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NPPVの適応とは?【非侵襲的陽圧換気を分かりやすく解説!】

<監修医師 happy days !>

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肺疾患や急性心不全など、さまざまな原因によって呼吸不全を起こした患者さんには人工呼吸器が必要になる場合があります。

 

口からチューブを挿管されたり、喉のところから気管切開を行なったりして人工呼吸器を装着することになりますが、重篤な呼吸不全を起こしたすべての患者さんにこのような侵襲的な呼吸管理を行うわけではありません。

 

NPPVという呼吸管理方法をご存知でしょうか?

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NPPVとは?

 

NPPV(non-invasive positive pressure ventilation)とは非侵襲的陽圧換気のことで、気管内挿管や気管切開を行わず、マスクを装着するだけで人工呼吸を行うものです。

 

口元に密着させたマスクから高圧の酸素が肺に送り込まれ、その圧力によって虚脱した肺胞を押し広げ、換気の補助を行います。それにより患者さんの呼吸仕事量を減らし、呼吸に使われる筋肉を休ませることができます。

 

NPPVはマスクを密着させるだけで人工呼吸を行うことができるので、その名前の通りとても非侵襲的で患者さんにとってたくさんのメリットがあります。

しかしマスクを密着させていてもリークという空気漏れが起こることもあり、気管内挿管を行う人工呼吸管理に比べてデメリットも存在することが事実です。

 

NPPVはどのような場合に適応になるか、またNPPVのメリットとデメリットなどについてわかりやすく解説していこうと思います。

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NPPVの適応はどのような状態か

 

NPPVはマスクを装着するだけで人工呼吸管理を行う治療法なので、まずは患者さんの意識がはっきりとしていることが前提となります。

マスクの装着の必要性を十分理解した上で患者さんが治療に対して協力的でなければなりません。そして全身状態としては循環動態が安定していなければなりません。

 

気道確保ができており、自発呼吸や喀痰の排出が可能であればマスクは装着可能でありNPPVの適応となります。

 

一方で呼吸停止の状態や、循環動態が不安定な状態ではNPPVは禁忌となります。また意識障害により気道が確保できないような患者さんにもNPPVを用いることはできません。

 

NPPVはマスクを装着しなければならないので顔面に外傷や火傷がある場合や、小顔・顔面奇形など解剖学的にマスクがフィットしないという場合にも使用することができません。

マスクによる閉塞感もあるため、閉所恐怖症の患者さんに用いることができないケースもあります。

 

もともとNPPVは睡眠時無呼吸症候群に対する治療で用いられていました。

適応を守り、そして人工呼吸器と組み合わせることにより、急性呼吸不全の患者さんの治療だけでなく、慢性呼吸不全の患者さんや筋ジストロフィーなどの神経筋疾患で終日呼吸管理が必要となる患者さんにまで適応を広げることができる治療法になります。

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NPPVの4つのマスクの種類

 

NPPVを行う上で重要となるのがマスクの選択です。さまざまな種類のマスクがありますが、患者さんに一番フィットするサイズのものを選択します。

 

また患者さんの状態に合わせてマスクを選択することもできます。例えば睡眠時にはフェイスマスクを使用する患者さんでも、覚醒時には食事や会話がしやすいように鼻マスクを選択したりすることもできます。

代表的な4つのマスクについてそれぞれ説明します。

 

鼻マスク

鼻の部分だけを覆うマスクで装着したまま食事や会話が可能となるマスクです。

使い心地が最もよいマスクですが、鼻腔からの陽圧換気となるため、鼻閉のあるような患者さんには適応がありません。口からのリークが多くなり緊急の場合には向かず、呼吸の安定した患者さんに用います。

 

フルフェイスマスク

口と鼻を同時に覆うマスクで、リークも少なく効率的な陽圧換気が可能となります。

装着に伴う閉塞感や不快感が少ないのも特徴です。食事や会話が困難になるというデメリットがあります。救急の時には第一選択のマスクになる場合が多いです。

 

トータルフェイスマスク

その名前の通り、顔全体を覆うマスクになります。救急の時に使用し、リークが少なく皮膚のトラブルも起こりにくいという特徴のマスクです。

しかし食事や会話は困難となり、閉塞感が強いなどのデメリットもあります。

 

ヘルメット型マスク

頭部をすっぽりと覆ってしまうデザインのマスクで、顔に接触しないのため違和感が少なく、フィット感も気にする必要がありません。

他のマスクが使いづらい小児にも使用することができます。着脱に少し手間がかかるのと、喀痰吸引が難しいことがデメリットとなります。

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NPPVの適応。4つのメリットがある!

