血便はストレスが主な原因?【病院は何科を受診?】
<監修医師 吉野 聖奈>
腹痛を伴う血便が出たらどうしますか?待っていて自然に治まればいいですが、危険な病気が隠れていることもあれば、市販薬が逆効果になる場合もあります。
原因も意外なところにあるかもしれません。お腹の中は見えないだけに不安ですよね。
今回は、血便でも痛みを伴う病気を取り上げています。何科を受診すべきか?家で出来る対処法はないか?についてもお伝えします。
血便はストレスが原因
感染性腸炎1(細菌性の腸炎)
感染性腸炎とは、腸に何らかの病原体が感染することにより消化器症状を起こす病気です。
病原体には、ウイルス、細菌、寄生虫などが考えられ感染経路は様々なルートが考えられます。食品や飲料を介して感染することを食中毒と呼びます。
サルモネラ、カンピロバクター、腸炎ビブリオ、病原性大腸菌などの細菌に感染すると、発熱、腹痛、下痢、吐き気、嘔吐、血便などの症状があります。血便は、血液に粘液が混ざって出てきます。
感染性胃腸炎についてくわしくはこちらを見て参考にして下さい。
【関連記事】
感染性胃腸炎の症状が軽いけど期間や感染力が気になる!
感染性腸炎2(寄生虫の腸炎)
寄生虫としては、赤痢アメーバ、ランブル鞭毛虫(べんもうちゅう)などがあります。発熱、下痢、嘔吐、腹痛、血便などの症状があります。
血便は、血液に粘液が混ざり、下痢の症状が長く続くこともあります。
虚血性腸炎
大腸へ繋がる血管の血流量が減る原因により大腸粘膜が虚血(きょけつ)状態になり炎症や潰瘍、浮腫(ふしゅ:むくみ)が出来てしまう病気です。
血流量が減ってしまうのは動脈硬化などにより血管が狭くなるのが原因とされています。
虚血とは、血液が足りず器官を動かすのに必要な酸素や栄養素が不足した状態です。器官の酸欠状態が続くと壊死してしまう恐れもあります。
突然の激しい腹痛、血便、下痢などが典型的な症状です。腹痛は左下腹部に見られることが多く、血便は鮮血です。吐き気、嘔吐、発熱がでることもあります。
潰瘍性大腸炎
大腸粘膜に炎症がおこり潰瘍になります。直接の原因は免疫反応により発生した異常な抗体が自分の大腸粘膜を攻撃するためです。
なぜそのような異常が起こるかについてははっきりしておらず、遺伝的要素、食生活、ストレスなどが関係しあって発症するといわれています。
血便、下痢、腹痛などの症状があります。血便の色は赤く、血便のみと粘液が混ざる時があります。ひどくなると発熱、体重減少、貧血が出ます。改善しても再発する場合や症状がずっと続く場合などもあります。
【関連記事】
潰瘍性大腸炎の症状チェック!下痢が初期のサインです!
クローン病
消化管に炎症を起こし潰瘍を生じる病気です。消化管とは、口腔から肛門までを指しますが、症状が出るのは小腸・大腸が中心です。
原因は、遺伝的要素と異常な免疫反応、食生活の欧米化等が有力ですがはっきりしていません。
下痢、血便、腹痛、発熱、身体のだるさ、体重減少などです。血便は粘液と鮮血の両方と出ない場合もあります。痔、肛門周囲膿瘍、関節炎などを併発する場合も見られます。
新生児の血便
新生児の便に血液が混ざる場合には大きく分けて3つの原因が考えられます。
✅ 一つ目は、母体血を飲み込んでしまいこれが便に混ざる、仮性メレナ
✅ 二つ目は出血性要因によるもので、ウイルス感染、血友病、敗血症など
✅ 三つ目は器質的な病変で潰瘍や腸管アレルギーなどです。
早めに産科の医師に相談しましょう。
血便が痛い時の対処法
血便と痛みがでたら
下痢、嘔吐、発熱を繰り返すと脱水状態になるので、水分、電解質などを補給する必要があります。市販のスポーツドリンクでも可能なので活用しましょう。(病院で出されることもあります)
受診科は、内科、消化器科、胃腸科、肛門科がいいと思います。
原因別の対処法
<感染性腸炎>
感染性腸炎の場合には、下痢止めの薬はおすすめできません。理由は、腸の蠕動運動を抑制する働きがあると、病原体の排出に遅れが生じてしまう恐れがあります。
食事に関しては、腸を休ませるために絶食か消化に良いものを少量食べるようにします。刺激のあるものは控えましょう。
病原体が排出されれば自然と治まる場合もあり、薬の使用が必要かどうかの判断は医師に任せた方がよさそうです。
食事についてくわしくはこちらを見て参考にして下さい。
【関連記事】
風邪で下痢や腹痛が治らない【2つの原因や食事方法を徹底解説!】
<虚血性大腸炎>
虚血性大腸炎が疑われる場合には、内視鏡検査で病変を確認します。安静と、絶食、点滴に薬物治療を行ない、症状が治まってきたら食事を再開します。
半数は、一過性ですが重症になると手術が必要になる場合もあります。激しい腹痛を覚えたら、我慢せずに病院へ行きましょう。
<潰瘍性大腸炎>
潰瘍性大腸炎は薬物治療で対処しますが、重症では入院での治療、再発を繰り返す時には手術となる場合もあります。
また、長期化すると大腸がんのリスクもあるといわれています。食生活の改善やストレスを溜め過ぎないよう注意が必要です。
厚生労働省の特定疾患に指定されているため、申請により医療費の補助が受けられます。
【関連記事】
潰瘍性大腸炎の食事はコレに注意して!簡単メニューを紹介!
クローン病は、潰瘍性大腸炎との区別が難しい場合があります。内視鏡検査や血液検査により判別します。
薬物療法と栄養療法を併用し、症状によっては手術をします。症状が安定しても食事制限を課される場合が多いようです。
こちらも申請により医療費の補助が受けられる、厚生労働省の特定疾患に指定されています。
血便が出ないための予防法
食事や衛生面で注意する
感染性大腸炎は食品、飲料、ペット、人により感染します。魚肉類は、新鮮なもの完全に火を通してから摂るようにします。
イヌやミドリガメが感染源になる場合があるので管理に気を付けましょう。
人から人への感染は便や吐瀉物が原因になります。二次感染により被害を拡大させないために、マスクやゴム手袋など防護をきちんとしてから処理にあたります。
また、虚血性大腸炎、潰瘍性大腸炎、クローン病は食生活の乱れや欧米化とともに増えている疾患です。肉食中心の食生活になっている場合などには見直しが必要かもしれません。
ストレスを溜めない
潰瘍性大腸炎、クローン病にはストレスという共通のキーワードがあります。仕事による疲労はもとより、人が生活していくうえでストレスを感じないでいるのは難しいことです。
ですから、そのストレスを解消し自分の心とどう付き合うかが重要だと思います。いずれも罹ってしまってから治すのが大変な病気なので確実に予防していきたいですね。
当記事は医師、薬剤師などの専門家の監修を受けておりますが本サイトで提供する情報、文章等に関しては、主観的評価や時間経過による変化が含まれています。 そのため閲覧や情報収集は利用者ご自身の責任において行っていただくものとしその完全性、正確性、安全性等についていかなる保証も行いません。