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高アンモニア血症は危険な病気の原因になる【症状から治療まで解説】

<監修医師 まっちゃん>

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「アンモニア」といえば、中学や小学校の理科で習ったことを思い浮かべる方が多いと思います。

 

強烈な臭いの刺激臭を放つアンモニアは液体であったり、気体であったりします。

 

アンモニアは体内にも存在します。アンモニアは生態にとっての老廃物です。アンモニアは我々に人間にとって有毒な物質です。アンモニアと肝臓には深い関係があります。

 

今回はアンモニアが体に溜まる高アンモニア血症について解説してゆきます。

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肝臓の役割

 

肝臓はお腹の右側に存在します。腹部に存在する中で肝臓は最大の臓器です。肝臓は大人では重さが約1,200〜1,400g前後あります。

 

肝臓からはグリコーゲンが作られます。食事などから摂取した糖分(ブドウ糖)を貯蔵する為にブドウ糖が多数集まったものがグリコーゲンです。

 

肝臓からはコレステロールが生成されます。コレステロールは食事の脂質や糖質が分解され、派生した物質「アセチル-CoA」から作られます。

 

コレステロールはリン脂質と言って、人の細胞を構成する細胞膜の材料になります。

 

またコレステロールは、生体機能を調節するホルモンの材料でもあります。コレステロールは男性ホルモンや女性ホルモンなどの構成成分です。

 

コレステロールは過剰になりすぎると肥満に繋がります。さらに肝臓では胆汁も合成されます。

 

その他に肝臓の役割としては、食物中の脂肪を細かい粒にして、消化酵素の手助けをすることで脂肪の消化吸収を助けます。

 

胆汁は肝臓でコレステロールが派生した物質が主な構成物質です。肝臓は体内の老廃物やアンモニアなどの有害物質、老廃物を酵素により無毒化してくれます。

 

我々の体を治してくれる薬も肝臓にとっては実は異物でしかありません。

 

そのため、薬は肝臓で代謝、分解を受けても効果が発揮できるように作られているものが多いです。

 

肝臓は過剰なアミノ酸を分解し尿素を合成することもできます。アルコールも肝臓で分解されます。アルコールは最終的には炭酸ガスと水まで分解されます。

 

肝臓は我々の生体防御に必要な免疫に関わる免疫グロブリンを産生します。

 

肝臓は食物から摂取したビタミンAを貯蔵する働きも持っています。また、血液の重要成分である血小板の産生を助ける成分を産生します。

 

血小板は出血した際にかさぶたを作る為の大事な血液成分です。血小板は骨髄で作られます、その際に肝臓で作られるトロンボポエチンが必要になります。

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高アンモニア血症の危険な症状とは

 

高アンモニア血症血液中のアンモニアの濃度が高い状態のことです。

 

高アンモニア血症の症状は多呼吸、嘔気、嘔吐、意識障害、痙攣などです。

 

乳児の高アンモニア血症では哺乳力の低下も起こります。また高アンモニア血症では乳幼児期の突然死した例もあります。

 

乳幼児では高アンモニア血症が持続したり、繰り返すと発達障害、行動異常、精神障害が起こることもあります。

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高アンモニア血症は3つの原因が考えられる

 

アンモニアの分解に重要な尿素サイクル異常症とは

尿素サイクルとはアンモニアを分解する為に肝臓で行われます。

 

尿素サイクルにはオルニチン、シトルリン、アルギニノコハク酸、アルギニンの4つのアミノ酸が必要です。

 

尿素サイクル異常症尿素サイクルにおいて、アンモニアの分解に必要ないくつかの酵素が欠損していることにより起こります。

 

尿素サイクル異常症は遺伝的な要因が関与しています。

 

尿素サイクル異常症による高アンモニア血症は発熱、絶食、蛋白質の過剰摂取、薬物などが引き金になって生じます。

 

肝臓が原因以外にも高アンモニア血症が起こる

尿路感染症とは膀胱炎や腎盂腎炎、尿道炎など尿が通る経路などが細菌に感染する感染症です。

 

