顔にできて気になる赤いほくろの正体【原因や特徴まで解説】
<監修医師 まっちゃん>
ある日突然、ほくろが出来ていることに気づくことはありませんか?
普段はあまり気にすることが少ないので、気づいた時には小さなほくろが出現しているということはよくあります。
そして、ほくろといえば黒や茶色ですが、中には赤色のほくろのようなものが出来ていることに気づくことがあります。今回は特に赤いほくろについて解説していきます。
気になる所から確認してみよう
ほくろってなぜできる?
ほくろは医療用語では「色素性母斑」「母斑細胞母斑」と言われます。
メラニン色素が活性化し、それらが集中的に増殖したことによって出来るものであり、良性の皮膚病変のためそのままでも特に大きな問題となることは滅多にありません。
メラニン色素の活性化によってできるため、色は黒色・茶色・褐色で大きさは基本的に5㎜以下のものが多く形は平らなものから盛り上がっているものまで様々です。
赤ちゃんにほくろが見られることはあまりありません。なぜならば、ほくろの原因が紫外線によるものが多いため、胎内にいる間は紫外線を浴びることはないためです。
しかし、先天的にほくろがある場合もあり「先天性色素母斑」と言われます。
後天的にほくろが出現するのは1~2歳ごろからで幼児期にはほくろがあっても何ら不思議なことはないのです。
ほくろは基本的には良性のものですが、中には悪性のものもあるので注意が必要です。
ほくろが急に大きくなってきた・色が変わってきた・硬くなってきたなど変化がある場合には「悪性黒色腫(メラノーマ)」の可能性もあります。
日本人では手のひらや足の裏など紫外線とは関係ない部位での発症が多くみられます。気になる場合は早めに皮膚科を受診しましょう。
赤いほくろ発見!これって本当にほくろ?
ほくろの色はメラニン色素の影響で黒・茶・褐色となることは先ほど説明しました。しかし、中には赤い色をしたほくろのようなものを見かけることがあります。
顔や胸・背中にできることが多く、女性ではメイクをするときに気づく人も多いでしょう。
この赤いほくろのようなものは、実際にはほくろではなく「老人性血管腫」と呼ばれるものです。加齢によって生じやすくなるため、老人性と名前がついていますが思春期ごろからの若年層にも見られます。
ほくろのような形をしていますが、皮膚の中の毛細血管が広がったり増殖することで皮膚の表面に露出しているだけなので、放置していても問題はありません。
しかし、時折かゆみを伴うことがあり掻きすぎると毛細血管のため出血することがあります。
この「老人性血管腫」は色白の人や紫外線をよく浴びる人に多くみられます。
気づいたら増えてた!赤いほくろの3つの特徴
赤いほくろと言われる「老人性血管腫」にはどのような特徴があるのかを解説していきます。
出来やすい部位
顔や胸元・背中が最もよく出来やすい部位になっています。通常のほくろと同様に、赤いほくろと言われている老人性血管腫も紫外線の影響を受けているため、紫外線の当たりやすい部位に出来やすくなります。
しかし中には、紫外線の当たりにくい腹部に多発する人もいます。老人性血管腫は肌の刺激を受ける部位にもできやすくなります。
形状
老人性血管腫はペン先でついたような小さいものから黒いほくろと同じような大きさまで様々ありますが、4㎜以下のものが多いようです。
形は平らなものも盛り上がっているものもあります。毛細血管のかたまりが表面に出ているため、やや光沢がかった赤色をしています。
症状
老人性血管腫は赤くなっているところを押さえるか、すぐ横の皮膚をつまみあげると赤いほくろ部分が周りの皮膚と同じ色になります。
そして、手を離すと血流が再開されるため赤みが戻ります。これが通常のほくろとは大きく違う特徴です。
老人性血管腫はほくろと同様に良性の病変であり、特に症状がでるわけでもないので放置していても問題はありません。中には、かゆみが出ることがあり掻きむしってしまい出血することがあります。
赤いほくろは原因不明?考えられる6つの原因
老人性血管腫がなぜできるのか?その原因ははっきりとはわかっていません。
しかし、いくつか原因と考えられることはあります。ここでは、原因と考えられていることについて解説していきます。
加齢
「老人性」と名前がつくだけあって、加齢に伴って出現しやすくなります。老人性血管腫は毛細血管の広がりや増殖が原因とされています。
人の血管は年齢と共に老化していくため、それによって毛細血管の増殖が起きているのではないかと考えられています。
紫外線
老人性血管腫は顔や胸・背中に出来やすく、日光が当たりやすい部位と一致します。そのため、紫外線との関係があると言われています。
紫外線を大量に浴びると皮膚は炎症を起こし、それを繰り返すことで発生しやすくなるのです。
特に、色の白い人は紫外線に対する反応が出やすくなり、また日焼けをよくする人も注意が必要です。
女性ホルモン
女性ホルモンの「エストロゲン」は年齢と共に減少していきます。エストロゲンが減少することでホルモンのバランスが崩れ赤いほくろが出現しやすくなると言われています。