 

NPPVが適応となる病態としてエビデンスのあるものは、COPD(慢性閉塞性肺疾患)急性増悪や急性心原性肺水腫などによる呼吸不全などがあります。

また全身麻酔の術後に抜管をした患者さんが突然呼吸不全を来した場合でも、NPPVであれば簡単に装着することでき、安全に呼吸管理を行うことができます。

 

呼吸停止など気管内挿管の必要性がある場合はやむを得ませんが、その場合は患者さんに痛みや不快感を与えることになり、様々な合併症を起こすことがあります。

しかしNPPVでは気管内挿管を行う必要がないため、そのメリットとしては気管チューブが不要という点に起因することになります。そのNPPVのメリットを4つ紹介します。

 

気管内挿管に伴う合併症の回避

気管内挿管を行う場合には、その挿管手技により口腔内や咽頭・喉頭、さらには気道損傷を起こしてしまう可能性があります。

また挿管に伴い高血圧不整脈などを起こす場合があります。気管内チューブが存在することで患者さんは痛みや不快感を受けることになり、そのため不穏が強くなれば鎮静剤が必要になります。

 

そして抜管後にも嗄声や喉頭浮腫による呼吸不全などの合併症を起こす可能性があります。このような気管内挿管に伴う合併症を回避できるという点がNPPVの一番のメリットになります。

 

容易な人工呼吸器の導入・離脱

NPPVではマスクの着脱のみで人工呼吸管理の開始や呼吸器からの離脱をすることができるので、気管内挿管による人工呼吸管理とくらべて呼吸管理が非常に容易となります。

 

また患者さんの自己抜管を防ぐための四肢の抑制や観察なども不要になり、呼吸ケアなどの看護を行う多忙なナースにも喜ばれます。

 

人工呼吸器関連肺炎(VAP)の減少

気道には単なる空気の通り道ではなく、外部から入ってくる細菌やウイルスを肺の中へ侵入させないためのフィルターの役目があります。また吸い込む空気を加温・加湿する機能もあります。

 

気管内チューブを留置することで、本来の気道の役目を果たすことができなくなり、直接細菌が肺の中へ侵入し人工呼吸器関連肺炎(VAP)を発症することになります。

NPPVを行うことでVAPを予防することができます。

 

会話や食事が可能

NPPVでは種々のマスクを装着させることで呼吸器管理を行いますが、マスクを通して会話をすることは可能です。

また一時的にマスクを外したり、鼻マスクを用いることで食事をすることも可能になります。

 

気管内挿管による呼吸管理と比べ、会話や食事ができるということは、患者さんにとっての一番のメリットと言えるかもしれません。

 

NPPVにもデメリットはある!

 

適応条件を満たす患者さんにとってNPPVはいいことずくめのように思えますが、もちろんデメリットも存在します。

まずは密着させたマスクから投与される酸素がリークすることがあるため、気管内挿管をした時のように厳密な呼吸管理を行うことが難しくなります。

 

気道だけでなく食道にも送気されるため、腹部膨満や嘔吐による誤嚥を起こす可能性があります。

陽圧換気による低血圧や気胸などの合併症を起こすリスクがあります。

 

また気管チューブを留置していないため、効果的な喀痰の吸引を行うことが困難であり、自分で排痰することができない患者さんにはNPPVを行うことができません。

 

顔面に密着させたマスクの圧迫により潰瘍ができる不安もあります。このようなデメリットも考慮した上でNPPVの適応をきちんと考える必要があります。

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侵襲的陽圧換気(IPPV)とはどんな方法か

 

これまで非侵襲的陽圧換気NPPVについて説明してきましたが、これに対して侵襲的陽圧換気(IPPV)があります。

IPPVはその名前の通り侵襲的な陽圧換気を行う呼吸管理方法で、気管内挿管や気管切開を行い、気管チューブを直接留置することで気道確保し、人工呼吸器による換気を行うといった方法です。

 

侵襲的という名前がついてしまうとあまりよくないイメージですが、実際の医療の現場では必要不可欠な方法です。メリットとしては気道確保を確実に行うことができるため、リークが少なく厳密な呼吸管理ができる点です。

 

また気道と食道を分離することができるので、誤嚥のリスクが少なくなり、気管内の喀痰吸引もしやすくなります。

もちろんデメリットとしては侵襲的で苦痛を伴うために鎮静剤が必要であったり、気管内挿管による気道損傷や人工呼吸器関連肺炎(VAP)などがあります。

 

 

最後に、NPPVを実際の医療の現場で用いて感じたことですが、着脱の簡易性は気管内挿管に比べて圧倒的に高いです。

そのため人工呼吸器からより早く離脱することができ、結果として病状の改善や早期退院につながる可能性が高まると思います。

 

またマスク越しに会話をすることが可能なため患者さんの訴えをよく聞くことができ、病状を正確に把握する手助けになります。

患者さんも会話をしたり食事をすることができるので、気管内挿管をされている状態よりもストレスが少なくなります。

 

もちろん呼吸不全の患者さん全員がNPPVで呼吸管理できるわけではありません。

鎮静剤を使用してでも気管内挿管をし、人工呼吸器による呼吸管理を行う方が圧倒的に優れている場合も多々あります。

 

どのような治療法にもメリットとデメリットがありますが、メリットばかりに目を向けるのではなく、病状に合わせた適切な治療法を選択することが最も重要だと思います。

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