胃腸風邪は潜伏期間にうつる?【食事についても解説】
<監修医師 吉野 聖奈>
子供から大人まで感染することのある胃腸風邪。胃腸風邪はウイルスや細菌が原因となる胃腸の病気ですが、潜伏期間があるため、感染してすぐ症状が出ることはありません。
そのため、胃腸風邪の症状が出てきても、原因がすぐ思い当たらないということもあります。
今回は、この胃腸風邪の潜伏期間と、人にうつるかどうか、そして胃腸風邪になった時の食事の取り方についてお伝えしていきます。
気になる所から確認してみよう
胃腸風邪の潜伏期間はどれくらい?
胃腸風邪の潜伏期間は、病原菌によって様々です。今回は、代表的な病原菌ごとに、潜伏期間をご説明していきます。
1. ノロウイルス
ニュースでもよく耳にする名前ですね。感染力が強く生牡蠣などの二枚貝が感染源になります。潜伏期間は30〜40時間です。
2. ロタウイルス
子供がよくこのウイルスに感染します。
大人までに何回も感染するため、大人になる頃には症状が現れることはまれになります。潜伏期間は1〜2日です。
3. アデノウイルス
プールなどで感染しやすいのがアデノウイルスです。潜伏期間は、5〜7日と長めなのが特徴です。
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4. サルモネラ菌
肉や卵から体内に入ります。潜伏期間は8時間〜2日間ほどです。
5. 腸炎ビブリオ
魚介系の食べ物から感染することが多いのが腸炎ビブリオです。潜伏期間は6〜12時間と短めで、回復も早いのが特徴です。
潜伏期間は、ノロウィルスが30時間から40時間、カンピロバクターは2日から11日で、感染源は、ノロウィルスは生ガキ、カンピロバクターは生の鶏肉や生レバー、馬刺しなどです。
6. カンピロバクター
鶏肉など肉類から感染する最近です。潜伏期間は3日〜1週間ほどと長めです。
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胃腸風邪はうつるの?
胃腸風邪は人にうつってしまうのか、心配ですよね。全部がうつるわけではありませんが、中には人から人へ感染するものがあります。
ウイルスが原因の場合は、接触感染や飛沫感染で二次感染が起こります。
保育園や幼稚園で胃腸風邪が流行る、なんてこともありますし、ご家族から感染してしまう場合もあります。
アデノウイルスなど潜伏期間が長いものは、自分の症状が出ないまま他の人に感染してしまうということもありますので怖いですよね。
もし、ご家族や会社の同僚が胃腸風邪にかかったとわかったら、次の2つのポイントに注意して、きちんと自分を守れるように気をつけましょう。
嘔吐物の処理はしっかりと
特に注意していただきたいのは、お子さんやご家族が嘔吐された時の嘔吐物の始末です。
アルコール消毒では不十分なので、ハイターなどの次亜塩素酸ナトリウム系の漂白剤を使って、嘔吐物の処理や清掃をしてください。
下痢がひどい場合、トイレの清掃もきちんと行った方がいいです。また、掃除をするときは、マスクと手袋をして、終わったら必ず手洗いとうがいをしてくださいね。
お風呂も要注意
胃腸風邪の時にお風呂に入ってはいけない、ということはありません。
ですが、もし下痢をしていたらお風呂に入るのは一番最後にしましょう。他のご家族と一緒に入ることは避けてください。
また、タオルやバスタオルも別のものを準備するようにして、直接接触することを避けましょう。
お風呂も水はもちろん毎日変えるようにして、洗面所や浴槽もしっかり洗ってウイルスや菌を洗い流すようにしてください。
胃腸風邪の間におすすめの食事
胃腸風邪の時は、何を食べるのか注意しないと症状が赤する可能性があります。まず、水分補給はしっかりと行ってください。
嘔吐や下痢は、体の水分を奪ってしまいます。その上で、食欲を見ながら食事をとるようにしましょう。
