鼻風邪が治らない。この治し方をチェックしてみて!
<監修医師 豊田早苗>
熱もないし喉の痛みもないのに、鼻水だけがズルズル出ていて治らない…そんな経験のある方も多いのではないでしょうか?
鼻水が止まらないとしょっちゅう鼻をかんだりして集中力も途切れがちになりますし辛いですよね。
今回は、長引いてなかなか治らない鼻風邪の治し方や対策方法についてご紹介します。
鼻風邪とは?
風邪の初期症状で、鼻だけに症状が出る
そもそも風邪というのは、体内に異物である風邪のウイルスが侵入し、それを撃退しようと身体が熱を出して免疫力を高め、
その結果、発熱したり喉が炎症を起こして痛むなどの症状が出ることをさします。
鼻風邪は、発熱や喉の痛みなどはないけれど「鼻だけが風邪を引いている状態」のことで、
本格的な風邪に移行する前の、風邪の初期症状であると言えます。
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水っぽいサラサラとした鼻水やくしゃみ、鼻詰まりが主な症状で、左右どちらかの鼻だけの症状でも鼻風邪と呼ばれています。
また発生した鼻水が鼻の中で埃などと混ざると鼻くそになります。
鼻風邪の症状
先ほどご紹介したように、風邪とは、身体が体内に侵入したウイルスを撃退しようとして発熱や喉の痛みなどが出る症状のことをさします。
ヒトは、基本的には口を閉じて行う鼻呼吸をしています。
ところが、口が閉じているので、風邪などを引き起こすウイルスは鼻から体内に侵入しようとしてくるのです。その為、鼻は、外部からのウイルスの侵入を防がなくてはなりません。
その働きを担っているのが鼻の粘膜です。
鼻に侵入したウイルスを撃退しようとするとき、普段は鼻の粘膜の細胞内に蓄えられて
不活性状態にある「ヒスタミン」という物質がウイルスに反応して放出され、活性型になることでくしゃみや鼻水などを引き起こすと言われています。
鼻の奥にまでウイルスが侵入しないように、防衛反応としてくしゃみや鼻水を出し、ウイルスを体外に排出しているのです。
つまり、風邪の初期症状である鼻風邪は、ウイルスが体内深くに侵入することを防いでいる状態だと言えます。
鼻水がドロッとしていたり、頭痛がある場合、もしかするとそれは蓄膿症かもしれません。
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また鼻風邪は感染から発症するまでにしばらく期間が空きます。
潜伏期間は5日~一週間ほどありますので、感染したことに気付かずいつも通りの生活を送った結果、知らない間に周囲の人間に感染させてしまっている場合があります。
夏風邪でも鼻水や咳が出るの?
風邪は風邪でも、夏場にひく風邪は「夏風邪」と呼ばれ、冬場の風邪とは症状が違うと言われています。
基本的に夏風邪はウイルス感染によるものが多く、症状は主に発熱や喉の痛み(喉風邪)です。
子供は夏場にプールや保育園で集団で夏風邪に感染することが多いため、別名「プール熱」とも呼ばれることがあります。
ただしアデノウイルスに罹患すると咳や鼻声など、鼻風邪の症状も出ますので要注意です。
長引く鼻風邪の治し方
免疫力を高める
風邪というのは、インフルエンザウイルスやRSウイルスなど、ウイルスの種類がはっきりしている場合とは違い、
様々なウイルスが体内に侵入して引き起こされる上気道炎(じょうきどうえん)の総称です。
特定のウイルスではない為、抗ウイルス薬がなく、出ている症状を和らげる為の対症療法(たいしょうりょうほう)がメインとなります。
風邪を治す為には、自分の元々持っている、ウイルスを撃退する力=免疫力を高めることが大切だとされていて
風邪の初期症状である鼻風邪の場合にも同じことが言えるでしょう。
身体の持つ免疫力を高めるためには、ビタミンCを意識的に摂取することがおすすめです。ビタミンCは身体の免疫力を高めるはたらきがあります。
