頻脈とは?放置すると危険【原因や症状をしっかり解説します】
<監修医師 豊田早苗>
自分の脈を図ったことはありますか?
運動をしたときは早くなり、また、眠たいときはゆっくりになったりと体の状況に合わせてリズムも変わっていきます。
そんな脈ですが、実は脈の速さによって、思わぬ病気が隠れている可能性があります。
気になる所から確認してみよう
頻脈とは?
まず、脈拍とは簡単に脈と略されますが、心臓の1心拍ごとに血流が流束となり、全身の動脈に送りだされるときに生ずる血管の拍動数です。
ちなみに心拍数とは、心臓から全身に血流を送り出す拍動数であり、不整脈の場合、リズムが乱れたりすると、それぞれの拍動数に違いが出ます。
頻脈は脈が早くなる不整脈の1つで、1分間に100回以上となった場合に判断されます。
脈拍が増加する原因の一つとしては、緊張や興奮などがあり、自律神経の交感神経が活発に働いた結果、心拍数が増加し、脈拍も早くなります。
正常な心拍数を確認しておこう
年代別に正常な心拍数の数値は違います。
成人の場合の安静時心拍数は1分間60~100以内が正常です。
新生児や乳児の場合は100~140。
子どもの場合は70~110。
中高生では60~100回です。
ちなみに脈拍の回数はbpm(ビーピーエム)という単位になります。
また、日頃スポーツなどで体を鍛えると、自然に心臓も鍛えられ、大きくなっています。(心肥大)
大きい心臓は、1回に送り出す血液量が一般的の成人よりも多いため、少ない心拍数で多くの血液を全身に巡らせることができます。
そのため、成人より脈拍数は少なくなる傾向にあります。これをスポーツ心臓と呼んでいます。スポーツ心臓の場合、安静時の心拍数が40bpm以下になっても珍しくありません。
脈拍を正しく測る3つのポイント
脈拍を正しく図るには3つのコツがあります。自分で自分の脈を簡単に測定できる方法をご紹介します。
橈骨動脈を探す
一番測りやすい場所は橈骨動脈と呼ばれる場所です。
橈骨動脈の位置は掌を自分の顔の方へ向けます。そして、手首の親指側を触ると、簡単に脈を触れる場所が橈骨動脈です。
橈骨動脈以外にも、首や足首、腕など、脈拍を測る場所は沢山あります。しかし、橈骨動脈が一番触知しやすく、個人差が少ないため、選ばれています。
3本指で触れる
橈骨動脈を触知するときは、人差し指・中指・薬指の3本指を血管と垂直に触ります。少し圧迫すると、触知しやすくなります。強く力を入れすぎないよう注意しましょう。
また、脈拍が弱く触知することが難しい場合は、手を握って広げる動作を10~15回ほど繰り返すと、血管の緊張度が高くなり、触知しやすくなります。
測定時間
基本的には1分間測定します。特に不整脈がない場合は、15秒測定し、その数を4倍した数を1分間の脈拍数とします。
新生児や不整脈がある場合は、必ず1分間測定しなくてはいけません。
また、運動や入浴後、飲酒をした後など、交感神経が興奮しているときも、安静時と脈拍に違いが出るため、1分間しっかり測定したほうが良いです。
レベルによって変わる頻脈の症状
頻脈や不整脈は、その度合いによって危険なものから心配ないものまであります。その危険度を3つに分け、症状について紹介します。
無害な場合
洞性頻脈・・・不快感やストレス・運動などにより、動悸を感じるときにおこる頻脈です。
健康な人の場合、精神的緊張を感じているときに起こりやすく、心臓病との関連性は低いです。
動悸は自然に収まることが多いですが、動悸が起こっているときは、交感神経が優位に働いているため、中には血圧の上昇や発汗、腹痛などを伴う人もいます。
呼吸性不整脈・・・息を吸うときに心拍数が増え、吐くときには心拍数が減少します。この心拍数の変化により、頻脈がみられることがあります。
一般的に高齢者や小児に見られる生理的反応であり、正常です。
期外収縮・・・心臓は一定のタイミングで電気信号を送り、血液を全身へ巡らせます。
なんらかの原因で、予想より早い電気的興奮が起こり、一定の心拍リズムとは違ったタイミングで心拍が起こることです。不整脈の1つで、正常より余分な心拍が出現します。
