血液検査のwbcとは?【正常値でない場合に起こる疾患に注意】
<監修医師 まっちゃん>
健康診断や人間ドックで行われることの多い血液検査。いつもなんとなく受けているけれど、気にするのは中性脂肪やコレステロールの数値ばかり、なんてことになっていませんか?
人間の体の隅々までいきわたる血液の組成は、その人の体の状態を見るのに非常に重要な情報です。血液検査では、赤血球、ヘモグロビン、ヘマトクリット、血小板数などを含む、様々な要素が調べられます。
今回は、そんな血液検査の「wbc」についてお伝えします。血液検査のwbcとは何なのか、そしてその値が増減するとどのような疾患のリスクが高まるのか、など詳しくお伝えします。
ぜひ、次回の健康診断の参考にしてください。
気になる所から確認してみよう
血液検査のwbcとは
そもそもwbcとは何を指すのでしょう。wbcは、white blood cellの略で、白血球のことです。血液検査でいうwbcは、血液1μl中の白血球数を示しています。
白血球には、好中球、好酸球、好塩基球、リンパ球、単球の5種類があり、体外から侵入してきた細菌、ウイルス、異物を排除する働きを持つ、血液中を流れている細胞です。
つまり、wbcを測定することで、免疫が正常に機能しているかを判断することができます。
白血球は、免疫システムの働きにより増加したり、減少したりします。このような変化により、例えば細菌感染や炎症反応が起きていることを知ることができます。
白血球の状態を知ることでわかる病気についてくわしくはこちらを見て参考にして下さい。
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白血球数が増減する原因
白血球の数は、様々な原因により増減します。一時的な現象のことも多いので、「白血球数が高い/低い」=「病気」とはなりません。
wbcの値が基準値から外れている場合、病気を疑う前に、まずは検査前の自分の身体の状態を思い出してみてください。
生活習慣
タバコやお酒などの嗜好品や生活習慣で白血球の数が増減することがあります。特にヘビースモーカーの方は、特に疾患がなくても白血球の数が高くなりやすいです。
これは、気管や気管支に慢性の炎症を起こしているためです。
ストレス
過度のストレスがかかると、wbcが上昇することがあります。
ストレスと身体の関係についてくわしくはこちらを見て参考にして下さい。
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激しい運動
激しい運動の直後はwbcが上昇しやすいです。できれば、血液検査の直前は激しい運動は避けましょう。
薬剤
薬剤により、白血球の数が増減することもあります。
例えば、抗がん剤、抗甲状腺薬、抗菌薬、解熱鎮痛薬、抗けいれん薬などの薬剤は白血球数を減少することが知られています。
病気
もし、生活習慣やストレス、激しい運動などが当てはまらないのに白血球数が基準より外れている場合は、病気による白血球の増減が起こっている可能性が考えられます。
ただし、白血球が減っている、増えているだけではどんな病気か判断することはできません。再検査を行ったり、その他の血液検査や炎症マーカーなどを確認して、体にどのような異常が起こっているかを確かめます。
白血球の増減によりどのような疾患が疑われるかについては後ほど詳しく説明します。
血液検査のwbcの正常値
wbcの正常値は、3,500〜9,800個/μlです。かなり下限と上限が離れていると感じた方もいるかもしれませんが、白血球の数というのは変動しやすく、例えば、朝に低く、夕方高くなりやすいなど、時間によっても違います。
また、先程お伝えしたように、生活習慣や、運動、食事、入浴などによっても10〜15%ほど変化します。
ただし、妊娠中の方は白血球が多くなる傾向にあり、10,000〜12,000個/μLあたりの値が継続的に続くことがあります。
このように、白血球数は個人差や状況によって変化しやすいことを覚えておいてください。
白血球が多いときになる疾患
では、白血球が多いとどのような疾患が疑われるのでしょうか。一般的に、白血球が基準よりも多い状態を「白血球増加症」と言います。
