肺に影があり咳も出る【原因となる病気や癌の確率を解説します】
<監修医師 ドクターTST>
人間ドックや健康診断を皆さんも受けたことがあると思いますが、胸部レントゲンで「肺に影がある」と言われたことがありますか?
その場合も、再検査で「異常なし」と判断される人が多いようですが、もちろん恐ろしい病気に罹っている可能性もあります。
今回は、肺に影があり咳も出る原因についてまとめます。癌の確率や肺を健康に保つ方法なども解説していきます。
気になる所から確認してみよう
肺に影が出来る原因となる病気
肺がん
肺がんは近年増加している癌の一つで、男性に多く、その発症者は年間5万人を超えるほどです。肺の気管や気管支、肺胞の一部の細胞が癌化してしまい、進行すると血液やリンパの流れに乗って転移していきます。
咳や血痰が初期症状としてあり、進行すると腫瘍による炎症や出血によって嚥下障害、呼吸困難、喘鳴、声の枯れ、背中の痛みなどの症状を伴います。
X線検査肺と周囲の境界線がわりとはっきりした状態で、結節影や腫瘤影が白く映ります。
初期症状についてくわしくはこちらを参考にして下さい。
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肺結核
肺結核は、結核菌に感染して肺が炎症した状態です。飛沫感染で広まりますが、発病の確率はわずか10%と言われており、免疫力の高い健康な人は一生発病しません。逆に免疫力の低い高齢者や子供などは注意が必要です。
微熱、咳、痰など風邪のような症状が2週間以上続いて治らない場合は病院で検査をした方が良いでしょう。
X線検査では結節影の他、肺と周囲の区別がはっきりしない状態の、もやもやした雲のような影(浸潤影)が両肺に大きく広がっていることがあります。ただ、結核菌の有無を調べる血液検査やツベルクリン検査と併せて判断する必要があります。
じん肺
じん肺とは、鉱物、金属、研磨材、炭素原料、アーク溶接のヒューム等の粉じんを吸い込むような職業、炭鉱で働いていた人がよく発症している呼吸器疾患です。
これは、肺が繊維化して固くなり、呼吸困難に陥ります。初期にはほとんど症状がみられませんが、進行するにつれて痰、咳、喘鳴、息切れなどの症状が現れます。X線検査では両方の肺に大きく広がる影として映ります。
肺炎
肺炎によっても肺に影が映ることがあります。
肺炎は、細菌性肺炎、ウイルス性肺炎、マイコプラズマ肺炎、クラミジア肺炎、真菌性肺炎、寄生虫肺炎などに分類され、発熱、全身倦怠感、食欲不振などの全身症状と、咳、痰、胸痛、呼吸困難などの症状が現れます。
X線検査では、肺結核と同様に、肺と周囲の区別がはっきりしない状態で映ります。
肺炎の症状についてくわしくはこちらをみて参考にして下さい。
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肺炎の症状チェック!えっ大人でもうつるの?
悪性リンパ腫
悪性リンパ腫は血液のがんの一種で、全身に広がっているリンパ組織内の細胞が悪性化します。
全身の倦怠感や微熱、体重減少などの症状や、痛みのないリンパ節の腫脹を初期症状とし、全身に転移していきます。
この場合は、胸部のリンパ節の腫れによる陰影がX線検査で認められますが、同時に首や鎖骨付近などのリンパ腺にしこりがあるなどの症状から疑います。
癌である確率
癌である確率は低い!しかし再検査で早期発見・早期治療
人間ドックや健康診断で「肺に影がある」と指摘された場合、「要精検」、つまり再検査を勧められます。これは、健康診断の目的が癌を早期発見し、早期治療することにあるからです。
肺に影ができる原因は様々であり、癌である確率はそう高くないかもしれません。肺の病気はどれも症状がよく似ており、観察だけでは識別が難しいのです。
X線検査ではっきり分からない場合は、CT検査、さらに喀痰検査、採血などを行うことで病気を特定していくことになります。
このように、健康診断では原因が不明であっても、他の検査で癌が見つかったり、別の重大な病気が見つかることもあるため、再検査は重要と言えるでしょう。
「異常なし」の例や肺以外の原因も!
癌以外のケースで代表的なものは炎症です。また、炎症の跡が影に見えることもあるそうです。この他、血管の蛇行、血管腫や過誤腫、良性の腫瘍が映っている場合もあります。
肺以外にも、気管の位置が偏っている場合、気管支拡張症、胸郭変形、脊椎側弯症、心拡大などの気管や骨格、心臓の異常によって肺に影が映る場合があります。
また、担当医師の技量不足で、肺の血管や乳首が映ってしまったり、気管や肋骨の陰影が重なって腫瘍と間違われるケースもあるようですよ。このような例もありますので、セカンドオピニオンの観点から再検査をオススメします。
リンパ腫についてはこちらも参考にして下さい。
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肺の健康を保つ方法
禁煙
タバコは肺がんや慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの原因になると言われています。
COPDには慢性気管支炎や肺気腫などがあり、呼吸困難、息切れ、止まらない咳や痰などの症状に苦しみます。
喫煙者の肺はタールで汚れ、どす黒くただれたようになっています。肺胞も壊れてすかすかの空洞状で、肺本来の機能が著しく低下した状態は元に戻ることはありません。
肺を健康に保つためには、喫煙を減らす、もしくは禁煙することをオススメします。
禁煙の方法についてはこちらも参考にして下さい。
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ストレス解消
肺の病気で、肺に穴が空き呼吸困難に陥る気胸という病気がありますが、突発性のものでは過労や過度なストレスが原因の一つと考えられています。
また、ストレスによって喫煙の量が増えたり、不眠によって免疫力が低下し病気になるという悪循環に繋がります。日頃からストレスを解消する方法を身につけておきましょう。
生活習慣を改める
肺がんの原因について詳しいことは分かっていませんが、喫煙、食習慣、生活環境など様々な因子が絡み合っていると言われています。
そのため、食事や睡眠、運動の他、免疫力を低下させるような生活習慣があれば正していくことが重要です。
飲酒を減らす
飲酒は喫煙者における肺がんの発生率を高めるという研究報告があります。また、アルコールによって喘息が誘発されたり、免疫力が低下することも分かっています。
肺の健康を保つためには飲酒を減らすことをオススメします。
今回は、肺に影が出来る原因や、咳が出る症状の病気についてまとめました。肺の病気の他にもレントゲンで影ができる病気や原因が多々あることには驚きでした。
肺の病気は一度発症すると難治性のものが多く、咳や呼吸困難など苦しい症状に一生悩まされることを考えると本当に辛いですよね。
肺の健康を保つために、日頃から生活習慣や健康状態に気をつけていくことが重要です。そして少しでも身体に異常や違和感があれば医療機関を受診しましょう。肺がんで触れたように、早期発見・早期治療が健康への鍵です!!
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