イグザレルト錠の17つの副作用【納豆は食べても平気?】
<監修薬剤師 藤沢 淳司>
イグザレルト錠は血液を固まりにくくする効果があり、血栓をできにくくし、血栓症や塞栓症、脳梗塞や心筋梗塞等の病気を防ぐ事ができます。
ただ、お薬には効果もありますが、必ず副作用もあります。抗凝固薬はよく納豆や緑黄色野菜等の摂取について注意を受けますが、イグザレルト錠の場合はどうなのか気になりますよね。
今回はイグザレルト錠の副作用について解説いたします。
イグザレルト錠の効果
イグザレルト錠は脳卒中や血栓症、塞栓症の予防や再発抑制に使用します。まず最初にイグザレルト錠にどのような効果があるのか解説いたします。
血栓形成抑制作用
イグザレルト錠は血液の凝固に関係するトロンビンの生成を阻止して、血液が固まる状態を改善する作用があります。簡単に言うと、血液が血管内で固まり、血栓等を作る事を防ぐ作用があるのです。
イグザレルト錠の成分にリバーロキサバンを含んでいて、この成分が血栓ができるのを抑制します。血液が固まりやすくなっている状況を改善する事で、血栓ができて、血管がつまってしまう塞栓症や、血栓症、脳卒中等の病気を防ぐ事ができます。
血栓による症状についてはこちらを参考にして下さい。
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血栓症や塞栓症の発症・再発抑制
上記のように血液を固まりにくくする事で、血栓ができるのを防ぎます。血管内で血液が固まり、血流が悪くなる病気は血栓症。血栓が流れて、その先の血管を塞いでしまう病気は塞栓症。
血栓ができる場所は様々ですが、血栓がはがれて脳動脈に流れ込む事で起きる脳卒中や、血栓が脳以外に運ばれて起きる心筋梗塞等の発症を防ぐ事ができます。
古くからある抗凝固薬よりも、効果が現れるのが早いのが特徴的です。また安定した効果が期待できる事から再発防止にも用いられます。
イグザレルト錠の副作用
お薬にはもちろんきちんとした効果がありますが、同時に副作用もつきものです。イグザレルト錠にはどのような副作用があるのか、把握しておきましょう。
ただし、副作用が出たからと自己判断で勝手に服用をやめてはいけません。少しの変化でも医師に相談して、量の調節や薬の調節をしてもらいましょう。
鼻出血・歯肉出血・口腔内出血
イグザレルト錠は出血しやすくなる事がありますので、鼻出血や歯肉出血、口腔内出血が起きやすくなります。
歯ブラシは軟らかめの物を使用し、鼻をかむ時には優しくかむようにしましょう。いつもよりひどい出血の場合にはすぐに病院に行ってください。
出血についてはこちらも参考にして下さい。
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皮下出血
同じく出血しやすい為、皮下出血である内出血のあざができやすくなります。こちらもいつもよりひどいあざの場合や、腫れ上がるようなあざの場合には、すぐに病院に行ってください。
血尿・尿中血陽性
腎機能は重要なポイントであり、腎機能が低下する事でも出血を起こします。元々腎機能が低下している方へのイグザレルト錠の処方にも注意が必要です。
血尿が見られた場合には、腎臓、尿管、膀胱、尿道等からの出血が考えられます。尿検査を定期的にして、腎機能をきちんと調べる必要があります。
血尿についてはこちらも参考にして下さい。
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貧血
やはり出血を起こしやすい為、出血量が多くなると貧血症状を引き起こします。ショック、貧血、心不全、意識障害等の症状が現れてからでは遅いので、鼻出血や皮下出血、歯肉出血、口腔内出血、血尿、血便等、少しでも出血傾向にある場合には要注意です。
医師にきちんと伝えて、対処法を考えてもらいましょう。
喀血
呼吸器系の出血として、咽頭・気管・気管支・肺胞等から出血を起こす場合があります。症状としては喀血や血痰が現れますが、喀血の前に咳や呼吸困難等が起こる可能性があります。救急ですぐに病院に行ってください。
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血便
