みぞおちのしこりの痛み【7つの原因や癌との見分け方を解説!】
<監修医師 吉野 聖奈>
みぞおちのあたりがキューっと痛むときってありますよね。何気なくみぞおちを触ってみたら何か手にふれるしこりのようなものがあるという方、いらっしゃいませんか?
目に見えない部分にあるしこりは、良くないものではないか?!と不安になってしまいますよね。ここでは、みぞおちの場所や痛み・しこりの原因について説明していきます。
みぞおちって正しくはどこ?
みぞおちの場所を正しく知りましょう。みぞおちは、人の体のお腹の上(腹部の中央部)のあたりで、やや窪みがある場所です。
みぞおちは“人間の急所”ということは聞いたことがあると思います。みぞおちの奥には、腹腔神経叢があり多くの交感神経が存在します。神経が多く通っているということは、それだけ刺激に敏感になるため、軽い刺激でも強い痛みを感じることになります。
みぞおちを軽く圧迫しただけでも、少し息苦しさを感じます。みぞおちに、強い刺激が加わると横隔膜の動きを停止させてしまい、呼吸困難の状態にまで至る場合もあります。
みぞおちの痛み7つの原因
みぞおちが痛む原因は、日常生活の乱れや病気の場合など様々です。神経が多く通っていることや、胃・心臓などの内臓がみぞおち付近に存在するため、それらに病気が起こってもみぞおちが痛むという症状があらわれます。
次に、7つのみぞおちの痛む原因について説明していきます。
急性胃炎
急性胃炎は、胃の粘膜に炎症を起こし、悪化すると嘔吐・下痢・吐血などの症状を伴う場合もあります。急性胃炎の原因は、暴飲暴食、ウイルス感染、食中毒、アレルギー物質の摂取などによっておこるとされています。
胃炎が起こっている場合は、胃酸が食道に逆流する逆流性食道炎を併発する場合もあますので、朝起きたときに“喉がいがいがする”や“げっぷが酸っぱい”などの症状をの有無についても注意しましょう。
逆流性食道炎についてくわしくはこちらを見て参考にして下さい。
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神経性胃炎
神経性胃炎は、先の急性胃炎と同様な症状がおこりますが、ウイルス感染や食中毒など外的因子によるものではなく、ストレスや睡眠不足などの自律神経の乱れによる内的因子で発症するとされています。
自律神経が乱れることにより、胃酸の分泌が過剰になり、結果自分の胃酸で胃粘膜を傷つけてしまうということがおこります。
心筋梗塞
心筋梗塞は、心臓の筋肉を動かすための栄養などを送っている冠動脈に血栓ができるなどして、血流が止まってしまい激痛を伴います。みぞおちは心臓とも近い部分ですので、心筋梗塞がおこっている際にみぞおちに痛みを感じる方もいます。
心筋梗塞により心筋の一部が壊れることにより、心臓が停止し、死に至る場合もあります。心筋梗塞のときには、みぞおち付近の激しい痛みに加えて、大量の冷や汗などの症状もおこるとされています。
胃潰瘍
ピロリ菌の感染や薬剤の使用などが原因で、胃酸の分泌が過剰になると、胃粘膜を胃酸で傷つけてしまいます。これが頻回におこると、繰り返される傷により胃に穴があいて、痛みを伴う状態が胃潰瘍です。
胃炎のときと同様に、みぞおちに痛みを感じる場合があります。
十二指腸潰瘍
大量に分泌された胃酸は胃だけでなく、十二指腸にも作用することがあります。大量の胃酸により十二指腸の粘膜に傷がつき、穴が開いて痛みがおこる状態を十二指腸潰瘍といいます。
膵炎
アルコールなどを多飲してしまった中高年の男性に多くみられる病状に膵炎があります。膵炎は膵臓に炎症が起き激しい痛みと共に、嘔吐や発熱などの症状も伴うことがあります。
膵臓の消化液は、心臓や肝臓、腎臓などの複数の消化管に影響を与えることがあり、みぞおちの痛みだけでなく、背中に突き抜けるような痛みを感じる場合もあります。
胆石症
肝臓で作られる消化液の胆汁が固まると胆石ができます。この胆石が、胆嚢や胆嚢管に出来てしまうと、みぞおちや右肩に響くような激痛がおこる場合あります。
