突然の痛み!不整脈の5つの対処法【自覚症状がないのはなぜ?】
<監修医師 まっちゃん>
ドクドクと打つ脈のリズムが不規則になる「不整脈」は自覚症状のない病気です。
脈を打つスピードが早くても遅くても不整脈と呼びますが、自分の脈がどれぐらいの速さか知っていますか?
ウェアラブル端末で脈拍が測れるリストバンドや活動量計が普及してきたので、安静時の脈拍を測っているという人も多くなっています。
これを機に、自分の脈拍と向き合ってみませんか?
気になる所から確認してみよう
心臓の役割を改めて確認
心臓とは、人の握りこぶしよりも少しだけ大きな筋肉でできた臓器です。心筋が鼓動するのは「洞結節」と呼ばれる心筋から発生する電気信号の刺激によるものです。
全身に血液を循環させるポンプとしての役割を持ち、4つの部屋(右心房・左心房・右心室・左心室)とその間の「中隔」と呼ばれる4つの弁により構成されています。
中隔によって血液が全身を逆流することなくスムーズに循環するようにできているのです。
肺で酸素を受け取った血液は左心房に流入して高い圧力の左心室の収縮で大動脈へ流出することで体内を巡回する旅が始まります。
また全身から戻ってきて右心房・右心室に流入する静脈血は肺動脈や肺小静脈・肺毛細血管を通り抜ける間に炭酸ガスを排泄して酸素を得る「ガス交換」をします。
そして左心房へ還流すると言う仕組みです。
ほとんど自覚症状がない。不整脈とはどんな病気か
不整脈とは、脈が不規則に打つ状態のことです。脈拍が遅くても速くても不整脈と呼びます。
脈拍の一般成人の正常値は1分間に60から100とされ、これより少なくても超えていても不整脈と呼ばれます。
加齢や体質などで増減することはありますが脈拍が1分間に50以下のものを「徐脈」、100以上のものを「頻脈」と呼びます。
激しい運動をしたりストレスや疲労などで脈拍が速くなるのは生理的な頻脈ということになります。
しかしそのような要因がないのに動悸や息切れ・共通などが現れたり、時折脈が飛ぶ「期外収縮」の可能性も出てきます。
洞結節から発信される電気信号は自律神経によって調整されています。このため睡眠不足などでも電気異常が起こって不整脈が起こることもあります。
また先天的な伝導路異常やホルモン分泌異常などによって不整脈が発生することもあります。
精神的に興奮することで頻脈が起こり息をしすぎるのが「過呼吸」ですが、不安感やストレスから過呼吸を繰り返して「心臓が悪いのでは?」と疑うこともあるでしょう。
このような時には「脈拍が120以下、規則正しいかそうでないか」ということが重要なポイントです。
規則正しければ「怖がらなくて良い不整脈」なので安心して良いようです。これで少し不安感も取り除けるでしょう。
不整脈の3つの種類と3つの症状
不整脈は自覚症状が少ない病気ですが、どのような種類がありそれに付随する症状があるのかをみていきましょう。
徐脈(じょみゃく)
徐脈とは心臓を動かす電気信号が作られなくなったり途切れてしまうことにより、脈が異常に遅くなるというものです。
徐脈を引き起こす要因として「洞不全症候群」「房室ブロック」などが挙げられます。
脈が異常に遅くなった時に起こる症状は倦怠感やだるさ・吐き気・息切れなどが主なものです。徐脈が進行すると数秒間の心停止状態が起こり、めまいが起きたり失神することもあります。
頻脈(ひんみゃく)
運動など体を動かしてもいないのに異常な速さで脈を打ちます。心臓を動かす電気異常の場合や、その電気の伝導路の異常・病気によるものがあります。
心房細動・心室頻拍・WPW症候群といったものから、甲状腺異常まで様々な要因が原因疾患になることもあります。
異常に脈が早い「頻脈」になると冷や汗や動悸・めまいなどが起こります。また重傷ならば血液を心臓から送り出すことができずに急激な脳貧血や血圧低下で意識朦朧状態になったり突然死を招くことがあります。
頻脈の場合心房内に血栓ができやすい状態になるという点と、心筋梗塞や心筋症など既往症がある場合には注意が必要となります。
期外収縮(きがいしゅうしゅく)
一時的に脈のリズムが不規則になる「脈飛び」が起こります。心臓を動かす電気信号が別の場所から出てくることがこの「期外収縮」の原因です。
血圧の低下などはあまりみられないのが特徴ですが、脈飛びが起こると胸痛や胸がつかえた感じ・喉が詰まった感じなどが発生します。
長引く不整脈は病気の可能性もある
不整脈の原因はストレスや自律神経の乱れだけではありません。
狭心症などの心臓疾患から起こることはもちろんですが、高血圧や肺疾患・甲状腺異常がある場合にも発症しやすいのです。
動脈硬化でできる血管プラークが不整脈の原因とも言われています。
胸の痛みがあれば早期に検査を!
