CTとMRIの違いを徹底比較!【使い分け方から費用まで解説】
<監修医師 まっちゃん>
画像診断といえばX線検査、いわゆる「レントゲン撮影」ですね。骨折に限らず様々な不調で医療機関にかかったらお世話になる検査です。
リハビリテーションの場においても、画像診断は欠かせないものになりました。画像診断にはCTやMRIもあるけれどどう違うの?という疑問を持ったことはありませんか?
ちょっと重病に適用されそうなCTやMRIですが、違いや費用などを詳しく解説します。
気になる所から確認してみよう
それぞれの特徴~CT編
CTは体の断面を輪切りに撮影するX線検査です。
レントゲン照射後撮影をして画像を作る点ではレントゲンもCTも同じですがレントゲン画像は2次元で平面的画像、CT画像はコンピューターで3次元画像処理して作られているため立体画像も得意です。
CTのメリット
CTは放射線を用いて検査をしますが技術的に時間短縮が進み、被爆量が減少してきました。
骨のような空気がない組織は放射線が通過しにくく肺のように空気が多く存在する組織は通過しやすい特性を利用して画像を作ります。
白と黒でできる画像はX線の吸収率の差を利用したものです。炎症部位などもコントラストの差で発見することができます。
また、出血部位も分かりやすいため救急医療などでは、急性脳出血などの診断にもよく使用されます。
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医療器械の技術が進みMDCT(マルチスライスCT)が主流となった今では、「輪切り」にする厚みが薄くなりました。画質の細やかさを作る「空間分解能」が飛躍的に上がった結果、診断能力も上がったのです。
CT撮影では腹部などの身体深部を撮影するときに造影剤を使用することがあります。造影剤(ヨード系薬剤)を静脈注射して尿中から体外に排出されるので、検査後は多めに水分を摂取することをお勧めします。
CTのデメリット
一番心配なのは被爆かもしれませんね。短時間になったとはいえ身体の部位によって放射線に造影剤、内臓や脳・骨盤などを撮影するときには若干時間がかかることもあります。
検査なのに癌になるのでは?と気にしてしまうこともあるかもしれません。造影剤を使用するのは臓器により放射線の透過率が変わるためコントラストを得やすくなり、検査精度が上がるからです。
しかし、最近では最小限の被ばくに抑えるなどの技術や工夫が進んでいますので、CTで被ばくしたという人は現在では、いなくなりました。
それぞれの特徴~MRI編
MRIは放射線を使用せずに検査する点がCTとの一番大きな違いです。何を使って画像化するのか、それは電波と磁気です。
MRIは「核磁気共鳴画像法(核磁気共鳴画像法)」が正式名称で、Mは磁気のMagneticというわけです。体内に存在する水素原子はもともと弱い磁気を持っています。
その磁気を強力な「磁場」で揺らして「原子」の状態にして画像化します。水素原子量の大きさによって白黒のコントラストが映し出される仕組みです。
MRI検査で一番気になるのはあの「音」だという人が多いです。壊れたラジオや工事現場に例えられるような音ですが、ヘッドホンや耳栓さえ霞むような音です。
検査機器の中にある磁場コイルが動く音なので避けることができないのが難点かもしれません。
MRIのメリット
CTは身体を「輪切り」にした状態で撮影しますが、MRIでは輪切りだけでなく「縦方向」など任意断面でも撮影ができます。
磁気と電波で撮影するので造影剤不使用でアレルギーが出ず、放射線被曝の心配もありません。身体の軟部組織画像を撮るときのコントラストが優れていて、造影剤不使用でも鮮明な血管画像も得られます。
近年ではPETとともに人間ドックでも取り入れられ、初期ガンの発見率も上がっています。
MRIのデメリット
優れた画像を得られるMRIの欠点は時間がかかるという点でしょう。妊婦や子供でも受けやすい検査ですが30分程度かかるのでちょっと窮屈に感じる人もいます。
機器内部が狭く音も大きいため気分が悪くなった時に押すようブザーが手渡されます。閉所恐怖症の人には厄介な検査機器です。
またペースメーカーや骨固定ボルトのように、全身のどこかに金属がある人も検査を受けることができません。
鮮明な画像を得られるものの狭範囲の検査に向いていて大きくは切り取れないなど、案外多制限な検査方法かもしれません。
CT検査もMRI検査も、造影剤を使用する場合のみ検査前の食事制限が発生します。
検査入院前の準備についてはこちらを参考にして下さい。
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CTとMRIは病気によって得意分野がある
放射線のCTと磁力のMRI、得意分野がそれぞれ違い適応率にも差が出ます。検査でお医者様が使い分ける理由があるのです。
CTの得意分野はX線が透過しない組織
骨や歯は水分が少なくCT撮影に向いている部位です。肺炎や肺癌・胸水など肺の撮影にも活用されます。
