膝の裏側が痛いのはコレが原因【正しい対処法を解説】
<監修医師 田中 恵文>
膝の裏が痛いことありませんか? 大きなショッピングセンターで歩き回ったあとなど、ちょっと痛いなと思ったりしますね。
すぐ治ればいいのですが、ひどく痛んだり長びく場合もあります。そんな膝の裏側が痛い原因と対処法です。
膝の裏側が痛い原因
成長痛
こどもが膝の裏側が痛いと訴えたとき、たいていの場合は成長痛です。成長過程で起こる一時的な手足の痛みです。
夕方や夜に痛がり朝になれば治っていることが多く、疲労が引き金になっていると考えられています。
痛み以外の症状があったり、何日も痛みが続いたりしなければ心配いりません。
もし朝になっても痛がったり、足をひきずっていたら、小児科か整形外科を受診してください。
運動
歩き過ぎ、ランニングなどでの走り過ぎなどで膝裏の筋に痛みが出ます。
膝裏の外側が痛むのは筋肉疲労によるものですが、痛みが強く長い時間続く時は靭帯が痛んでいる場合があります。
靭帯損傷の場合は、足を伸ばすと痛いのが特徴です。サッカーなどの運動で、足を酷使したり相手との衝突で靭帯を傷めて痛みが起こることもあります。
加齢
年齢とともに筋力が低下し、日常的な動きでも疲労して痛みを感じるようになります。
腱(けん)の柔軟性が落ちてきて、上体を前へ倒す動作をすると膝の裏が激しく痛みます。
また膝関節内の軟骨もしだいにすり減って、摩擦が大きくなり痛みが出ます。O脚の人は体重がかかりやすい膝の内側が痛むのが特徴です。
姿勢
姿勢が悪く、体重や日常動作の負担が筋肉や骨のかたよった部分に加わっているために、継続的に筋肉疲労が起こって痛みが出ます。
腰痛
何らかの原因で腰が痛い時、日常動作はどうしても腰をかばうような動きになりがちです。すると膝に負担がかかり、筋肉や腱が傷むようになります。
膝の裏側が痛くなる病気
静脈瘤(じょうみゃくりゅう=静脈のこぶ)
膝周辺の静脈の血流が悪く、血管が浮き出てこぶ状のふくらみができます。
むくみやだるさ、かゆみを伴うこともあります。正座した時などに、これが圧迫されて痛みを感じます。
静脈瘤の治療は何科がいいのか迷うところです。以前は外科や皮膚科、血管外科でこぶができた部分を抜き取るのが普通でした。
ところが近年レーザー治療が登場してからは、形成外科、循環器科、放射線科までがかかわるようになっています。
ネットで検索すると下肢静脈瘤専門の治療を謳う病院が見つかりますので、それを目安にするといいでしょう。
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リンパの滞留
足がむくんで膝の裏に突っ張ったような痛みを感じる場合は、リンパ液の流れが滞っている可能性があります。
むくみや痛みが軽い場合は、自分で足先から胴体の方へ液体を送るようにマッサージすると、症状がやわらぎます。
ただ、膝の裏がはっきりと腫れているような時は、循環器系の病気の恐れがあるので内科を受診したほうがいいでしょう。
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ベーカー嚢腫(のうしゅ=袋状のはれもの)
膝関節の裏にある滑液胞(かつえきほう=関節の潤滑油の役目をする液体の入った袋)という袋に炎症が起こったものです。
50歳代、ちょうど更年期世代の女性に多く発生します。痛みは強くなく、圧迫感や違和感があります。
治療としては、整形外科で患部に針を刺してたまった液体を抜き取ります。
状況によって何度も吸引したり、抗炎症剤を併用するなどの治療が行われます。
変形性膝関節症
中高年の女性に多い病気です。初期、中期には膝が痛んだり、立ち仕事や正座、階段の昇降がつらくなったりする症状があります。
末期には関節が変形して膝が伸ばせない、歩けないとった状態になります。
原因は老化が多く、年齢とともに軟骨の弾力がなくなったりすり減ったりして変形します。
また骨折や靭帯損傷、感染症などがきっかけで関節に影響が出ます。肥満や遺伝がかかわっていることもあります。
診断・治療は整形外科で行われます。症状が軽いうちは抗炎症剤の内服、湿布やヒアルロン酸の注射、関節の保温、安静などの処置が行われます。
補助的には下半身の筋力強化、関節の動きをよくするリハビリなどがあります。
関節に変形があって運動機能が損なわれている場合は、関節内視鏡による手術、骨の切除、人工関節置き換えなどの外科的処置がとられます。
脊柱管狭窄(せきちゅうかんきょうさく)症
脊柱管とよばれる背骨の神経の通路が狭くなり、神経を圧迫して背中から膝にかけて痛みやしびれが出ます。坐骨神経痛を生じる疾患の一つです。整形外科で診断・治療を受けます。
膝の裏側に効果的な対処法
ストレッチ
筋肉のこわばりをゆるめ、関節の柔軟性を取り戻すのが目的になります。
膝関節とその周辺の大きな筋肉(ふとももやふくらはぎの筋肉)を曲げ伸ばしします。
ストレッチによって血流がよくなり疲れや痛みがやわらぎます。また、新陳代謝が盛んになって疲労物質がより早く取り除かれます。
加齢や運動不足による痛みに対しては、急に長時間行ったりせず、毎日ゆっくりとあせらずに続けます。朝夕二回、及び入浴後などに定期的におこなうのが効果的です。
痛みが強いとき、長びくときは靭帯や半月板を損傷しているおそれがあります。無理にストレッチを続けず、整形外科を受診します。
温熱療法
痛む部分を温めることで、血行をよくするために行います。温めることで痛みの原因である疲労物質の排出を促し、筋肉や腱のこわばりをゆるめます。
入浴やシャワー、カイロ、温湿布などの方法があります。サポーターはそれだけで保温効果がありますが、遠赤外線効果があるもの、カイロ用ポケット付きなどもあります。
この方法は加齢・老化による痛みに対してより効果的です。腫れて熱を持っていたり、痛みが強い場合は炎症が考えられますので、その時は温めるのをやめてください。
冷やす
靭帯損傷などのケガ、あるいは急性の関節炎などで、膝が熱を持って腫れ、激しく痛む時には冷やして痛みを緩和します。
ただ、これはあくまで応急処置で、冷やしながら病院へ急ぎます。冷やすかどうか判断に迷う場合は何もしないで受診してください。
筋力強化
加齢や姿勢が原因であれば、ふだんの生活習慣として筋力増強を心がけます。歩いたり軽いランニングを継続して続けます。
脊柱管狭窄などで腰痛を伴う場合は、自転車による運動が効果的です。腰まわりの負担が少ない運動になり、血行もよくなります。
テーピング
運動などで靭帯を損傷した場合(ねんざなど)、痛む部分の保護としてテーピングされます。
あくまで痛みの軽減措置なので、楽になったからといって無理な動きはしないでください。
まとめ
膝の痛みといってもいろいろありますね。治し方もそれに応じていろいろなので、よく見極めることです。
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特に筋肉や骨の仕組みは複雑なので、対処を誤ると危険です。十分注意しましょう。
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