身近な野菜しいたけの効能とは【栄養成分がいっぱい!】
<監修食生活アドバイザー 藤沢 淳司>
とても身近な野菜であるしいたけには、実はたくさんの栄養素や効能があります。高血圧や動脈硬化、心筋梗塞、脂質異常症等の生活習慣病の予防にも効果があります
さらにしいたけには便秘解消効果もあり、ダイエットにも効果的で美肌効果も期待出来るのです。
今回はしいたけの栄養価や効能、ダイエット効果、効果的な食べ合わせについて解説いたします。
気になる所から確認してみよう
しいたけとは
しいたけは、まつたけ科のきのこであり、生産量・流通量ともに多い野菜です。煮物、お鍋、煮物、炒め物、天ぷら、和食では色々なお料理に使われています。
天然のしいたけは、初夏と秋に旬を迎え、シイ・コナラ・クヌギ等の広葉樹の枯れ木や倒木に自生します。
シイの木に生えていたことから椎茸と言われるようになりました。現在販売されている食用のしいたけは、人工栽培によるものです。
栽培方法は、適度な長さに切った木を利用する原木栽培と、おがくずを固めた培地を利用する菌床栽培があります。
販売する時には原木であるか、菌床であるか、栽培方法を明記する義務があります。
しいたけは生のしいたけだけでなく、昔からの方法で乾燥させて干すという保存方法も盛んで、干ししいたけとしても多く食されています。
干ししいたけは、とても旨み成分が豊富で、出汁や煮物づくりには欠かせない野菜です。
しいたけには嬉しい栄養素がたくさん!
いつもスーパーに売っているしいたけには嬉しい栄養素がたくさん含まれています。たくさんの栄養素を知り、積極的に食べるようにしましょう。
エリタデニン
かさの部分に多く含まれているエリタデニンはしいたけ特有の成分で、血液中の総コレステロールを下げる働きが期待されています。
コレステロールの代謝が促進されることで、血流が良くなり、動脈硬化や高血圧・心筋梗塞の予防にも効果が期待できます。
ビタミンD
しいたけにはビタミンDも豊富に含まれています。ビタミンDは歯や骨を丈夫にし、脳神経の発育にも重要な栄養素です。
ビタミンDが不足する事でイライラしたり、やる気がなくなるという事が起きます。
また天日干しをする事によって、ビタミンDの含有率が生しいたけよりも10倍まで増える事から、干ししいたけの方がお勧めです。
ただ、最近の干ししいたけは、乾燥の過程で電気乾燥をしている事も多い為、買った後に1度天日干ししてから食べるとビタミンDが増えます。
食物繊維
他のきのこ類もそうですが、しいたけにも食物繊維が豊富に含まれています。
体内に吸収されようとしている脂肪を包み込んで体外へと排出し、腸の働きを活発にします。便秘改善や便秘予防にも効果的です。
レンチナン
しいたけには、レンチナンという多糖類の成分が含まれています。このレンチナンは、がん細胞の増殖を抑える効果が期待されています。
β‐Dグルカン
β‐Dグルカンという多糖類の成分も含まれており、免疫力を高める効果があります。
風邪を引きやすい方や持病をお持ちの方は積極的に食べるといいでしょう。
エルゴステロール
またエルゴステロールという成分で、紫外線を受けることにより、ビタミンD2へと変化する前駆体も含まれています。
エルゴステロールを摂取することで、健康的な発育、骨や歯を丈夫にする事、骨粗しょう症予防に効果が期待できます。
またカルシウムがストレスを和らげる効果がある事から、ストレスを軽減する効果もあります。
骨粗しょう症についてくわしくはこちらを見て参考にして下さい。
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破骨細胞は骨吸収する!【骨芽細胞との関係や疾患を徹底解説】
アミノ酸
しいたけ特有のアミノ酸も余分なコレステロールを体外に排出する働きがあります。高血圧や動脈硬化等の予防に効果的です。
しいたけを食べて健康に!14の効能に期待
次にしいたけを食べる事で期待できる、14の効能について解説いたします。しいたけを食べて健康になりましょう。
血中コレステロール・高血圧・心筋梗塞・動脈硬化・狭心症・肥満
しいたけ特有のエリタデニンの効能により、血圧や血中コレステロールを下げ、高血圧・心筋梗塞・動脈硬化・狭心症等の病気を予防する事が期待できます。
また悪玉コレステロールを減らして、善玉コレステロールを増やす働きもあります。脂質異常症・肥満予防にも効果的です。
脂質異常症の対処方法についてはこちらも参考にして下さい。
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脂質異常症に効く食事の2つのポイント【6つの原因も知っておこう】
骨粗しょう症
しいたけには、エルゴステロールという紫外線に当たる事でビタミンDに変わる成分が含まれています。
ビタミンDはカルシウムの吸収を助けるとともに、骨や歯を丈夫にして、骨粗しょう症予防に効果的です。
腸内環境・便秘・肥満
またしいたけは食物繊維が大変豊富に含まれています。食物繊維を摂取する事で、腸内環境を整えたり、便秘改善、そして肥満の改善や予防等へ効果が期待できます。
免疫力・抗がん作用
しいたけに含まれるβ‐Dグルカンは免疫力を高める働きを持っています。またβ‐Dグルカンの1種であるレンチナンは、抗がん作用を持っています。
実際にしいたけから抽出されたレンナチンが抗がん剤として承認を受けています。抗がん剤治療による免疫力低下を補う目的や、がん細胞の増殖を抑える為にも効果が期待できます。
しいたけがダイエットに効果的な理由
最近流行のきのこダイエットの1種である、しいたけダイエット。しいたけを始めとするきのこは、低カロリーのものが多く、栄養価も高いものが多いです。
しいたけの場合は、100gあたり18kcalと非常に低カロリーです。
こんなに低カロリーなしいたけですが、ビタミンD、エリタデニン、食物繊維、レンチナン、β‐Dグルカン、エルゴステロール、アミノ酸等の栄養素が非常に豊富に含まれていて、健康にもとてもいい食材です。
また食物繊維のなかでも、主に不溶性食物繊維が豊富な為、便に含まれる水分を吸収して大きく膨らみます。
そして、腸壁を刺激するとともに腸の蠕動運動を促し、便秘改善や予防に効果的です。
また体内の老廃物や有害物質を便として、体外へ排出する効果も期待できます。
エリタデニンにはコレステロールを下げる作用もあり、肥満予防にもなります。
それから、しいたけにはキノコキトサンという脂肪燃焼作用のある成分も含まれています。このキノコキトサンは、脂肪吸収を防ぐ作用と、脂肪燃焼の作用の2つの脂肪を減らす方法を持っています。
キノコキトサンには、胃酸にも水にも溶けずに膨張する性質があり、食前に食べる事で腸内をコーティングする効果と、腹持ちの良さが期待できるのです。
さらに美肌にも効果のあるしいたけ。ビタミンB1は疲労回復、ビタミンB2は皮膚の細胞の再生や粘膜を丈夫にする作用などがあります。
ダイエットにも美容にも効果的なしいたけ、積極的に食べていきたいですね。
美肌に効果のある食べ物についてはこちらを参考にして下さい。
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しいたけの食べ過ぎで注意することってあるの?
