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肺にカビ!肺アスペルギルス症の症状や治療とは【種類も詳しく解説】

<監修医師 まっちゃん>

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梅雨時期の湿気対策や夏の暑さ対策にエアコンを使用することが多いかと思いますが、いやな咳がなかなか止まらないという方も多いのではないでしょうか。

 

乾燥しているわけでもないのに出るその咳、もしかしたらそれは肺にカビが侵入したせいかもしれません。

 

今回は肺にカビが発生するという肺アスペルギルス症の症状や治療について解説します。種類も詳しく解説しますので、参考にして下さい。

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肺の働きを再確認

 

まずは肺がどのようなはたらきをもつのか再確認の意味をこめて解説します。

 

肺は呼吸器の要

私たちの身体に備わった呼吸を司る器官には、鼻・咽頭・気管とその枝(気管支)・肺があります。

 

なかでも肺は呼吸の要と言ってもいい重要な器官ですが、その他の呼吸器も大切な働きを担っており、どれひとつとっても欠かすことはできない重要な器官です。

 

肺の仕組み

肺は口から直接つながる気管の先、縦隔(じゅうかく)の上に左右1つずつあります。

 

その中を気管支が細かく張り巡らされ、気管支を空気が通ります。気管支の先端はまるでブドウの房のような肺胞があります。

 

効率よく人体の生命維持活動に必要なはたらきをみせるために、この肺胞は約3億個もあります。さらに肺胞は毛細血管と繋がっており、ここから肺の働きが全身に伝えられます

 

肺の働き

肺の働きを一言で説明しますと「ガス交換」を行う器官です。どのようにしてガス交換を行っているか、順を追ってみていくと以下の通りの経路になります。

 

鼻→気道→左右の気管支→左右の肺→肺門→細かな気管支→肺胞

 

鼻から入り込んだ空気はこの順路で肺胞まで届けられます。肺胞は空気から酸素を取りだすと、自分の周囲を取り巻く毛細血管へと酸素を渡します。

 

血液の中にある不要な二酸化炭素を肺胞へと送り出し、酸素を肺胞に取り込むと再び血液は全身を巡り細胞へと必要な酸素を届けるのです。これがガス交換です。

 

肺門には肺動脈肺静脈が出入りしています。肺動脈は心臓から肺へと向かう血液の道で大量の二酸化炭素を含む血が流れています。

 

一方、肺静脈は肺から心臓へと向かう血液の道です。肺動脈により運ばれた二酸化炭素は肺胞で除去され、肺静脈からは大量の酸素が心臓まで運ばれ、心臓からさらに全身に血液が送られていきます。

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肺にカビ!肺真菌症は意外に近くに潜んでいる

 

真菌とはカビの仲間全体を指す言葉です。これらの真菌が体内に肺に侵入することで発症するのが肺真菌症です。

 

肺真菌症は喉のどの部位に感染するかによっても名称が変わります。皮膚に真菌が感染する「表在性真菌症」、肺や脳に真菌が感染する「深在性真菌症」です。

 

またどの真菌に感染するかによっても病名は変わります。肺真菌症の種類について解説します。

 

カンジダ

カンジダ属の真菌によって引き起こされます。もともとカンジダは体内に存在していることの多いカビの一種です。

 

外部から感染することもありますが、ふだんは体内のカンジダはあまり悪さをしません。

 

ただし自己免疫力が低下したり、体内環境に変化があるとカンジダは増殖し、身体に悪影響を及ぼすようになるのです。

 

また抗生物質など、体内の環境が変化する要素があると発症することもあります。カンジダは主に性器や口腔内で発症します。

 

肺にも発症する場合がありますが、頻度は他の真菌に比べ低いです。口腔内で増殖してしまったカンジダを誤嚥することで肺カンジダ症を発症することがあります。

 

このように体内に普段は存在しているものの、体調や体内の変化で悪影響を及ぼす状態を「日和見感染」と呼びます。

 

アスペルギルス

自然界に広く存在しているカビの一種がアスペルギルスです。

 

まれにアスペルギルス以外のカビに対しても同様の症状が出る場合もありますが、大抵は「アスペルギルス・フミガートス」という種類のアスペルギルスによって症状が起きます。

 

