頻繁に脈が飛ぶ原因とは【動悸等の症状が併発する時は早めの受診】
我々の心臓は起きている時も寝ている時も常に働いています。心臓は基本的にリズムをとっていて収縮と拡張を繰り返しています。心臓のリズムを知る方法として「脈」を測ります。
この脈が速すぎたり、もしくは遅すぎたり、リズムが不規則であったりすると心臓に何かしらの異常があることが考えられます。
また脈の異常は心臓以外にも脳や精神的な疾患にもつながっている場合があります。今回はそんな脈とその異常による病気について解説します。
気になる所から確認してみよう
正しい脈の計り方をマスターしよう
脈は大きい血管である動脈の振動回数を数えます。脈拍とは1分あたりの動脈の振動回数です。動脈は体の様々な部位に存在します。
病院などで多く測定される部位は橈骨の動脈です。橈骨動脈とは手首に存在する動脈です。
橈骨動脈での測定方法は手のひらを上に向けて人差し指と中指の2本、もしくは人差し指、中指、親指の3本の指を揃えて測定します。
足背動脈とは足の甲の中央に存在する動脈です。足背動脈の測定方法は橈骨動脈と同じです。
総頸動脈は首に存在する動脈です。総頸動脈は急変時などによく測定されます。
脈が飛ぶ時どんな状況が起こっているのか
脈は心臓が収縮と拡張する際のリズムです。まずそのリズムがどのように制御されているのか解説します。
心臓のリズムを制御しているのが「刺激伝導系」です。刺激伝導系では心臓に存在するいくつかの経由地点を伝って心臓を収縮するように司令を送ります。
心臓は上下で心房と心室に別れています。刺激伝導系ではまず心房の上に存在する洞結節から電気信号が送られます。
その後、電気信号は房室結節に伝えられ、心室に広がっているヒス束→脚→プルキンエ線維の順に電気信号が伝わってゆきます。
脈がとぶのはこの洞結節や房室結節に異常が起こったりして、電気信号が上手く伝わらない場合に起こるのです。
危険な脈とび徐脈性不整脈とは
徐脈性不正脈は脈が遅くなる不整脈です。徐脈性不整脈では脈拍が60回未満になります。
徐脈性不整脈では心臓が体に必要な血液や酸素を送ることが不十分になります。
そのために徐脈性不整脈ではめまいや息切れ、失神が症状として表れることがあります。
徐脈性不整脈にはその原因によって様々な種類に別れます。徐脈性不整脈で特に代表的なのは房室ブロックと洞不全症候群です。
房室ブロックは刺激伝導系の房室結節およびヒス束で電気信号が通りにくくなったり、電気信号の流れが止まってしまう病気です房室ブロックの症状はめまいや失神です。
洞不全症候群は刺激伝導系の洞結節が機能しなくなる病気です。洞不全症候群でも、めまいや失神などの症状があらわれます。
頻繁な脈飛びや動悸がある時は期外収縮を疑って
期外収縮は心臓が規則正しさから外れて収縮する不整脈です。期外収縮には上室期外収縮と心室期外収縮があります。
上室期外収縮は洞結節以外の所から電気刺激が起こり、心臓の収縮がおこります。上室期外収縮は健康な人でも起こります。
期外収縮で症状が見られるのはまれですが頻繁に動悸が起こる場合は治療を行います。
心室期外収縮は心室からの異常な電気信号によって起こります。
心室期外収縮は極めて頻繁でなければ特に症状は表れず、治療が必要となることはありません。
脈が飛ぶの原因の第1位はストレス
ストレスは心臓に負担を与える
仕事やプライベートなど日常生活において我々はストレスを受けやすいです。寝不足やストレスなどでイライラすると人は交感神経が活発になります。
交感神経は脈を速くする神経です。交感神経が活発になり過ぎる事で脈に乱れが生じて期外収縮が引き起こされます。
コーヒーなどの飲み過ぎに注意
コーヒーなどに含まれる眠気覚ましの成分といえばカフェインです。カフェインも交感神経を活発化することで脈が速くなります。
コーヒーや紅茶などからカフェインを摂る際は適度な量にしましょう。
薬物でも脈飛びが起こる
心臓に効き目のある薬でなくても心臓に影響を及ぼす薬があります。かぜ薬や花粉症の治療薬は心臓を刺激する場合があります。
これらの薬に含まれている心臓を刺激する成分はプソイドエフェドリンという成分です。
アルコールも心臓に影響する
アルコールも脈拍を乱れさせる原因です。アルコールには、一時的に血圧を低下させる作用があります。
血圧は心臓から押し出された血液がどれ位に血管に圧力がかけているかを示しています。血圧は血管の抵抗性(弾力性)と押し出される血液量によって決まります。
押し出される血液量は脈拍が多いほど高くなります。アルコールを飲むと血圧は一時的に低下します。
しかし、体は血圧を一定に保とうとする為、脈拍を速くして血液量を上昇させようとします。その為、脈拍が上がりすぎて不整脈を引き起こすことがあります。
脈とびを感じたら放置せず早期受診を
恐ろしい心停止
心停止とは文字通り心臓の働きが停止することです。心停止は致死率の高い恐ろしい状態です。
心停止が起こると血液が臓器に流れがなくなり、必要な酸素が供給されません。心停止は心室頻拍から心室細動へと段階を踏んで起こります。
心室頻拍は連続して起こる心室期外収縮と考えられています。心室頻拍は心拍数が1分間に120回以上で、心室期外収縮が3連続以上起こっている状態のことです。
心室細動は多くの不規則な電気刺激によって心室が非常に速く収縮し、血液を十分に送り出せなくなる不整脈です。
胸痛もある場合は狭心症のサインかも
虚血性疾患とは狭心症や心筋梗塞など心臓に十分な血液が行き渡らないことです。冠動脈は心臓の活動に必要な酸素を運ぶ血液を送り出す血管です。
狭心症では冠動脈が老化や肥満などで血管内にコレステロールが溜まり、動脈硬化の状態となり、血液が通りにくくなり、胸痛が生じます。
さらに恐ろしい心筋梗塞とは
心筋梗塞は狭心症よりもさらに重症となる虚血性心疾患です。心筋梗塞では冠動脈の血管内に血栓ができてしまい、冠動脈が詰まります。
心筋は心臓を動かす筋肉です。冠動脈に血栓ができる事で心筋に十分な酸素が行き渡らずに心筋が壊死してしまいます。
心筋梗塞では激しい胸痛を伴います。心筋が壊死してしまうと心臓が十分に働かずに命に関わる事もあるので早急な治療が必要です。
脳に障害が引き起こる?脳卒中
脳卒中は脳の動脈が詰まったり、破れたりすることで脳の一部が機能しなくなってしまう病院です。
脳卒中の症状は筋力の低下、麻痺、体の片側の感覚異常、言葉を話すのが困難となる、めまいなどです。
心房細動では心房内に血液が残りやすく、それが血栓となります。血栓はそのまま脳へと流れ脳の動脈を詰まらせ脳卒中を引き起こします。心房細動は脳卒中を引き起こす原因です。
脈の飛ぶ原因と原因となる病気について解説しました。基本的には軽い心室期外収縮や洞不全症候群は症状が無いことが多く治療の必要はありません。
著しく脈が飛んだり、不規則である場合は虚血性心疾患や脳卒中などの合併症に繋がる為、心電図などの必要な検査を受けた後、ペースメーカーによるリズムの調整や手術を行ったりします。
脈を測ってみて脈飛びがみられる場合で他に動悸や息切れがある場合はまずは病院を受診して精密な検査をうけるようにしましょう。
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