エストロゲンはアンチエイジングや美肌を保つためにも必要とされているホルモンのため、ほくろ以外でもお肌全般に影響してくる大切なホルモンといえます。
生活習慣
生活習慣の乱れや過剰なストレスはホルモンバランスを崩しやすくします。
睡眠不足や食生活の乱れもホルモンバランスの崩し、それらは肌の状態を悪化させるため自然と赤いほくろも出来やすい環境になってしまいます。
生活習慣が乱れてしまうと、体の様々な部分に影響が出てくるため見直していくことも大切です。
衣類のしめつけ
紫外線のあまり当たらないお腹や太ももなどに出来る場合は、身に着けている衣類の締め付けが原因かもしれません。
日々、締め付けで圧迫されていると皮膚は常に刺激を受けている状態となります。その刺激は皮膚の炎症へとつながり繰り返すことで発生しやすくなると考えられます。
遺伝
「ほくろができやすい体質」としての遺伝も考えられています。親が赤いほくろがよく出来ていた人は自分自身も体質的にできやすい可能性はあります。
科学的に証明されているわけではありませんが、両親から譲り受けているところは体質として出てきても不思議はないですね。
問題なくても気になる場合は除去しよう
普通のほくろと同様に基本的には放置していても問題ないものですが、老人性血管腫は顔や胸元など目立ちやすい場所に出来やすいため美容的に気になる人も多いと思います。
ここでは、治療する場合にはどのような方法があるのかを解説していきます。
老人性血管腫は放置していても問題ないため、医療保険が適応されません。
悪性の可能性がある場合などは保険適応となることもありますが、基本は保険外治療となることが多いです。病院によって金額の設定も異なるため、医師と相談しより良い方法を選択してください。
炭酸ガスレーザー
老人性血管腫に最も効果があるとされているのが、「炭酸ガスレーザー」です。
炭酸ガスレーザーはレーザーの光を熱に変え、血管腫にのみ作用するため周囲の組織へのダメージが少なく出血もほとんどありません。
レーザーを当てると、炭化し黒くなりますが自然とはがれ落ち傷跡もほとんど目立たなくなります。そして、再発することがないのが大きな特徴となります。
炭酸ガスレーザーは施行する前に局所麻酔を行うため、レーザーを当てている間の痛みはほとんどありません。しかし、麻酔時の多少の痛みは我慢する必要がありそうです。
凍結療法
液体窒素を使用して、血管腫を凍結させ組織を破壊します。1週間ほどでかさぶたになり自然にはがれ落ちます。
局所麻酔など事前の処置が必要ないため、手軽にできることが最大のメリットと言えます。
しかし、凍結療法では血管腫のあった部分が長期に渡って色素沈着を起こしやすくシミのような跡が残ることがあります。
手術療法
血管腫の大きさが小さければ上記のレーザー治療や凍結療法での治療が可能ですが、大きさが大きいものはメスなどで切除する方法となります。
目安としては4㎜以上になるとレーザー治療では困難となることが多いようです。血管腫を切り取ることになるため、傷跡はどうしても残ってしまいます。
赤いほくろを予防する方法はコレ
老人性血管腫は加齢とともに出現しやすくなるものであり、加齢はだれにも止めることはできません。しかし、老人性血管腫の原因と考えられることから予防できる方法を考えていきましょう。
<紫外線対策>
老人性血管腫は紫外線の当たりやすい部分に出来やすいと言われており、紫外線を防ぐことが第一になります。
また色の白い人に出来やすいことからも、日ごろから日焼け止めや帽子・サングラスを使用するようにしましょう。そして、日焼けしてしまった場合には十分に保湿するようにします。
<肌への刺激を減らす>
日々の生活の中で、知らず知らずのうちに肌に負担をかけています。汗をかいたときに、ついタオルで拭きあげてしまっていませんか?
お風呂で体を洗うときにゴシゴシとこすってしまうことも肌には大きな負担となってしまいます。
身に着けている衣服や下着などでも、圧迫や摩擦により刺激がかかりやすくなっています。これらの肌への刺激が繰り返されることで、炎症を起こしやすくなるのです。
肌への刺激を減らし保護することは、肌への摩擦や炎症を抑えることになり肌の老化を緩やかにしてくれます。
<生活習慣の改善>
生活習慣や食生活の乱れはホルモンバランスも乱します。女性ホルモンである「エストロゲン」はアンチエイジングにも必要不可欠なホルモンです。
睡眠時間をしっかりとる・アルコールを摂りすぎない、食事のバランスを考えるなど規則正しい生活を心がけることは、老人性血管腫を予防することはもちろん健康のためにも必要なことになります。
食事にエストロゲンを多く含む食品(大豆イソフラボンなど)を積極的にとってみるのもいいかもしれません。
今回は赤いほくろについて解説してきました。問題がないと分かっても美容的に気になる場合もあります。気になる方は一度、皮膚科で相談してみてもよいかもしれませんね。
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