プロテウス症候群とはどんな病気か【現代医学が治療に光明を差す】
今回はなかなか馴染みの少ない難病の1つでもあります、プロテウス症候群について簡単に解説していきたいと思います。
気になる所から確認してみよう
プロテウス症候群とは
今回はなかなか耳にすることの少ない病気の1つであるプロテウス症候群について解説してまいりたいと思います。
プロテウス症候群と言う言葉を耳にしたことのない方でも、もしかしたらエレファントマンという言葉は耳にされたことがある方は多いのではないでしょうか?
エレファントとは日本語で象です。つまり、身体の一部が象のように巨大になったり、もしくは身体全体が象の様に巨大になる病気のことを指します。
骨や皮膚組織の筋骨格系障害および神経障害であるとされています。俗に奇病といわれる病気の一種とも言えます。この病気は、先天性つまり産まれつきの場合もあります。
出生時にはごくわずかに症状がみられることもありますが、ほとんど見られないのが現状です。
幼児期になると病状が進行し、小児期になるとさらに進行が加速し手足の巨大化などの症状が目に見えた形で目立ってくることがあります。
プロテウス症候群の具体的な症状
次にプロテウス症候群の具体的な症状について3つの項目に分けて解説いたします。主な症状としては過成長が一番代表的なところとなります。
さきほども少し解説しましたように、成長が遅れているというよりも成長の速度がどちらかというと早すぎて、大きくなるというイメージです。
1.骨化過剰症
骨化過剰症として、主に以下の様な症状が出現してきます。四肢・手足の巨大発育や足底過形成といった症状です。
言葉の通りではあるのですが、簡単に解説すると手足が異常に腫れて大きくなったり巨大化してくる症状のことを指しています。つまりは過度成長を起こしているということです。
2.皮膚の過成長
次に皮膚の症状としていくつか解説します。皮膚症状の代表的なものとして、表皮母斑や結合組織母斑という症状が現れてきます。
皮膚組織や軟部組織に不要な組織が形成されます。つまりは皮膚の過形成が起こっていくということです。
3.結合組織の過成長
主に結合組織の巨大化が見られます。例えば、血管腫や脂肪腫、リンパ管腫などが原因となり結合組織の巨大化が見られることがあります。
プロテウス症候群と間違われやすい病気
では、次にプロテウス症候群とは少し違う内容について解説していきたいと思います。どういう内容かといいますと、主にプロテウス症候群に似た症状を示す病気についていくつか紹介していきたいと思います。
1.先端巨大症
先端巨大症という病気が似た病気の1つにあります。では、先端巨大症とはどの様な病気なのでしょうか?その言葉のとおりではあるのですが、先端の部分が巨大化していく病気なのです。
脳には成長ホルモンという、人が成長するためには必要不可欠なホルモンを分泌する部分があるのですが、その分泌に異常をきたす、つまりはホルモン異常をきたす病気となります。
そうすることにより、手足や額、鼻や唇と言った先端の部分が巨大化するのです。その辺りが似ている要素の1つとも言えます。
2.象皮症
これは主に皮膚に関連している疾患の1つと言えます。動物の象の様な皮膚になることからこの名前がつけられました。皮膚が象の皮膚の様に固くなることからその名前がつけられました。
プロテウス症候群もその皮膚が大きくなったりしますので、その辺りが非常に似ており見分けがつかないこともあります。
ヒトゲノム研究でプロテウス症候群の原因が解明された
では、次にプロテウス症候群の原因について簡単にではありますが解説していきたいと思います。
え?こんな難病なのに原因が分かってきているのかと疑問に思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、現在の研究の中からは少しずつその原因が判明してきているというのは事実なのです。
ではどのようなことが原因で起きているのか?ある有名な雑誌の中では遺伝子の異常によるところが原因なのではないかという報告がありました。
また、そこには家族性つまりは、遺伝は関係ないだろうとの報告も上がってきています。
そして人のAKT1という遺伝子に体細胞活性化変異が発生し、体細胞モザイクが起きることによって様々な症状が起きて来るのではないかとされているのです。
ではこの遺伝はどの様な働きをしているのかといいますと、主に細胞の増殖や死滅をコントロールしている遺伝子となります。
その様な働きをしている遺伝子に異常がおこることにより、手足が大きくなったり、皮膚が大きくなったりといった症状が生まれて来るのです。
ちなみになのですが、みなさまはガン細胞がどの様な働きをしているかご存知でしょうか?
急にガン細胞?と思われた方もいらっしゃるかもしれませんが、ガン細胞も腫瘍やDNAの特徴からその細胞を増殖しようとしている部分は似ている部分も実はあるのです。
奇病のプロテウス症候群が近年治療に光明が見え始めた
では治療方法についても簡単に紹介してみたいと思います。え?こんな奇病なのに治療方法があるのかと中には思われた方もいらっしゃるのではないでしょうか?
確かに、完全に治療するという治療方法は見つかってはいないのが現実です。しかし対症療法、つまりは1つ1つの症状に対しては抑えれるものも知られており奇形進行を食い止める可能性もあるとされています。
現在はチーム医療が進んできており、さまざまな専門の役職の方々が協力し合い治療を行っています。
そんな中で、このプロテウス症候群の腫れ上がった手足や皮膚などに対しても、レーザー治療であったり、外科的切除治療法であったり外科的整復などが対象療法ではありますが、奇形進行防止目的にて行われることがあります。
プロテウス症候群の日本人の症例はあるのか
では、実際に日本ではどのくらいの方がこの病気で苦しんでいるのでしょうか?全世界的に見ても150人もいないのではないかと言われているほどの病気です。
日本人ではさぞ少ないと思われる方が多いのではないでしょうか?では、実際に報告されている人数としては限りなく0人に近いのです。
え?日本人はならない病気なの?と思われる方も中にはいらっしゃるかもしれません。ただし、この病気に関しては詳しいことが分かっていない部分も多々あるというのも事実です。
日本人には遺伝子の構造上この病気にはかからない、もしくはかかりにくいのではないかという説もあります。
また、実際にプロテウス症候群の人が現れましたということを公開せず非公開にしてあえて症例無しとしているのではという報告もあります。
確かに、非常に珍しい先天性の染色体異常の病気であると言ってもそれを見世物にしてはいけません。
そこには偏見や迫害という非常に恐ろしい現実が待っている可能性もあるのです。そんな現実も考慮されて、患者さまの精神的苦痛を和らげる目的もあり公表されず、症例がないのかもしれません。
しかしながら、いずれにしても仮説の域を超えていないのが現実なのです。
まとめ
どうでしたでしょうか?今回はプロテウス症候群という非常に珍しい病気について解説を行ってきました。
この様な難病と言われる病気は症例も少なく、研究費も少なくなっており研究が進んでいないのが事実です。
そのため苦しんでいる人を本当の意味で助けることはまだまだ困難となっています。少しでも、みなさまのおやくにたてればと思います。
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