ここまでしいたけの栄養素や効能、ダイエット効果、美肌効果等について解説してきました。
積極的に摂取したいしいたけですが、食べ過ぎには注意しなければなりません。では詳しく見ていきましょう。
胃痛・腹痛・下痢・吐き気
しいたけを食べ過ぎて、胃痛・腹痛・下痢・吐き気等の症状が現れた場合には、消化不良の可能性が高いです。
発疹等が出ない場合には、胃腸薬や整腸剤で症状が治まるでしょう。あまりにもひどい場合には、病院で医師の診察を受けましょう。
アレルギー
たくさん食べていないのに腹痛・下痢・吐き気等の症状が現れた場合には、アレルギー反応を起こしている可能性があります。
椎茸に含まれる、チロシン・レンチナンという成分がアレルギー反応を起こす場合があるのです。
アレルギー症状としては、吐き気が主な症状ですが、唇の腫れや手足の発疹の症状が現れる場合もありますので、すぐに病院に行ってください。
食べ物が原因で起きるアレルギーについてはこちらの検査方法を参考にして下さい。
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椎茸皮膚炎
しいたけをきちんと加熱せずに食べる事によって、椎茸皮膚炎を発症する場合があります。
加熱が十分でないしいたけを摂取後、数日で上半身を中心に激しいかゆみ・発赤・発疹・水ぶくれができます。
生しいたけの中に含まれる成分による中毒疹であり、加熱が十分でない事から起こり得ます。きちんと水洗いをする事や、加熱処理をする等、調理法には十分に注意しましょう。
野生のきのこの誤食
特に危険性のあるケースとして、野生のしいたけの誤食による食中毒です。きのこ狩り等のシーズンで、しいたけとよく似ている毒きのこと間違えて誤食してしまうケースが多くなっています。
きのこは食べられるきのこなのか、毒性のあるきのこなのか、素人では見分けがつかない事が多いです。
またきのこ狩りに関する間違った迷信等もある事から、特に注意しなければなりません。命に関わる危険性を招く恐れもありますので、きのこ狩りはやめましょう。
しいたけには効果的な食べ合わせがある
最後にしいたけとの効果的な食べ合わせについて解説いたします。
しいたけの旨み成分であるグルタミン酸は、脳の栄養素として欠かせない成分で、脳の老化防止にも効果があります。
しいたけと一緒に食べる事で効果的な食べ物について、一部ご紹介いたします。
✅ しいたけ+ニラ・舞茸・鶏肉・小松菜は、免疫力を高める効果
✅ しいたけ+唐辛子・インゲン豆・白菜・鮭は、肥満防止の効果
✅ しいたけ+しらす・ししゃも・ひじき・いわしは、骨粗しょう症予防
✅ しいたけ+昆布・ほうれん草・米・もやし・いわしは、血行促進の効果
✅ しいたけ+イカ・タコ・サバ・セロリは、高血圧予防、動脈硬化予防
✅ しいたけ+ごま・くるみ・かぼちゃ・マヨネーズは、老化防止、脳の活性化
✅ しいたけ+アスパラガス・ブロッコリー・のりは、がんの予防
こんなにもたくさんの効果的な食べ合わせがあるしいたけ、積極的に食べたいですね。
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またしいたけは、生しいたけよりも天日干しした干ししいたけの方が、ビタミンDやカルシウムが多く含まれています。
自宅で生しいたけを30分~1時間日光に当てるだけでも、ビタミンDを増やす事が出来るので、是非お試しください。
最近はしいたけのお茶や、しいたけを使ったレシピもたくさんあります。またしいたけの石づきは食べられませんが軸は食べられます。
軸からも出汁が出ますし、栄養素も豊富なので、是非捨てずに使いましょう。しいたけの軸は、冷凍保存が出来ますので、冷凍しておいて利用すると良いでしょう。
また冷凍しいたけの軸はとても良い風味が出るので、スープの具やお味噌汁の具として活用しましょう。栄養価の高いしいたけ、余すところなく、おいしく頂きましょう。
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