お腹が張るし痛い7つの原因【危険な病気の可能性アリ!】
<監修医師 吉野 聖奈>
お腹の張りは誰もが経験したことがあると思います。特に女性は生理中や妊娠の症状として下腹部痛や膨張感は男性よりも身近かもしれません。
放っておけば自然と良くなるものから、ときには命に関わる病気の可能性もあるんです。
今回は、お腹の張りや痛みの原因についてまとめていきます。もしかすると、思いがけない病気のサインかもしれません。可能性のある病気についても解説したいと思います。
気になる所から確認してみよう
お腹が張る原因
お腹の張りは腸管ガスが溜まっている状態です
お腹が張ることを医学的には腹部膨満感と言います。これは、何らかの原因で腸管内にガスが過剰に溜まっていたり、胃腸の働きが悪く排出できないことで起こります。
腸管ガスは、口から飲み込まれる空気だけではなく、腸内細菌が発生するガス、胃液が膵液からの消化液によって中和されるときに発生するガスがありますが、おならやげっぷで体外へ排出するのは、たったの10%なんです。残りは血液中に吸収されて肺を通して呼吸により排出されます。
ちなみに体内には約200mlのガスが常に存在しており、体外への排出によって量を調整しているわけです。腹部膨満感は、発生した腸管ガスと排出のバランスが崩れたときに起きる症状なのです。
一時的なお腹の張りで様子をみて良いものから早めに病院を受診した方が良いものまであります。
体調不良
風邪や夏バテなどで体力が落ちているときや睡眠不足、慢性的な疲労などの体調不良で、胃腸の粘膜の分泌や機能が低下しているときにも、お腹の張りが起こりやすくなります。
この場合、胃もたれや食欲不振、吐き気などの症状を伴うことがあります。
胃もたれの解消方法についてはこちらを参考にして下さい。
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運動不足
運動不足は便秘を引き起こします。便秘は腸内細菌のバランスを崩し、異常ガスが発生します。
また、運動不足によって腸自体の動きも悪くなるため、ガスが体外へ排出されにくく、結果的にお腹が張ってしまいます。
病気
胃腸の病気や、胃腸が炎症を起こす病気にかかっている場合も、結果的に胃腸の機能が低下してガスが体内に溜まりやすくなりお腹が張ります。
胃腸に関連する病気や炎症の場合、腹痛や下痢、便秘、嘔吐、発熱などの症状を伴うことが多いので要注意です。
加齢
加齢による生理的な原因でもお腹が張りやすくなります。これは、胃の機能や粘膜の分泌、腸の蠕動運動の低下が加齢に伴って起こるからです。
ストレスやホルモンバランスの乱れ
ストレスでもお腹が張ることがあります。胃腸の働きは、ホルモンの影響を受けながら自律神経によって無意識的にコントロールされています。ストレスはホルモンバランスを乱すため、胃腸の働きが悪くなり、お腹にガスが溜まりやすくなります。
ホルモンバランスが乱れる生理前にお腹が張るのもこのせいです。
暴飲暴食
暴飲暴食によって胃腸を過剰に働かせると、一気に負担が掛かって消化不良を起こすことがあります。これによりお腹が張ることがあります。
また、炭酸の飲み過ぎは腸内へ過剰なガスを送り込む原因になりますし、糖質の摂り過ぎは胃腸へ負担を掛けやすく、芋などの食物繊維の多い食べ物の摂り過ぎは腸内ガスを過剰に発生させてしまいます。
これらの原因によっても腸内のガスと排出のバランスを崩しやすいので注意してくださいね。
考えられる病気の可能性
呑気症
空気を過剰に飲み込む食べ癖のある人は呑気症と呼ばれます。緊張やストレスなどによって自律神経のバランスが崩れてしまうことで呑気症になる場合もあります。
あまり噛まずに食事をしたり、早食いやしゃべりながら食事をすることも、空気を飲み込み過ぎてしまう原因となります。
呑気症はお腹の張りや痛み、臭くないおならやげっぷの増加、不快感などの症状がみられることが特徴です。
腸閉塞
何らかの病変や腸の働きの障害、術後の癒着などによって、腸内のガスや便などが通過できずに溜まることを腸閉塞と言います。
お腹の張り、腹痛、嘔吐などの症状が出ますが、腸管内で異常繁殖した細菌や毒素が腹腔内や血中に移行することで敗血症を起こし、最悪の場合、死に至ることがあります。
腸閉塞は自然治癒できない病気で、悪化すると緊急手術を要しますので必ず医師の診察を受けましょう。
