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イントラリポス輸液の投与速度のポイント【気になるカロリーは?】

<監修薬剤師 いちかわえつこ>
点滴

イントラリポス輸液とは主成分が精製大豆油である静注用脂肪乳剤。後程詳しく説明いたしますが、必須脂肪酸欠乏症の予防、カロリー補給や栄養補給の為に使用される薬剤です。

 

ただ良い点ももちろん多いものの副作用や投与速度の問題点があります。投与速度が速い事により、危険な状態を招く事もあるのです。

今回はイントラリポス輸液の効果や副作用、カロリーについても解説いたします。

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イントラリポス輸液の効果

 

まずイントラリポス輸液の効果について解説いたします。イントラリポス輸液は必要な成分やエネルギーを摂取する事ができます。では詳しく解説いたします。

 

必須脂肪酸

イントラリポス輸液は、脂肪乳剤で、脂肪の原料は大豆油が主成分で作られています。また乳化剤として精製卵黄レシチン等が含まれています。

 

人間には必須脂肪酸がありますが、人間の身体では合成する事ができない為、取り入れる必要があります。必須脂肪酸には主にリノール酸リノレン酸の2種類があります。

 

リノール酸が欠乏した場合には、魚鱗癬(ぎょりんせん)という皮膚が魚の鱗状になる病気、血小板減少、異常心電図、創傷治癒の遅れ等の症状が現れます。

 

またリノレン酸が欠乏した場合には、知覚麻痺や知覚異常、倦怠感、歩行不能等の症状が現れます。これらの必須脂肪酸欠乏症を予防する為にイントラリポス輸液の投与が行われます。

 

必須脂肪酸についてはこちらを参考にして下さい。

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カロリー

糖尿病、肺疾患、呼吸不全、心不全、腎不全等の場合に投与されます。

まず糖尿病等の患者さんの場合には、糖の過負荷による高血糖・高インスリン血症状態を避ける為に、高カロリー輸液の一部を脂肪で補うという方法で使用されます。

 

また肺疾患や呼吸不全の患者さんの場合は、血中の酸素分圧が低下してしまい、食事の摂取量が不十分な事が多いです。その為、脱水状態や低栄養状態を招く事がありますので、イントラリポス輸液が投与されます。

 

また脂肪乳剤は一般的な栄養輸液と比べると単位水分あたりの熱量が高い為、水分負荷量を軽減する事が可能です。

 

心不全や腎不全等の患者さんにも、少ない水分量でエネルギー量を投与する事が可能である事からイントラリポス輸液の投与が行われます。

その他のカロリー摂取に関わる点滴についてはこちらを参考にして下さい。

【関連記事】
ビーフリード輸液の点滴カロリーは高い?【4つの副作用も心配】

 

栄養補給

✅ 術前

✅ 術後

✅ 急性消化器疾患

✅ 慢性消化器疾患

✅ 熱傷(火傷)

✅ 外傷

✅ 長期にわたる意識不明状態時

等の上記の場合においての栄養補給を目的に投与されます。

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イントラリポス輸液のカロリー

 

イントラリポス輸液は100mlあたり約200㎉のカロリーがあります。精製大豆油を主成分に、添加物として精製卵黄レシチン・濃グリセリン・水酸化ナトリウム等が配合されています。

 

リノール酸やリノレン酸等の必須脂肪酸を豊富に含んでおり、必須脂肪酸欠乏症に有効です。

またエネルギー補給、栄養補給がしっかりできる上に、高血糖や水分過負荷を防ぐ事もできます。

 

イントラリポス輸液の投与速度

 

通常イントラリポス輸液の投与は10%製剤の場合1日500mlを3時間以上、20%製剤の場合1日250mlを3時間以上かけて点滴静注します。尚、体重、症状、病状、目的により、適宜増減します。

 

投与速度が速い場合には、以下のような問題点が起きる危険性があります。これらの問題は人工脂肪粒子の代謝速度の限界を超えた投与速度で投与する事により起こります

 

副作用

短時間に大量のイントラリポス輸液が投与される事で、血中に脂肪粒子が滞留し、高脂血症を引き起こします。副作用の初期症状として、熱感、発熱、悪心等が現れます。また以下の副作用があります。

✅ 静脈炎

✅ 血管痛

✅ 出血傾向

✅ 発熱

✅ 悪寒

✅ 嘔吐

✅ 嘔気

✅ 下痢

✅ 口渇

✅ 悪寒

✅ 顔面潮紅

✅ 顔面浮腫

✅ 血圧降下

✅ 頻脈

✅ 頻呼吸

✅ 呼吸困難

✅ 胸部圧迫感 等の急性症状を起こす危険性があります。

過敏症症状として発疹掻痒感等も現れます。脂肪乳剤の投与の際には投与速度を厳守し、ゆっくりと投与する必要があります。

重篤な副作用としてショック症状やアナフィラキシー反応が現れる危険性もあり、呼吸困難、チアノーゼ等が現れる場合もありますので、要注意です。

チアノーゼについてはこちらを参考にして下さい。

【関連記事】
チアノーゼの症状チェック【3つの原因と対処法も確認しておこう】

 

脂肪利用率の低下

脂肪乳剤が代謝するには速度的な限界があり、ゆっくりと投与する必要があります。速度が速い場合には、人工脂肪粒子が血中に停滞します。

 

脂質異常症や高脂血症、感染性合併症、血栓症等を引き起こします。人工脂肪粒子が十分に代謝される為にはゆっくりと投与しなければなりません。

 

免疫機能の低下

脂肪の大量投与と急速投与により、網内系機能抑制を引き起こします。大量に急速に投与された場合には、人工脂肪粒子が加水分解されずに血中に停滞する事になり、その停滞した人工脂肪粒子はエネルギーにはなりません。

 

そしてそれは異物として認識されて、肝臓や脾臓のクッパー細胞等の網内系に貪食される事で、免疫機能の低下・抑制を招きます。また免疫機能の低下や抑制だけでなく、静脈塞栓を引き起こす事もありますので、注意が必要です。

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