鳥肌が立つ5つの意外な原因【厄介な病気に注意して!】
<監修医師 田中 恵文>
人間の体の1本1本の体毛の根元には、立毛筋(りつもうきん)という筋肉があります。感動や急激な寒さや恐怖等の刺激を受けた時に、交感神経が刺激されて、立毛筋が収縮し、鳥肌が立ちます。
鳥肌が立つ原因には、感動や寒さや恐怖以外にも病気が隠れている可能性があります。なかなか治らない場合には病気かもしれません。
今回は鳥肌が立つ原因や病気について解説いたします。
気になる所から確認してみよう
鳥肌が立つ原因
まず鳥肌が立つ原因について解説いたします。誰もが一度は経験した事のある鳥肌。一般的な鳥肌の立つ原因と、考えられる病気について解説いたします。
寒さ
急激な寒さ等の刺激を受ける事で、交感神経が緊張して立毛筋が収縮し、毛穴を閉じて体の熱が外に放散する事を防ぎます。そして毛穴を収縮させる事で、熱を発生させる働きもあるのです。
また毛が逆立つ事で毛と毛の間に空気の層が生まれる事でも寒さを和らげます。今とは違い昔は人間も体毛が濃かった為、その名残といえます。
恐怖
強い恐怖を感じた時にも交感神経が緊張し、立毛筋が収縮して、体毛が立ち上がる事で鳥肌が立ちます。恐怖に対する立毛筋の反応は、外敵に襲われそうな時に鳥や小動物にもよく見られる現象でもあります。
体毛を立ち上がらせる事で自分の体を大きく見せて、敵を威嚇しているのです。
感動
素晴らしい音楽や映画を見た時等に、感動して鳥肌が立つ事があります。ただ、寒さや恐怖を感じた時のような自己防衛の為の働きとは少し違います。
感動による鳥肌の場合は、大脳皮質への刺激による筋肉の収縮で起きるものです。人それぞれで感動の感じ方等は違いますが、感動した時に鳥肌は立ちます。
自律神経の乱れ
自律神経の乱れにより、鳥肌が立つ場合があります。自律神経が乱れていたり、不安な状態が続いていると、交感神経が敏感になります。
また自律神経が乱れてしまうと自己体温調節が困難になります。本当は暑いのに、自律神経の乱れにより、寒いと感じ、鳥肌が立つ事があるのです。
意図しない時に鳥肌が立ったら不快ですよね。
自律神経が乱れるとこのほかにも様々な症状が出ます。くわしくはこちらを見て参考にして下さい。
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病気
また鳥肌のような症状は病気の症状によるものの可能性もあります。この後解説いたします、魚鱗癬(ぎょりんせん)やアトピー性皮膚炎、湿疹・寒冷蕁麻疹の症状として鳥肌のような症状が現れているのかもしれません。
この場合は原因となっている病気に対する治療を行う必要があります。
考えられる病気の可能性
では続いて魚鱗癬(ぎょりんせん)、アトピー性皮膚炎・扁平疣贅(へんぺいゆうぜい)、湿疹・寒冷蕁麻疹について解説いたします。
ただの鳥肌かと思っていたら、このような病気の症状で現れている可能性もあるのです。なかなか治らない方、特に理由もなく、鳥肌が立つ方は一度皮膚科を受診される事をお勧めします。
魚鱗癬(ぎょりんせん)
この病気の乾燥肌の症状はよく鳥肌と見られがちですが、魚鱗癬という病気の症状です。鮫肌のように表面がザラザラとして、粉状の垢が見られる場合もあります。
体、肩、胸の側面、臀部、手足と広範囲に症状が現れ、思春期に多く見られます。原因としては肌や細胞の代謝細胞における余分な垢が異常に発生し、それが毛穴を詰まらせる事が主な原因です。
思春期の場合にはホルモンバランスが乱れがちなので、代謝等の働きがうまく働かず肌荒れの症状へとつながります。
症状として、見た目に見える肌症状だけでなく、全身の強いかゆみが現れます。かいてしまうと、雑菌が入り、吹き出物やびらんの症状が現れますので、かいてはいけません。
食生活の改善や、規則正しい生活、ストレスの緩和、またひどい場合にはお薬を使ったりして症状を緩和しましょう。
アトピー性皮膚炎・扁平疣贅(へんぺいゆうぜい)
アトピー性皮膚炎の症状として、鳥肌のような症状が現れる事があります。アトピー性皮膚炎は、アレルギーを起こしやすい体質を持っている方に起きやすい病気です。
肌の角質層において保湿力が先天的に弱く、乾燥肌になりやすい体質の方に多いです。
アトピー性皮膚炎の症状として、鳥肌のような症状が現れる事がありますが、この場合の多くは一時的なものではなく、常に鳥肌が立っているような状態の事が多いです。
アトピー性皮膚炎では、乾燥肌のバリア機能が低下してしまい、外部からの刺激に対して敏感になってしまいます。