実に様々な原因が白血球増加症を招きますが、中には深刻な疾患もありますので注意が必要です。
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感染症
例えば、細菌やウイルス、寄生虫の感染、アレルギーなど私たちが普段かかりやすい感染症なども白血球増加症の原因となります。
尿毒症
尿毒症とは、腎臓の機能が低下してしまう病気のことで、様々な老廃物が排出されずに体内に蓄積してしまいます。
これらの老廃物は体にとっては毒素となり、放置してしまうと命を落とす危険性もあります。
赤血球増加症
赤血球増加症または多血症と呼ばれる病気で、赤血球が多くなりすぎてしまう病気です。主に増加しているのは赤血球ですが、白血球や血小板も増加します。
赤血球が多くなると血液の粘度が高くなり、脳神経やその他の体の部位での血液の流れが悪くなり、血栓症や脳梗塞、心筋梗塞といった命に関わる症状が発生しかねない危険な状態になります。
白血病
白血病とは、様々な種類の血液細胞を作り出す造血幹細胞が癌になってしまう病気です。
白血病になると、癌化した白血球が際限なく増殖を繰り返します。増えすぎた白血球が骨髄に溜まって血を作る作用を妨げたり、肝臓や脾臓など内臓に侵入して症状を起こすようになります。
白血病は初期の場合あまり症状を感じることがありませんが、病気が進行すると、発熱、貧血、出血傾向などが現れます。
白血病は早い時期に病気の進行が抑えることが重要となりますので、白血球数が増えていたらしっかりと原因を突き止めることが大事です。
その他にも、急性出血、急性溶血、敗血症、腎不全、肺不全、悪性腫瘍などの疾患でも白血球が増加します。
先ほどもお伝えしたように、白血球が増えているというだけでは病気の特定ができたいため、さらに精密な検査が必要になります。
白血球が少ないときになる疾患
白血球が減少している状態を「白血球減少症」と言います。白血球が作られる速度より、消費されたり破壊されたりする速度が早い時に白血球減少症を引き起こします。
先程お伝えしたように、白血球は、体を守る免疫機能を持つ細胞です。その白血球が少なくなってしまうと、免疫力が低下し、様々な病気の症状が悪化しやすくなります。
白血球減少症を引き起こす重大な病気には、次のようなものがあります。
無顆粒球症
白血球には、好中球、好酸球、好塩基球、リンパ球、単球の5種類あるとお伝えしましたが、そのうち好中球、好酸球、好塩基球をまとめて顆粒球と呼びます。
この顆粒球が少なくなっている状態を無顆粒球症と言います。
無顆粒球症は薬剤が原因となって起こることが多く、全身のだるさ、高熱、喉の痛みなどが引き起こされ、さらに重症になると肺炎、敗血症などを起こす危険な病気です。
好中球減少症
好中球の数が著しく低下する病気を好中球減少症と言います。好中球は、感染を防ぐのに重要な役割を果たしているため、この病気を発症すると細菌や真菌に感染しやすくなります。
こちらも、抗生物質、抗けいれん薬、糖尿病薬など、薬剤の使用が引き金となって病気が発症することが多いです。ですが、その他にも骨髄の造血障害(再生不良貧血、白血病、放射線照射など)の病気が原因となる場合もあります。
好中球減少症は症状が重くなると咽頭炎や口内炎、口腔潰瘍、リンパ節腫脹を引き起こし、さらに進行すると無顆粒球症を引き起こす可能性もあるため、早めに進行を食い止めることが重要です。
リンパ腫に関してくわしくはこちらを見て参考にして下さい。
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まとめ
今回は、血液検査のwbc、つまり白血球数検査についてお伝えしました。
白血球を調べることで、炎症や感染症などの兆候を知ることができ、白血病や無顆粒球症など、深刻な症状を引き起こす疾患を早めに見つけることができます。血液の異常は、全身をむしばむ病気となりかねません。
ぜひ、健康診断や人間ドックの時は、血液検査の結果もしっかりと確認して、もし不安に思うところがあれば病院で精密検査を受けるようにしてください。
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