肝脂肪を減らすには3つの改善方法を試してみて!【食事はコレ!】
<監修医師 田中 恵文>
肝臓に脂肪が溜まってフォアグラのようになってしまう…。想像すると、ちょっと怖いと思いませんか?
肝臓はなんと500種類以上もの仕事を担っている、私たちの身体に欠かせない臓器です。そんな肝臓がフォアグラみたいになってしまったら、ちゃんと仕事をしてくれなくなってしまいますよね。
溜まってしまった肝脂肪を改善させるには、どうしたら良いのでしょうか。肝脂肪が溜まることの恐ろしさと共に、お伝えしていきます。
肝脂肪とは?
肝脂肪とはその名の通り、肝臓に溜まった脂肪のことです。
肝臓は、食事で入ってきた脂質や糖分をエネルギーに変換して、全身へと送る役割を持っています。しかし、体内で使い切れずに余った分は、中性脂肪として肝臓に蓄積されてしまうのです。この、蓄積された中性脂肪が肝脂肪というわけですね。
肝細胞には、通常時でも3~4%ほどの脂肪が含まれています。しかし、肝脂肪が溜まり過ぎて30%を超えると、肝臓がフォアグラのようになってしまう「脂肪肝」と診断されてしまいます。
脂肪肝はれっきとした病気。しかし“沈黙の臓器”とも呼ばれる肝臓は、病気になっても自覚症状が現れにくくなっています。
そのため、どんどん進行して、肝炎や肝硬変などの慢性肝疾患になったり、動脈硬化や高脂血症、糖尿病などを発症するリスクも高くなってしまい、最悪の場合は肝がんになってしまうことも。
脂肪肝などで肝機能が低下すると、血液がドロドロになってしまい、以下のような症状が出るので、見逃さないことが大切です。
✅ 疲れやすい
✅ 全身の倦怠感(だるさ)
✅ 食欲がなくなる
✅ 頭がぼーっとする(集中力の低下)
✅ 肩こり
また、肝機能低下に伴って、自律神経の働きも悪くなってしまいます。それにより、様々な身体の不調が出たり、イライラして怒りっぽくなったりすることもあるので注意しておきましょう。
肝機能低下は血液検査からも分ります。注目したいのはGPT(ALT)の数値。
これは、肝細胞がどのくらい壊れて血中に流れてしまっているかを表す数値で、正常値は5~45U/L。これより数値が高いようなら、肝機能が低下している可能性があります。
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肝脂肪が増える原因
食べ過ぎ
肝脂肪とは、身体で使い切れなかったエネルギーが中性脂肪として溜まったもの。つまり、そのエネルギーのもとになっている脂質や糖質を摂り過ぎている可能性があるのです。
脂質で特に気を付けたいのは、動物性脂肪と呼ばれるもの。牛肉や豚肉の脂身、それに、バターやクリームなどの乳製品にも気を付けましょう。
糖質に関しては、やはり砂糖ですね。お菓子やアイスクリーム、ケーキなど。また、洋菓子に比べると健康に良さそうな和菓子も、餡子や砂糖が多く使われているので食べ過ぎは良くありません。
飲み物にも注意が必要。清涼飲料水や炭酸飲料、また“コーヒー飲料”もクリームや砂糖を大量に使っていることがあるので気を付けましょう。
飲み過ぎ
お酒が肝臓に悪いことは有名だと思います。
アルコールは肝臓で分解されるのですが、その時に中性脂肪も作られているのです。そのため、飲みすぎればもちろん、中性脂肪も増えてしまいますよね。
ちなみに、日本酒1合のアルコールを分解するのにかかる時間は、平均で3~4時間ほど。これをオーバーしないように、ゆっくり飲むことも肝臓のためには大事なことです。
運動不足
肝脂肪が増える要因として、「食事」と並ぶのが「運動不足」。
肝臓というとお酒というイメージが強いですが、実は、非アルコール性脂肪肝というもののほうが危険だと言われています。その時に、非アルコール性脂肪肝の大きな原因となるのが運動不足なのです。
運動不足になると、エネルギーの消費量が落ちてしまい、使われなかったエネルギー源が中性脂肪として溜まってしまいますよね。さらに、運動不足は肥満に繋がり、肥満は生活習慣病を招きます。
生活習慣病の中でも、糖尿病は脂肪肝になりやすい病気と言われ、糖尿病患の肝硬変での脂肪率も高くなっています。日頃から、適度な運動を生活の中に習慣づけたいですね。
肝硬変についてはこちらも参考にして下さい。
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ストレス・睡眠不足
食事にも運動にも気を付けていても脂肪肝になる、という人もいます。
その時に考えられるのがストレス。過度のストレスを感じると、血管が収縮して血圧が上昇。肝臓の負担も大きくなってしまいますよね。
また、ストレスにより身体が「自分の身を守らなくちゃ!」と自己防衛反応をしてしまうことでも肝機能は低下してしまうのです。
さらに、ストレスは慢性的な睡眠不足を引き起こします。その結果、疲労が少しずつ溜まっていき、肝臓の機能が低下してしまう可能性も考えられます。
ダイエットにも注意!