出血しやすくなる為に血便になってしまう場合があります。検査で便潜血陽性である場合、どこからの出血なのかをきちんと調べる必要があります。
痔出血なのか、それとも消化器官からの出血なのか調べなければなりません。命に関わる出血の可能性もありますので、すぐに病院に行ってください。
創傷出血
出血しやすい為、けがには十分に注意しなければなりません。髭剃り等でも出血しやすくなります。また、けがの恐れがある仕事や作業、運動等は極力避けるようにしましょう。
万が一けがをして出血がひどい場合にはすぐに病院に行ってください。
結膜出血・網膜出血
結膜や網膜の毛細血管が破れ、出血してしまう場合もあります。出血の量が多い場合にはゴロゴロとした異物感を感じる事もあります。特に痛みは感じない場合が多いです。
繰り返しこの症状が起きる場合や、長期間に続く場合には薬の量の調整や、病気が隠れていないか検査が必要になりますので、病院に行ってください。
メレナ
上部消化管や小腸、上行結腸からの出血が消化されて、便として排出される状態をメレナといい、血便の一種で黒色の便の事。
黒色タール状であり、上部消化器の大量出血の危険性があります。イグザレルト錠の副作用として、出血しやすくなっていますので、便にも注意が必要です。
万が一このような症状が現れた場合には、すぐに病院に行ってください。
肝機能障害
薬の代謝は肝臓で行われる事が多く、肝機能障害が現れる事もあります。全身倦怠感、発熱、黄疸、発疹、吐き気、嘔吐等の症状が現れた場合には肝機能障害が疑われます。
また元々肝機能に異常がある方には出血の危険性が増大する為、使用できません。少しでも異常を感じたら、すぐに病院に行ってください。
間質性肺炎
間質性肺炎とは、肺の間質という部分が炎症を起こして、肺が硬くなる症状を引き起こす病気です。症状として、息切れ、呼吸困難、発熱、咳等が現れます。
このような症状が現れた場合にはすぐに病院に行ってください。
消化器系出血
食道・胃・十二指腸・小腸・大腸・腹腔内出血等により、吐血、下血、血便、腹痛、腹部膨満感、食欲不振、吐き気、嘔吐等の症状が現れます。大量出血の場合にはショック状態を起こします。
命に関わる危険性もありますので、すぐに病院に行ってください。
頭蓋内出血
注意しなければならない副作用として、脳出血、出血性脳梗塞、硬膜下血腫、くも膜下出血、硬膜外血腫、脳室内出血等の、頭蓋内出血の危険性があります。
症状として、頭痛、吐き気、めまい、麻痺、意識障害、視力障害、感覚障害、意識混濁、思考力低下、判断力低下等が現れます。
重症の場合には死に至る危険性もありますし、片麻痺、言語障害、てんかん等の後遺症が残る恐れもあります。このような症状が現れた場合には、すぐに救急で病院に行ってください。
納豆は食べても問題ない?
抗凝固薬であるワルファリンを服用している場合には納豆は食べてはいけません。抗凝固薬は血液が固まってしまう事を防ぐ為に服用します。
そもそも血液が固まってしまうのは、血液中の何種類もの凝固因子というたんぱくの働きによるものです。この凝固因子の多くが肝臓で作られますが、その際にビタミンKの助けを必要とするものがいくつかあります。
ビタミンKの作用を弱めなければ、たんぱくが合成されてしまい、血液が固まってしまい、血栓ができてしまうのです。その中でも納豆はビタミンKが特に豊富に含まれている食品です。
ワルファリンを飲んでいても、血液が固まる事を促進してしまう納豆が多く含むビタミンKが拮抗してしまう、つまりワルファリンの効果を弱めてしまうのです。
ですので、ワルファリン服用中の方は納豆を食べてはいけません。ですが、イグザレルト錠の場合には、納豆等のビタミンKの摂取は問題なしなのです。
今まで主に使われていたワルファリンでは、ビタミンKの摂取に注意する事で、患者のQOLが下がったり、退院後に悪化してしまったりと調整が大変でした。
ですが、イグザレルト錠等の新しい抗凝固薬においては、納豆等のビタミンKの摂取に注意する必要はありません。
ただしこちらのお薬では納豆との食べ合わせの相性があまり良くないので注意した方がいいでしょう。
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