骨軟化症の5つの症状!【原因や治療法を徹底解説!】
<監修医師 春田 萌>
骨軟化症は骨の吸収不良症候群という病気ですが、同じように骨粗鬆症(こつそしょうしょう)もあります。同じように見えて実は違います。2つの違いと合わせて骨軟化症の症状や原因、治療法について説明します。
骨軟化症とは?
始めにも言ったように、骨粗鬆症と似ているかのような気がしますが、骨軟化症とは全く違う病気です。まずは骨について少し説明します。
私たちの骨は石灰化をする事で丈夫になります。石灰化とは、タンパク質のコラーゲンが網目状になっている類骨(柔らかい骨)に、カルシウムやリンなどのミネラル成分が沈着することです。
しかし、なんらかの原因によって骨の石灰化が十分にできなくなり、類骨が増加してしまう事があり、それを「骨軟化症」(成人型)といいます。
骨軟化症は、骨が成長した後の成人に起こった場合のみの呼び方で、妊婦など女性に起こりやすい病気です。一方で、骨が成長する前の小児に発症する病気を「くる病」(小児型)と言います。骨軟化症とくる病とは発症者が違うだけです。
ここで、骨軟化症やくる病と骨粗鬆症との違いについて説明します。
骨軟化症やくる病は、類骨と石灰化した骨の全体の骨量は減少しません。しかし、骨粗鬆症は類骨の割合は正常ですが、石灰化した骨の骨量が減少します。
骨軟化症の原因
骨軟化症とはどんな病気か分かったと思います。次に骨軟化症の原因について説明します。少し難しい話になるかもしれませんが、いくつになっても自分の足で立って歩くために知っておくととても良いことです。
ビタミンDの(作用)不足
類骨が石灰化して硬い骨になるためには、カルシウムやリンなどのミネラル成分の他にビタミンDが必要です。
カルシウムやリンなどのミネラル成分が欠乏するよりも、ビタミンDが欠乏する骨軟化症(ビタミンD欠乏性骨軟化症)の方が多いとされています。また、ビタミンDの吸収不良が原因である場合があります。
食べ物では、キノコ類、魚介類に含まれていますし、他にも、紫外線不足によるビタミンDの不足も挙げられます。紫外線不足がビタミンDの不足に繋がることについては次で説明します。
活性化ビタミンD不足
ビタミンDは不足しているだけではなく、カラダの中の細胞で活性化(使われる形に変化)できない事も原因になります。
ビタミンDがカラダの中で活性化されるためには、腎臓や肝臓が十分機能すること、先ほども述べたように日光(紫外線)にあたることが重要です。
なぜ日光に当たることが大事かというと、ビタミンDは皮膚が日光を浴びることで作られ、さらに活性化までされるからです。
食べ物によって肝臓や腎臓で加工されることでできますが1番早く活性化ビタミンDを作る為には日光に当たることです。そのため長期間日光にあたらない生活を続けていると、骨軟化症がおこることがあります。
日光浴の効能についてはこちらを見て参考にして下さい。
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リン不足
始めにも言ったように、骨が丈夫になるためには骨類にカルシウムやリンなどのミネラル成分が沈着する事が欠かせません。
ビタミンD抵抗性骨軟化症(別名:家族性低リン酸血症性骨軟化症)はリンの不足が原因であり、また、ビタミンD抵抗性骨軟化症では腎臓の尿を作る為の管でリンが再吸収されないことが原因です。
遺伝性の骨軟化症では詳しい原因は分かりませんが、リンを減らす作用が強いことがあります。
病気
ビタミンDの活性化不足でも説明したように、腎臓や肝臓の病気が原因で骨軟化症になることもあります。骨軟化症に繋がる病気などをいくつか挙げます。
✅ 胃切除
→胃を切除した後、ビタミンDなどの栄養分の吸収が障害されることによる。通常の栄養不良が原因となる骨軟化症は減少している。
✅ 腎臓や肝臓障害
→慢性腎不全、慢性肝炎など
✅ 骨や軟骨の腫瘍(軟部腫瘍)、がん
→悪性・良性の腫瘍なども含む
肝炎についてはこちらも参考にして下さい。
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骨軟化症の症状
骨軟化症は、発症当初では自覚症状はほとんどありませんが、病気が進むにつれカラダの至る所で慢性的な痛みなどが発生します。それらの症状について説明していきます。
関節痛
骨軟化症とは、骨が丈夫でないために自分の体重を支えることが難しくなりますが、姿勢を保つために筋肉などに負担をかけてしまいます。その中でも特に、腰や股の関節に症状が出ます。
具体的には、大腿骨や股関節、膝関節などの関節痛があり、大腿部等骨痛という疼痛が起きることもあります。症状が悪化することによって痛む箇所は増えると同時に痛みが増し、時には背部痛を伴うこともあります。
圧痛
圧痛とは押して痛みがあることを言います。骨が出ている骨盤や大腿骨、下腿骨などに圧痛がある場合や、叩打痛(こうだつう)といって叩くと痛みが出ることもあります。
脊柱の変形
脊椎(背骨)の骨折によっての変形をする事があります。脊椎は背中の筋肉や内臓を守っている大事な骨で、背筋が曲がってしまう魚椎変形も脊椎が原因です。
骨自体が柔らかくなっていることで日常生活にも支障をきたします。
歩行障害
症状が進行してくると、下肢の筋力低下や臀筋(おしり)の筋力低下による歩行障害があります。歩行障害の代表例としてあひる歩行があります。あひる歩行とは、あひるのように腰や上半身が左右に揺れながら歩く事です。
他にも筋力低下や脱力感もあり、歩行障害があることによって動かなくなり骨萎縮が起きる場合もあります。
成長過程の変形
子どもがくる病にかかった場合は、低身長やO脚などの症状が出る事が多く、大人になっても治らずにそのままの症状が残る事があります。
O脚についてくわしくはこちらを見て参考にして下さい。
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骨軟化症の治療法
骨軟化症の症状についてはわかっていただけたでしょうか?骨軟化症は様々な治療法もあるので、かかってしまったから…とあきらめずに治療をしていきましょう。
生活指導
ビタミンDの作用の所でも説明したように、カラダの中の細胞で活性化(使われる形に変化)する事が一番大事です。そのためには日光浴をしましょう。日光を浴びることでビタミンDが活性化されます。
そして、カルシウム、リンなどのミネラルを摂取しましょう。それらは栄養バランスの良い食事に繋がります。しかし、食事によるリンの摂取は治療薬の量の調整に影響を与える恐れがあるので、注意をするようにしてください。
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薬物療法
ビタミンDが不足しているため、状態によって活性型ビタミンDやリンが作られる様な薬の投与が必要になります。薬を飲むということは、定期的な血液や尿の検査を行う事で治療効果や副作用を見ていきます。
副作用としては下痢や高カルシウム血症などによる腎機能への障害がある場合があるので注意が必要です。
手術
大人になっても下肢の変形や低身長などの骨の変形が残ってしまう事もあるため、骨矯正や骨延長などの手術をする事もあります。
骨延長の手術は意図的に骨折をさせてボルトなどで固定をし、骨の再生する力を使って骨を伸ばします。
平均寿命が上がっていく一方でちゃんと自分の足で立って歩ける人は少ないと思います。健康でいる為に今からでも生活習慣を見直しましょう。
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