普段は吸い込んでも発症までには至りませんが、免疫力が著しく低下している状態で吸い込むことで肺に到達し、悪影響を人体に及ぼします。

 

人によってはアスペルギルスに対して体質的に過敏な反応を示してしまうアレルギー症状を示すこともあります。

 

抗真菌症の中でも最も多い発症例のある症状ですので、あとから更にくわしく解説します。

 

クリプトコッカス

クリプトコッカス属真菌に感染することで発症する疾患をクリプトコッカス症と呼びます。

 

主に鳥などを介した感染が多く、空気中に飛散した原因菌を吸い込んだり傷口から菌が侵入することで感染します。

 

肺の他に皮膚にも発症するほか、神経系に侵入し髄膜炎を発症することもあります。肺クリプトコッカス症は目立った症状がないため、感染したことに気がつかないケースも多いです。

 

血液検査でも診断は難しく、画像診断や培養検査によって感染を確認します。

 

ムコール

ムコール症とはとは接合菌によって起きる感染症全体を示す言葉です。日本国内での発症例はクリプトコッカスの次くらい多い症例です。

 

免疫不全を起こしている場合に感染しやすく、日和見型深在性真菌症の一種です。

 

免疫不全を起こしている状況としては、好中球が長期間にわたって減少している、ステロイドの長期投与中、骨髄移植などが挙げられます。

 

好中球(こうちゅうきゅう)とは白血球の一種です。ムコールは空気中に飛散している真菌が呼吸を介して体内に取り込んだり、消化管からの感染が考えられます。

 

肺から発症するほか、鼻腔から侵入して脳にまで影響が出るケースもあります。クリプトコッカスと同じく、こちらも検査が難しく複数の方法を組み合わせて診断を行います。

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肺真菌症の最も多い病気は肺アスペルギルス症

 

肺真菌症の中でも最も多い病気が肺アスペルギルス症です。

 

特に夏場はクーラーを使用することが多いと思いますが、きちんと掃除をしていないと肺アスペルギルス症の原因となるカビが知らずに繁殖しており、空気中に大量に病原菌が飛散することになります。

 

肺アスペルギルス症は原因により種類が分けられますので、くわしく解説していきます。

 

侵襲性肺アスペルギルス症

侵襲性肺アスペルギルス症はアスペルギルスを原因とする肺真菌症の中でも最も重症に至るとされ、危険度が高い疾患です。

 

治療が遅れてしまうと、呼吸不全を起こして死にいたる可能性があります。

 

侵襲性肺アスペルギルス症は急性肺アスペルギルス症とも呼ばれ、免疫力が低下した状態で体内にアスペルギルスが侵入し発症します。

 

空気中に飛散しているアスペルギルスを吸い込むことで体内に侵入してきます。

 

免疫力が低下していると、体内に侵入した細菌やウイルスに対する防衛機能が十分に働かず、侵入者の急激な繁殖を許してしまいます。

 

主に抗がん剤による治療中の人や白血病患者、副腎皮質ホルモンによる治療中など、免疫抑制薬を服用することで抵抗力低下が起きている人が発症しやすい疾患です。

 

慢性型の肺アスペルギルス症

慢性型の肺アスペルギルス症は、経過は遅いものの年単位で症状が進行していきます。肺に大きな空洞が発生し、その周辺に炎症が発生します。

 

基本的にはもともと肺の疾患を患う患者に発症し、病態が良くなったり悪くなったりをくり返しゆっくりと症状が進行していきます。

 

注意の必要な肺の疾患とは肺炎や気管支拡張症、肺のう胞を含む空洞性病変や、胸部の外科手術を受けた後、過去に肺アスペルギルス症を発症したことがある人なども含まれます。

 

アレルギー性気管支肺アスペルギルス症

体内に侵入したアスペルギルスにアレルギー反応を示すことで発症するのがアレルギー性気管支肺アスペルギルス症です。

 

アトピー性皮膚炎の患者や食品アレルギーを持つ人が起こす症状と似たような症状がでます。

 

喘息患者や、肺や気管支に過敏症状が出る疾患がある状態でアスペルギルスを吸い込んでしまうことでアレルギー反応が出ます。

 