胃腸風邪の時は胃に負担をかけない
胃腸風邪の時には、次のようなものを食べてください。
1. うどん、おかゆ
うどんやおかゆは消化しやすいので、食欲が出てきたらぜひ食べてください。ゆっくりと食べるようにすると、より胃に優しいですよ。
2. 甘酒
甘いものが欲しい時は、甘酒を飲みましょう。甘酒ならば胃にも優しく、エネルギー源となる糖分も取れますし、酵素を多く含んでいるため胃腸の働きを助けてくれます。
3. 野菜スープ
体のためには野菜も取りたいところですが、生の食物繊維は弱っている胃や腸には負担になります。
キャベツ、人参、玉ねぎなどをよく煮込んでスープにして食べてください。
4. 梅干し
梅干しには殺菌、抗菌作用があり、また疲労回復に重要なクエン酸が含まれています。酸っぱすぎないタイプのものを選ぶといいですよ。
5. ゼリーやヨーグルト、プリン
食欲がないときでも、口当たりの優しいものを少しでも取ってください。
胃腸風邪のときに避けたい食べ物
胃腸風邪のときには、避けた方がいい食べ物もあります。
1. アイス
冷たい食べ物は胃腸に負担をかけます。
2. きのこ類
きのこなど食物繊維が豊富に含まれている食べ物は下痢が悪化する可能性があります。
3. 刺身などの生もの
胃腸風邪を引いている間は可能な限り加熱処理されたものを食べた方が、消化器官に負担をかけません。
4. カレー
香辛料や脂肪分が多いので、食欲をそそる食べ物ではあるのですが、胃腸風邪の時には食べないほうがいいでしょう。
5. アルコール
肝臓は毒素を分解する重要な器官ですが、アルコールを飲むとアルコールの分解が優先され、病気が長引くことが予想されます。
6. お菓子
クッキーなどのお菓子には、バターなど脂肪分が含まれているため、胃腸が荒れている時には食べない方がいいです。甘いものが欲しい時は、甘酒や飴をとるようにしましょう。
腸がスッキリするようなおならが出たら、胃腸が元の状態に戻ってきたというサインです。徐々に元の食事に戻していくようにして大丈夫でしょ。
胃腸風邪にならないための3つの予防法
胃腸風邪は、多くの場合症状が1週間ほど続く辛い病気です。できれば、日頃から予防して避けるようにしたいですよね。そこで、胃腸風邪にならタイための予防法を3つお伝えします。
手洗い、うがい
食事を行う前に、手洗いとうがいを念入りにしましょう。できれば、アルコール消毒も取り入れて、感染力の強いウイルスも予防するようにしたいですね。
食品はしっかり加熱
胃腸風邪の原因の多くが、加熱をしていない食品によるものです。生牡蠣や、生の鶏肉、レバーなどから感染する場合が多くあります。
夏場は特に注意が必要です。予防法としては、生の二枚貝や肉類は避けること、それからよく加熱してウイルスや細菌を死滅させることです。
生の食べ物は美味しいですが、それだけリスクがあることを理解しましょう。
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規則正しい生活をする
胃腸風邪にかかるかどうかは、自分の健康状態や免疫力も大きく影響します。
そして、免疫力は、ストレスの少ない規則正しい生活をすることで普段から高めておくことができます。
自分の体の状態を普段からしっかりコントロールしておくことが、何よりの予防になります。
まとめ
今回は胃腸風邪の潜伏期間、人への感染、そして食事と予防法についてお伝えしました。
胃腸風邪は人から人へと感染する恐れがあります。潜伏期間に感染してしまうこともあるので、普段からの予防がものを言います。
面倒臭いと思って怠けてしまわないで、普段から手洗いとうがいを徹底するようにしましょう。
特にお子さんは遊んでいる間どこを触っているかわかりませんから、しっかり習慣づけてあげてくださいね。
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