またしっかりビタミンCを摂ったら、十分な睡眠をとるとより効果的です。ここでは、長引く鼻風邪の効果的な治し方について3つご紹介します。
身体を温める
身体を温めると体温が上がり、体温が上がると免疫力も高まると言われています。入浴の際には、身体がしっかりと温まるように湯船に浸かるのが良いでしょう。
鼻風邪を引くと、「風邪の引き始めだから」と湯船に浸かるのを避ける方もいらっしゃると思います。
しかし、鼻風邪の段階でしっかりとお湯に浸かり、身体を温めて発汗することで免疫力が高まり本格的な風邪に移行する前に治すことができる効果があります。
引き始めの鼻風邪であれば、この方法ですぐ治すことができます。鼻の血行が良くなるので、鼻詰まりなどの症状がある場合にも効果的です。
ただし、上半身が冷えてしまう半身浴や、必要以上の長風呂は避けること、脱症状にならないように小まめに水分補給をすることを心がけてください。
また、身体を外側から温めるだけでなく、食べ物など食事改善で内側から温めることもおすすめです。
生姜や根菜類、大根などには身体を温める効果があるので、鼻風邪を引いたときにはこれらの食材を意識的に摂取すると良いでしょう。
鼻そのものを温める
特に、鼻が詰まって呼吸がしづらい場合には、鼻をホットタオルなどで温めると良いでしょう。鼻の血行が良くなるので、鼻詰まりを解消する効果があります。
また、温かい蒸気には鼻水を出しやすくする効果があるので、鼻詰まりのときには湯気などの温かい蒸気を吸うのもおすすめです。
ホットタオルを鼻にあてながら深く呼吸をするよう意識すると良いでしょう。
ホットタオルがない場合は、洗面器にお湯を張って顔を近付けたり、温かい飲み物を鼻先に持ってくることなどでも代用できます。
またサウナも高温の空気を鼻から吸い込むため鼻風邪にはもってこいで即効性もあります。ただしサウナに入る場合は水分補給を忘れずに行うように心がけて下さい。
こまめに鼻をかむ
鼻水が出ているときにかまずに吸い込んでしまうと、鼻から入ったウイルスが喉に付着して喉が痛くなったり、本格的な風邪に移行しやすくなります。
鼻をかむことで鼻水と一緒にウイルスを体外に排出できるので、なるべくこまめにかむようにしましょう。
強くかみすぎると耳を痛めたりすることがあるので、優しく静かにかんでください。
鼻が詰まっているときは、先ほどご紹介したように、蒸気などで鼻の通りを良くしてからかむと良いでしょう。
鼻をよくかんでいると鼻の中にかさぶたが出来やすくなります。
こちらの記事ではかさぶたの対処法を解説していますので参考にしてみて下さい。
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鼻の中のかさぶた!その原因を知って早く治そう!
アロマオイルですっきりする
辛い鼻詰まりには、アロマオイルが効果的です。根本的な治療にはなりませんが、すっきりするので体調の回復に役立ちます。
おすすめのアロマオイルはペパーミント、マートルです。
加湿器の中にはアロマオイルを併用できる機能の付いた商品もありますので、ぜひご利用下さい。
鼻風邪にオススメな市販薬
鼻からウィルスが侵入すると、そのウイルスに反応してヒスタミンが大量に分泌され、その結果、くしゃみや鼻水といった症状を引き起こす鼻風邪となります。
鼻風邪は、体の内部にウイルスが侵入するのを防いでいる状態なので、その働きを妨げないようにするには、本来は薬は飲まない方が良いとされています。
早く治そうと思って薬を服用することは間違いです。
しかし、長引く鼻風邪や症状が重い場合には、症状を和らげる目的で服薬するのが良いでしょう。
抗ヒスタミン薬の服用
ひどいくしゃみや鼻水の場合、それらの症状を引き起こすヒスタミンが過剰に分泌されすぎています。
ですので、ヒスタミンの分泌を抑える「抗ヒスタミン薬」が効果的だと言われています。
抗ヒスタミン薬は、いわゆる風邪薬の中に含まれていることが多く、最近では症状別の風邪薬も多く出ているので、