肺アスペルギローマ

過去に肺結核を発症し、今は目立つ症状のない古い空洞にアスペルギルスが侵入し、増殖することで菌球を形成し起きる疾患です。

 

また肺のう胞(肺の中に大きな袋ができること)にアスペルギルスが寄生し増殖した場合も同様の症状が見られます。

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咳が治らないのはアスペルギルス症の主な症状

 

アレルギー性気管支肺アスペルギルス症は喘息患者に見られる症状です。そのため喘息と同じような症状が見られます。

 

一ヶ月以上続く咳や喘鳴(「ゼエゼエ」、「ヒューヒュー」など)、膿性痰、倦怠感、体重減少などです。

 

更に重症化すると発熱、血痰、喀血、息切れ、呼吸困難、胸痛、食欲不振などが起こります。

 

アスペルギルス症を検査で診断しよう

 

肺アスペルギルス症は種類によっては特定が難しい疾患です。そのため複数の方法を組み合わせて総合的に判断することが多い疾患です。いったいどのような検査があるのか解説します。

 

胸部エックス線検査

肺に肺炎によく似た肺炎がうつる可能性が高いです。

 

胸部CT検査

気管支の拡張や気管支に痰が詰まっている様子が確認できれば、アスペルギルス症の可能性があります。

 

痰検査

肺アスペルギルス症の症状の1つに「膿性痰」がありますが、喀痰(かくたん)検査を行うことで病原菌の特定を行います。

 

顕微鏡で排出された痰を調べるか、痰の中に含まれる菌を培養して何の種類か特定する方法の2種類があります。

 

気管支鏡検査

主に肺の疾患を検査する方法で、口または鼻から上気道を通じて気管支を観察します。光を当てる方法や、直接カメラを通して観察することもあります。

 

検査のためには直前の食事を抜く必要がるため、事前に告知を受けて行うことが多い検査です。

 

血液検査

アレルギー性の肺アスペルギルス症の場合、血液検査(抗体検査)でアレルギーの有無を調べることができます。

 

またアスペルギルス症は血中β(ベータ)‐Dグルカン測定(血清診断)で陽性かどうかで診断を下すことができます。

 

培養検査

病巣から検体を分離・採取し、無菌状態下で培養します。組織内への浸潤を確認することでアスペルギルス症かどうかを確認できます。

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アスペルギルス症の治療はコレ

 

治療が遅れると症状が悪化する肺アスペルギルス症は早めに治療を開始することが重要です。いったいどのような治療があるのか具体的に解説します。

 

薬物療法

使用する薬物は、症状によって変わります。まず肺の疾患が原因で肺アスペルギルス症を発症した場合は、原因となる疾患の治療をまずは行います。

 

「肺アスペルギローマ」「侵襲性肺アスペルギルス症」の場合は注射や点滴による治療も行われます。

 

「アレルギー性気管支肺アスペルギルス症」の場合は喘息用の吸入ステロイド薬やステロイドの内服薬を用います。

 

ステロイドの内服薬は病状に応じて徐々に量を減らすことができます。

 

また症状に応じてはカビの増殖を抑えるために抗真菌治療用薬を使用します。主に使用される抗真菌薬はイトラコナゾール、ミカファンギン、アムホテリシンBなどです。

 

またブイフェンドのジェネリック医薬品であるボリコナゾールも使用されることがあります。

 

摘出手術

真菌塊を直接、摘出する外科手術を行うことがあります。

 

酸素療法

アスペルギルス症は治療が遅れると、肺の線維化や気管支の拡張といった症状が起きます。これらは呼吸不全の原因となるため、酸素療法を併用する場合があります。

 

生活環境の改善

症状を悪化させないように、アスペルギルスを極力吸い込まないように生活環境を改善することも重要です。

 

住居や職場の湿気管理に注意し、カビが発生しない環境作りを行います。エアコンだけではなく、毛布や枕などもカビが繁殖する温床となりますので日干しをこまめに行います。

 

肺アスペルギルス症の症状や治療について解説しました。放置していると症状が悪化してしまうため、早めに医療機関で診察を受け、治療を開始する必要があります。

 

治療に使用する抗真菌薬は市販薬ではなく症状に応じて量や種類を変える必要があるので必ず専門医や薬剤師の処方箋による薬物療法に従いましょう。

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