尿路感染を起こす菌は黄色ブドウ球菌や緑膿菌など様々です。尿路感染で高アンモニア血症を引き起こすのはウレアーゼ産生菌と呼ばれる細菌です。

 

ウレアーゼ産生菌は尿中からアンモニアを作り出します。

 

高齢者では尿が出にくく、細菌が溜まり尿路感染となる場合があります、これを閉塞性尿路感染と呼びます。

 

ウレアーゼ産生菌による尿路感染で高アンモニア血症を引き起こすのは閉塞性尿路感染です。

 

閉塞性尿路感染での高アンモニア血症は起こりやすいかといえば、どちらかと言えば稀な例です。

 

肝臓が硬くなる?肝硬変とは?

肝硬変とは肝臓の多くの細胞が壊死してしまって細胞が収縮している状態です。

 

肝硬変は主な原因はウイルスやアルコールなどです。肝硬変では肝臓の働きが失われます。

 

肝硬変では肝臓がアンモニアを分解することが出来にくくなるので、高アンモニア血症になりやすいです。

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肝性脳症は高アンモニア血症の鑑別疾患

 

肝性脳症本来肝臓で解毒されるアンモニアなどの有害物質がBBB(血液脳関門)と呼ばれるバリアをアンモニアが通り抜け、そのまま全身の血液の循環に入り,脳に到達して様々な症状を引き起こす症状です。

 

肝性脳症では重症度に応じて0~4の病期に分けられます。病期0は無症状期です。

 

病期1では睡眠障害、集中力の低下、抑うつ、不安、また怒りやすくなります、抑揚のない話し方、振戦、書字の乱れもみられます。

 

病期2では眠気、見当識障害、短期の記憶の低下、抑制の利かない行動が見られ、運動失調や羽ばたき振戦がみられるのが特徴です。

 

羽ばたき振戦とは腕を伸ばしたり、手を広げたりした際に、ゆっくりとしたふるえが起こることです。

 

病期3では傾眠や奇怪な行動をとることがあります。最も重症の病期4では昏睡が生じます。

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高アンモニア血症の3つの治療法

 

薬を使って有害物質を除去!

薬物治療で有害物質の除去を行います。高アンモニア血症にもちいるのはラクツノースという薬物です。ラクツノースは下剤です。

 

ラクツノースによって食物が腸管を通過する速度を速めます。これにより体に吸収されるアンモニアの量が減少します。

 

小浣腸で腸管を刺激

浣腸食物が腸管を通過する速度を速めます。浣腸により腸管洗浄となり、腸管の毒素を減らします。

 

抗菌薬で腸管の細菌をなくす

腸管に長く残る抗菌薬が処方されることがあります。細菌の中には腸管の中で食物から有害物質を産生するものがあります。

 

抗菌薬はそのような細菌を殺菌する働きで腸管で有害物質が増えるのを防ぎます。

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アンモニア血症は食事に要注意

 

アンモニアなどの有害物質はたんぱく質から産生されます。たんぱく質には2種類存在します、動物性たんぱく質植物性たんぱく質です。

 

アンモニアなどの有害物質を産生しやすいのは動物性たんぱく質です。

 

動物性たんぱく質は特に赤身肉、魚、チーズ、卵に多く含まれています。植物性たんぱく質は豆腐や豆乳など主に大豆製品から摂ることが出来ます。

 

便秘も高アンモニア血症になりやすい原因です。食物繊維は便通をよくして腸管をすっきりと綺麗にする働きがあります。

 

食物繊維を多く含む食品はさつまいもやごぼうなどの根菜です。

 

高アンモニア血症の原因の1つである肝硬変は長年のアルコールの過剰摂取が原因として挙げられます。

 

週に何日かは休肝日を設けるなどアルコールの摂取量に注意してゆきましょう。

 

高アンモニア血症について解説しました。肝臓は沈黙の臓器と呼ばれています。

 

肝臓は障害が少しずつゆっくりと進行していたとして、高アンモニア血症などの自覚症状がなく気がついたときには手遅れになっていることが多いのがその由来です。

 

生活の中で肝臓に影響するのは特に飲酒ですので、飲酒量や回数など節度を守って肝臓を大事にしてゆきましょう。

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