腸閉塞や腹水・胆石・尿路結石など緊急性を要する場合も短時間で撮影できるCTが得意とする分野です。また、脳内出血などは頭蓋骨などで囲まれている部分の出血にもCTは効果的な診断方法です。
MRIの得意分野は水分が多めな軟部組織
身体には多くの脂肪や軟骨などの軟部組織が存在します。軟部組織の水分や脂肪に含まれる水素原子核を揺することで画像にしているのがMRIでした。
脳梗塞・脳動脈瘤は柔らかい脳の疾患で初期の段階でも病変を発見するのに役立ちます。内臓は水分を含んだ柔らかな組織ですし血管や靭帯なども軟部組織です。
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子宮や卵巣・前立腺のような部位のがん診断や靭帯損傷、腰椎椎間板ヘルニアもMRIの得意分野です。骨軟部腫瘍の摘出手術などでは術中の使用もあります。
人間ドックではそれぞれの強みをいかして使い分けていてます
健康志向が高まって「日帰り人間ドック」やディナー付きの人間ドックなど、様々なオプション付きドックも増えてきました。CTとMRIではそれぞれどんな検査ができるのでしょうか。
胸部・腹部はCTが主流
比較的人間ドックや検診で見つかることが多いのが肺ガンや大腸ガンです。痛みなどの自覚症状がないまま進行してしまう怖い病気ですが、CT検査によって早期発見率が上がっています。
検査時間も短く、胸部・腹部のような空気が多い組織が一気に検査できるのが特徴です。
MRIでは頭から足まで一目瞭然
初期ガンの発見ではPET検査が多く利用されていましたが、MRI検査はさらにその鮮明な画像から精度を上げ転移の発見率も上げるようになりました。
CTでは捉えにくい骨盤生殖器や頸部血管・脳など、骨盤や頭蓋骨に包まれているその中の病変を見逃しません。頚椎から腰椎までを一括で撮影する椎体検査も盛んに行われています。
人間ドック、その他の画像診断
MRIとよく似た「MRA」という検査項目があります。これはMRI同様磁気と電波で脳血管撮影に特化したものです。
3次元的な画像を得られ、ごくごく初期の小さな動脈瘤の発見に役立ちます。超音波エコー検査は動脈硬化や詰まったり狭まった血管を超音波を当てることで発見する検査です。
主に頸部血管で使用されます。画像診断と一口にいっても様々な種類があり、疾患や病態によって併用することもあります。
人間ドックに関してくわしくはこちらを見て参考にして下さい。
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検査時間に違いはあるのか
CTとMRI、同じ画像診断ではありますが検査に要する時間にも差があります。
CT検査にかかる時間は?
身体の断面を輪切りにしながら何枚も撮影ができる技術が発達したため、首から骨盤までの胸部・腹部なら30秒もあれば螺旋状に撮影してしまうことができます。
この技術が確立される以前なら、1枚ずつ息を止めて撮影していたのです。これでは数ミリ単位の撮影では誤差ができてしまうため撮り直しが多く起こっていました。
より診断結果を正確に得るために造影剤を静脈注射することもあります。これらの処置などを撮影外時間に行うとして、検査時間は5~10分となります。
MRI検査にかかる時間は?
放射線被爆がない点でかなり好印象なMRI検査ですが、撮影時間は20分〜60分と長めだと言えます。
輪切りに限らず縦断像など多種類の断面画像を得ることができるのはかなりのメリットですが、検査中に「動かない」という制約があり子供には難易度が少し高めになります。
検査器の中は狭いトンネル状になっているので、閉所恐怖症の人はパニックを起こすこともあるので申告しておきましょう。場合によっては麻酔薬を使用して撮影することもあります。
CTとMRIの気になる費用を比較してみる
一番気になる費用を比較してみます。撮影方法などの検査内容や負担割合でも違ってきます。
単純検査の料金比較
実費なら単純CT検査では20,000円程度、単純MRI検査は26,000円程度です。
3割負担ではCTで6,000円、MRIで7,800円ほどになります。
造影検査の料金比較
造影剤を使用すると薬剤料や手技料などもプラスされます。
実費でCT検査は35,000円程度、MRI検査は40,000程度です。
3割負担で計算するとCTで10,500円、MRIで12,000円ほどです。
心臓や周辺血管を撮影すると?
CTには冠動脈検査があり、造影で行なって実費45,000円程度で受けることができます。MRIでは造営と単純の心臓MRI検査というものがあります。この検査を造影で受けると45,000円前後となります。
心電図と比較するとあまりにも高額な診療報酬だと思われるかもしれません。また、CT検査の方がMRI検査よりも安価だというイメージがあるかもしれませんね。
しかし、他にも発生する必要な検査や診療と合算すると大差ないというのが実情です。
医療に関する費用についてはこちらを参考にして下さい。
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