これも、特に心配のない頻脈ですが、自覚症状の差が大きいため、強く感じる場合には治療が必要です。
治療が必要な場合
発作性上室性頻脈・・・突然はっきりとした動機を感じる場合、多いのが発作性上室性頻脈です。
早期治療を必要とはしていませんが、繰り返し症状が現れる。日常生活に支障がでる程強い症状の場合には、治療が必要となります。
心房粗動・・・高齢者に多くみられる不整脈です。また、高血圧で心臓が肥大している場合にも起こりやすいです。
電気信号が興奮する回数が多いわりに、その興奮が繋がりにくくなっています。電気信号の伝わりやすさによって変わりますが、動悸を感じにくい不整脈です。
危険な場合
心室頻脈・・・心臓は4つの部屋に分かれています。そのうち下部の2部屋が心室と呼ばれる場所です。
心室頻脈は、心室が小刻みに動いてしまう状態で、十分な血液を全身へ巡らせることができなくなります。
2種類あり、30秒以上持続するものとそれまでに停まるものがあります。持続する型の場合、死に至ることもある危険な病気です。
頻脈の原因はコレ
頻脈が起こる原因は身近なところに沢山潜んでいます。頻脈と関係しているのが、自律神経の交感神経。
この交感神経が興奮すると頻脈が起こりやすくなりますが、その興奮材料としては、精神的緊張、発熱、不安感、アルコール摂取、過労が挙げられます。
過労についてくわしくはこちらを見て参考にして下さい。
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また、元々心臓疾患を持っている人の場合、心臓の電気的興奮経路が異なる場合があるため、頻脈が発症しやすいです。
ホルモンも影響します。
更年期や甲状腺機能亢進症といった病気や体の変化によって、影響を受けます。
更年期障害では、閉経後、女性は卵巣の働きが弱くなるため、エストロゲンというホルモンの分泌が減少。ホルモンの乱れによって、自律神経が影響を受け、様々な症状が起こりますが、頻脈もその一つです。
甲状腺機能亢進症についてはこちらを参考にして下さい。
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長く続く頻脈はこんな病気を疑って
心配のない頻脈もありましたが、長く続く場合、その背景には怖い病気が潜んでいるかもしれません。
貧血の場合
疑う病気として、緊急性が低い場合は貧血です。
貧血は、酸素を全身に送る赤血球が減少している症状。そのため、正常より心拍数の回数を増やし、全身へ酸素を巡らせるため、頻脈が起こりやすくなっています。
貧血自体危険度は低いですが、貧血が持病になってしまうと、頻脈以外にも様々な症状が現れるため、早めに治療を行う方が良いでしょう。
貧血のくわしい症状についてはこちらを参考にして下さい。
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精神障害の場合
自律神経失調症、パニック障害などが当てはまります。
自律神経失調症の場合、治療法としては、自立訓練法などの精神訓練や、自律神経調整薬や精神安定剤による薬物療法で治療を行います。
パニック障害では薬物療法や行動療法が一般的です。
どちらも日常生活に支障をきたしやすい病気であるため、早期治療が好ましいです。
自律神経失調症についてくわしくはこちらを見て参考にして下さい。
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心疾患の場合
一番発症から、死に至るまでの経緯が短い、心疾患が原因の頻脈です。特に恐ろしいのが心筋梗塞・狭心症・心房細動と呼ばれる心疾患。
これらの心疾患を発症した場合、急激な胸痛に襲われ、突然動けなくなります。
早期発見出来なければ、死亡してしまうか、脳梗塞などの後遺症が残る危険な病気です。
頻脈には無害なものから、危険なものまで様々な病気が隠されていました。頻脈では突然何が起こるかわかりません。
重病な病気が発症する前に、日頃から生活習慣を見直し、血管をいたわりましょう。
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