鎖骨のしこりがボッコリ!その原因や何科を受診すべきかを解説!
<監修医師 WASHIO>
硬いしこりが皮膚の下に出来ると、見た目で異常がなくてもとても気になります。それが首や頭に近い鎖骨の部位ならなおさらです。
夏は襟元が見える服を着る機会も多く、鎖骨にしこりが出ていれば、それが見えることもあるでしょう。
また、鎖骨のしこりは非常に怖い病気のサインの場合もあるので、早期に病院に行かなくてはならないこともあります。
今回は鎖骨にしこりが出来る原因や、何科を受診すればよいのかを解説していきます。
鎖骨のしこりで痛みのある時の原因
リンパ節腫脹(しゅちょう)
リンパはリンパ液と呼ばれる透明な液を運搬する、血管系と似た体のネットワークです。
リンパ液は全身の細胞の間を満たす駅と基本的に同じもので、リンパ系には脂質を運ぶ役目、免疫細胞を生産する役目があります。
リンパ節はこうしたリンパ系と血管系が合流するポイントで、リンパから細菌やウイルスが血管に入り込まないようにするチェックする検問のような役目を持っています。
場所は耳の後ろや下、腋、足の付け根前側、腸、気管支などに存在しています。鎖骨には左鎖骨上部にあり、ウィルヒョウのリンパ節と呼ばれています。
リンパ節は検問の部分であるため、ウイルスや細菌などがあると免疫機能との戦いが行われます。
このときにリンパ節が炎症を起こし、しこりが生じるのがリンパ節腫脹です。このときのしこりは押すと痛いと感じることが多く、大きいほど強い痛みを伴います。
逆にサイズが小さいときには痛みがなく、見逃してしまうこともしばしばあります。いきなり生じて数日で消えたということもよくありますが、腫れが引かない場合は病院に行きましょう。
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癌
リンパは全身に張り巡らされており、がん細胞が入り込むとがんが転移したり、リンパ節が癌化したりすることがあります。
そのため、リンパにガンがあるときは、リンパ節だけが癌化した場合だけでなく、付近の組織(肺、舌、甲状腺、喉)にガンが生じて転移した可能性も疑われます。
女性の場合は周辺組織の他、子宮や卵巣の癌からの転移も考えられます。もしも、左鎖骨上にしこりが生じて、それがやけに固くてぐりぐりしており、しかも大きくなっているときは癌が疑われます。
また、リンパ節腫脹の場合は押すとある程度移動しますが、癌の場合は押しても動かないという違いがあります。
この動く・動かないはただのリンパ節の腫れと癌の明確な違いの一つとされていますが、素人では区別はつきにくいのが普通です。
癌は早期発見が大切なので、おかしいと思ったときには内科を受診しましょう。
頸性神経筋(けいせいしんけいきん)症候群
頸性神経筋症候群は別名「首こり病」とも呼ばれています。首の後ろ側の筋肉に過負荷がかかったことで副交感神経に異常が生じ、頭痛や肩こり、めまい、不眠といった症状が出る病気です。
パソコンなどで長時間机に向かってうつむく作業をしたり、事故によってむち打ち症になったりすることが主な原因です。
症状はストレス性の病気でも良く出る物なので、病院でストレスを緩和させる薬が処方されることがありますが、原因は筋肉の異常な緊張です。
姿勢を改善して肩こりを治したり、整体などで筋肉のコリをほぐしたりする必要があります。
しこりはそれほど一般的な症状ではありませんが、肩こりの一種として、鎖骨に違和感や痛み、固まったような感覚を覚えることがあるようです。リンパ節の腫れと異なり、右左どちらでも発生します。
結核
結核は結核菌という細菌によって起こる感染症で、世界ではエイズに次いで多数の死者を出している感染症です。
結核は結核患者の咳やくしゃみから飛び散るつばなどによって空気感染します。
症状は食欲不振、全身の倦怠感、体重の減少、37度前後の微熱が長期間続くなどの風邪に似た物から始まり、喘息、痰などの症状へと続きます。
肺に病巣が出来ることで吐血などが起こり、最終的には死に至ります。現在では予防接種が一般化し、抗菌剤によって治療も可能になっているので、気づくことが出来れば治療は十分に可能です。