胆汁が通る胆道は、非常に狭いため、胆石がわずかに動くだけでも激しい痛みや発熱、吐き気、嘔吐などの症状を伴うとされています。
その他のみぞおちの違和感についてはこちらを見て参考にして下さい。
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みぞおちのしこり5つの原因
みぞおちのしこりが触れる場合は、「剣状突起」や「腸の異常」、「肝臓癌」など様々です。みぞおちのしこりの5つの原因について詳しく説明していきます。
剣状突起
胸骨の一番下にある軟骨を剣状突起といいます。これは、だれもが持っている突起物です。個人差がありますが、人によってはみぞおち付近を触ると、剣状突起がふれる場合があり、しこりのように感じることもあります。
また、みぞおち付近の軟骨に脂肪腫ができる場合も同様にしこりと感じる場合があります。これらの多くは良性であることが多いとされています。
腸の異常
大腸にたまったガスや便が、みぞおち付近でしこりとして触れる場合があります。大腸は、ぐるりとお腹を回って、肛門につながっているので、みぞおちに近い腸にガスや便がたまることがしこりとして感じる場合があります。
また、腸管に炎症などが起きたりして、腸管の癒着や、大腸・腹腔内に癌ができる場合も、しこりとや腹痛や下痢、便秘などの症状も伴う場合もあります。
大腸がんの前兆についてはこちらを参考にして下さい。
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痩せている体型によるもの
痩せ形の人などの体型によってもみぞおちにしこりがふれる場合があります。みぞおち付近は、肋骨や消化管などが集まっています。
過度なダイエットにより痩せた方や年齢とともに筋肉量が減少した方には、消化管の胆のうや腸などの臓器に触れる場合があります。これをしこりのように感じることがあるのです。
大動脈瘤の腫れ
横隔膜の下や腹部に大動脈瘤ができることで、みぞおちにしこりがふれることがあります。大動脈瘤ができると、慢性的な膨満感や腹痛、飲み込みにくいなどの症状がおこることがあります。
肝臓癌
みぞおちには、胃や肝臓などの内臓が近くに存在しています。そのため、肝臓などに異変が起こった場合に、みぞおちにしこりを感じることもあります。
肝細胞などに異変を生じて肝臓癌となった場合は、初期症状ではしこりなどに触れることはありませんが、病期が進行するとお腹の上のあたり(上腹部)に違和感と共に、みぞおち付近にしこりを発見することがあります。
みぞおちのしこりと癌の見分け方
みぞおち周辺にしこりができる原因について説明してきました。みぞおちのしこりは良性の場合もありますが、胃がん、肝臓がん、すい臓がん、大腸がんなどの悪性も場合もあるため、しこりと癌の見分け方について説明します。
急激に大きさが変化する
みぞおち付近にしこりを発見した場合は、しこりの大きさや形の変化の速度を観察してください。良性のものならば、ほとんど大きさは変わらないことが多いですが、悪性の場合は、変化のスピードが比較的早いとされています。
決して、しこりの大きさが小さいから、ピンポン玉くらいだからといって油断しないでください。みぞおち付近にはリンパ節も存在するため、リンパに膿が貯まることでしこりとなる場合もあります。
しこりが急激に変化するという場合は、病院の消化器科などを受診するようにしましょう。また、しこりがいつまでも消えないという場合も、良性のものかを検査してもらい安心するためにも、病院に行くようにしてください。
しこりに激しい痛みやその他、下痢や腹痛、嘔吐などの症状がある
しこりに伴い、激しい痛みやその他の消化器症状などが出ている場合は、悪性の場合があります。
その他の消化器症状が先行して現れている場合もありますので、普段と違う便通や吐き気などを感じるのであれば、病院を受診しましょう。また、改善されない腹部の膨満感なども悪性の場合におこることがありますので注意してください。
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