肝脂肪の多い人は太っている人、と思ってはいませんか?痩せていても脂肪肝になる人だっています。
「低栄養性脂肪肝」というもので、過度のダイエットをすることで栄養不足に陥り、逆に肝脂肪が溜まってしまうことがあるのです。
ダイエットで人気の高い、糖質制限ダイエット。しかし、糖質は身体のエネルギー代謝に必要なもの。野菜サラダだけなど、全く糖質を摂らない食事をしていると、身体はエネルギー不足と判断してたんぱく質などの他の栄養素を代わりに使うようになってしまいます。
そして、たんぱく質不足になると、さらに悪い影響が。たんぱく質は中性脂肪を血液中に流すために必要な栄養素です。そのため、不足してしまうと中性脂肪は血中に流れずに、肝臓に溜まっていってしまうのです。
肝脂肪を減らす改善方法
食事
肝脂肪が増えてしまう原因の一つは、脂質や糖質の摂り過ぎ。肝臓で余るほどの量を摂取してしまうのは良くありません。脂っこい食事や、甘いものの食べ過ぎには気を付けましょう。
そして、普通の食事でも食べ過ぎは良くありません。腹八分目を心がけるとちょうど良いと思います。
アルコール
もちろん、お酒の飲みすぎは肝臓に良くありませんよね。
禁酒、まではいかなくても、最低でも週に2日は休肝日を設けるようにしましょう。脂肪肝でなければ、週に2日休ませれば、肝臓は回復すると言われています。
日本人は欧米人に比べ、肝臓が小さく、さらにアルコールを分解するアセトアルデヒドの量も少ない人が多くなっています。お酒に対する耐性には個人差があるので、自分の中での適量をしっかり把握しておく必要がありますね。
アルコールの過剰摂取による肝臓への影響についてはこちらを参考にして下さい。
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アルコール性肝障害の8つの症状【治療法を分かりやすく解説】
運動
脂肪肝だけでなく、肝臓全体の治療で重要なのは「食事療法」と「運動療法」の2つです。肥満の人はもちろん、ダイエット中の人も、食事にばかり注意が向いて、運動の方がおろそかになってはいませんか?
食事で体内に入った脂質や糖質を、余らないようにエネルギーとして使うことも大切です。そして、運動によって血流を良くすることで、中性脂肪も血液中を流れやすくなるのです。
肝臓に対して効果があるのは、筋肉をつける運動。スクワットなどの軽い筋トレや、ウォーキングなどの有酸素運動なら、普段運動に馴染みのない人でも始めやすいですね。
おすすめの食事法
脂肪肝の治療ではもちろん薬も使いますが、食事や運動など、患者本人が生活に気を付けなくてはいけない面が重要になってきます。
では、食事の面では、どのようなことに気をつけたら良いのでしょう。
タウリン
肝脂肪を減らす上で注目なのが「タウリン」です。名前だけなら聞いたことのある人も多いのではないでしょうか。
タウリンはアミノ酸の一種。肝細胞の再生や細胞膜の安定化、胆汁酸の分泌を助けるなど、肝臓にとっては嬉しい作用が盛りだくさんの栄養素です。
タウリンを多く含む食材は、魚介類が多くなっています。
✅ タコ
✅ イカ ✅ サザエ ✅ ホタテ ✅ 牡蠣 ✅ カツオ ✅ ブリ |
また、サプリメントも出ているので、それを活用しても良いですね。
カレー味+お酢
タウリンと合わせるとさらに効果が高まるのが、「カレー味」と「お酢」をプラスすることです。
カレーに含まれるクルクミンには、肝臓での解毒作用を助けてくれる効果があり、お酢には肝機能を高めてくれる効果があります。
なので、シーフードカレーにラッキョウを添えたり、タコの酢の物なんかは肝臓には嬉しい料理ですね。
良質なたんぱく質
たんぱく質は肝臓に溜まった中性脂肪を血中に流すのを助けてくれます。さらに、壊れてしまった肝細胞を再生させる働きも持っているので、良質なたんぱく質は積極的に摂るようにしたいですね。
✅ 卵
✅ 大豆
✅ 肉
✅ 魚
これらは、どのような食事にも合わせやすいのが嬉しいところ。ほかのビタミンやミネラル、炭水化物などと共に、バランスよくメニューを決めるようにしてください。
肝機能が低下している人は、1日30品目以上をバランスよく摂ることが重要と言われています。
肝臓に良い食べ物についてはこちらも参考にして下さい。
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