「鼻風邪用の風邪薬」を服用するのが良いでしょう。
アレルギール、ベンザブロックSプラスシリーズなどは比較的手に入りやすく、抗ヒスタミン薬が含まれている薬です。
花粉症の治療薬として有名な「アレグラ」も鼻風邪に効果を発揮します。
ただし、抗ヒスタミン薬は服用すると眠くなるという副作用が出る場合があるので、車の運転をする方や、大切な用事がある場合などは特に注意が必要です。
購入する際には、薬局で抗ヒスタミン薬が欲しいことを伝え、薬剤師とよく相談してから飲むようにしてください。
副作用の少ない漢方薬の服用
抗ヒスタミン薬の副作用である眠気が心配な方は、副作用のほぼない漢方薬がおすすめです。
特に、サラサラとした鼻水が出る鼻風邪には、眠くならない薬として小青竜湯(しょうせいりゅうとう)が効果的だとされており、こちらは妊娠中の妊婦や授乳中の方でも飲める薬です。
また、鼻風邪を治すとともに他の症状にも効果があるとされている葛根湯(かっこんとう)でも良いでしょう。
どうして子供にはなかなか薬を処方してくれないの?
幼児の鼻風邪、よくありますよね。大抵は微熱の後に鼻水が止まらなくなります。
親としては病気が悪化する前に改善したくて耳鼻科や小児科に連れて行くのに、「薬を処方して貰えなかった。」とガッカリする方も多いのではないでしょうか。
処方薬がなければ症状が改善しない気がしますが、なぜでしょうか。
これは最近の研究で、小さい子供、特に赤ちゃんや乳児に鼻水の薬を服用させてもほとんど効果がないことが分かっているからです。
アメリカでは2歳未満の子供に鼻風邪の薬を処方することを自粛するよう呼びかけています。もっとも効果があるのは、鼻水を身体の外に吸い出すことです。
鼻水を放置していると鼻づまりが起き、中耳炎など他のトラブルを引き起こす可能性があります。ですから鼻うがいやその他の道具を使用し、余分な鼻水を身体の外に排出させましょう。
ただし小さな子供が自力で鼻うがいを行うのは無理なので、必ず保護者が行うようにして下さい。
どうしても薬を使用したい場合は1歳前後から使用できる市販薬もありますので検討してみてはいかがでしょうか。
鼻風邪での受診の目安
鼻水や鼻詰まりなどの症状しか出ない鼻風邪の場合、「このくらいなら受診しなくても大丈夫だろう」と思ってしまいがちですが、悪化してから受診すると、症状が長期化してしまうこともあります。
鼻水に色がつき始めたら受診する
鼻風邪は、最初のうちはサラサラとした水っぽい鼻風邪が多くでるのが一般的で、色も無色透明です。
ウイルスが鼻の奥にまで侵入すると、黄緑色や緑色の粘っこい鼻水が出るようになります。
鼻水に色がつき始めると他の細菌に感染している恐れもあるので、病院で、細菌を殺したり増殖を抑えたりする効果のある抗生物質を処方されることが多いようです。
そのまま放っておくと、鼻の中に膿(うみ)が溜まり、頭痛や顔面痛を伴う副鼻腔炎(ふくびくうえん)に進行する可能性があります。
副鼻腔炎は完治に時間がかかると言われているので、鼻水に色がつき始めたらなるべく早めに受診するのが良いでしょう。
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なお、「忙しくて病院に行く暇がない!」という方は、ツボ押しもおすすめです。
目と目の間、疲れたときについつい手で摘まんでしまう部位がありますよね。ここは「晴明」(せいめい)と呼ばれるツボで、鼻水を止める効果があります。
根本的な治療にはなりませんが、辛い症状を少しでも和らげるためにお試し下さい。
まとめ
以上、長引く鼻風邪の原因や治し方についてでしたがいかがでしたか?
市販薬を飲んでも症状が改善しなかったり、ひどくなる場合にはなるべく早めに耳鼻科を受診してくださいね。
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