風邪の菌の潜伏期間まとめ【一番うつる期間をご存知ですか?】
<監修医師 春田 萌>
昔から、「風邪は万病のもと」と言いますよね。私たちにとって最も身近な病気である風邪。かかったことのない人は少ないのではないでしょうか?
一人が引けばすぐに周囲の人にも移ってしまったり…本当にやっかいな風邪ですが、その原因はウイルスや菌への感染です。
今回は、風邪についてまとめていきたいと思います。風邪の症状が出始めるまでの潜伏期間や、風邪が一番うつる時期についても詳しく解説していきます!
気になる所から確認してみよう
風邪の菌の潜伏期間
風邪は急性上気道炎の総称
私たちが風邪と呼んでいるものは、ウイルスや細菌感染によるものや寒さ、アレルギーによって引き起こされる急性上気道炎の総称で、感冒とも呼ばれます。
鼻水、咳、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、のどの炎症や痰、頭痛、発熱などが主な症状ですが、倦怠感や関節痛などの全身症状や消化不良による嘔吐や下痢なども見られることがあります。
風邪の原因の80〜90%はウイルスの感染で、その他には細菌感染・寒さ・アレルギーによるものがあります。
鼻風邪やのど風邪など一般的なものを普通感冒、流行性のインフルエンザ、おたふく風邪や胃腸の風邪はそれぞれウイルスや症状、潜伏期間などが異なります。
普通風邪の潜伏期間は5〜6日
普通風邪はライノウイルス、アデノウイルス、RSウイルスなどのウイルス感染が原因で発症し、鼻炎、咽頭炎など鼻やのどの粘膜に異常がみられます。
発熱は微熱程度で、頭痛や倦怠感などの全身症状はあっても軽度なのが特徴です。
潜伏期間は5〜6日です。小さな子供や赤ちゃんは免疫力が弱いため、風邪の人と接触した場合に最低でも1週間は様子をみてあげましょう。
インフルエンザは1〜2日
インフルエンザは毎冬11〜3月に急激に流行する病気で、急性の気管支炎によって起こります。
症状が激烈で、39度前後の高熱、悪寒、頭痛、倦怠感、筋肉痛や関節痛が強く現れます。普通感冒のように鼻やのどの炎症を伴うこともあります。
高熱は3〜4日続き、その後は軽快して10日以内には回復します。小さな子供やお年寄りなど免疫力の弱い人は、二次感染によって肺炎を併発して重症化する場合もあります。
潜伏期間は風邪よりも短く、1〜2日です。
インフルエンザの初期症状についてはこちらを参考にして下さい。
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胃腸の風邪は様々!早いもので数時間
胃腸の風邪は、感染性胃腸炎とも言い、ノロウイルス、ロタウイルスなどのウイルス性と、サルモネラ菌、カンピロバクター、O-157などの細菌性のものがあります。
熱や咳などの症状よりも、腹痛や下痢、嘔吐などの症状が主であり、細菌やウイルスによって2〜7日ほど症状が続く特徴があります。また、ウイルスは冬、細菌は夏に流行します。
これらの潜伏期間は様々で、細菌は短いもので4時間、長いものは10日というのもあります。ウイルスは大体1〜3日です。
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おたふく風邪は2〜3週間
おたふく風邪の正式名称は流行性耳下腺炎であり、鼻やのどの炎症、発熱に加えて耳の前下にある唾液腺である耳下腺や顎下腺が腫れ上がるのが特徴です。
麻疹ウイルスの仲間であるムンプスウイルスが原因で、症状は1週間くらいいで回復しますが、中には症状が出ない人もいます。
潜伏期間は2〜3週間と、他の風邪よりも長く、5〜10歳の子供に多い病気なので注意が必要です。
移りやすい期間とは?
潜伏期間から移る
風邪は、発症前の潜伏期間中から移る危険性があります。そしてその感染力は治りかけの時期にも続き、完治することで移らなくなります。つまり、完治まではいつでも移るため、注意が必要なんです。
ウイルスや細菌の種類によって異なりますが、7〜10日でほとんどの風邪は完治しますが、個人差もあり判断は難しいですよね。
風邪の熱が下がる時はウイルスを倒した証拠であるため、熱が下がって2日経過すれば移ることはないでしょう。
治りかけが一番移りやすいというのは嘘!?
風邪は治りかけが一番移りやすいと言われます。「誰かに移すと治る」とか「上の子の熱が下がったと思ったら今度は下の子が発熱した」といった声がよく聞かれます。
これは実を言うと、風邪の潜伏期間が影響しています。Aさんから感染してしまったBさんは、そこから3〜7日の潜伏期間を経て発症します。
Bさんに風邪の症状が出始める時期には、Aさんはちょうど治りかけの時期に入ります。周囲から見れば、「治りかけのAさんからBさんに移った」と思いますよね。
つまり、治りかけが一番移りやすいと思われるのは、この潜伏期間によるずれによるものなのです。
実際には、ウイルスが最も繁殖し感染の高い時期は風邪の引き始めであり、治りかけの方が感染力は弱まっています。とはいえ、まだウイルスが残っている可能性があるため注意は必要です。
その他の風邪の治りかけの症状についてはこちらを参考にして下さい。
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風邪の予防法
手洗い・うがいは基本中の基本!
風邪の流行る時期、周囲に風邪を引いた人がいる場合には、手洗い・うがいが基本中の基本となります。マスクや消毒はウイルスとの接触の機会を減らすのに有効です。
手についたり鼻や口から吸い込んでしまったウイルスの感染を防ぐためには、石鹸で十分に手を洗い流し、ガラガラうがいでウイルスを体外へ排出することが重要です。
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生活習慣を改善する
風邪を引かないためには、ウイルスの感染に負けない免疫力や、もし風邪になっても軽い症状で早く治すための抵抗力を普段から付けることが重要です。
体の免疫力を上げるために、栄養素をバランス良く摂れる食事を心がけましょう。タバコやお酒の飲み過ぎなどは、ウイルスに対する抵抗力を弱めてしまうため控えましょう。
また、睡眠を十分にとり、軽い運動などを普段から行うことで免疫力もアップします。
湿度と温度に気をつける
空気が乾燥するとウイルスが空気中に飛沫したり、喉の粘膜のバリアが弱って感染しやすくなります。また、寒いと自律神経の乱れを引き起こし、免疫力を低下させてしまいます。
そのため、室温は20〜25度、湿度は60〜80%を心がけることで感染しにくくすることができますよ。
流行性の風邪は予防接種も
インフルエンザやおたふく風邪に関しては、有効なワクチンが開発されています。そのため、予め体内に抗体をつくっておくことで、辛い風邪を防いだり、ウイルスに感染しても軽症で済むため効果的です。
ただ、インフルエンザもおたふく風邪も有料で、決して安くはありません。タイミングや重要性などを念頭に置き、検討しましょう。
今回は、風邪の種類や潜伏期間、そして予防法についてまとめました。風邪の種類によって、症状の特徴や潜伏期間、完治までの日数が様々であることには驚きですよね。
風邪のウイルスや菌は目に見えない上、感染してもしばらくは症状が出ないことから、初期の段階で感染に気づいて対処することは難しいように思われます。
そのため日頃から予防法を実践し、ウイルスに感染しないことが重要ですね。もしも自分が発症してしまったら、完治までは移る可能性があることを頭に入れて、なるべく人との接触を避けたいものです。
風邪が移らない心がけも大切ですが、風邪を移さないことにも気遣っていきたいですね!
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