはこちらを参考にして下さい。

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骨粗しょう症の5つの治療法

 

破骨細胞を抑制する

骨密度の低下した骨では、破骨細胞が盛んに働いています。この破骨細胞の働きを抑制することで骨芽細胞の働きを補おうという治療法です。

 

治療薬には、女性ホルモンを補うホルモン製剤、また破骨細胞の働きを抑えるビタミンD3製剤、破骨細胞の数を抑えるモノクラール製剤などがあります。

 

種類によっては内服だけでなく、定期的な皮下注射によるものがあります。

 

骨芽細胞を促進

ビタミンD3製剤、副甲状腺ホルモン製剤には骨芽細胞の働きを促進する作用もあります。またビタミンK製剤には、骨へのカルシウム取り込みを助ける働きがあります。

 

骨の材料を増やす

カルシウムは骨の形成に必要不可欠です。食生活で十分な量を摂ることができない時はカルシウム製剤で補います。

 

また体内のカルシウム濃度を調整する注射もあります。副甲状腺ホルモン製剤です。

 

副甲状腺ホルモン製剤を間欠的に投与することで、カルシウムが体外に排出されにくい環境を作り、血液中のカルシウム濃度を上昇させるとともに、骨芽細胞の働きを活性化させ、骨密度を増やすことができます。

 

食事療法

骨密度を上げる食事を心がけることで、骨粗しょう症の改善につなげることができます。

骨に良いとされる成分には、カルシウム、ビタミンK、ビタミンD、各種ビタミンです。これらを積極的にとることで骨密度を改善することができます。

 

近年注目されている成分にMBPという牛乳由来のたんぱく質があります。これは破骨細胞の働きを抑え、骨芽細胞を促進する天然由来の成分です。

ヨーグルトの上澄みや乳製品に多く含まれているため、進んで取り入れたい食品です。バランスよく食べることを心がけましょう。

 

牛乳の効能についてはこちらも参考にして下さい。

【関連記事】
牛乳の効果や効能に驚き!【胸や身長への影響は本当?】

 

運動療法

特に激しい運動などは必要としません。推奨されている運動には、ウォーキング、ジョギング、階段の上り下り、水泳といった低負荷で長く続けられるような動作です。

 

始める時はいきなり激しい運動をするのでなく、自分のリズムに合ったペースで長く続けていくことが大切です。

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破骨細胞を健康に保って骨粗しょう症を予防

 

バランスの良い食事

バランスの良い食事をとって、骨密度の改善に努めましょう。骨に必要な栄養素には、カルシウムやマグネシウムといったミネラル、たんぱく質、ビタミンといった成分になります。

 

骨の材料であるカルシウムを多く含む食材として、乳製品、大豆、海草、小魚、緑黄色野菜があります。また鮭、ウナギ、椎茸、鮭、納豆にも骨密度を上げるために良いとされる食材です。

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マグネシウムが不足すると、カルシウムを使って不足分を補おうとします。そのため低カルシウム血症や骨密度低下を引き起こすことがあります。

 

マグネシウムが多く含まれる食材には豆腐やサバ、アーモンド、硬水があります。しかし、とりすぎると便が緩くなり下痢を起こすことがあるので獲り過ぎに気を付けてください。

 

逆にインスタント食品やスナック菓子といったジャンクフードに含まれるリンや食塩には、カルシウムの体内への吸収を妨げる効果があるため注意が必要です。

 

また、カフェインには利尿作用があるため、必要以上にカルシウムが排出されてしまうことがあります。とりすぎに注意しましょう。

 

喫煙習慣を見直そう

タバコには、骨の形成に必要な物質の取り込みを阻害する作用があります。

 

また、ニコチンにはホルモンバランスを乱すことがわかっています。女性ホルモンの乱れが破骨細胞を促進してしまうことにつながるため、骨粗しょう症ではあまり好ましくありません。

骨粗しょう症の診断を受けたら禁煙をおすすめします。

 

日光を浴びよう

骨を丈夫にするためにはビタミンDも大事な要素となります。食事として外から取り入れられたビタミンDは、日光浴をすることで体内で活性型ビタミンDとなり、骨形成に関与するビタミンとなります。

 

天気により変動はありますが、日本の紫外線量では1日に約1時間浴びることが良いとされています。

 

日光を健康的に浴びる条件についてはこちらを参考にして下さい。

【関連記事】
日光浴の健康への8つの効果を解説【適正時間もお伝えします】

 

適度な運動をしよう

無理な運動はかえって負担になります。まずは日常生活の中で運動をする機会を増やしましょう

 

エレベーターに乗らずに階段を使う、歩いて買い物に行くといった運動でも、十分効果があります。また日中ウォーキングをすることで日光浴にもなりさらに効果が高まります。

 

骨は夜作られる

骨の成長が一番進むとされる時間は寝ているときです。睡眠中に出される成長ホルモンには骨の形成を促進する作用があります。

 

特に思春期はこの作用が強いため、成長ホルモンが分泌される22時~2時には就寝しておくようにしましょう。良質な睡眠をするためにも、規則正しい生活を心がけましょう。

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