結核は肺の症状が主ですが、それ以外にも皮膚から脊椎まで、全身の様々な場所に感染します。リンパ節は肺に次いでおかされることが多い部分で、左鎖骨上にもリンパ節腫脹が生じることがあります。
リンパが腫れた上に、風邪のような症状がいつまでも続いた上に咳が出てきたら、すぐに病院へ行きましょう。
結核は進行すれば菌の数が増え、それだけ人に映る確率も高くなるので、迅速な対処が必要です。
鎖骨のしこりが痛くなくても要注意
悪性リンパ腫
悪性リンパ腫は、リンパ系の組織に出来る癌の総称です。初期の症状として、リンパ節にピンポン玉サイズのしこりが生じ、普段は2mm程度のそれが、5~10cmにもなります。
リンパのしこりが生じ、それが日々大きくなっていったり、数が増えたりすれば悪性リンパ腫の可能性は高いといえます。
このしこりは触ってみると硬くぐりぐりとしており、ソーセージを触ったときに似た感触があると言われています。
腫瘍が神経を圧迫している場合を除いて、基本的には痛みが伴わないという点が特徴です。リンパの癌は進行が速い上、リンパの流れによって全身に転移する危険性があります。
痛みがないからといって異常を放置していると、本当に取り返しがつかないことになる危険があるので、おかしいと思った場合はすぐに病院で診察してもらいましょう。
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胸郭(きょうかく)出口症候群
胸郭出口症候群とは、胸や首の動脈の出口が、筋肉や骨によって圧迫されたり引っ張られたりすることで起きる、一連の症状の呼び名です。
主要な症状として、首や肩のこり、腕から手にかけてのしびれ・だるさなどがあり、鎖骨周辺にこぶやしこりが生じることもあります。
原因はいろいろあり、腕を上に動かす作業や、机でのタイピングやファイリングといった作業、むち打ち、過去の鎖骨骨折などがあげられます。
治療は腕に負荷をかけない生活への改善や運動の制限、炎症を抑える薬などです。
粉瘤腫(ふんりゅうしゅ)
粉瘤腫はアテロームとも呼ばれ、皮膚に生じる出来物の一種です。腫とついていますが癌などの腫瘍ではなく、本来ならば外側に排出されるはずの垢などの老廃物が、何らかの原因で皮膚(真皮)の内側に溜まっていった物です。
皮膚がある場所ならどこにでもできる可能性があります。最初は触れるとしこりが感じられる程度です。しかし、内部に角質や皮脂がどんどん溜まっていくので、時間が経てば大きくなっていきます。
数mmから数cm、巨大化すると数十cmになることもあります。盛り上がった部分が黒や青や黄色っぽく変色してくることもあります。
盛り上がった部分の頂上中央部には小さな黒いくぼみがあり、これは皮膚にあいた小さなです。圧迫すると、ここから非常に臭い中身が排出されることがあります。
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通常は痛みや痒みはありませんが、中に細菌などが入って化膿すると赤い色を呈して痛みが生じてきます。下手に触ると化膿するので、皮膚科などで切開して中の老廃物や膿を出してもらうようにしましょう。
病院では何科を受診すべきなのか
頸にしこりがあって異常が疑われる場合は、まず内科を受診しましょう。リンパ節腫脹、悪性リンパ腫など、リンパ系に関する病気は内科の担当です。
リンパ節に関する病気は癌の可能性もあるので、ひとまずは内科です。癌の検査方法はいくつかありますが、首や鎖骨の周辺などの浅い場所ではエコー検査が早期発見につながります。
血液検査もありますが、早期の発見は難しいので、まずはエコーやレントゲンで癌の有無が調べられます。結核などの感染症であった場合も早期の診断と治療が重要となるので、放置は禁物です。
仮にリンパの異常ではなく、粉瘤腫などの皮膚の病気でもないと分かった場合は、整形外科に行きましょう。頸性神経筋症候群や胸郭出口症候群は筋肉や骨の異常なので、そちらが専門です。
赤ちゃんでもこうしたしこりが出てくることは良くあります。そのときは冷静に小児科(小児内科)を受診して、診断を受けるように心がけましょう。
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