腸閉塞の治療についてはこちらを参考にして下さい。
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卵巣嚢腫
卵巣に脂肪や水が溜まり、水風船のような良性の腫瘍ができる病気を卵巣嚢腫と言います。この腫瘍はこぶしくらいの大きさになると、お腹の張り、腹痛、不正出血やおりものの変化などの症状を伴います。
卵巣の腫瘍は、嚢腫のように良性のものの他に、悪性のがんの場合もあり、その上、症状が気づきにくいため要注意です。
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胃下垂
胃が正常な位置より垂れ下がっている状態を胃下垂と言います。胃下垂は、生まれつきであったり、痩せている女性に多いとも言われています。
胃が本来の位置より下がっていると、胃に他の内臓が押しつぶされて血行が悪くなり冷え性になったり、便秘になりやすいとされます。
胃自体も筋肉がたるんでしまうため働きが悪くなり、消化不良によるお腹の張り、胃もたれ、げっぷ、食欲不振などの症状が出ます。
胃腸以外の内臓の炎症
胃腸の病気以外の内臓の病気でもお腹の張りを起こすことがあります。例えば、胆嚢炎、肝炎、膵炎、腹膜炎などの炎症が起きると、胃腸の働きも低下し結果的にお腹が張ったりします。
胆嚢炎では発熱や腹痛、肝炎では倦怠感や黄疸、膵炎や腹膜炎では腹痛を伴います。
過敏性腸症候群
精神的ストレスにより腸の運動に異常が起こり、お腹の張り、腹痛、慢性的な下痢や便秘を引き起こす病気を過敏性腸症候群と言います。
これは、何週間も続いたり一時的に治っても再発しやすいので注意が必要です。
大腸がん
大腸がんは、初期には症状がほとんどなく、血便も痔と勘違いされたりと気づきにくいがんですが、進行するとお腹の張り、便秘・下痢などの症状が出ることがあります。
胃炎
暴飲暴食、ストレス、ウイルス感染などの原因で胃の粘膜が炎症を起こしている状態を急性胃炎、主にヘリコバクターピロリ菌が原因の慢性的な炎症を慢性胃炎と言います。
胃炎の場合もお腹が張ったり、吐き気、嘔吐、げっぷ、下痢などの症状が出ます。慢性胃炎は、進行すると胃潰瘍になることもあるので要注意です。
お腹の張りを治すには
食物繊維やクエン酸を摂取して腸内環境を整える!
腸の動きを活性化させ、ガス産生の原因である細菌を減らすには、クエン酸や水溶性の食物繊維を摂取して腸内環境を整えることが重要です。
クエン酸は、レモン、グレープフルーツ、梅干し、アセロラなど、酸っぱいものに含まれる成分です。また、水溶性食物繊維は、にんにく、ごぼう、納豆などに多く含まれており、便秘解消にもなります。
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お腹を温める
お腹を温めることで内臓の血行が良くなり、腸の働きが活発になると言われています。腸の働きが活発になるとお腹の張りも改善されます。
入浴や、肌着の着用でお腹を冷やさない対策も大事です。
ツボ押しが効果あり
お腹の張りに効くと言われるツボがあります。
一つ目は、へその左右2、3センチ離れたところにある天枢というツボです。これは即効性のあるツボです。
二つ目は、へそとみぞおちの間にある中脘というツボです。これは、消化促進効果があり、寝る前に押すと良いと言われています。
お腹のマッサージ
下腹部を、へそを中心に時計回りで円を描くように優しくマッサージすると腸内に溜まったガスや内容物が動き出すと言われています。
仰向けでも座ったままでも、30周程度行うと効果があるそうです。
今回は、お腹の張る原因についてまとめました。
お腹の張りは、腸内のガスと排出のバランスの崩れによるものだと分かりましたね。まずは生活習慣や食べ方に気をつけて腸内にガスを溜めないことが大事です。
そして、ガスを体外へ排出するためには胃腸の働きを活発にすることが重要で、ストレスを溜めない規則正しい生活、良い排便習慣を身につけることも大切です。
もしもお腹が張ってしまっても解消する方法がいくつかありますので、自分にあった方法を試してみてほしいです。
また、胃腸やその他の内臓が病気になっている場合は要注意ですので、単なるお腹の張りと決めつけずに、受診をおすすめします。
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