またアトピー性皮膚炎の場合には角質異常という、表皮の入れ替わりの乱れというものがあります。この角質異常により、皮脂の分泌が少なくてもにきびや吹き出物が多くできる事があるのです。
鳥肌の症状は、扁平疣贅(へんぺいゆうぜい)というものの可能性もあります。扁平疣贅の場合は、引っかいた傷口や先端の芯の部分から細菌が入り、鳥肌状の皮膚部分が黒く変色している事が多いです。
この場合にはアトピー性皮膚炎の治療ではなく、液体窒素等でイボ状になっている部分を取り除く等の治療を行います。
扁平疣贅ではなく、アトピー性皮膚炎の症状で鳥肌のような症状が現れている場合には、アトピー性皮膚炎の治療で改善する事が可能です。
自分でどちらか判断する事は難しいので、皮膚科でしっかりと診断を受けて治療を行いましょう。
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湿疹・寒冷蕁麻疹
鳥肌のような湿疹が現れる病気として、寒冷蕁麻疹という病気があります。寒冷蕁麻疹とは、冷水や冷風等、自分の体温よりも冷たい物に触れたり、温まっている体が冷やされる事で発症します。
基本的には冬場に発症しやすい病気ですが、エアコンの冷風等の影響で夏場に起こる事もあります。体が急に冷たくなる度に皮膚に湿疹が現れたり、温かいところから寒いところに行くとかゆみが出る等の症状が現れます。
また寒冷蕁麻疹は皮膚が赤くなり、鳥肌のような腫れ、湿疹、かゆみが起きます。激しい温度変化により、血管の周辺の肥満細胞を刺激し、ヒスタミンが放出されます。
そのヒスタミンが血管内の血しょうを外に出し、皮膚に赤い湿疹が現れます。そのまま放っておくと、症状が悪化してかゆみが消えなくなったり、蕁麻疹が広がる事がありますので、皮膚科を受診してください。
鳥肌が立った時の対処法
最後に自律神経の乱れから鳥肌が立つ場合の対処法についてです。急な寒さや恐怖、感動で鳥肌が立つ生理現象の場合には特に問題はありません。
また病気での鳥肌の症状の場合には、その病気自体に対する治療が必要になります。ここで紹介させていただく方法は、すぐに取り入れられるものが多いですので、少しずつできるものから取り入れてみてください。
運動
自律神経の乱れから鳥肌が立ってしまう場合には、ウォーキング等の適度な運動が必要になります。運動をする事で自律神経の働き自体が高まりますし、体温調節の働きも高まります。
激しい運動でなくても構いませんし、最初は短い時間だけでも構いませんので、少しずつ日常生活に取り入れていきましょう。
ウォーキングやジョギング、サイクリング、水泳等、頑張り過ぎずに好きな事に取り組みましょう。
カルシウム
カルシウムには丈夫な骨や歯を作る働きだけでなく、自律神経や精神の状態を正常に保つ働きを持ちます。イライラを鎮めて、神経の興奮や緊張を和らげたり、不眠予防にもなるのです。
カルシウムを積極的に摂る事で、鳥肌の原因となる神経の緊張を抑える効果が期待できます。
カルシウムは、魚介類をはじめ、牛乳やチーズ、ヨーグルト等の乳製品、小魚等から手軽に摂取する事ができますので、是非取り入れてみてください。
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ストレス解消
ストレス社会と言われる現代社会ではストレスを日々溜め込んでしまっている方が多い事と思います。また自分が思っている以上にストレスを抱えている方もいると思います。
でもストレスは身体のあらゆる不調に影響を及ぼします。ストレスを溜め込む事で肌にも影響が出るのです。自律神経の乱れ等もストレスからの影響が大きいですね。
ストレス解消法は人それぞれ自分に合った方法があると思いますが、まずはお休みの日にはしっかりリフレッシュする事を心掛けてみてください。
嫌な事はなるべくすぐ忘れるようにして、楽しい時間を増やしましょう。
デトックス
最後に肌のトラブルからの鳥肌状の湿疹の場合には、代謝を正常にする為に、適度なデトックスも必要になります。もちろん湿疹に対する治療も必要になりますので、必要に応じては皮膚科での受診をお勧めいたします。
デトックスとは、体に溜まった老廃物を体外へ排泄する事です。
自分でできるデトックス方法として、お風呂で半身浴か全身浴をゆっくりされる事をお勧めします。皮膚の新陳代謝を高める事ができ、皮膚の改善を早めます。
アロマや入浴剤を入れて、リラックスしながら入浴されてみてください。
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