胸の痛みや喉がつかえる感じ・脈が早かったり遅かったりなどを感じた時には循環器の専門医でいち早く検査を受けましょう。
心電図検査
24時間データ取得ができる「ホルター心電図」で、体を動かしている時もじっとしている時にも心電図をとり続けて変化を観察します。
医療機関でベッドに横になって検査する「安静時12誘導心電図検査」も行います。
運動負荷心電図
労作時と安静時における不整脈の変化を観察するために行う検査です。
ベルトの上を走る「トレッドミル」や自転車漕ぎの「エルゴメーター」などに乗って負荷をかけながら心電図を計測する検査です。
心臓超音波検査(心エコー検査)
心臓自体に超音波を当てて詳細に診察するものです。心臓の筋肉の厚みや動き方・弁の動き・心室や心房の大きさなど、心臓自体に病気があるかどうかを検査します。
EPS検査
心臓電気生理検査というものですが、足の付け根などの静脈から電極カテーテルを挿入して直接心臓内壁に接触させて検査します。
心臓に直接電気刺激を与えるためその人特有の不整脈の発生要因や薬剤などを選択することができる重要な方法といえます。
その他の検査方法
胸部X線検査や血液検査を行うこともあります。
不整脈の5つの対処法でしっかり改善しよう
不整脈だと診断されたらどうしたらいいのだろう、と考えます。第一に治療ですが、そしてそれ以外にも「生活の中でできること」を考えてみましょう。
投薬治療
不整脈のタイプに合わせて選択した薬剤によって治療します。頻脈制の場合にはこの投薬治療が第一選択です。
抗不整脈薬や血栓を溶解する薬などを使用することになります。
機器による治療方法
ペースメーカーは電気異常や伝導路の異常が起こるのを補助することで徐脈を解消するのに有効な機器です。
カテーテルアブレーションはEPS検査のように治療用のカテーテルを心臓内に挿入します。
異常が発生している部分をカテーテルからの高周波で焼灼・凝固させます。これにより異常組織は壊死することとなり、異常な電気発生などの症状を抑えることができます。
ICD(植え込み型除細動器)は頻拍性の不整脈により突発的な心臓発作が起こった場合に威力を発揮する機器です。
死に至るような不整脈の状態に陥った場合に、自動的に電気ショックを発生させるというものです。
CRT-D(心臓再同期治療機能付き植え込み除細動器)は、薬物治療で効果が現れないような重症の場合に用います。
ICDの機能に加え、心室収縮のずれを調整する機能を持っています。
生活習慣に着目
不摂生は自律神経の乱れの元凶、健康な人でも不摂生により不整脈を起こすことがあります。
疲労や過度のストレス・睡眠不足は最も良くないことです。またアルコールの過剰摂取や喫煙・カフェインの取りすぎも良くありません。
カフェインを補給しながら残業続き、帰りは居酒屋へという方は不整脈に近付いているのかもしれません。
ふくらはぎマッサージ
日常生活の中に軽い運動を取り入れるのも良いことです。運動する暇もなくデスクワーク、足がむくんで仕方ないという方は「ふくらはぎマッサージ」をしてみましょう。
ふくらはぎは「第2の心臓」とも言われ、全身の血液循環が良くなります。
やり方はいたってシンプルです。難しいことを言っていては忙しい毎日には取り入れられません。
✅ アキレス腱からひざ下まで、ふくらはぎを下から上に手の親指以外の4本を揃えて強めに撫でる
✅ 膝裏のリンパ節を手のひら全体で縦横まんべんなくさする
椅子に座ったままでもできる「ふくらはぎマッサージ」は高血圧や腰痛予防にも効果があるようです。
食生活にも大切なポイントが!
不整脈で食事制限があるとするなら「動物性脂肪」でしょう。飽和脂肪酸が多いため血中コレステロール値が上がり、結果として血栓ができやすくなります。
従って、乳製品やラードなどは控えた方が良いということになります。
血栓予防の観点で言えば、適度な水分補給も大切です。しかし水分を考えすぎるあまりミネラルバランスが壊れるほど飲むのはやめましょう。
不整脈を悪化させない・予防するためには血液浄化ができる食べ物を積極的に摂るようにしましょう。
血流を促進して血液もキレイにする食べ物はらっきょ・玉葱のようなネギ類が良いでしょう。タンパク質なら大豆や大豆製品のような植物性のものが良いですね。
脂質として摂るならごま油を食事にプラスすると栄養はもちろん、風味が良くなり塩分摂取量を減らすこともできるでしょう。
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